だが、今年行われるそのイベントに新たな一校が参加することになった。
その正体は、魔法界の頂点と言うべき学舎――キンバリー魔法学校。
オリバーを始めとした剣花団の面々はホグワーツに来訪し、ハリー達と交流を深め、競い合う。
本来なら出会うはずのない魔が、ここに交錯する――!
【pixivにも投稿します】
正直自分じゃ完結まで行けるとは思わないから、誰か書いてほしい!
「皆が落ち着いたところで、一つ、知らせがある」
ホグワーツ魔法魔術学校、入学式。
四つの寮に振り分けられた新入生達を在校生が温かく迎え、アルバス=ダンブルドア校長の『思いっきり、掻っ込め』という有り難いお言葉を頂いた後のこと。
新任教師となるマッド・アイ・ムーディの紹介も滞りなく(?)終えたところで、校長が話し始めた。
「これから数ヶ月に渡り、我が校は誠に心躍るイベントを主催するという光栄に浴することとなった。この催しはここ百年、行われておらんかった。この開催を発表するのは、わしとしても大いに嬉しい」
一度言葉を切り、大広間中を見回すダンブルドア。
生徒達はそんな彼の方に視線を集中させ、次の言葉を今か今かと待っている。それを見て気を良くしたのか、にこにこと微笑んでダンブルドアは先を続けた。
「今年ホグワーツで、『
テーブルの幾つかから驚きの声が上がる。
ありとあらゆるところで囁き声が犇めき、ある者は興奮して立ち上がり、ある者は口を開けて唖然としていた。
「これはホグワーツとボーバトン、そしてダームストラングの三大魔法学校による対抗試合じゃ。一連の魔法競技種目を、各校から一名ずつ代表を選び、競い合う。選ばれた者は一人で戦うことになる。厳しい競技じゃ。やわなものには到底こなせぬ。加えて、今年はその三校に更に一校が参加した、四つの魔法学校で競うことになった」
ダンブルドアが最後に付け足した言葉に、大広間がより一層騒めき出す。
確かに、世界には彼が挙げた三校以外にも魔法学校は存在するが、敢えてこのイベントに名乗りを上げるとなると、一体どこの学校かまるで想像がつかない。
そんな困惑を他所に、ダンブルドアは新たな参加校の名を告げる。
「知ってる者も何人かはいよう。同じくここイギリスに居を構える名門、――キンバリー魔法学校じゃ」
「キンバリーだって!?」
「あの、魔境キンバリー……!? 冗談だろ!」
「何だって急に……」
「相当驚いてるわね。まぁ、キンバリーと聞いたら当然かしら」
「そりゃそうだろ。僕だって一瞬心臓が止まるかと思ったよ」
周囲の過剰なまでの驚愕した様子に、ハーマイオニー=グレンジャーとロン=ウィーズリーは納得しつつも顔を彼等同様に顔を青褪めさせる。
その一方で全く話についていけないのは、
「皆、何をそんなに驚いてるの? キンバリーって、ただの魔法学校じゃないのかい?」
「そうか。ハリーは知らないよな。寧ろ、マグル出身のハーマイオニーが知ってるのが意外だよ」
「同じイギリスにある魔法学校って事で、入学前に分かる範囲で色々調べたのよ」
そう前置きして、ハーマイオニーは説明を始める。
「いい、ハリー。ホグワーツが魔法界最高の魔法教育機関の一つなのは、もう貴方も分かってるはずよね。でも、真に魔法界の頂点と言える学校は、そのキンバリーなの」
「そういう割に名前は聞いたことがないし、皆も歓迎するような雰囲気じゃないけど」
「まぁ、頂点って言えば聞こえはいいけど、蓋を開けてみればあそこは文字通りの魔境さ」
ハリーの疑問に、今度はロンが言葉を引き継ぐ。
「あそこは『自由主義』と『成果主義』を校風に掲げてるんだけど、それがただのお題目なんかじゃない。フレッドとジョージのペンフレンドがキンバリーに通ってるんだけど、聞いた話じゃ入学式の時の校長の言葉は『好きにやって、好きに死ね!』だとさ」
