遊びに行くことになった2人。しかしそこに――?
休日カレンのボイスより。
※時間軸は水着イベ&穏やかルル後を想定。ゲーム時期とずれますがご了承下さい。
カレンとの友情をメインに書いたつもりですが、ルル→マヤの要素もあるのでご注意!
こちら『【ルル+マヤ】帰ってきた空間――ただいま、と素直に口には出せないけれど』https://syosetu.org/novel/320855/3.htmlとのつながりあり。読まなくても大丈夫と思いますが、よければコチラもどうぞ。
珍しくもできた休息の時間。この前倒れたこともあり、ゼロが今日は黒の騎士団の活動を休めと言ったためだ。
となると当然、休みになるのは私だけではなく、
「ほらっ、行きましょう! ぼさっとしている暇なんてないんだから」
「ちょっと待って、カレン。引っ張らないでってば……もうっ、おしとやかなお嬢様はどうしたの?」
学園とはまるで違う様子ではしゃぐ彼女に呆れる。たしかにここは学校からやや離れた場所ではあるものの、誰かに見られる可能性もあるのだ。
(うーん、でもまあ、カレンの場合はぜんぜん違う自分を演じてるし、ストレス溜まってるのかな)
私が指摘すると、「むぅ。今日くらい良いでしょ。あなたしかいないんだし」とすねた顔をする。こんな姿もまた、病弱でおしとやかなお嬢様からは想像し難い。
「あなたの前でくらい、演技やめてもいいでしょ」
「そうなんだけど」
「でしょ? んー、風が気持ちいいわね」
思い切り背伸びをして、開放感に身を包まれているカレンに、仕方ないなと息を吐く。私が周囲に気を配っておこう。
「ま、私もこっちの方のカレンの方が好きだからいいけどね」
「へっ? そ、そう?」
「ええ。カレンらしくて、良いと思う」
「あ……ありがとう」
私としてもおしとやかで病弱なカレンと休日を過ごすより、明るくて活発な今のカレンとの方が楽しい。
「今日の服も似合ってるし……でもなんだか意外。もっと活動しやすい服が好きなのかと」
「あー、この服? 会長たちと買い物に行ったときに選んでもらって……着る機会があって、良かった」
「ああ。この前出かけるって言ってた……うん。カレンって明るい色合いよく似合うよね。可愛い」
私はつい暗めの色合いが多くなってしまい、あまり華やかなものは持っていない。
なんて考えていると、カレンが少し頬を染めてうなった。
「あなたって、割りとタラシよね?」
「え?」
「はぁ……しかも無自覚な」
「ひどい。なんでそうなるの?」
「ルルーシュやスザクが時折慌ててた気持ちがわかるかも」
「? なんでここにルルーシュとスザクが関係し」
不思議に思って首を傾げたものの「そんなことより、あそこの自販機まで競争しない?」とカレンが笑う。
「負けたほうがジュースおごりってことで!」
「ちょっと! ずるい」
もう走り始めたカレンに文句を言いつつ、負けじと走る。――自然と笑っているのを自覚した。
たまにはこんな日もあり……。
「って、(あれはシャーリーっ?)カレン、前! 前見て!」
「ゴール! ふふ、私の勝ちね……って、シャーリーっ? 見てたの?」
あちゃあ。
ため息を付きつつ、病弱なカレンしか知らない心優しい友人の少女が納得する説明を、必死に考えた。
【友人と過ごす休日など、自分には不要だと思っていた】
[newpage]
「あいつ、楽しそうだな」
「…………」
「お前といる時よりもリラックスしているんじゃないか?」
「別に、俺とあいつは契約を交わした間で、リラックスするような関係じゃ」
「分かった分かった。まったく。難儀な男だな」
