翌日
ベルはダンジョンには行かず予備の武器を買うために巨大な塔【バベル】へ向かっていた。そんな中、
「あの!」
「…はい?」
ベルを呼び止めるウェイトレスがいた。銀髪で可愛らしい女性だが、ベルは警戒していた。何故なら、彼女から放たれるほんの僅かな神の気配を感じていたからである。
「私、あそこのお店で働いてるので何か食べていきませんか!」
「…さっき食べたからな…夜に来ますね」
「はい!お待ちしています!」
そう言ってベルはそこから離れると、考え込む。
(あの感じ…オラリオに来てから感じていた気配と同じだ…まさか、あの人は…いや、悪意は感じなかったから今は何も知らない方がいいか)
そう思いながらバベルで予備の武器を買うと、一度拠点に戻り、あのウェイトレスが働いている【豊穣の女主人】へ向かった。
ー
「来てくれてありがとうございます!えっと…」
「ベル・クラネルです。あなたは?」
「シル・フローヴァです。ご注文は何にしますか」
「…これとこれで」
「はい!」
ベルは【豊穣の女主人】に入り、商品を選ぶとあたりを見渡す。女性のウェイトレスしかおらず、店主も女性であった。そして、その見た目に似合う力があることも、ベルは見抜いていた。
(Lv.3か4くらいか?…かなり腕が立つ人だ…それに、あのエルフのウェイトレス…美sじゃなくてあの人もかなり強い…)
そんなことを考えながら注文の品が来ると、ベルはそれを食べ始める。すると、
「【ロキ・ファミリア】の団体様が来店にゃー!」
そんな声と共に大人数の団体が入ってきた。
(…リヴェリアさんもいるってことは本当に【ロキ・ファミリア】なのか…門番に追い返されたからなぁ…というか、昨日のミノタウロスの時にあった人、【ロキ・ファミリア】の冒険者だったのか…)
そんなことを考えながら食べていると、ある狼人が大きな声を上げた。
「おい、アイズ!あのトマト野郎のことは話してねぇのかよ!」
(トマト野郎…?まさか、昨日のあれか?しかしトマトって…)
そんなことを考えている中、その狼人は騒ぎ始める。言いたい放題しており、流石に他の仲間たちからも止められていたが、ベルは
(美味い)
としか思っていなかった。
「…アレ、あんたのことじゃないのかい?」
すると、【豊穣の女主人】の店主 ミア・グランドが【ロキ・ファミリア】…のあの騒いでいる狼人を見ていた。
「多分そうですね」
「あんなに言われてるのに、なんとも思わないのかい?」
「…あんなので怒ってたら強くなれませんよ」
「中々強いね」
「えぇ、ごちそうさまでした」
ベルはそう言って金を払うと【豊穣の女主人】から出ようとする。すると、
「ま、待って!」
ベルの腕をあの金髪の少女が掴んだ。
「…あの時の」
「うん、昨日の…」
「アイズ、何をしていr…ベル!」
アイズを目で追っていた【ロキ・ファミリア】のLv.6冒険者であり、【
「なぁッ!?」
糸目の女神のロキがその光景を見て驚愕する。先ほどの狼人や小人族の男性も驚愕していると、ベルが慌てて引きはがす。
「り、リヴェリアさん!皆さんびっくりしてますから!」
「あっ…!?す、すまない!」
「リヴェリアが…乙女の顔をしてた…」
「し、しかし…何故ベルは【ロキ・ファミリア】に来ないんだ?確か、紹介状は渡したはずだが…」
「…あー、それが…門番に「お前みたいなへなちょこが【ロキ・ファミリア】にくるんじゃねぇ!」って言われて紹介状をビリビリに…」
「…ほう」
その瞬間、リヴェリアから殺気が放たれる。その気を感じたアイズはガタガタと震え上がった。
「リヴェリアさん!出てます!殺気が出てます!あと後ろの方が怯えてます!」
「あっ!?私はまた…」
そう言って恥ずかしがるが、ベルの手を掴みっぱなしである。
「…あの、とりあえず今から帰るので…」
「あ、あぁ、そうか…」
「…はっ!とりあえず自己紹介を」
「あー…僕はベル・クラネルです」
「私はアイズ・ヴァレンシュタイン…よろしく、ベル」
「はい!それじゃあ!」
そう言ってベルは【豊穣の女主人】から出ていった。
精神的にも鍛え上げられたからそんなに怒らないベル君
次回 2.5話:鐘と姫君の出会い