刀と大剣がぶつかり合う音が響き渡る。人々は何だ何だと思い、外を見る。すると、壊れた噴水がある広間にて2人の冒険者が戦っていた。
ある人物はオラリオに住んでいるならば…いや、世界中においてその名を知らしめているオラリオ最強の冒険者 オッタルとベルだった。
ベルの剣術を防ぎ、躱すオッタルには笑みが浮かんでいた。
-オッタルにとって、この戦いは楽しいものであった。Lv.1ながらもまるでLv.6〜7ほどの技術を持ち、戦うベル。その一撃一撃を防ぐか回避しなければならないと考え、回避して攻撃をする。ベルもオッタルの攻撃を避けて再度一撃を振るうがそれ防がれる。
(Lv.1じゃ、ダメージは与えられない!)
ベルは内心でオッタルとの差を理解していた。幾ら技術があろうと、Lv.1とLv.7の差は大きすぎた。
(Lv差で助けられているな…)
対してオッタルはそう思った。一撃一撃が自分の…針に人を通す以上のごく僅かな隙をついて的確に攻撃してくるベルとの戦いを楽しんでいた。
すると、ベルはオッタルから距離を離すと話し合う。
「…オッタルさん、今から魔法を使います」
「あぁ、構わん」
「…ただ、この魔法は自分でもどうなるかわからないので…もし、暴走したら全力で叩き潰してください」
「…分かった、ならば来い。ベル・クラネル」
オッタルはベルの目を見てからそう言うと、ベルは目を閉じる。
ベルの奥底には、強者へ挑むことへの喜びで溢れていた。確かにあの戦いで自分とオッタルのLv差は明らかになり、勝つのは無理だと思った。だが逆に、「今の自分が、この最強を何処まで本気にさせれるのか」と言う気持ちが強まった。
故に、ベルはこの魔法を唱える。最強を本気にさせたいため、自分の実力を図るため、冒険をするために!
「【龍を纏いて討ち倒す】…
その瞬間、ベルから光が溢れ出した。
ー
その光を見た女神は驚愕と同時に甘美の表情をした。
「あぁ!そうなのね!やっぱりあなたがあの噂の子なのね!だからあなたは強くて、美しくて、悲しくて、優しい心を持っているのね!」
ある神は呟いた。
「龍の力を操る英雄…全く新しい伝説が始まるな」
ある女神はその光を見てこう言う。
「ベル君、使ったんだね」
そして、ある冒険者はその光に恐怖と怒りと復讐を覚え…ることはなく、ただ優しく、暖かく、何処か悲しい光を見て
「…ベル…なんだね」
そう呟いた。
ー
光に包まれたベルの姿は変わっていた。
魔力が形を成しているのか、ベルの身体に纏われている。何物をも引き裂けるような爪、大地を砕けそうな脚、そして龍の眼をしたベルが立っていた。
「…ギリギリ、何とか保てるか」
「…ふっ、もはやモンスター…いや、竜だな」
「正確には難しい方の龍らしいですよ…とりあえず、行きますよ」
そう言ったベルは一瞬で消え去り、オッタルを壁に激突させていた。オッタルは瞬時に体勢を整え、大剣を振るうとベルはそれを魔力を纏わせた腕で防ぐ。
(戦い方も変わったか…面白い!)
オッタルは更にパワーを上げる。そこからはありえないスピードで戦いが行われた。
人々の目には何も見えないだろう。ただ何かがぶつかり合い、噴水を粉々に砕いているだけにしか見えない。
しかし、そんな中でもあの2人が戦っているのは理解していた。
そうしたことが続いていると、限界が近づいてきたのかベルが膝を突く。
「…限界か」
「みたいですね…ならやることはただ一つ!」
そう言ったベルは纏っていた魔力を刀に集めると両手で持ち、突撃する。オッタルも大剣を構えると腕の筋肉を膨張させる。
そして、ベルの全力の唐竹割りとオッタルの渾身の一撃がぶつかり合った時、辺りに衝撃波が放たれた。
次回 6話:決着のあとで