一月投下しないと目に見えて執筆速度落ちるんですよね。
「───風呂上がりのバスタオル姿でも動じるだけの男ってどうやったら口説けると思う?」
「素っ裸でポールダンスでもすれば良いのでは???」
ソーナの口から辛辣な言葉が吐き出されたのも仕方のない事だろう。眷属を失い落ち込んでいるだろうと心配していた相手の第一声がこれなのだから。元気になったのは結構な事だが惚気話なら他所でやって欲しいというのが本音だった。
「ソーナ、コレは重要な話なのよ。魁斗は最低でも龍王クラスの実力を持ってるのが分かってる。今後の情勢がどう動こうと放っておく事は出来ないわ!手っ取り早く紐付ける為には体と心の結びつきが1番なのよ!」
「私欲に塗れてるのに否定出来ないのってすごく腹が立つんですね」
龍王クラスの力というのは龍王並みに強いと言う事だ。冗談は兎も角として半端な神格や魔性では歯が立たないレベル、世界を見渡しても希少な実力者に違いない。悪魔で魁斗と戦いが出来る者は百に満たず、勝ち越せる者はその四分の一といった所。リアス一人で手に入れられるなら大儲け、将来性も加味すれば鯛で鯨を釣る様な物だろう。
「……私に聞くよりも
「私がしたいのは政略結婚じゃなくて恋愛結婚なのyアイタッ!」
そのデカパイもぎ取ってやろうかとソーナは思ったが乳ビンタで勘弁しておいた。ソーナ自身も夢の為に婚約破棄を実行しているのだから余り人の事を言えないのである。それもレーティングゲームの様な実力勝負ではなく、チェスの勝敗で決定したのだ。他の事ならいざ知らず婚約破棄をチェス一つで決めるというのは
「こっちの気も知らないで好き放題言って!わぁ、すごい重量感。私も色々と大変なんですよ!主に匙とか!眷属全体の空気とか!姉様とか!桃とか!匙とか!この吸い付く触感反則でしょ!挫折した相手を立ち直らさる方法なんて分かりません!コレが個人の物になるのは世界の損失ですよ!はやて達は振るい落とす気満々で頼れないし!毎晩私の枕になってください!!」
「ちょッ!ソーナ、んッ!待って!私が悪かったからアァンッ♡」
おっぱいの魔力に引き寄せられるのは何も男だけではない、女だっておっぱいで育つのである。リアスの国宝級のおっぱいであれば尚の事、一度魅入られれば延々と手が動くのも仕方のない事だった。
───ソーナはとっっっても疲れているのである。
〜10分後〜
「魁斗君をどう口説くかでしたっけ?このデカパイなら同性だって落とせますよ」
「ヒュー、ヒュー、つ、使う所まで行くのが大変なのよ」
ソーナは満足気に汗を拭いそう答える。散々いい様にされていたリアスは相談相手を間違ったと肩で息をしながら考えていた。そもそも生娘相手に恋愛相談など雑談以上の価値はないという点に目を瞑っても、ここまで追い詰められているいるとは思っていなかったのである。
「……魁斗に関しては置いておくとして、今日は引き上げるわ。他にも相談したい事があったけど……ほとんど私の気持ちの整理にしかならないだろうし」
「いえいえ、気持ちの問題こそ真っ先に改善するべき問題ですよ?メンタル面の問題は拗らせると本当にどうしようもありません。そうなる前になんとかしなくては、対価はおっぱい払いで構いません。オギャらせてください」
「貴女本当に大丈夫???」
日頃のソーナからは考えられない言動はリアスの恋愛脳すら冷めさせた。真面目な人間がとち狂っている程恐ろしい事はないのである。逃げようにもガッチリ肩を掴まれてどうしようもない。
「正直言っていっぱいおっぱいです。私以外も苦労してるんだって実感をください」
「そ、そう?じゃあ話そうかしら。そうね、まずは───」
半ばソーナの気迫に気押されながらリアスは話し出した。話の進みに合わせてソーナも相槌を打つ。悪魔の価値観に関する危惧に共感し、リアスを励ます魁斗の言葉に感銘を受け、時折挟まる惚気話には乳ビンタで返す。気のおけない友人との会話、これまで何度もしてきた事だが心荒んだ今は黄金より価値のある時間である。