やれやれと首を横に振る。そんな間も、片時たりとも視線をあいつから外さない男に呆れた。
そんなに大切なら、とっとと既成事実でも作ってしまえば良いものを。
(こういうところはあの男の息子とは思えないな)
いや、こういう時期もあったのだろうか。
少し首を傾げつつも、マーヤとカレンがまた歩き出したので一定の距離を開けてついていく。
マーヤの後をつけていく、と提案したのは自分だ。最初こそ渋っていたはずのルルーシュは、今はもう何も言わずについてきていた。文句を言いつつも気にはなるのだろう。
(しかしあいつ……ちゃんと笑えるじゃないか)
カレンと何事か話し合っているマーヤが笑っていた。
ルルーシュの部屋で過ごすマーヤは、たしかにリラックスもしているようだったが、同時にどこか思い詰めた顔も良くする。むしろ会うたび会うたび、張り詰めた表情になっていく。
朗らかに笑っているときとの差が激しくなる様は――危うい。
(まったく。せっかく私が頼んでやったピザを待っている時だって怖い顔をしていたというのに、小娘と追いかけっこをしただけであんなに緊張を解くなど……単純な奴め)
そう考えると、ピザをバカにされたようでムカついてくる。あいつにはもっとピザの魅力を分からせてやる必要があるのかもしれない。
(そうだな。今度、あいつにうまいピザの店でも案内させるとしよう。しっかりと事前調査させて、な)
私もあの狭い部屋から出られるし、あいつはピザのことを調べてよりピザについて学べるし、一石二鳥だ。
「おい、C.C。何をしている。さっさと行くぞ」
「……まったく。嫌がっていた割にノリノリだな、お前」
「違う。またあいつが妙なことをしないか気になるだけ――おい、角を曲がったぞ。急げ」
視界から2人が消えて焦っているルルーシュに肩をすくめ、本当に仕方のないやつだとその背中を追いかけた。
【ピザ(じぶん)よりジュース(こむすめ)を選ぶなど、腹立たしいにもほどがある】
***
笑っている。マーヤが笑っている。
それは、いい。思い詰めた顔をよくする彼女が、少しでも楽しそうにしてくれるのなら、良いことだ。
カレンが鮮やかな色合の服をマーヤに押し当て、マーヤが慌てた顔をしていた。こんな鮮やかなのは自分には似合わない、とでも言っているのだろう。とても似合っているのに。
そうやってお互いにああでもない、こうでもない、と話し合ってはくすくすと笑っている。その笑顔は――俺には見せたことがない類のもので……。
ズキリ。
カレンがハーフだからだろうか? それとも同性だから?
またマーヤが笑っている。何を言っているのかも聞こえないほどの距離で……俺が手を伸ばしても、届かない距離で。
黒の騎士団での活動以外は学生に徹するようにと言ったのは俺だ。マーヤは戸惑いつつも俺の言葉に従って生徒会に入り、今もカレンという友達とともに学生らしく遊んでいる。
悪いことではない。決して、悪いことではないのに
『休日はカレンと過ごす』
そう楽しそうに告げられたとき、すぐに返答できなかった。
うぬぼれだった。
時間があればシミュレーターか俺の自室に来ていたから、休日もそうだという、うぬぼれ。
ズキリ。
ズキリズキリと胸の奥が痛む。
狭かった彼女の世界は広がりつつある。
広げたのは、広げるきっかけとなったのは自分だという自負がある。故に嬉しさを感じ、同時に寂しさも全身を支配する。
(俺は、何をやっているんだ)
マーヤたちの様子を見に行こうと提案したのはC.Cだ。しかしそれに強く反対せずについてきたのは自分の意思だった。
帰ろうと思った。