「好きに死ねって……」
「自由に研究して、その結果死ぬなら成果を残して逝けってことさ。それに、あそこにはウチでいう禁じられた森みたいな迷宮の上に蓋をするみたいに校舎が建ってるんだけど、例えそこで遭難しようが自己責任。仮に迷宮内で大きな事件が起きても、キンバリーへの明確な攻撃じゃない限り教師は動かないから、大抵は生徒会を始めとした生徒達の手で処理されるんだ。それでも全員無事とはいかなくて、七年間の学校生活を生き残れるのは八割って話だ」
「その、残り二割は?」
「術式の暴走で再起不能になったり、呼び出した何かに呑まれたり、発狂した末に止めを刺されたり。色々さ」
話を聞く限り、かなり危険な学校だ。教師ですら手助けしないとは。
「よくそんなので学校として成り立つね」
「そのやり方で成果が出てるからこそでしょうね。実際、学生の時点で目を見張るような論文を書いた生徒は多いわ。
オフィーリア=サルヴァドーリの『クラーケンとスキュラの混血に生じる形質的飛躍についての論考』や、サイラス=リーヴァモアの『
「ハーマイオニー。言っとくけどその二人、キンバリーでも指折りの危険人物だぞ? それに、サルヴァドーリの方はペンフレンドが一年の時に死んだって話だ」
またまたロンの口から出てくる物騒な単語。よくそれで教育機関として成り立つなとハリーは思うが、一ミリも理解できそうになくとも、今挙がった論文の内容が凄いものだということは想像できる。
でも、とそこでロンは一拍置いた。
「改めて考えると、おかしいな。キンバリーは今厳戒態勢を敷いてるはずなのに、態々こんなイベントに参加するなんて」
「厳戒態勢? 私、その話は初耳だわ」
「何かあったの?」
ハーマイオニーですら知らない話に、ハリーも自然と食いつく。
するとロンは一度周りを見渡し、その後顔を近づけ、誰かに聞かれることを恐れるように小声で話し出す。
「実はこの数年、キンバリーの教師が毎年一人失踪してるんだよ。しかも、その内の一人はもう死んでるらしいんだ」
「教師が……? でも、ホグワーツも似たようなものじゃない?」
一年生の時はクィレル、二年の時はロックハート、そして三年はルーピン。このホグワーツにおいて、『闇の魔術に対する防衛術』の担当が一年持ったことがないというジンクスは、あまりに有名だ。
だが、そんなハリーの反応に対し、ロンは首を横に振る。
「ウチはそれぞれ理由があってのことだろ? けど、その教師達の失踪の理由は分かってないし、死体が見つかってないから便宜上失踪ってだけで、あそこで一年以上行方を眩ませてたら死んだも同然さ。
それにいなくなったのはクィレルやロックハートみたいなチンケな奴等じゃない。ハーマイオニーなら、エンリコ=フォルギェーリやデメトリオ=アリステイディスの名前くらい聞いたことがあるだろ?」
「まさか……いなくなった教師って彼等なの!? あの《狂老》と《無知の哲人》が!?」
「《狂老》に《無知の……何? そんなに凄い人なの?」
ハーマイオニーの反応から察するにかなりの大物らしいが、残念ながらハリーにはどちらも聞き覚えがない。
そんなハリーに、より一層顔を青褪めさせたハーマイオニーが答える。
「《魔道築学の理に遊ぶ狂老》エンリコ=フォルギェーリ、《知を超えた無知の哲人》デメトリオ=アリステイディス……。ハリーにも分かるように言えば、ゴーレムなんかを扱う魔道工学や天文学の分野において、ダンブルドア並みの大魔法使いってところかしら」