「───コレまでの事を後悔するのは辞めたけど今後も同じ過ちをするのはダメじゃない?だから、眷属のみんなと込み入った話をしようとしたんだけど……あんまり話してくれないのよね」
「リアスの所は色々と特殊な関係ですからね。既に救われた身で更に求めるのは難しい所もあるのでしょう」
朱乃は概要しか知らないリアスでも過酷な事があったのだろうと察する事が出来たのでなるべく触れない様に接してきた。それを改めて話を振ってみてもそれとなく躱される、過去に触れるなというオーラが段々と大きくなっていたのもあって会話自体を諦めざるおえなかった。
「……だとしても胡座をかいていい理由にはならないわ。眷属の思いを汲み取れない様なら主人失格だもの」
「ゲフッ!!」
「えっ?!何?どうしたの?!」
「いえ、我が身に刺さる事だったので」
ギャスパーの願いは自身を逃した友人の救済だろう。だが堕天使との戦争が始まるかもしれないという状況で新たに吸血鬼まで相手取る余裕は悪魔にはない。それを知ってか知らずかギャスパー自身も充分救われていると遠慮する……或いは最初から諦めていたのかもしれない。
「……ある意味小猫が一番重症ね。あの子、ダメな学習をしているわ」
『誰だって自分の事が一番大事、家族や恋人だろうが二番かそれ以下。優先順位は存在します』
『五番…いや十番くらいに置いてくれる相手を増やしていくのが賢い生き方だと思います』
「わ、わぁ」
小猫は別に人間不信に陥った訳ではない。リアスが自身を本当の妹の様に思っていると理解しているし、居心地良く感じている。これだけ内心を晒してるのはある種の甘えなのだ。だが身を削って自身を守ってくれていた実の姉である黒歌は消えてしまった、連座で処刑される自身を迎えに来てくれなかった。世の中に絶対はないと学習するには充分過ぎる物、多少捻くれても仕方ないだろう。
「……ちょっと私にはどうしようもないかなって」
「……どうにか出来る方が稀でしょう」
愛には優先順位がある、それは事実ではある。だが、本来ならば理解したとしても納得する必要はなく頭の隅に追いやっていい物だ。それを納得して
「……すいません、軽い気持ちで聞くものではありませんでしたね」
「いいのよ、私も口に出させた分気持ちが軽くなったしね。ソーナも話してみたら?」
何とも言えない空気の中でリアスはそう提案する。何事も溜め込むと良い事はない。間違いなく重い話が待っているだろうと察していたが、ソーナの肩の荷が少しでも軽くなればと思っての事だった……物理的には軽そうだからその分リアスよりキャパはあるかもしれない。少なくとも日頃から肩こりに悩まされる事は一切ないだろう。
「誰が貧乳ですか?!!」
「えっ?!何で急に本当の事言い出したの?」
「喧しい!周りがおかしいだけなんです!!!私だって平均くらいはあります!!!」
「いや、昨今は日本人も80超えてる人が大半よ?80未満は貧にゅアダダダッ!!!」
「小さくな〜れ⭐︎小さくな〜れ⭐︎」
ソーナは願いを込めて乳搾りを開始した。だが、乳房への刺激を与えた所で得られる結果は概ね逆の効果である。後日、リアスは三桁の大台に到達した。
「ソーナッ!ソーナさん!貴女も話して楽になりましょう?!」
「まあ、いいでしょう………次はありませんからね?」
「イエス、マム!!!」
敬礼するリアスに対しソーナはこれまであった事、起きている事を整理して話出す。ソーナ自身と眷属達の能力不足と覚悟の足りなさ、匙が参入と爆発的な成長による眷属内の不和に気づけていなかった事、匙がソーナを上回る力を得た時の増長を止められなかった事。リアスも他人事ではなく心に刺さる物があった。どれも細部は異なれど近い失敗をしているのだから。