でも足は自然とマーヤたちを追いかけていた。
分かっていてもなお、
【遠くで笑う君を見つめていたい】
[newpage]
昼食にしようと入ったイタリアンレストラン。そこは本格的なピザが手軽に楽しめる、と評判らしい。
なので当然のように二人共ピザを頼む。
ピザ、というと緑髪の少女が頭に浮かぶ。美味しかったら、今度一緒に来てもいいかもしれない。
ほどほどに外へ連れて行ってあげないと、またこの前(人工ビーチ)みたいなことが起きかねないし。
そんなことを考えていると、料理が到着。思わず呆れる。
「ねえ……カレン、本当にそんなに食べられるの?」
「もちろん! というか、あなたこそそれだけで足りるの?」
「ええ。これでも多いくらいだけど」
カレンの前には特大のピザとパスタ。その他諸々。私の前には小さいサイズのピザとサラダ。
お互いの常識は合わないようだった。
(C.Cも細い体でアレだけピザを食べ続けていて驚いたけど、カレンも体外ね。どうしてこれだけ食べてこの体型維持できているのやら)
メリハリの付いた羨ましいという気持ちを通り超える完璧なプロポーションに、整った顔。そこに貴族のご令嬢となれば、学園で人気なのも頷ける。
(きっと病弱設定なくても人気だったでしょうね)
と、ふと気になった。
「そういえば、カレンって男子とデートする時はどうしてるの?」
きっと自分の知らないところで告白されたり、誘われたりしているはず。まあ病弱設定は崩せないだろうけど、食事とか抑えてたりしたら満足できないのではないだろうか。
演技している上に満足できない少量しか口にしないって、とても心身に負担がかかりそうだ。
「ふ、はぁっ? 男子とデート……あ、あるわけないでしょっ?」
「え、そうなの? でもほらファンクラブ? 親衛隊? とかいるでしょ?」
なんだか意外、と思って眺める。カレンはやたらと慌てていた。やや頬を赤らめた様子は、嘘ではなさそうだ。
「そ、そっちこそどうなのよ?」
「それこそあると思うの? 私、つい最近まで誰とも交流しようとしなかったのに」
「そうだけど……ほら、ルルーシュとか」
ピザを口の中に放り込む直前に出てきた名前。とにかく一度ピザを粗食し、飲み込む。
チーズの濃厚な香りと味が口の中に広がった――これは、あのピザ好きも満足しそうな味だ。
「その話は前にもしたでしょ。ないってば。ありえない」
「あのときはそう思ったけど、でも最近本当にずっと一緒にいるじゃない?」
「そう? 遊びに行くとしたらむしろリヴァルとだけど」
「リヴァルはいいのよ。ないのは見ててわかるから」
どうしてリヴァルはよくてルルーシュが気になるのか。
「もしかしてカレン、ルルーシュのこと」
「ないっ! ないから。だってルルーシュの部屋にも行くって聞いたけど」
「ナナリーとお茶することが多いからね。その帰りにゲームの話を少しするだけだよ。
だってナナリーとお茶しにクラブハウスに行くのに、ルルーシュにまったく挨拶せずに帰るのも変でしょ?」
「そうなんだけど……な~んか、あなたたちの雰囲気って気になるのよね」
疑いの目を向けられる。これはよろしくない。ルルーシュとゼロを結び付けられても困る。
ただでさえ、黒の騎士団の中で私にゼロのことを聞こうとする人が多いのだ。
特にカレンは学校でルルーシュと私が一緒にいるのも見ているのだから。
(どういうところが疑わしいのか探ってみないと)
「雰囲気って?」
「なにか2人にしか分からない空気というか」
「(ゼロの秘密のことかな)前から言ってるけど、ゲームの話ししてるからじゃない?
