その後は細かい打ち合わせなどを行い、リッポーと共にハンター協会をあとにした。
彼に従って、彼の管理している刑務所に移動。そこから正式な手続きを踏んだ上で必要な処置をいくつか行い、ようやく先輩を引き渡されるとのことである。
ただいかんせん法律をある程度捻じ曲げる行為であるから、手続きが完了するまでそこそこ時間がかかると言われてしまった。具体的には一か月くらい。
随分待たされるなとは思うが、仮出所する先輩のために服や小物を見繕う時間が取れたと思えば悪くない。今はちんちんに爆弾を抱えてる状況だしな。
それにただぼんやりしているのももったいないから、リッポーの仕事を手伝うことで経験を積むことになった。
リッポーは賞金首ハンターだ。つまりはお尋ね者を捕まえることがメインのハンターであり、そうやって捕まえた囚人を入れる刑務所の所長も兼任している。
……ただお尋ね者を捕まえるだけなら金と名誉がほしいのかなと思うけど、刑務所長もしているとなると、わりと冗談抜きで彼は賞金首という存在そのものを収集してるのかもしれない。どういう心理なのかはちょっとわからないけど。
ともかくそんな彼を手伝うということはもちろん、お尋ね者を捕まえるということである。一か月の期間内で行き来できる範囲の地域に存在するお尋ね者を、できる範囲で捕まえるのが俺のハンターとしての初仕事となった。
おかげでリッポーからは、そのためのノウハウなんかも教えてもらえた。大半が見て盗め対応だったとはいえ、これは素直にラッキーである。他のハンターが持つノウハウを知る機会とか、いくら金を積んでも得られないからな。
というわけであれこれやったのだが、一人だけ念能力者の犯罪者がいたものだからそれだけが少し手間取った。
まあしっかりと学んだわけじゃなかったみたいで、発以外はお粗末だった。しかもちょうど生理期間に当たったので、俺の
じゃあ何が手間取ったって、
つまり、百式観音二発分がずっと溜まっていた。この状態でちんちんを抜刀したらどうなるかが怖くてできなかったとも言うんだが、ここにショボいとはいえ、発が一回分が加算されたわけですよ。
結果としては、五日ほどほとんど休みなく腰を振り続ける羽目になりましてですね……。
いやあ、地元から女殺しのサキュバスこと例の風俗嬢を呼び寄せておいて正解だった。嬢への礼金はもちろんとして、渡航費や滞在費など諸々全額請け負ったおかげで結構な金が吹き飛んだが、これは必要な出費だった。
だってこのあと先輩を迎えるんだ。もし二人っきりでそういう雰囲気になったら? 絶対ヤバいことになる。
だって五日間だぞ。先輩を五日間もセックスに付き合わせるわけにはいかない。俺は念能力者だからそれでも大丈夫だが、先輩は非能力者だからな。冗談抜きで死にかねない。
……いや、これは浮気じゃないから。コンディションを整える的なあれだから。アスリートが試合前にやってる調整的なサムシングだから。
マジで。浮気とかそういうんじゃないから……。
……あとできちんと説明しよう。言い訳なしで、……念のことは言えないからそこはさすがにぼかさざるを得ないが、ともかく誠実に、隠し事なしで正面から謝ろう。
とにかくそんなわけで、一通り仕事が終わったあとホテルに籠って嬢とヤり続けてたわけだが……。
なお、例の嬢は「また何かあったらいつでも呼んでねー♡」とめちゃくちゃいい笑顔で勝利の凱旋とはかくあるべしな感じで帰っていった。
あの人、もしかしなくても呼び寄せた直後より若返ってたんだけど、まさか新しい発作りました? マジであの人の念の才能ヤバいな?
ていうか去り際、もう五日くらいならイケると豪語してたんだけど、俺本当にとんでもない人を目覚めさせてしまったんだなぁ……。とんでもないやつと同じ時代に生まれちまったもんだぜ……。恐ろしくて震えがとまらねぇよ……。
何が恐ろしいって、タガが外れた状態の俺の暴力的なセックスについてこれる人間が、今のところ彼女しかいないことだ。まさか先輩をオナホにするわけにはいかないし、そんなつもりも一切ないし……。
もしかしてだけど。
もしかしてだけど、俺がハンターとしてやっていく上で一番必要な人材って、彼女なんじゃないの?