「……まあ、不和も匙の傲慢も魁斗君にぶっ壊されたんですけどね。ついでに何人かの心もへし折られましたが」
「か、魁斗に悪気は無かったと思うわよ?」
それが一番タチが悪いという説もある。だがこの世界で最も救いのない悪とは弱い事だ。対価を受け取り眷属になった者、友人関係の延長線上の認識で眷属になった者、そしてソーナ自身、全員が命の取り合いをする立場だという実感が足りなかった。それをまざまざと見せつけられ、人間の寿命を大きく上回る長い時間向き合うとやっと理解させられた。
「コカビエルとの戦いを経て尚、全員が覚悟が足りているとは言えなかった!強くなった匙がいれば大丈夫と目を逸らした!……その幻想が戦場で解けるよりは良かったのかもしれません、しれませんが……私は一体どうすれば良いのでしょうか?」
「それは……」
「……まあ、匙と桃は愛の力で何とかなりそうですけどね。桃の想いが通じて良かった、二人の門出を祝いましょう。……決して『お前が好きなの私じゃなかったのかッ?!』とか『この後に及んで男女問題まで発生したら収拾つかねぇぞッ?!』とか『このタイミングは絶対姉様の差金だろッ?!』とか『他人の色事よりテメェの婚期を気にしろやッ!!』なんて思っていません。私は冷静です」
「ど、どうどう」
ソーナは眷属達の現状を理解は出来ている。だが、それでも寄り添う事は不可能だ。ソーナには覚悟が足りなかったが素質は十二分にある。龍王
「……姉様からトレードの打診が来ています。きっとこれは最後の温情です」
眷属達に残された時間はそう多くない。何か特別な役割がある訳でもなく戦力として使えない眷属悪魔など恥晒しも良い所だ。戦争が起こるかもしれない情勢では尚の事、主人が戦場に出る中で安全地帯にいるなど許されない。今すぐ立ち上がる事が出来ないならば別の役割で貢献する必要がある。態々その役割を与える事は温情であり、それを跳ね除けるならば相応の覚悟が必要だ。
「……現実的な妥協案ではあるのでしょう。少なくとも今のままでいるよりは遥かにあの子達のためになる。粗雑な対応をする家だって省かれている筈よ。でも…でもッ!」
望まぬ結婚、しかも妾や愛人という立場は現代日本の学生にとって非常に受け入れ難い物だろう。だが、その妥協案が天秤を動かす程に眷属達の心は弱っていた。
「私が巻き込んだのに……そんな選択をさせるしかないなんて」
確かに責任の比率はソーナが一番大きいだろう。だが、眷属達とて自業自得の面が強い。命を賭ける覚悟以前に人間を辞めて別の種族になるという事を舐め過ぎだ。聖水でダメージを受けるだけなら兎も角として神に祈りを捧げるだけで頭痛がするのは生物の特性とは言い難い。何らかの洗脳効果でもあるのではないかと危機感を持っても良かった筈だ。若さ故の過ちや信頼という名の思考放棄、単純な頭の悪さetc、どんな理由で考えられなかったにしろ次期党首のソーナの眷属としては心許ない。少なくともセラフォルーらはそう考えていたし、ソーナも否定出来なかった。
「………ハハッ、魁斗君が
「…………ソーナ」
乾いた笑いと吐き捨てる様な懇願を口にするソーナをリアスは鎮痛な気持ちで抱き寄せる。悪魔の駒を摘出するというのはコーヒーに混ぜたミルクを取り出す様なモノ、神話の主神クラスの権能でも無ければ不可能だ。魁斗は龍王前後で大幅に力が劣る。
「───ソーナ会長ッ!!!た、大変ですッ!!!」
それはそれとして何事にも揺り戻しはあるものである。駆け込んできたのはソーナの眷属、その中でも心折れていた者達。だが、彼女達の顔に絶望はない。溢れんばかりの困惑で埋め尽くされている。それぞれの手にチェスの駒を持ちながら。
「───私達悪魔じゃなくなっちゃいました」
「「えっ?」」
元より奇跡の安売りは原典からの専売特許だ。特に
「…………………………は?」
───故にこぼれ落ちる
裏で魁斗に八つ当たりしてる間にサクッと治されました。