七つの大罪に変身出来るチート(ただし制御不可)を持った主人公をワンピース世界にぶち込んでみただけの話
ほぼ1発ネタ。

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チート転生奇譚

 

 

 突然だが、俺は転生者である。

 

 何言ってるんだコイツ。

 と、普通の人ならそう宣った奴の神経を疑うだろうが、ガチのマジに転生者なのである。

 

 死因? 

 極々普通の最近流行ったり廃れたり興隆を繰り返しているトラックに引かれてのトラ転だ。

 

 久々に七つの大罪を全巻読み直したくなり、古本屋で大人買いした後での事件。

 割と即死だったらしく、死んだ時の衝撃は余り記憶に残ってない。

 

 その後、お決まりのように神様が現れた。

 この時点で俺は勝ちを確信したね。ナロー系みたく、死後の人生楽して生きていけるぜ! と、思ったのもつかの間。

 

 しかし、目の前に現れたのは、これまたとんでもない神で。生前の記憶から作ったチートを3秒で押し付けた挙句、これまた俺の生前の記憶から元に適当な世界に転生させやがった。

 

 気が付くと、辺り一面草や木が生い茂っている密林。

 

 

 ふざけろッ。て絶叫するよな、当然。

 死んでから感情のジェットコースターが起きまくって発散しないとやりきれなかった。

 

 

 暫く喚き散らしてた俺だが、そこまで喧しくすると森の生物から注目を浴びる。

 

 

 草をかき分けて、のっしのっしと歩いてくる虎。

 

 

 それに気付いて硬直する俺。

 

 

 これまで悪態を吐いていた事を棚に上げ、神に謝罪しながら、なんとかチート発動しろって念じた訳。

 

 

 

 

「とゆーわけなんだ。だから見逃してくんね?」

 

 

「何がとゆーわけなのかサッパリ分からんが??」

 

 

 現在、牢屋にぶち込まれて、自己弁護を測る俺。

 事情聴取をしていた看守が重い溜息を吐く。

 

 

 

「だーかーら。アレをやったのは事故なんだって」

 

「事故、だと……」

 

「そうそう事故事故。だから俺は無実!」

 

 

 そういうや否や、看守の眉間に青筋が浮かび、ふるふると震え出す。

 

 

「我が国の神獣を殺害した上に、森林の八割を吹き飛ばして事故な訳あるかァッ!!」

 

 

 

 ここはトラガーミ王国。

 

 未だ生贄の文化が残る野蛮な国。

 

 そこで俺は自分が助かるためとは言え、神聖な獣と崇められてる虎をぶち殺し、国の大事な資源である森林を八割をも吹き飛ばしてしまったのだ。

 

 牢屋にいるのも、突然の異変に駆けつけた兵士へ、バカ正直に話してしまったのが原因。即刻逮捕されてしまい、現在重犯罪者として扱われています。

 

 

「もういいッ! 貴様は処刑だ!」

 

 

 バンッと勢いよく備え付けられていた机を叩く看守。

 

「反省の色もみえんッ! こんな異常者は神獣様に捧ぐ価値も無い……。俺はそう上に報告する」

 

 

 看守は肩を怒らせ、外に出ていく。

 

 

 

 うーん、不味ったなぁ。

 でも、俺は悪くねーよ。文句があるなら神様に言って欲しいぜ。

 

 死刑だと宣告されても、まだ余裕があるのは授かったチートのお陰と言える。

 が、そもそもこんな状況になったのも、そのチートの性なんだよなぁ。素直に感謝を言い辛い。

 

 

 しかし、これからどうしたものか。

 

 正直に言おう。

 

 ここから脱獄は多分いつでも出来る。

 

 手錠や足枷がされているが、チートによればこんなもの、玩具の如く容易に壊せてしまうだろう。

 

 

 だが、俺のチートには重大な欠陥がある。

 それを考慮すれば、まだ事を動かす場面じゃない。

 それに一回しか発動していない力なんて不安でしかない。余裕を持って調べるべきなのは明白だ。

 

 ま、直ぐに処刑なんて決まらないだろう。

 

 数日くらいかけて、じっくり作戦を練ろう。

 

 そう思った一時間後。

 

 

「お前の処刑が三時間後に決まった」

「ホワイ?」

 

 

 いや、早すぎだろ!? 

 普通そういうのは時間を開けて行うものなんじゃ無いんですかね! 

 

 

「貴様は即刻処刑すべきだと国王直々に勅命を承った。何しろ森林を一瞬にして八割も破壊した奴だ。これ以上生かして置くと、何を仕出かすか分からんからな」

 

 

 残当である。

 どうやら現国王が激おこらしく、俺の余命はあと三時間らしい。

 

 こうなったらもうどうしようも……無い。

 チートを使った時のリスクが酷いが……出し惜しみしている場合じゃない……な。

 

 …………なんか、思考が鈍くなってきたな。

 

 

「ああ、それと、…………今此処には睡眠ガスが蔓延している。効果はキッチリ三時間。断頭台に首が設置された時、丁度目覚めるように調整してある」

 

 

 気付けば周囲にピンク色のガスが漂っていた。

 

 先程とは違い、看守の顔には仮面が被られている。

 そういう民族風のオシャレかと思いきや、ガスマスクだったのか。

 

 って、感心してる場合か! 不味い不味い不味い! 早くチートを発動しないと! 