……ふふふ、怖い。
ともかくこの仕事を終えたことで、俺はハンターとしての初任給合計2811万ジェニー(嬢への支払いを差し引いた額)を獲得した。
一般人で一か月の給料がこれならかなり破格だが、ハンターが一か月ほとんど休みなしで駆けずり回って得た金額としてはどうかなと思わなくもない。金額の低さについては自業自得なところもあるし。
何より、それとはまた別の達成感があったしな。
さて、そんなことをしているうちにその日は来た。俺は浮つく心を隠せないまま、リッポーの刑務所の一つにある一室を訪れていた。囚人の引き渡しとかを行うための部屋らしい。
そのままそわそわしながら待つこと四十分、いよいよその時が来た。リッポーに先導される形で、部屋にレルート先輩が入って来たのだ。
トリックタワーで会ったときから一か月くらいしか経ってないから、そんなに変化はない。ちょっとだけ髪が伸びたかなって程度。身体に支障はなさそうで、健康そうに見える。
すぐさま抱き寄せたいところだが、先に手続きだ。最後の手続きだから、これを終わらせるまでは……より正確に言うなら、ここを出て二人落ち着ける場所に行くまではお預けである。
……サインしたのはいいけど、筆跡が波打ってる。自分のことながら、どんだけ待ちわびてたんだか。
先輩は少し苦笑していた。それなりに長い付き合いだから、俺の考えていることなんて手に取るようにわかるんだろう。
とはいえ彼女は色々と制限される立場であり、下手なことができない身だ。特にこの場でなんて必要最低限のことしか話せないし、事務的なやり取りしかまだできない。今ならお預けを喰らった犬の気分がよくわかるぜ。
「んー……! 娑婆の空気がおいしいわねぇ」
先輩の出所して最初の発言はこれだった。なんていうか、やっぱマフィアなんですね先輩……。
でもそんな気分はすぐに吹っ飛んだ。俺のほうを振り返ってくすくすと笑う先輩が眩しい。
思わず見惚れる。行動を制限するための神字が刻まれたチョーカーが首輪みたいで色々台無しではあるが、それも気にならない。
ああ、俺やっぱこの人のことが好きだわ。
「何?」
「いやその、やっぱり私、先輩のこと大好きだなって思って……」
「なにそれ? 口説くにしたってもうちょっとあるでしょうに」
「しょうがないじゃないですか! だってその、あの……ほら、ねぇ!?」
「一発合格した将来有望な新人ハンターが聞いて呆れるわね」
ぐぬぬ。言い返したいけど何も言い返せない。
俺がそのままもにょっていると、先輩はふっと表情を崩した。
「まったくもう、しょうがない子ね。ほら」
そしてその状態で、手を出してきた。
「行くんでしょう? エスコートは任せたわよ」
「……はい!」
だから俺も気を取り直して、先輩の手を取った。すると彼女は、遠慮がちに俺に身を寄せてくる。
くそっ、かわいいな! 俺の彼女がこんなにもかわいい!
浮かれてばかりじゃダメだってことはわかってる。あくまで今回のは仮出所で、先輩を囚人という立場から本当の意味で解放するにはやらなければならないことがたくさんある。
それでも今は、この人のぬくもりを感じながらゆっくりと歩いていたかった。
***
仮とはいえ、予想よりもだいぶ早い出所となった日の夜。ふと目を覚ましたあたしは、隣で全裸で眠るかわいい後輩を見て思わず笑みを浮かべた。
その中に、苦笑の色がなかったと言えばウソになる。会った頃から何かと規格の違った後輩だけど、まさかおちんちんを生やす技を持っているなんて想像もしていなかったもの。
確かにわりと男っぽいところのある子ではあったけど……一体どこでそんな技を覚えたのかしら。軽々に明かすことはできないとは言われたけど、気にはなる。
だって、やられっぱなしは性に合わないじゃない。このあたしを散々に蕩けさせてくれたんだから、やり返してやらないとね。おちんちんを生やしてもアソコが消えたわけじゃないってことに気づいてからは反撃もしたし、それでだいぶ可愛らしい声と顔をさらしてくれたけど。
でもそれだけじゃ足りないわ。顔から出る液体という液体を全部を出すようなトロ顔で、頼むからイかせてと懇願するくらいはしてもらわないと割に合わない。
やられたら倍にしてやり返す。あたしはそういう価値観の中で生まれ育ってきたのだから。
……そもそもの話、メルに対してはそれなり以上に親愛の情を持っていたけど、恋愛的な意味で彼女を好きかというと実は自分でも確信はなかったわ。
それは今日になっても変わっていないつもりだった。
そう、だった……過去形なのよ。今日メルに思いっきり抱かれるまでは、そう思っていたの。
ええ、認めるわ。あたしはまんまとこの子に乗せられてしまったの。
