剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

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艦これですが、漸く武蔵がドロップしたので、喜びの衝動のまま投稿してます。

まだゲットしていない艦もあるので、また暫く掛かるかも


第39星 大会開催3日目~事故 

 

三日目

 

今日の試合はバトルボードだが、議長らは観戦せずにコルサントからの報告と交渉結果を連絡しあっていた。護衛というやることが無くなった私はバトルボードの試合を見に訪れていた。

 

幾つかの競技試合を眺めながら、ホテルに戻ろうとした時、ザワリとフォースの揺れを感じた。

 

そしてその直後の競技中に事故が起きた。

舞台は女子バトルボードの競技中に発生した。

準決勝の競技は、一高と三高、七高の3人で競い合う形となっていた。

スタートと同時に飛び出した一高の選手は渡辺摩利。

その直ぐ後ろを追いかけるは七高の選手だった。

 

その七高の選手が腕に着けているCADから電化製品がショートするかのようなバチッと小さな閃光が走ったのを見た瞬間、CADに何か仕掛けられて起きたと察した。

速度が落ちず、寧ろ速度を増して突き進む状況に七高選手は狼狽えながらなんとか操作しようとしていた。

 

「なんで!なんで速度が落ちないの!?この先は・・・」

 

先行していた渡辺も気付いた。魔法と体さばきだけでボードを反転させると、

制御不能に陥ったボードと七高選手を移動魔法で分離させ、受け止めようとした。

だが、其処でも不自然な波の動きを見た。

 

観戦していた私は、渡辺の水面が不自然に陥没するかのような波の動きを見て、サイオンの流れを探った。

だが、流れも何も見えず、次の瞬間には体勢を崩した渡辺も分離させた七高選手が衝突して競技フェンスに叩きつけられた。

 

 

「フェンスに激突したぞ!」

 

「レース中断!」

 

「医療班は急げ!」

 

 

一連の事態に慌てて動き出す大会委員たち。

私は、達也も動いているだろうと予測しながら電話を掛けた。

 

「姉さん?すまない、今は忙しいのだが・・・。」

 

「分かっているわ。今の事故は見ていたから。

だから、助言と連絡よ。」

 

「助言?」

 

達也は現地に向かう前のエントランスホールで立ち止まって電話をし続けていた。

 

「使えるものは何でも使う事、それがライバルであっても。」

 

「ライバルであっても?」

 

「恐らく使われた魔法は現代魔法じゃない。古式魔法か、それに類する魔法よ。BS魔法の可能性もあり得るわね。」

 

「俺もその線で考えています。」

 

「ええ。けど、知識で調べるには今いる友人たちだけでは足りないと思うの。」

 

話の真意に達也は直ぐに気付いた。

 

「他校を巻き込んで調査すると?」

 

偶然にも立ち電話をする達也の脇を通ろうとした第三高校の生徒が振り向いた。

その生徒は達也も知っている人物だった。会ったことが無いだけで。

 

「そうよ。この場面なら、三高と七高両方と協力出来れば良い方ね。」

 

「しかし、協力するかは・・・。」

 

「ええ、自由よ。だからあくまで提案。独自に調べるでもいいし、水上を知り尽くした七高を巻き込むも良し、古式魔法にも精通した生徒の多い三高を巻き込むも良し、って事よ。」

 

達也は、電話をしながら目の前の人物が自分の電話を終えるのを待っているのだと察しながらも話を続けた。

 

「それで、連絡事項が他に?」

 

「七高選手のCADだけど、こっちで回収するのが望ましい展開ね。電化製品がショートするような瞬間があった。七高選手がカーブに入る直前の操作の瞬間にね。」

 

「・・・・・、CADが?」

 

「ええ。尤も大会委員が回収してしまっている以上は有益な情報じゃないかもしれないけど。」

 

事故現場を見る限り、七高選手が付けていたCADは大会委員に回収されていた。

 

「いえ、可能性の一つとしては十分かと。」

 

「そう、ならいいわ。」

 

「後で、詳しい話は聞けますか?」

 

「生憎会いに行けるわけじゃないから、電話で我慢してほしいな。」

 

「分かりました。では。」

 

「ええ。」

 

電話を切った達也は、目の前の人物に話しかけながら歩を進めた。

 

「わざわざ待っていた理由を聞いてもいいか?カーディナル・・・吉祥寺真紅郎」

 

「電話口から「巻き込む」だなんて物騒な声が聞こえれば気にもなります。ですが、多少漏れた会話内容から察しました。」

 