 

 うっ、ダメだ…………。

 意識が、途切れて…………。

 

 

「次、目覚めた時がお前の最後だ!  我が国の神獣を殺した報いを受けるが良いッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、大罪人の処刑を開始する」

 

 

 そこは大広場。

 設置された断頭台に身を置かれた大罪人。

 その久々の処刑を見物しようと、観客が押し寄せ、騒ぎ始める。

 

 

「これなるは我が国の神獣。トラ様を殺害した悪魔である!」

 

 

 

『まあなんて酷い』『なんてヤツだ!』

『ふざけんな!』『おお、恐ろしや……!』

 

 

 

「諸君、このような大罪人は生かしておくべきだと思うか?」

 

 

『殺せーッ!』『許せない!』

『神獣様の仇!』『惨たらしく殺すべきだ!』

 

 

 

「うむ、皆の思いはしかと伝わった」

 

 

 

 

 ……ここ、は? 

 

 ってもう処刑される寸前じゃないか! 

 

 

 

「では、この大罪人を今こそ殺し、せめてもの慰みとしよう……刃を落とせ!!」

 

 

 王冠を被った人物の指示により、直ぐに刃を落とそうとする処刑人。

 

 民衆の熱気は最高潮となり、そのうねりは広場全体を巻き込んで、老若男女関わらず叫びまくっている。

 

 

『殺せ!』『殺せ!』『殺せ!』

 

 

 うおおおおおおおおおおおおおぉ!!! 

 ヤバいヤバい生命の危険をビンビン感じる! 

 

 チート発動! チート発動! チート発動! 

 さっさと発動してくれって頼む! 

 

 嫌だ死にたくない! 

 二度も死にたくなんかない! 

 

 

 

「生まれるべきでは無かった悪魔よ!  永遠の眠りにつくが良い!」

 

 

 

 ーーそして、刃は振り下ろされた。

 

 勢いを付けて落下した刃は首を見事断ち切り、てらてらと赤い血で刀身を濡らす。

 

 

 コロコロと転がった生首は、絶望したかのように目を見開き、ピクピクと瞼を痙攣させていた。

 

 

『悪魔がしんだ!』『これで少しでも神獣様の救いになればいいのだけれど』『ざまぁみろ!』

 

 

 

「これで、少しでも神獣様へのはなむけになったかのぅ……」

 

 

「あ、あの国王様」

 

 

「なんじゃ、どうした?」

 

 

「い、いえ……。あの、罪人……あんな顔してましたっけ?  しかも確か、先程まで黒髪だったような……」

 

 

 国王が兵士に言われ確認すると、地面に転がっていた頭部の髪色は色濃ゆい銀。

 

 恐怖の余り、一晩で白髪になったという話はある。

 だが、黒髪から銀髪になった、という事例はない。

 ましてや顔立ちすらも変わる等と、普通ではありえない。

 

 

 マジマジと国王と兵士が頭部を観察していると。

 既に死んだ筈の。もう動かない筈の顔が。

 

 目と口を歪めて、笑った。

 

 

「ひ、ヒィッ!?」

 

 

 腰を抜かして座り込む国王。

 

 

「こ、国王様ッ!  罪人の身体がっ」

 

 

 続いて、処刑人から声があがる。

 

 首をはねられ、もはや動く事が叶わぬ肉体。

 既に死んだ筈の、身体から。

 首の肉が盛り上がり、ソレが形作られていく。

 

 

「何じゃ、なんじゃコレはッ」

 

 

 首肉の隆起……否、再生が終わるとその罪人は立ち上がった。

 

 

「カッカッカッ♪ いや~死んじまった!」

 

 

 あっけらかんと。

 先程まで、紛れもなく死んでいた罪人。

 

 だが、首の骨を鳴らし軽薄に笑うその男は。

 紛れもなく今、生きていた。

 

 

 

「な、なんじゃ貴様は!?  何故生きて……いや、何故死んでいない!?  答えろぉッ!  悪魔め!」

 

 

 

 

「悪魔? ちげ~~よ? 

 

 

 

 ーー不死身の(アンデッド)バン。それが俺の名前だ」

 

 

 堂々たる姿に、国王は威圧される。

 

 だが、相手は国の禁忌を犯した輩。

 王家の威信をかけて、絶対に、なにがあろうとも処刑せねばならなかった。

 

 

「こ、こ、殺せェッ! ものども、この男を殺せェッ!」

 

 

 国王の言葉に、狂信者でもある民衆が群がる。

 その結果は、語るまでもない。

 

 

 

 

 この日、トラガーミ王国は、滅んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「潜入調査、ご苦労だった」

 

 

 海軍本部、マリンフォード。

 そこにある海兵が二人。

 

「して、どうだった?」

「結論からいうと、トラガーミ王国は滅びました。ある男の手によって」

「なんだと!? どういうことだ説明しろ!」

 

 

「男の名前は不死身のバン。彼を殺そうとした国全体が逆鱗に触れて滅びました。そしてーー彼はオペオペの実の不老不死処置を受けた可能性があります」

 

 

「……それが事実なら、不味いぞ……“空白の百年”を知っている可能性がある! すぐに手配書を出せ! 何がなんでも捕まえろ!」

 

 

 

 

 “ 不死身の(アンデッド)バン”

 

 懸賞金

 十億ベリー

 


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