だって皆興味ないんだもの」
「う~ん~、そうなの、かなぁ。それにルルーシュって、あなたといる時、リラックスしてるように見えるし」
カレンはなかなか疑いを晴らしてくれない。これは相当まずい。シャーリーに恋仲だと疑われるよりも、騎士団の顔も知っているカレンに私達の関係が特別だと思われる方が大変だ。
(リラックスか。それは、そうかも。ゼロとしても、ルルーシュとしても、私に演技は必要ないから)
だって自分たちは契約者なのだから。
「それは私のこと異性だと思ってないからよ」
「え?」
「この前だって、ちょっと夜遅くなった時、危ないからって途中まで送ってくれたんだけど
『一応、世間ではお前も女子ということになるからな』
って」
「なにそれ! ひどいやつね」
「あはは。ま、ゲームの話するのにそういう感覚は不要だし、私としてもその方が気楽だしね」
というより、考えたこともないよ。
肩をすくめる。たしかにルルーシュが男の子で自分は女だという自覚はある。そしてルルーシュの顔立ちは整っているし、声も良い。人との対応も丁寧で、特に女子ウケが良い。
(対応の丁寧さは私には当てはまらないけど)
猫をかぶる必要がないからだろう。レディファーストなんてしてもらったこともない。してもらっても困るけれど。
「スザクやリヴァルに接するような感覚で私にも接してて、時折『そういえばお前も女だったな』みたいなこと言ってくるんだから」
「なるほどね。妙にあなた達の距離感って近い感じしてたけど、そっか。男友達同士みたいな距離感だから違和感あったのねぇ」
実際にあったことを口にしていくと、カレンは納得したようだった。実際、嘘ではないのだ。
ホッとしてもう一欠、ピザを手に取る。
(この前も高い位置にあったモノがとれなくて、笑われたっけ)
ナナリーとお茶する時にいつも使っていたカップがなぜか高い位置に置かれてあり、必死に背伸びしていたことがある。
そんな姿を見てルルーシュが笑い、私の後ろからいとも簡単にそれを取る、ということがあった。
これみよがしなそんな取り方しなくてもいいのに、とじとっと見上げると、やたらと「バッ、モタれかかるな」「離れろ」と慌てられたけれど。
(そういえばルルーシュってよく口元抑えるよね。癖なのかな)
ふと疑問に思ったものの、深くは考えずにもう一口ピザを食べる。
美味しい。
「ほらっ、そんなことよりピザ、美味しいよ」
「そうね! やっぱり焼き立てが一番だもの……んぐっ、本当っ。美味しい。
この店は当たりね」
カレンにピザを促すとひとくち食べ、先程までの疑惑を忘れたように笑ったので安心する。
ひとまずはなんとかなったようだ。
やれやれ、と今度はサラダに手を伸ばした時、なにか違和感で目線を上げる。
(今、なにか見え――え?)
すっかり見慣れてしまった緑色が見えた気がして、しかしまさかと思いながらそちらを見ると、いた。見間違いでもなんでもなく、あの美しい髪と麗しい顔立ちは間違いなくC.Cだ。一応帽子を被って髪の殆どを中へと隠しているようだったけれど、それでも分かる程度の付き合いはある。
(何してって、え? 隣りにいるのはルルーシュっ? なんで?)
混乱する。混乱するが
(はぁ。またC.C.のわがまま、かな? どうせここのピザが美味しいから食べに行くぞ、とかなんとか)
とすぐに納得もした。
しかしまずい。せっかくルルーシュとの関係をごまかせたのに、カレンとルルーシュたちが顔を合わせるのは……。
C.C.の興味のなさそうなところに誘導しないと。
新たなミッションが加わった。
(なんで? なんでずっといるの、あの2人?)
なぜか行くところ行くところにルルーシュたちがついてくる。
さすがにここは、と思って入った『ランジェリーショップ』にまで。
もちろん店内は女性ばかり。しかし時折、カップルらしき人たちはいた。
(え? もしかしてあの2人本当に付き合い始めた、のかな?
そういえばC.C.の水着もルルーシュが用意したって言ってたけど、よく考えたら、それって、つまり、その、サ、サイズを知ってたってことっ?)