だって仕方ないじゃない? あんなにも本気で、誠実に、真正面から好きだと、愛しているとささやかれながらするセックスは、今までで一番の快楽だったんだもの。
それこそ、合法の範囲でキメられる麻薬なんかよりもよっぽどで……落ち着いて軽く眠ったあとの今でも、下腹部がまだうずいている。ほとんど無意識に手を伸ばせば、そこにあった熾火のような熱が少しずつ全身に回るような感覚に襲われて、慌てて手を離す。
本当、まさに麻薬だわ。今はもう、メルの傍から離れたくないと思っている自分がいる。彼女からもたらされる愛が、快感が、あたしを捕えて離さない。そしてそれを嫌だなんて思っていない自分がいる。
……不思議なものね。身体の関係から始まる愛があることは知っていたけど、自分がそうなるなんて。一発ヤるだけで惚れるなんて安い女もいるのね、なんて思っていたのに。
こんなことを高校時代のあたしに言っても、絶対信じないでしょうね。女が相手ってことはあの学院じゃ珍しくなかったから、そこはもしかしたら信じるかもだけど……相手があのメルだなんて。
何せあたし、最初は彼女を一刻も早く寮部屋から追い出すつもりでいたんだもの。ルームメイトなんて邪魔なだけ、自分の部屋は自分だけで使う。そう考えていたからね。
そして実を言えば、あの学院はうちのファミリーの息がかかった場所。ウチは学院最大のパトロンだったから、あたしの意向はパトロンの意向として振りかざすことができた。
もちろん、普段からそんなことをしていたら恨みを買う。切り札はここぞというときに切るから効果を発揮するのであって、初手でいきなり使うものじゃない。
だから毎回入ってくるルームメイトを追い出すのも、あたしは強権を振りかざさずに言葉や態度、あるいは周りの環境を多少操ることで自発的に出ていくように仕向けていた。
あの子に対してもそう。もう慣れたもの、と思っていつも通りにやろうとした。
……けれどそれは、入学直後に誰かに乗せられたあの子が人前で見せた武術のパフォーマンス――素手でコンクリートブロックを粉砕するやつ――を見て、改めざるを得なかったわ。
あれを敵に回したらいけない。ほとんど直感だったけど、あたしは自分の直感を何より信じていたからそれに従ったわ。渋々ではあったけどね。
でもそれも考えよう。あれほどの実力者を子飼いにできたなら、それは間違いなくあたしの立場を保証してくれるはず。そう考えて、対応を変えていった。
まさかその結果、ここまで懐かれるなんて思ってもみなかったわ。
あたしもあたしで、本心からあたしを慕うその態度に、笑顔に、少しずつ絆されていったという自覚はある。柄じゃないことはわかっていたけど、でも確かにそれは悪いものじゃなかったから。
これは人付き合いに対する考え方が彼女と一致していて、同じ部屋にいても苦にならなかったのも大きいわね。
ときには離れて、ときには手を取り合って。背中合わせでありながら一言もしゃべらない、なんてこともあったかしら。
毎日欠かさず筋トレとか感謝の正拳突きなんかを黙々とやるメルと、その様子を無言で見ているあたしっていう光景は、見る人によってはちょっと異様な光景だったかもしれないけど。
でもその距離感が心地よくて、彼女と過ごす日々は間違いなく楽しかったの。
生まれたときから裏社会で生きる運命だったあたしにとって、彼女と一緒に過ごした表社会での一年は、たった一年ではあっても貴重な青春の思い出だ。恥ずかしいから絶対に言わないけどね。
育ちが育ちだけにスレていたあたしにとって、あの陽だまりのような笑顔は眩しすぎたんだわ。だから学院を卒業してからも、あたしから縁を切ろうとは思わなかった。
マフィアの一族として裏社会で過ごす日々の中で、あの子から届くメールや手紙があたしにとってどれほど癒しになったか。あの子に言っても、きっと完全にはわかってくれないでしょう。
だからこそ、迂闊にも十老頭のシノギに手を出してしまったとき最初に思ったのは、絶対にメルとその親族にだけは手を出させるわけにはいかない、だったわ。
わざとではなかったとしても、マフィアの掟に照らせばこちらが明確に悪い以上は、組同士のやり取りという意味では絶対に勝てない戦いだったけれど……だからこそ、あたしのすべてをベットする価値のある賭けだった。
結果、ケジメをつけるのはあたし一人で済んだ。メルたちはもちろん実家のファミリーにもお咎めはなく、あたしだけが刑務所に入ってこの一件はお開きとなった。予想よりも刑期は延びてしまったけど、それでもあたしは一世一代の賭けに勝ったのだ。
刑務所でぼんやりと過ごす日々の中、あたしの頭の中にあったのはやっぱりメルのことだった。あたしの一生でケジメはつけたけど、それが本当に果たされているのかどうしても不安だった。