ダンブルドアほどの人間が二人以上いなくなったと仮定すると、ハリーにもその深刻さがよく分かった。
「教師同士の派閥争いによる殺しなんじゃないかって噂になってるらしいけど、真相は未だ分からずじまい。だから、真相解明に向けてキンバリーじゃ教師や生徒会が厳戒態勢を敷いてるんだ」
「そんな中で対抗試合って……。それがさっきロンが言った『おかしい』の理由か」
「あぁ。教師数人を失ってもキンバリーは盤石だってアピールしたいのか、それとも別の目的があるのか……」
「とにかく、対抗試合の件も含めて、平和に済みそうにはないわね」
⚔
「楽しみだね! 丸一年も他の学校にお泊りなんて!」
キンバリー魔法学校、迷宮第一層『静かの迷い路』。
学校非公認の拠点が数多く犇めくこの階層に設けられた、剣花団の工房。
そこに、興奮を隠し切れない様子のカティ=アールトの声が響いた。
「お泊りってなぁ。俺達が何しに行くのか分かってんのか?」
「分かってるよ。魔法界の結束を促す為の大事な親善試合でしょ?」
「それはそうだけど、四つの魔法学校の対抗試合だぞ? どこの学校もピリピリしてるはずだ。おまけにウチが参加するとなったら、緊張の度合いは跳ね上がるに決まってる」
楽し気なカティに対し、苦言を呈すのはガイ=グリーンウッドとピート=レストンだ。
このイベントを楽しみたい気持ちはあるが、キンバリーの生徒を無条件で温かく迎えてくれる奇特な人間がいるとは思えない。それだけキンバリーの名は、魔法界にとって絶対的な畏怖の象徴なのだ。
「拙者は楽しみでござるぞ! キンバリー以外の魔法使いとの交流など、滅多にござらぬからな。今からもうワクワクしてござる!」
そんな二人とは対称的に明るい声を上げるのは、キンバリーでも異彩を放つサムライ少女・ナナオ=ヒビヤだ。
非魔法族の出身の上、故郷から遠く離れた地に一人でやってきた少女にしてみれば、この魔境ですら不思議に満ち溢れた御伽の世界でしかない。
「まぁ、ナナオは少々軽く考え過ぎかもしれないが、少なくともここより危険はないはずさ」
「その通りですわね。挨拶代わりに呪文を撃つなんて、キンバリーくらいのものですわ」
「ハハ! そりゃ言えてるな!」
「そうだよね……。外じゃそれが普通なんだよね~……」
「一年の頃は戦々恐々としてたのに、僕達もすっかり馴染んだよな」
剣花団のリーダー格たるオリバー=ホーンとミシェーラ=マクファーレンーーシェラの太鼓判に、自然と他のメンバーも笑みを浮かべる。
加えて、彼等が害されることはないと保証するものは、もう一つ存在する。
「それにシェラ殿の父上に校長殿も随伴してくれるのでござろう? ならば何も心配いり申さぬよ」
「確かに。あの校長、普段はおっかないけど、味方と思えば頼もしいよな」
「ちょっとでも敵と疑われたら、それがもう死刑宣告に等しいけどな」
「む? 校長殿はそんなに怖い御仁でないと思うのでござるが」
「それはナナオだけだよ~!」
すっかり明るくなった空気に、自然と仲間達が笑顔を浮かべる。
そしてこれからの出会いに思いを馳せ、ナナオにガイ、ピート、カティは楽し気に今後の予定を立て始めた。
そんな彼等にシェラは温かい目を向けていたが、唐突にその視線を真剣なものに変え、オリバーに向き直る。
「それで、オリバーはどう思いますか? このタイミングでの対抗試合の参加について」
「……やはり君も違和感を抱いていたか。一応聞くが、マクファーレン先生からは何も?」
「えぇ。もっとも、何か知っていたとしても、父がキンバリーのことを話すとは思えませんが」
そうだろうな、と予想通りの答えにオリバーもそれ以上の追及はしない。
