ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
お待たせしました!何とか1ヶ月以内に投稿出来ました…(汗)
いやぁ、よう実4期面白かったですね!しかも5期の制作が決定とは───
───え、5期やるってことは……あぁぁぁぁぁ!!(発作
失礼、取り乱しました。と、とにかく今回も頑張ったので楽しんで頂ければ幸いです!
いつも感想・評価・ここすき、誤字報告ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
───B5エリアの中心部。
天沢さんが石崎くんを痛めつけ追い詰めたところに2年Dクラスの男子生徒、高円寺くんが現れていつもと変わらぬ様子で私───椎名ひよりと西野さん、石崎くんと天沢さんのことを見据えていました。
「へぇ?一応事前にサーチ使って、すぐに駆けつけられる距離に人が居ないことは確認したんだけどなぁ?」
「ぐぁ!?」
天沢さんはそう言いながら石崎くんを蹴り飛ばす。それを見ても高円寺くんの表情は少しも変わらない。
「私にかかれば、この程度の距離など無いに等しいのさ」
「……うわぁ、情報通りものすごく自信家なんですね」
「こ、高円寺。頼む、椎名達を連れて逃げろ……!俺が、時間を稼ぐ、から……!」
「何言ってんのよ、石崎っ。そんなボロボロで……!」
高円寺くんと天沢さんの会話の最中、再度立ち上がろうとする石崎くんに西野さんが駆け寄り肩を貸す。
「だから、逃がさないって言ってるでしょ?高円寺先輩も、関係ないですし見なかったことにして離れてくれません?」
笑顔で石崎くんと西野さんを牽制した天沢さんは、そのまま高円寺くんに関わらないように告げる。そんな全員の思惑など関係ないと言わんばかりに、高円寺くんは笑う。
「ははっ、昭和の不良くんもマウントガールも勘違いしているようだから、教えてあげよう。
───私の行動を決めるのは、誰でもない私なのさ」
そう告げて髪を掻き上げる高円寺くんは呆気にとられる私達を気にせずゆったりと歩き、私達と天沢さんの間に立つ。
「女性が傷つくのを黙って見ているのは、私の主義に反するのでねえ。無論、私がいる限り逃げる必要もないさ」
「高円寺くん……」
「部外者が邪魔しないで欲しいんですけどー?」
遠回しに私達を守ってくれると宣言する高円寺くんに、天沢さんは不機嫌そうに言葉を溢す。
「さて、どうするかねマウントガール?まだ身体を動かしたいのであれば、特別に私がエスコートしようじゃないか」
「ふーん?なら、少し付き合ってもらおうかな」
高円寺くんの挑発とも言える言葉を受けた天沢さんは、高円寺くんに向かって歩いてくる。そうしてお互いの手が届く距離まで近付いた時、天沢さんが動く。
「っ!」
「おやおや、思ったよりもヤンチャだねえ」
天沢さんの素早い右ストレートを、高円寺くんは表情を変えずに受け止める。天沢さんはそれを見て少し意外そうな表情をした後、更に高円寺くんに猛攻を仕掛ける。
「───ふむ。これで満足かな、マウントガール?」
───数分の攻防。天沢さんからの攻撃を、高円寺くんはすべて難なく受け止めきってみせた。
「いやぁ、流石に驚いたな~。これはちょっと時間的に無理そう」
天沢さんは腕時計を見ながらそう呟くと、私達に背を向ける。
「今回は見逃してあげるよ。またね、椎名先輩?」
そうして天沢さんはものすごい速度でその場から走り去っていった。それを確認した私は、軽くストレッチをする高円寺くんに話しかける。
「ありがとうございます、高円寺くん。貴方がいなければ、私達は天沢さんにリタイアさせられていました」
「礼など不要さ、色彩ガール。キミを見捨てたとあっては、タイガーボーイに感化された綾小路ボーイが黙ってないからねえ」
私からのお礼にそう返した高円寺くんは、そのまま私を見据えて言葉を続ける。
「ただ、キミ達が私に対して何かしたいと言うのなら───
───私を、キミ達のグループに入れてもらえるかな?」
◆
───H7エリアの森の中。
伊藤先輩達に囲まれていた私───佐倉愛里と澪ちゃん、神室さんは桐山先輩の介入で事なきを得ることが出来た。桐山先輩と同じグループの人達により比較的近くにいた教員とスタッフが集まり、伊藤先輩達を連行し軽く事情聴取をし終えた。