だからハンター試験に駒として駆り出されて、出迎えた受験者の中にメルの姿があったときは心底驚いたし、同時に本当にほっとした。影を背負っているような気配もなく、相変わらずぽやぽやした陽だまりの匂いを漂わせて、彼女はそこにいてくれたから。
だから……そう。あそこで彼女に好きだと言われたとき、それに応えられる自信はなかったけれど……でも、あの告白で心が跳ねたことは確かで。
メルが相手なら、まあ、いいか。なんて。柄にもなく思ってしまったことも本当で。
……今となっては「汗臭い」なんてよく言えたものだと思うわ。臭い、なんて思ってもいなかったくせに。むしろ彼女の女性性の中にいつも垣間見えていた男性性が前面に出たそれに、クラクラしてたくせに。とんだ照れ隠しよね。
でも散々に抱かれて、蕩けさせられた今はもう、そういう建前はもう全部吹き飛んでしまったわ。
同性なんて今さらの話。そんなの構うことじゃないし、元々男みたいなところもあるメルならますます気にもならない。
だから……。
「……責任、ちゃんと取ってもらうわよ。一生ね」
全裸で眠りこけるメルに、同じく全裸のあたしは、そっと口づける。あたしをあんなにもグズグズに溶かした唇は、不思議と子供みたいに瑞々しかった。
「んん……ふぁい……あいしてましゅ……」
「ふふ、どんな夢を見ているんだか」
こんなときでもあたしに愛をささやくメルに、思わず笑う。今度は心の底からの、喜びに満ちた笑みだったと思う。
賭けてもいい。これは、この賭けだけは、絶対に負けない。
そうしてあたしはメルの身体にそっと抱き着くと、改めて眠りなおすのだった。
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「一般TS転生者はちんちんを取り戻したい」
ひとまずはめでたしめでたし
このままレルートを引き取ったら、まず間違いなくヤり殺してしまう。
なので事前に例の人で発散しておく必要があったんですね(例の構文
最初ネタのつもりで出した嬢が、ここにきて存在感放つことになるとは全く想定していませんでした。なんなんだこいつ。書いた張本人が言うのもなんだけど、マジでなんなんだ・・・。
そして話の結末を飾るのはレルートの一人称。
主人公がいろいろやらかしてる裏で、こんなふうに思っていたんだよという一種の答え合わせです。
原作に比べて刑期が長くなっていたのは、主人公にも行きかねないケジメ案件を全部被ったから。しなくても主人公の周りに被害が行く可能性は高くなかったけど、それでも可能性があるならと二度と会えない覚悟でやった結果、二十年近く刑が増えたという裏話でした。
なおこのあと風俗嬢のことを説明されて早速破局の危機を迎えますが、主人公がめちゃくちゃにされるのを条件に許した模様。
・・・さて、名残惜しいですがそんなわけで、このお話はここでひとまずおしまいです。
勢いに任せて書き始めた当初は「うおおおこのままヨークシンシティ編もキメラアント編もガンガンやってやるぜええええ」って思ってたんですけど、書いてる途中でそれはもうほぼ蛇足みたいなものと気づいてしまったので。
何せタイトルの通り、本作の最大の目的は一般TS転生者がちんちんを取り戻すこと。その観点で言えば、ちんちんを具現化できるようになったところで完結してよかったんですよね。
ただそれだけだと味気ないし、本当の意味で取り戻したと言えるのはそのちんちんをきちんと使いこなしてからではないかと思ったので、恋愛要素をそこに当てはめ長編としての体裁を整えた結果が本作です。
なので、ヒロインとひとまず結ばれたところが予定していた本作の着地点だったわけです。最終回のサブタイもそういう意味ですね。
まあ一応、先の話の後書きで書いたように、続きを書けるように打てる布石はできるだけ打ってあるので、気が向いたら書くかもしれません。
正直今のところかなり満足してるので書く可能性は低いですけども、テンポ重視で書いたから書きそびれたなと思ってるシーンがないわけではないんですよね。
戦闘シーンなんかは全般そうで、特に除念ちんちんを活かしたバトルシーンとか一回きちんと書いておきたいなとは思ってます。
もしそのときが来たら、そのときは目一杯楽しんでもらえる話にしたいところさん。
というわけで改めまして、本作はこれにてお開き。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。感想、評価、誤字報告などなども、本当にありがとうございます。
期間中、ずっと励みになっていました。本当に嬉しく思います。
もしよろしければ、今後も別の作品でお会いできれば幸いです。
たとえば現在絶賛更新中の「銀河の片隅でジェダイを復興したい!」とか!とか!