シェラの父であり非常勤講師を務めるセオドール=マクファーレンは、見た目こそ穏やかで軽そうな人物に見えるが、そういった線引きはしっかりしている。時折その笑顔の下に言い知れぬ何かが垣間見える当たり、やはりキンバリーに座す魔人の一人だと認識させられる。
「……既に死んだことが分かっているエンリコ先生を含め、教師五名の失踪。そんな危うい時期にも拘わらず、他校との交流を図る。考えられるとすれば、やはり一昨年のような
「いきなりの《大賢者》ロッド=ファーカーでしたからね、あの時は。異端狩り本部が校長に本気で喧嘩を売ってるのかと思いましたわ」
シェラがそう思うのも無理はない。
いくらキンバリー出身ではないとは言え、あそこまでキンバリーの在り方を否定してのけた人間はいなかった。着任初日からそんな態度を取っていたものだから、翌日までこの人の首は繋がっているのかと本気で思ったほどだ。
「大抵の横槍は跳ねのけることができるキンバリーが異端狩りの介入を許したのは、その盤石性を支える名高い魔法使いが立て続けに三人もいなくなったからだ。そして今日に至るまでに新たに二人いなくなった。となれば、また介入する口実を与えてしまう」
「だからこそ、これまで断ってきた他校との交流という形で、介入する口実を先に潰す。あわよくば対抗試合で上位に入ることで、キンバリーの質は微塵も衰えていないと周知させる。やはり、考えられる理由としてそんなところですか」
「少なくとも、何の打算もなくこんなことを計画するような校長ではないのは確かだ」
《全てを見下ろす孤高の峰》学校長エスメラルダ。
誰よりも魔法使いらしい彼女が、今更何の思惑もなく他校と交流を図ろうなどと言い出すはずがない。また、キンバリーの体制を周知させる為だけでもあるまい。
彼女が抱くもう一つの思惑。それは先日の
~~~
「恐らく、今回のイベントには『炙り出し』も目的として含まれているだろう」
剣花団の工房と同じく迷宮一層に設けられた隠し工房。
そこに集った同志達に向け、工房の主人であり、キンバリーでは呪術関連の職員として収まるオリバーの従兄・グウィン=シャーウッドはそう告げた。
「『炙り出し』ってことは、校長達もこっちに当たりを付け始めたってことかな?」
「あぁ。アリステイディスはこちらの関係性を正確に言い当てていた。予想の段階だったから他の教師には告げていなかったのだろうが、関係者がこうも立て続けに消えては、流石に向こうも確信するはずだ」
彼等の関係――《史上最強》《魔法界のパワーバランスに生じた特異点》と謡われる魔女にして、オリバーの母・クロエ=ハルフォード。その彼女を裏切り、責め殺した教師達への復讐を誓う者達。
クロエのシンパは多く、彼女の死を聞いて思うところがなかった人間などいるはずもない。であれば、彼等のような復讐者の存在に気付かれることは必然とも言える。
「やはりあれだけの大魔法使いを屠った者ということで、疑いの目はまだ教師達に向いているが、生徒の中に協力者くらいはいると考えられている。そうなればダリウス失踪時に入学したノル達、現六年にも嫌疑が向くのは当然だ。そして今回の対抗試合には年齢線が設けられ、17歳以上の生徒しか参加できないことから、該当する六・七年の生徒しか連れていかないことが決まっている」
「であれば、残った生徒を教え、またその教師達を束ねる存在が必要になる……。俺達に随伴する教師は?」
「エスメラルダ、校長と、セオドール先生が、付いて、いくみたい……」
オリバーの質問に、同じく教員としてキンバリーに身を置くグウィンの妹・シャノン=シャーウッドが答える。
その面子を見れば、『炙り出し』の意味も見えてくる。