「……伊藤達もバカな真似をしたな。とにかく、大事にならなくて本当によかった」
「えっと、ありがとうございました。桐山先輩」
「……助かったのは確かですけど、タイミング良すぎじゃないですか?」
安堵する桐山先輩に私がお礼を伝えた後、事情聴取を終えた神室さんが疑問を口にする。
「南雲が退学した後、南雲と一定の関わりがあった生徒については前々からマークしていたんだ。そんな中、鬼龍院がわざわざGPSサーチの結果を見せに来たことで確信を得ることが出来た」
「鬼龍院先輩が……?」
昨日出会った鬼龍院先輩の顔を思い出していると桐山先輩は一つ息を吐き出してから、言葉を続ける。
「あぁ。それと、鬼龍院から虎城に伝言がある。
───『今回は色々と横槍が入って残念だ。残りは好きに遊ぶことにする』、だそうだ」
「私達としては助かるけど、あの先輩本当に自由ね……」
桐山先輩が伝えてくれた鬼龍院先輩の伝言への呆れが、丁度事情聴取が終わって合流した澪ちゃんの第一声だった。
「えっと、龍園くん。優くんへの伝言があるんだけど、代わってもらってもいいですか?」
その様子に苦笑いをしつつ、トランシーバーを起動して龍園くんに優くんに代わってもらおうと思いそう伝える。
『俺が聞いたから問題ねぇ。……それと、虎城はリタイアする。宝泉を返り討ちにしたが、虎城も手酷くやられたからな。今教員共が気絶してる虎城の怪我の具合を確認して担架に乗せてるところだ』
「……ぇ?」
返ってきた龍園くんの言葉を聞いた私の口から、情けない声が漏れる。頭が言葉を意味を理解し始めると血の気が引き、上手く呼吸が出来なくなる。思い起こされるのは他でもない、優くんが刺された時のこと。
「───り、愛里っ!」
澪ちゃんの声で混乱していた意識が浮上する。
「ぁ、澪ちゃん……」
「あの虎城が、愛里を置いて居なくなるわけないでしょ」
「……うん。ありがとう、澪ちゃん」
短くも確信している澪ちゃんの言葉に、私はゆっくりと落ち着きを取り戻す。その様子を見守っていた桐山先輩が、龍園くんと繋がっているトランシーバーに視線を向ける。
「龍園翔だな?この特別試験が終わったら、お前にも話を聞かせてもらう。伊藤達は宝泉と組んでいたことを自白したからな」
『クク、生徒会長様の頼みなら喜んで話してやるよ。伊吹、妨害はもうねぇだろが試験が終わるまでは気を抜くなよ』
「アンタに言われなくても分かってるっての」
澪ちゃんの言葉を聞いた龍園くんは満足したのかトランシーバーを切ったようで声が聞こえなくなる。桐山先輩も教職員の人達に呼ばれ、私達に試験に戻っていいと伝えて離れていく。
「……行こう、澪ちゃん。神室さん」
優くんを心配させないように、私は前を向くためにそう言葉にして2人と一緒に指定エリアに向けて歩き出した。
◆
───F4エリアの森の中。
佐倉達との通信を終えた俺───龍園翔は一度周囲を見渡す。坂上が医療スタッフと虎城の怪我の具合を確認し、担架に乗せて早急に船に運ぶ準備を進めている。宝泉の担任である司馬が理事代理と共に謹慎しているためか、代わりに1年の学年主任がさっき話をした後輩と葛城達から話を聞いており、話が進むにつれて頭を抱えていた。
(さて、あとは……)
トランシーバーのチャンネルを椎名に繋げようと指を動かす。宝泉の話であれば椎名にも誰かを向かわせている筈であり、確認は佐倉と同様の必須案件だった。しかし、それを遮るように龍園が持つトランシーバーから知った声が響いた。
『──優斗、聞こえるか?』
「綾小路か」
『龍園?……優斗は無事か?』
綾小路の言葉が状況を把握しているように聞こえ、俺は眉を顰める。
「宝泉にだいぶやられたが、生きちゃいる。にしても、ある程度状況を知ってるような口ぶりだな?」
『あぁ、今さっき八神とその協力者達から概要だけ聞いたところで、そこから推測した』
俺の言葉に綾小路はそう答えると、通話に申し訳なさそうな声色の八神と知らない声が割り込んでくる。
『龍園先輩、八神です。協力者達と連携して綾小路先輩の包囲を止めさせるのに手間取ってしまい、連絡が遅れてすみません』
『───1年Cクラスの
『同じく、1年Cクラスで生徒会所属の
「てめぇらの謝罪はどうでもいい。綾小路、何があった?」
