「…やけに静かだな」
とある少年 ベル・クラネルは異様な気配の無さに違和感を覚えながら進んでいると、目の前から筋骨隆々の3匹の二足歩行牛ことミノタウロスが現れる。
「ミノタウロス…」
ベルは帯刀している刀を引き抜く。その刀は青白く、鍔には緑色の宝石をつけていた。ベルはその刀を構えると、3匹のミノタウロスに突撃する。
一体目の角を最も容易く切り落とすと、背後に回った2体目が振り下ろした石斧を刀で受け止める。それによって石斧の方が砕け散り、唖然としている2体目を蹴り飛ばすと、その反動で3体目に近づき腕を切り落とす。
そして、三体が四方から同時に攻撃を仕掛けようとした瞬間、ベルは三体の首を同時に切り落とした。
「…終わり」
ミノタウロスの血を浴びたが、そう言って血を拭き取り納刀すると、ベルは背後を見る。そこには金髪の女性がこちらをジッと見ていた。
「…見てました?」
「…うん」
「どの辺りから…」
「ミノタウロスに突撃した辺りから…」
「…最初からかー…あの、これは見なかったことに…」
「…待って」
そのまま立ち去ろうとしたベルを女性は呼び止める。
「…どうして、そこまで強いの…?」
「…ただ鍛え上げただけです。もう2度と、失わないように…失いたくないために」
悲しい表情をしたベルはそう言うと、その場から去っていった。それから少しして、
「「…名前聞くの忘れてた」」
と思った2人であった。
ー
「…ただいま帰りましたー…ヘスティア様…」
「おかえりって…かなりやつれてるね…」
「エイナさんの説教を受けてました…」
「エイナ君か、今回は何に対して怒られたんだい?」
「…なんか5階層まで上がってきたミノタウロスの魔石を見せたら…」
「ミノタウロス!?もしかして、他の冒険者から逃げてきたのかな?」
「多分そうですね。結構強そうな人があとから来てましたから」
「ふぅん…とりあえず、ステイタス更新だね」
「はい」
ベルはそう返事すると、上の服を脱ぐ。そこには数多の傷跡が見えるが、大部分が黒い布で覆われていた。そしてそれも脱ぐと、そこには酷い火傷跡が広がっていた。ただ、その火傷痕は龍の鱗のような形をしており、まるで龍がベルの身体に巻き付いているかのようであった。ベルは上半身裸になるとベッドにうつ伏せになる。
「…いつ見ても、異常な体だね」
「えぇ、この傷は…力の象徴でもありますから」
そんな会話をしながら、ベルの主神であるヘスティアはステイタスを更新して紙に写し、ベルに見せた。
ー
ベル・クラネル
Lv.1
力:A 899
耐久:S 962
器用:SS 1028
敏捷:SSS 1654
魔力:A 896
《魔法》
【
詠唱式【龍を纏いて討ち倒す】
・龍人化魔法
・龍の力を得る
・解放に枷をつけれる
《スキル》
【
・龍と戦闘時、全アビリティ能力超高補正
・全属性・全状態異常無効
・魔法使用時、龍眼解放
・スキル使用時、本能解放
【東洋最強の英雄】
・達人領域
・強者を求める限り、早熟する
・英雄の器
ー
女神 ヘスティアはこれを見ても(まぁ、ベル君だしね)としか思わなくなっていた。最初から存在する魔法やスキル、そして成長の早さ。しかもスキルや魔法に出ている龍は、神々にとっては苦い記憶しかない。
その理由は隻眼の黒竜にあるだろう。当時最強ファミリアだったゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの冒険者たちを殲滅した黒竜。ベルの義理の父や母はそれに関係している。
それはそれとして、ベルは自身のステイタスを見ると笑みを浮かべる。
「神様、俺は強くなりますよ…最後の英雄になるために」
「うん、ベル君ならなれるよ」
ヘスティアは優しい顔をしながら、ベルの頭を撫でた。
アイズにバレたらやばそう系ベル君
次回
2話:とあるウェイトレス(美の女神)