冷静に考えてみると、気づく。つまり二人は自分の知らないところでそういう仲になっていたのだろう。
今回はカレンにも疑われたことだし、今後、ルルーシュの部屋に不用意に行くのはやめておいたほうが良いだろう。
(うーん、私が恋愛に興味ないからって周囲もそうとは限らないものね。ちゃんとそういうのも見ておかないと、余計な誤解生みそうね)
勉強になったなぁ、とぼけっとしていたらカレンにそれはもう際どい下着を押し付けられて、ちょっと焦った。
焦っていると、カレンが吹き出す。どうやらからかわれたらしい。
「カレンっ? ひどい」
「ごめんごめん。
でもよかった。少しは気晴らしになったみたいね」
「え?」
じとっと睨むとそんなことを言われる。
「だってあなた、いつも思い詰めた顔してるから」
そう、なのだろうか。
首を傾げる。指で自分の顔をなぞってみるが、よくわからない。
(そういえば、C.C.にもよく言われるかも。会うたびに思い詰めた顔になっていくって……ううん、騎士団のみんなにも、か)
カレンは「そこも無自覚なのね。まったく」と呆れた顔をして……それから、少し考え込んだ。
「でも、ちょっとは分かるの。
もし戦争なんてなかったらって考えたら……普通の学生として過ごしていたのかなって、日本人として過ごしていたのかなって思ったら……私も多分、そういう顔になってる」
「カレン」
もしも戦争が起きなかったら。そんなことを考えても無駄だ。それはわかっている。
その世界ではきっと、私はハーフであることに引け目は感じず、両親のもとで笑って暮らしているのだろう。
幸せに……だけど、
「やめやめ! 湿っぽい話は終わり! せっかくあなたと一緒にいるんだもの、今はこの時間を楽しまなきゃ」
首を振って、再び勝ち気な笑顔を見せるカレン。やっぱり思う。カレンは強い。強くて、美しい。
「あ、今日は日差し強いけど、あなたは大丈夫?」
「ええ」
「しんどかったら言ってよ? まだまだ遊び足りないんだから」
「病弱設定はどこに行ったの?」
「いいでしょ、今は!
だってあなたの思い詰めた顔を吹き飛ばさないといけないんだから」
目を見開く。そして、笑う。
「お手柔らかにね」
「さあね?」
「怖いなぁ」
力強く手を引かれながら、思う。思ってしまった自分に呆れた。
【戦争が起きなかったらあなたたちに出会えなかったのかと思うと、それはそれで寂しい】
[newpage]
最近、あいつが部屋に来ない。
「おい、あいつはまだか」
「知るか」
ベッドの上で暇そうに寝転がっているC.C.に聞かれるが、俺のほうが知りたい。
「お前、あいつになにかしたんじゃないのか? 避けられているだろう」
言葉が胸に刺さる。
覚えはない。覚えはないが、避けられている自覚はあった。
(前にもこんな事があったな)
あのときは恋仲だと疑われていたから、という理由だった。
最近も特に怒った様子などはなく、学園でも普通で……ただ、俺の部屋に来ないだけだ。
なので恋仲だと疑われていると判断してのことなら、学園でも距離を置くはずだ。しかしそうはなっていない。そして俺に対して怒っている様子もない。
「むしろC.C、お前のほうが避けられているんじゃないのか?」
「なんだと?」
「あいつは学園では普通だ。今までと変わらない。だがここには来ない。結論は一つだ」
「馬鹿なことを言うな。私はあいつにピザを食わせてやっているのだぞ。避けられるわけがない。
童貞坊やがなにかしたんだろう」
「どっ、く」
ふふんっとからかってくるC.C.に怒鳴り返しかけ、やめる。余計に笑われるだけだ。
「ならば賭けてみるか? どちらに原因があるのか」
「面白い。私が勝ったらこの限定ピザグッズを手に入れてもらうぞ」
「いいだろう。俺が勝ったら、しばらくピザは禁止させてもらう」
「くっなんだとっ? いや、私が原因なはずがない。受けて立つぞ、ルルーシュ」
そうして後日、シミュレーターの前でマーヤを出迎える。俺たちを目にしたマーヤが目を丸くしていた。
「ルルーシュにC.C? どうしたの、そんなに怖い顔して」
「話がある」
「話?」
