【完結】ロキ・ファミリアを数年離れていた外面の良いHENTAI女が俺に向かって「貴方の子供よ」と嬉しそうに言ってきた。 作:SUN'S
私はロキ・ファミリアの冒険者だ。
ベート達の遠征を見送って十二日ほど経過した頃。私は研究用の魔石を採るためにダンジョン一階と二階を往復していた。流石に赤ちゃんを連れてくるのは危険と判断し、少しの間だけロキに子守りを頼んでいる。勿論、報酬はしっかりと払っている。
そんなことを考えながらコボルトの群れに襲われていた白髪の少年を引き寄せ、超小型して手のひらに仕込んだ
「はっ、あっ、あり、ありがうございます!!」
うんうん、素直に感謝できるのは美徳だ。私がこの世界に来たばかりの頃は「横取りするな」だとか「どっか行きやがれ!」だとか感謝の言葉すら言えない冒険者しかいなかったからすごく新鮮だ。
しかし、必要最低限のチェストアーマー、貸し出し品のダガーナイフ、これぞ新米の冒険者という風体をありありと見せつける少年だ。それに些か興味を惹かれる雰囲気と匂いを感じる。…この少年もあの色欲の女神に見つかった被害者なのだろうか。
そう考えて、直ぐに意識を切り替える。ダンジョンの浅いところとはいえ余計な事を考えるのは良くないし、今日は新米冒険者に最適な戦い方を教えるのも良いかもしれない。
「ほ、本当ですか!?」
私の言葉に嬉しそうにする少年と同じようにナイフを構える。ロキに「えぇかイース、アンタはお母さんで人妻やねん。つまり、これはそういう時のためやで?」と渡されたものだけど、意外なところで私の役に立った。
とはいえナイフを使うのは初めてだ。
どうやって教えようかと思考しているとコボルトが現れた。ふむ、ちょうど試すのに良さそうだ。私は少年に逆手に構えたナイフを見せて、少年にも見える速さでコボルトの身体を斬りつける。確か邪神は閃鞘・八点衝と言っていたような気がする。
まあ、こういう感じだ。もう少し走法も鍛えれば少年もできる動きだ。よく食べて、よく運動して、よく眠って、よく勉強する。この四つの事をしっかりと覚えていれば冒険者はやっていけるよ。
「閃鞘・八点衝…か、かっこいい!」
なるほど、この少年は中二病という精神疾患の一種を患っているようだ。確かにロキ・ファミリアの仲間もそれなりに中二病を患っているが、私はロキのボソッと「よう、あんな痛い名前で喜べるなぁ…」という呟きは忘れない。
あれはロキの選んだ二つ名だろう。と、私は素直に告げたら「イース、あんたは分かっとるんやな!?」とすごい形相で驚かれた。どうやらこの世界の人間は精神疾患を患いやすい傾向の様だ。
〈電撃銃/サイコガン〉
光線銃。
装着者の精神力をエネルギーへと変換・装填する特殊な光線銃の一つ。イスの偉大なる種族によって超小型化・掌部内蔵型の仕込み武器となっている。そのためイースの両手は義手・義腕ではない。
〈閃鞘・八点衝〉
七夜の体技。
高速移動による撹乱と短刀あるいは短剣を用いて対象を切り裂く殺人技術。イスの偉大なる種族は科学者であるため基本的に使用する事はない。しかし、これから新米冒険者の切り札と成りうるだろう。
〈亀仙流の心得〉
学びの心得。
よく食べて、よく遊び、よく眠って、よく勉強する。とても簡単なように思えるけれど。大人になると遊びを忘れ、眠るのが少なくなり、食べるのが疎かになって、勉強もしなくなってしまう。決して忘れてはいけない学びの心得だ。