2人は会話しながらも歩を進めた。

目的は同じ故だった。

 

「して、そちらとしてはどうする考えですか?」

 

「そうだな、姉さんにも言われたがこの問題は単なるで済ませられそうにないからな。それに連絡にあった情報が真とするなら第三者による魔法攻撃があったとしか思えない。俺としては協力を願いたいがいいか?」

 

「僕らとしても問題は無いと思います。知識は多い方がいい。」

 

「この後、俺の部屋で解析をする。もし他に来れるなら・・・」

 

そう言いながら達也は部屋番号を見せると、

 

「ええ。一旦持ち帰りますが、来るときは伝えますよ。」

 

「すまないな。」

 

一高と三高は大会優勝を競い合ってきたライバル同士、手を取り合う事など無いとされてきたが、大会委員会や裏の大人の塩飽を他所に協力し合う動きを見せつつあった。

 

競技中に起きた事故であるとはいえ、事故結果を『七高選手による暴走』という内容で片付けようとした大会委員会への不信を買うには十分な材料だった。

当然ながら七高側は抗議をし、巻き込まれた一高も競技相手の三高も調査結果の公表を求めたが、無視された挙句七高選手が使ったCADは没収されたままという結末だった。

その事実に、七草真由美は抗議しても無意味と悟っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

国防軍の裾野基地の病院に搬送された2人から話を聞く為に、真由美は一人で訪れていた。

別々の個室に入れられていた為、先ずは友人の摩利の容態を尋ねに来ていた。

到着して早々に摩利は意識不明の状態から目を覚ました。

自分に何が起きたかを真由美から自分の身体の説明を受け、他に受ける予定の競技を棄権するしかないという事実に愕然としていた。

 

「レースは・・・どうなった?」

 

「七高は危険走行で失格、うちは二高と三位決定戦よ。」

 

「そう・・か。あたしだけが計算外の結果か。」

 

何時もの調子の無い摩利に真由美は本題を切り出した。

 

「摩利、あの時第三者からの魔法による妨害を受けなかった?」

 

「どういう事だ?・・・・・・確かにボードを踏み込む直前に足元から不自然な揺らぎは感じたが・・・。」

 

その話に真由美の疑念は確信に変わりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

真由美は2人に会いに行く直前に第三高校のある生徒から相談を持ち掛けられていた。

その生徒は、かつて自分とサシで競技し合って互角の試合を見せた人だった。

 

「ごめんなさいね、忙しい時だってわかっているのだけど。」

 

「ええ、それで話とは?」

 

「此処で話すのも何だからちょっとこっちに来て。」

 

そう言って、ホテルの面会室を借りて、彼女は座った。

 

「さて、久しぶりね真由美。2年前の試合以来ってとこかな。」

 

「もう、もったいぶらずに教えてほしいわ、佳子。」

 

真由美のライバル、十二支家や百家にも属していないのに『火』と『水』のエレメンツを持つ一ノ瀬佳子その人だった。しかも真由美と同じく生徒会長ときている。

 

「さて、ふざけるのはその辺にして。さっきの事故だけど、一高としてはどうするつもり?」

 

「そればかりは言えないわ。まだ考えも出来ていないのだから。調査だって・・・。」

 

「その調査に三高も協力したいと言ったら?」

 

「どういうこと?」

 

真由美からすれば、ライバルから共闘を持ち掛けられること自体が怪しさを持っていた。

ジト目で見る真由美に佳子は静かに言った。

 

「いやね、各高で単独調査してもいいのだけど、それだと効率が悪い。それにさっきの事案が第三者による魔法攻撃があったとしたら・・・三高としても許せない事なのよ。」

 

「確かに、その可能性は疑ってはいるわ。本人からも聞かないといけないけど。」

 

「聞くまでもない。渡辺の水面の陥没事象は魔法による攻撃があったとしか言いようがない。それに、大会委員会側の一方的な主張もムカつく。」

 

「ああ、あれね。抗議しても取り合ってくれなさそうなのよね。」

 

「そう、だから高校生達で団結して取り組む他無いと思う。」

 

佳子は、既に自分のネットワークを駆使して検証をより詳しく精査する研究所の確保やオブザーバー参加している卒業生にも協力を求めた。更に一年生間で協力の申し出を耳にしており、三高としても調査協力する動きになっていた。

 

 

 

話を戻して

裾野基地の病院で、摩利に聞いていた真由美は、到った仮説を説明していた。

 