「最大の標的であるエスメラルダ自身がその身を晒すことで動揺を誘い、地の利を捨ててこちらが動かせる人員を奪って動きを制限し、ボロを出させるのが狙いか」
これまでの教師達との戦いで多くの同志を失ったが、そこからオリバー達の正体が明るみにはならなかった。その理由は、彼等が記録上は既に死亡しているからだ。
キンバリーから出る多くの死者の中には、迷宮で行方不明となって帰らなかった者も含まれる。それを利用して彼等は死を偽装し、迷宮内に潜伏することで暗躍を可能としてきた。勿論溢れる者もいるが、それは逆に毎年の死者に紛れ込ませれば十分誤魔化せる範囲だ。
だが、他校というアウェーに身を置く以上、そういった人員を動かすことはできない。
襲わずに監視に徹底したとしても、地の利のなさから予期せぬ行動を取ってしまう可能性もある。よほど上手い言い訳をしなければ、エスメラルダがそれを見逃すとは思えない。
「加えて年齢線の件もあるから、下級生のテレサは同行できん。一年もの間入れ替わるとなれば、いくら
「……承知しております」
ずっと控えていたオリバーの従者である隠形の少女・テレサ=カルステが、表情にこそ出さないが、どこか渋々といった様子で首肯する。
オリバーに心酔しているが故に、一年以上離れ、彼の力になれないなど苦痛でしかないのだろう。
おまけに度々主君の心を乱す
「それらを踏まえた上で聞きたいんだが、俺はどういったスタンスで動けばいいだろう? 以前の決闘リーグのようなしがらみこそないが、キンバリー側の政治力回復という目的は《大賢者》のような介入を拒む上では俺達に利があると思う」
「確かにそうだが、最終的には《炎のゴブレット》が代表者を決める以上、参加するかしないかはお前の自由で構わない。仮に選ばれたとしても、他校との交流という時点で、ある程度キンバリー側の思惑は叶っている。一介の六年生の範囲でベストを尽くせばいい」
それが実は一番困ると、オリバーは頭を悩ませる。
三大魔法学校対抗試合の過去の記録を見るに、大勢の死者が出ている危険な競技らしい。グウィンの話を聞く限り、今年からは安全に配慮して行われるらしいが、魔法使いの頑丈さを踏まえた上での『安全』となると当てにはならない。
復讐を半ばで断念するような事態を避けるなら、参加しないという答えになるのだが、これまで数々の事件の渦中にいたことや、過去の決闘リーグ優勝の件を考えると、周りがそれをよしとするとは思えない。
どうしたものかと考えていると、シャノンが彼の下に近付き、――ふわっと優しくハグをする。
「ね、従姉さん!?」
「大丈、夫。ノルは、ノルの、好きにして、いいんだよ。私達は、それを、応援する、から」
本気で愛し、心配するシャノンの言葉がオリバーの胸に浸透していく。それを振り解くことなど、オリバーにできるはずもない。
その後はオリバーがいない間の学校内での同志達の行動について打ち合わせをし、会合は終了した。
~~~
「ねぇ、やっぱりオリバーも今回の試合に参加するよね?」
ふとカティの声が聞こえ、オリバーは現実に戻される。
「あぁ。折角の機会だから、そうしようと思ってるよ。っというか、俺が参加するのは決定事項みたいに聞こえるな」
「そりゃそうだろ。お前にナナオ、シェラみたいな話題の中心にいる奴を、誰が放っておくか」
「それを言えば、貴方達も十分話題になっていますわよ?」
「勿論僕等も参加するさ。選ばれるかは別にして、参加するだけならタダだからな」
「けど、優勝候補は誰かって話になると、やっぱりオリバー達だからね。参加しないって言っても、勝手に名前入れられてそう」
「うぅむ、ロッシ殿ならやりかねんでござるな」
「有り得る」