謝罪してくる1年共を切り捨て、綾小路に説明を促す。
『少し前、エリア移動の最中に1年生に包囲されかけたんだが───』
◆
───龍園達に宝泉が接触した頃に時間は遡る。
指定エリアを確認し移動を開始して10分程経過したオレ───綾小路清隆は、いつも通りGPSサーチを使い状況を確認した時に1年生達の違和感に気付いた。
(これは、1年Cクラスの生徒を中心としたグループがオレを包囲しようと動いているな……)
特別試験開始時点に単独でいるグループは俺を含めて少なくない数いたが、その殆どが他のグループと合流し11日目の現時点で単独でいる生徒は数えられるほどに減少していた。そして、下位10組には1年生のグループが7組も存在している。これを救う単純かつ確実な方法は、他のグループからリタイアを出して退学となる下位5組に組み込むこと。そして、それを行うのであれば単独グループを狙うのは必然と言える。
(オレが退学回避のプライベートポイントを保持していることを知っているなら、オレをリタイアさせることに1年生達は躊躇しないだろうしな)
思ったよりも早く動いたことには少し驚いたが、それだけで脅威ではない。月城理事長代理のような仕掛けが出来ない生徒ではオレを退学に追い込むのは難易度が高く、いざとなれば課題の場にいる教職員に頼ることでも簡単に回避出来るからだ。そう考え指定エリアを向かおうとした所で、前方から誰かが走ってやってくる気配を感じる。
「───あ、綾小路先輩っ!よかった、先に会えた…!」
現れたのは生徒会に所属している1年Cクラスの男子生徒、波田野だった。
「確か、生徒会に所属してる1年生の波田野だったか。オレに何か用か?」
先程のGPSサーチに引っかからなかったことを考えると、わざわざ腕時計を壊してオレに会いに来たのだろう。優斗と同じ生徒会に所属しているとはいえ、現在進行形でオレを包囲している1年Cクラスの生徒であることから警戒して尋ねると、波田野は敵意がないことを示すように両手を上げた。
「ま、待ってください!俺は綾小路先輩の味方です!今、八神くんとクラスメイトの宇都宮くんが椿さんを説得している最中なんです!」
「……どういうことだ?」
───同時刻、I8エリアの川辺。
「どういうことかな、宇都宮くん?」
普段の椿からは想像出来ない怒りの籠った問いに俺───宇都宮陸はまっすぐ椿の目を見て言葉を返す。
「今言った通りだ、椿。この特別試験で綾小路先輩を狙うのはやめよう」
俺の言葉を改めて聞いた椿は、その鋭い視線を俺の隣にいる八神に向ける。
「これがアンタの筋書きなわけ?八神くん」
「心外ですね。僕は宇都宮くんと波田野くんから相談されたので、手を貸しただけですよ」
困ったような笑みを浮かべた八神を見た椿は、口に咥えていた飴を強く噛む。
「俺は、椿に退学してほしくない。椿はクラスに必要不可欠な人材だ。それに綾小路先輩は退学回避のプライベートポイントを持っているから、仮にリタイアさせても懸賞金は手に入らない。首謀者である椿が学校側に問い詰められて退学するだけだ」
「だからこそ、私達の襲撃をリスクを取って宝泉くんの策に乗っかる形に早めたんだよ。少なくとも、策を聞いた時点での成功確率は高かった」
「椿さんがどう考えているか分かりませんが、宝泉くんの策はほぼ確実に失敗します。確かにこの特別試験は監視が全てに行き届かないため絶好の機会のように見えますが、だからこそ先輩達が対策を取るのも容易ですから」
「……なるほど。八神くんは完全に綾小路先輩達側ってことね」
俺と八神の説得に、椿はため息を吐く。既に綾小路先輩達と繋がっている八神に、俺と波田野が話した時点で少なくとも自分達の綾小路先輩への襲撃が失敗することを悟ったのだろう。
「……分かった。最初から踊らされてたみたいで癪だけど、今回は手を引く」
椿の言葉に安堵し、俺はトランシーバーを使って綾小路先輩と接触している波田野に説得成功の連絡を取った。
◆
───時は現在に戻る。
綾小路からの説明を聞いた俺───龍園翔は今回の全容が見えてきたことで
「なるほどな。終わってるならてめぇらは後回しだ。佐倉の無事は確認済み、後は椎名だけだ」
『……そういうことか。それならすぐに確認する』