「あの時の摩利の足元には、魔法特有の不連続性があった。だけど、摩利も七高の選手もそんな魔法を使っていない。残る可能性は、第三者による魔法攻撃。」

 

「んな!?馬鹿な。」

 

「この仮説は、第三高校も同様だと考えているわ。だから、今達也君と五十里君が水面の解析を試みているそうよ。」

 

「だが、何で第三高校が・・・。」

 

摩利の指摘は正しかった。競技上においては敵同士、だがそうも言っていられない問題に直面したと言っていいものだったからだ。

 

「これは既に一高だけの問題じゃないわ。順位とか抜きにして、生徒の生命に係わることよ。」

 

「延いては魔法科高校全体に関わるって事よ。」

 

2人しか居ない筈の病室に第三者の声が響いた。

 

「一ノ瀬!?どうして此処に。」

 

「あら、見舞いに来たら駄目?」

 

「ごめんなさいね、七高の選手は私には会ってくれそうになかったから。」

 

「構わないよ。向こうもさっき目を覚ました。

話を聞いた限り、カーブに差し掛かる直前でCADが操作不能に陥ったそうだ。減速魔法を掛けた筈が加速魔法にすり替わった挙句以降の操作を受け付けない。そんなところだったらしい。」

 

「それって・・・。」

 

「ああ、いよいよ第三者の関与を疑うしかあるまい。一条らをそっちのエンジニアたちに合流させるけど、構わないよね?」

 

「ええ、彼らが加わる事で調査で進展するなら。」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

同時刻 達也の部屋

達也は事件の後、選手の分析などに使う機材を持ち込んで先程の事象の検証を行っていた。

その達也の部屋には、達也以外に一高エンジニアの纏め役である五十里啓と婚約者の千代田花音の姿があった。五十里は達也に呼ばれて、千代田は一人にすると何をするかわからないと思った五十里が一緒に連れてきたという経緯があった。

 

 

「これは・・・難しくないかい?此処の機材だけで証明するには無理があると思うのだけど・・・。」

 

「ええ、現状これが精一杯でしょう。ですが・・・」

 

録画映像と再現シュミレーターを交互に見ながら解析をしていると浮かび上がる問題

 

「これってサイオン光可視化処理映像だよね。」

 

録画映像の方は、渡辺選手がカーブで反転し七高選手を助けようとした瞬間からフェンスに激突するまでの映像が記録されてあった。

 

「ええ、三高選手を含め外部からの魔法式は確認されていません。」

 

「つまり、不正防止の為の優秀な魔法師が配置された会場内で、監視装置も大量に設置されているにも関わらず、この不明事象が起きた。」

 

監視の目を搔い潜って、何かしらの魔法を引き起こしたとなれば大問題の筈なのだが、達也はどうせ大会委員会は調査とかで大会が中止になるのを恐れて曖昧にしているのだろうと考えていた。

 

「そうなれば、この水面を陥没させたのは選手による物でもなく、外部の魔法師による物でもない。況してや自然現象なんて考えられない。でも司波君は違うんだよね。」

 

「ええ、水面を陥没させた力は魔法によるもので間違いないかと、ただそれが水中で発動していると考えています。」

 

「水中!?どうやって?あのコースの水中に工作員が潜んでたって言うの!」

 

「その可能性は極めて低いでしょうから、考えられるのは人間以外の何か・・・では?」

 

「「人間以外?」」

 

そのタイミングで部屋の扉が開いた。

 

「お兄様失礼します。」

 

そう言って入ってきたのは、深雪に呼ぶように指示した幹比古と美月・・・だけでなく、特徴的な赤い制服の男女が入ってきた。

その存在に達也以外の2人が目を見開いて驚いた。

達也は、目的の人物が来たのを見て立ち上がった。

 

「同じ考えを持った人が三高にも居たみたいでさ。」

 

「協力感謝するよ。」

 

達也は吉祥寺と握手を交わしながら、吉祥寺が連れてきた面々を見た。

 

「初めまして、第三高校一年の吉祥寺真紅郎です。同じく三高一年で前から一条将輝、一色愛梨、十七夜栞、四十九院沓子、二年の鷹村圭司です。」

 

「なんで、三高が・・・。」

 

「俺が協力を要請しました。」

 

「なんでそんな勝手なっ!一高と三高は敵同士なのよ、それを何で・・・何を考えているの!?」

 