「有り得るな」
「有り得そう」
「有り得ますわね」
散々たる評価に、ついオリバーは吹き出す。今頃槍玉に上げられた学友がどこかでくしゃみをしていることだろう。
入学から苦難を共にしてきた仲間達と気兼ねなく言葉を交わすと、オリバーの心も解される。例え、彼等に明かせない冷酷な復讐鬼としての仮面を持っている身だとしても。
いつまでも続いてほしい。それでも残り少ないこの暖かい日々を、大切に噛み締める。
そうしてオリバーもまた彼等と共に、これからの新たな出会いに心躍らせた。
⚔
本来交わるはずのなかった2つの魔が交錯する。
「初めまして、俺はオリバー=ホーン。あのハリー=ポッターに会えるなんて、光栄だよ」
「いや、僕はそんな周りが思うような英雄なんかじゃ……」
「素晴らしい箒捌きでござるな、ハリー殿! 機会があらば、是非一手仕合うてほしいござる!」
「その時があれば喜んで。ナナオ先輩の凄腕だって聞いてますし」
「髪型で予想できたけど、やっぱりマクファーレンの娘なんだ。ずっと聞きたかったんだけど、君の一族って全員縦ロールになる呪いでも掛かってるのか?」
「失敬ですわね、Mr.ウィーズリー。この髪型は我等一族の証。初見なら華麗さに目を焼かれて、卒倒してみせるのが礼儀でしてよ」
「そうか、お前も非魔法族出身か。魔法界での生活は色々大変だろ」
「レストン先輩こそ。あのキンバリーでの生活なんて……毎年死者が出てるって聞いてますけど」
「僕一人じゃ一年の時に死んでたさ。それでも今こうして魔法使いとしてやっていけてるのは、大切な仲間に会えたからだ」
「その気持ち、分かります」
「ネビルも薬草学が得意なのか? 俺も実家が魔法農家だから、植物には詳しいんだ」
「ひょっとして絶滅危惧種の
「尻尾爆発スクリュート!? マンティコア と
「おお、分かってくれるんか! お前さんはええ学士になりそうだ!」
「……あのハグリッドと趣味が合うなんて」
「アールト先輩ならアラゴグの巣にも笑顔で飛び込みそうだな」
そして、遂に選ばれる四人の代表選手。
「ダームストラングの代表選手は――ビクトール=クラム!」
「ボーバトンの代表選手は――フラー=デラクール!」
「ホグワーツの代表選手は――セドリック=ディゴリー!」
「そしてキンバリーの代表選手は――オリバー=ホーン!」
青白く揺らめくゴブレットの炎が赤に変わり、次々に吐き出された羊皮紙に書かれた名前が呼ばれる。
これで四校全ての代表選手が揃った。――かに見えた。
新たに一枚の羊皮紙が宙を舞う。
そこに書かれていた名前は
「――ハリー=ポッター!」
予期せぬ五人目の代表選手。
謎の思惑と策謀が蠢く中、遂に試練が始まる。
「ドラゴンか。悪いが、バネッサ先生に比べれば恐ろしくも何ともない――!」
「頼もう! マクゴナガル殿とお見受け致す! 拙者にダンスを教えてほしいのでござる!」
「水中での長時間行動ですか。
「へへ、それならいいものがあるぜ?」
「巨大迷宮……。キンバリーの迷宮も大概だけど、一年も掛けずによくこんなの作れるね」
「あぁ。ゴーレムや使い魔で経路を探るのも一苦労だな」
試練を潜り抜けた先。
明かされる邪悪な計画と、復活を果たす闇の帝王。
「俺様はキンバリーの生徒に敬意を抱いている。故に、せめてもの慈悲に俺様手ずから苦しまずに殺してやろう」
直面する闇の帝王と凡庸な少年。
だが、死ぬ訳にはいかない。悪鬼たるこの身で、少しでも世界を優しいものにするまでは。
故に、オリバーは掴む。万の敗死に埋もれた、一筋の
己の人生そのものを捧げて形にした、因果に背く一刀。必滅の"魔"が、この世に顕現する――!
「――第四魔剣・『