俺の言葉に綾小路は宝泉の作戦を察したのか、すぐさま椎名のトランシーバーへ連絡すると告げた時、俺達のチャンネルに聞いた声が割り込んでくる。
『───清隆くん、龍園くん。聞こえますか?椎名です』
声の主は今しがた綾小路が無事を確認しようとした椎名のものだった。
『っ、ひより?無事か?』
『はい。襲ってきた生徒を何とか撃退しましたので、一先ずは大丈夫かと思います。ただ、龍園くんに一つ許可を頂きたいのですが……』
「許可だと?」
椎名が無事だったことで綾小路の暴走もなくなったと思っていた俺に、椎名が困ったように言葉を投げかけてきたことに疑問に思っていると、椎名のトランシーバーから石崎のものではない男の声が響いた。
『やぁ、ドラゴンボーイに綾小路ボーイ?何やら君達はこの無人島では随分と人気者のようだねぇ?』
『……高円寺か?』
「おいおい、こりゃどういう状況だ?」
11日目の後半においても単独で2位に居座っている化け物──高円寺が椎名達といることに驚きつつも、何か面白いことが起こっていると直感し自然と笑みを浮かべる。
『その、私達を襲ってきた天沢さんを撃退するのに高円寺くんが手助けしてくれたんです。それで、そのお礼に私達のグループに入れてほしいと……』
高円寺の要望を聞いた俺は、現状知り得ている高円寺という男の情報と特別試験のルールを照らし合わせる。そして、高円寺の望みを把握した。
「クク、なるほどな高円寺。てめぇ、単独で2位のくせにさっさとこの特別試験を抜けたいのかよ」
『私にとっては、この試験も単なるゲームだからねぇ。
「そうかよ。……葛城、ちょっと来い」
高円寺の返しで確信を得た俺は、先生と話をしている葛城を呼び出し簡単に状況を説明してやる。葛城は俺が求めていることを察して頷いたのを確認し、俺はタブレットで録音を開始する。
「現状2位の高円寺を椎名達のグループに入れるのは、俺達が上位を狙う上で願ってもないチャンスだ。これは試験前に契約した他クラスとの結託には入らない認識でいいな、葛城?」
「無論だ。Bクラスの代表として、葛城康平はこれを承諾する」
「聞こえたな?椎名、高円寺をグループに入れてやれ」
『分かりました。では、高円寺くん、どうぞ』
葛城との会話の録音を終えて、椎名に高円寺をグループに入れる許可を出す。そして暫く待つと高円寺の名前が2位から消えたことで、結果的に俺達のグループは3位に浮上する。
『ふむ、では私はリタイアさせてもらうよ。せいぜい頑張りたまえ、ドラゴンボーイ』
「はっ。次会う時までにその安直なネーミングセンスを鍛えとけよ、高円寺」
高円寺に軽口を叩きつつ、葛城に聞こえないように綾小路と1年生共に
「それで、これからどうするつもりだ龍園?結果的に現時点で3位に上がったが、虎城がリタイアしたのはかなり不味いぞ」
「クク、確かに今後着順報酬が得られねぇのは痛いな。だが、上位3組に入ることが
葛城の言葉に俺は笑みを浮かべて返す。そして俺の言葉を肯定するように、アルベルトと金田は目に見えてやる気に満ちていた。
「龍園氏の言う通りです。虎城氏は、これまで僕を含めクラス全員の為に尽力してくれています。
───今こそ、期待に応える時です」
『上位10組一覧』(11日目 午前8時時点)
3年 鬼龍院グループ 239点 1位
3年 桐山グループ 238点 2位
2年 龍園グループ 235点 3位
2年 一之瀬グループ 231点 4位
3年 黒永グループ 229点 5位
3年 落合グループ 228点 6位
3年 武藤グループ 225点 7位
1年 高橋グループ 224点 8位
3年 三木谷グループ 221点 9位
2年 綾小路グループ 220点 10位
次回予告
月城常成「高度育成高等学校史上、最大規模で行われた2週間の無人島サバイバル特別試験もいよいよ終わりの時を迎えます」
司馬克典「幾つもの陰謀が渦巻く中、その全てが解決或いは潰されたことで試験はようやく本来の形で進行し、全生徒達は上位に入賞するため最後まで走り抜ける」
月城常成「さて、1位の栄光を掴むのはどの生徒になりますかね?」
司馬克典「次回『Episode 78 無人島サバイバル終幕』」
月城常成「おや、坂上先生、どうかされましたか?……そうですか、確かに受け取りました。では、乗船最終日に会うことにしましょう」