「おい、お前。どうして私の部屋に来ない?」
「待て。お前の部屋じゃなく、あそこは俺の――」
「そんなことはどうでもいいだろ。で? どうなんだ?」
マーヤは、不思議そうにしていた。俺に対してもだが、別にC.C.に怒っている雰囲気でもない。
「どうしてって、2人の邪魔をしちゃダメだと思って、だけど?」
なのでさらっと自然に彼女は疑問への答えを口にする。俺たちは数秒固まり、そして
「はあっ?」「なんだとっ?」
ほぼ同時に前のめりになってマーヤに詰め寄った。
「どうして俺がこんなデリカシーのない女とっ?」「どうして私がこんな坊やとっ?」
またしても被る俺たちに「仲いいね」とマーヤはのほほんと笑う。
違う、そうじゃないだろうっ? 誤解するにしても、もう少しなにか、焦るとかしてくれ。
とにかく今度はなぜそんな誤解をしたのかと聞く。
「だってこの前の休日も、デートしてたでしょ?」
「ふぁっ! あれ、気づいて……違う! あれはこいつが外に出たいと駄々をこねただけで、別に俺は」
「そうなの? でも、その」
きょとんとしたマーヤは、しかしその後はなにやら言いにくそうに、視線を彷徨わせ、頬を赤く染めた。
腹に力を込める。
(可愛い。可愛いが、油断するな。絶対になにか来るぞ)
今までの経験から気を緩めてはならないことは分かっている。痛いほどに。
マーヤは両手の指先をくっつけ合うような仕草をしばらくしてから、こちらをちらと見て言った。
「ら、ランジェリーショップにまで来てた、し」
「うぐぅっそ、れは」
ほらな。来ただろう。と、分かっていてもダメージは大きい。
「それによく考えたら、C.C.の水着もルルーシュが用意したって言ってたし、つ、つまり……サイズ知ってるってことでしょ?
だから2人は……その……そういう仲、なのかなって」
とてもとても恥ずかしそうにしているその姿は愛らしいの一言に尽きる。尽きるのだが、
(たしかにそう言われると、そう誤解されても仕方ないのかもしれないが)
キッとC.C.をにらみつける。誤解の原因はあいつの伝え方だ。さすがに少し悪いとは思ったのか。俺の目線を受けて明後日の方を向いた。
「誤解だ! 俺はただ店員に頼んだだけだ」
「で、でもランジェリーショップは?」
それはたしかに普通の男女では入ることのない店だ。
しかしこれもC.C.のせいだ。流石に俺は入らないと言ったのに、こいつが
「ふふん。この坊やに女の下着のことを教えてやろうと思ってな」
しょうがない奴め、貸しだぞ。
そんな顔をしてC.C.がマーヤに言った。もともとはお前のせいだろうが。
「だから私とルルーシュが恋仲などというのはお前の勘違いだ。
気にせずに今後もわたしの部屋に来てピザを頼め」
「あー、そうなんだ。……って、ピザ限定なの?」
くすくすと笑うマーヤ。どうやら誤解は解けたらしい。それは良かった。良かったが、なぜか偉そうなC.C.に釈然としない気持ちを覚える。
「2人が本当にそうだとしても応援はしてたんだけど……良かった」
応援するな、と大声で叫びたいのをぐっとこらえる。こういう時、身構えていたほうが良いのだ。
絶対に何か、とんでもない攻撃をしてくるのだから。
C.C.はまだそこが分かっていないらしく、「何がだ」と首を傾げていた。
「だって2人とあの部屋で過ごせないのは、とても寂しいでしょ?」
だから良かったー、と本当にホッとしたようにマーヤは笑う。
俺はすでに口元を手で覆っていた。C.C.は珍しく驚き、若干身を引いていた。
「なるほど、これは……坊やが慌てるのも、仕方ないな」
【良くも悪くも君は素直】
この話、途中迷走しかけましたが、なんとか着地。
基本ロスストの話はプロット書きませんからねぇ……愛と勢いで書いてる。
もともとはカレンメインになるはずが、やっぱりルルが出張ってきました。
マーヤが部屋に来なくて拗ねルルと拗ねC.C.は可愛いと思います。
そしてカレンには今後もマーヤを遊びに引っ張っていってもらって、明るくさせてあげてほしいなと思います。
大食いにしちゃってごめん…でも、第5章でやけ食いの話出てたから……。
うちのマーヤちゃんは天然たらし!