千代田は敵を迎え入れるような利敵行為に走った後輩に向かって怒鳴りつけた。だが、達也は冷静、冷淡に言い放った。

 

「古式魔法かそれ以外の何か、可能性を探るに当たって千代田先輩にそのあたりの伝手があるなら話は変わりますが、無いなら黙っていてください。」

 

突き放すような言葉に千代田は愕然とした。

 

「なっ、んな!?」

 

「これは、一高だけの順位が云々言っているような軽い問題では無いのです。」

 

「そういう訳だ。被害にあった選手に心酔していたのだろうが、此処では個人の感情は持ち出さない。それに、第三者の力で勝たせてもらったなんて、魔法科高校生のプライドに舐めた真似をしやがるってもんだ。」

 

「結託するのでは問題になりますが、あくまで表面上の協力に見せるぐらいなら問題無いかと。司波君の行動力も驚くところですが、僕らとしても願ってもいない一手だと思います。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

三高の言い分にそれ以上反論することが出来ない千代田は矛先を司波兄に向けようとしたが、傍にいる妹の方がギロリと見つめてきた事に直ぐに啓の背中に隠れた。

 

「さて、すまないが現状の検証でもこれが限度だ。」

 

達也は、記録映像と検証したシュミレーターを見せながら仮説を説明した。

 

「幹比古、俺としての考えなんだが・・・」

 

「達也は精霊魔法を疑っているのかい?」

 

「ああ。」

 

「ジョージ、どうだ?」

 

「条件設定も計算上にも問題は無いね。」

 

「検証結果を研究所に送っても同じ結果だな、これでは。」

 

「じゃあ、やっぱり司波の仮説が一番有力なんだな。」

 

「うん、それしかないとしか思えない。けど、水中工作員の可能性は低いね。あの大会のセキュリティーを突破して水中に長時間滞在し続けるなんて不可能だよ。」

 

「美月、あの事故の時、精霊の活動は見なかったか?」

 

「眼鏡掛けたままだったから・・・。」

 

「そうか、いやすまない。」

 

達也の問いと吉祥寺の考えに漸く合点がいった幹比古が頷きながら答えた。

 

「成程ね、其処で精霊魔法が関わっていると読むって事だね、達也は。」

 

「ああ。幹比古、四十九院さん。水中に潜み、発見されないとなると精霊魔法で作り出せるものなのか?すまないが、この手の魔法は苦手でね。」

 

「まあ、古式魔法でも結構狭い魔法だからね。一般的に知れ渡っている情報だけじゃ分かりにくいかな。精霊魔法でなら、確かに水中に潜んで魔法を発動させる事は可能だよ。四十九院さんもどう思う?」

 

「沓子でよい、他人行儀では傷つくからのう。吉田の神童が言うように精霊魔法でなら可能じゃ。じゃが、仮にやろうとするなら長い時間と労力が必要になるがの。」

 

その呼び方は好きじゃないと言わんばかりの雰囲気を出しながらも幹比古は答えた。

 

「元神童ってだけだよ。此処で精霊魔法を使うなら、地脈を通して水の精霊を送り込みレース開始時間や水面上の人間の接近を発動条件とするなら可能だ。ただ、沓子さんが言うように地脈を調べるとなれば生半可な時間じゃ出来ないし、術者の思念によっては悪戯レベルにしかならないよ。更に周囲に感知されずにやるとなれば会場外からアクションをしていると見た方がいいね。中でやるにはバレやすすぎだよ。」

 

「だが、それでも渡辺は引っかかった。七高選手が突っ込んできたから。」

 

鷹村先輩の発言に達也は引っかかった。

 

「ああ、ちょっと待ってくれ。」

 

鷹村は徐に携帯を取り出すと、メールの内容を確認していた。

 

「司波、確認が取れた。」

 

「何がです?」

 

「七高選手のオーバースピード、あれ変だったろ。」

 

「ええ。七高選手が突っ込んでなければ、此処までの事態にもなっていないと思います。」

 

「ああその通りだ。うちの会長が病院に搬送された七高選手から話が聞けた。

どうやら操作不能に陥っていたらしいぞ。」

 

「「操作不能?」」

 

その事実に吉祥寺と千代田が驚愕した。

CADの操作ミスするような人が選手に選ばれる筈無いと思っていただけに、その情報は驚くべきものだった。

 

「最初のカーブで減速魔法を本人は入力した。が何故か加速魔法が掛り、その後操作不能に陥ったそうだ。」

 

「それって、どういう事?海の七高にしては不自然だよね。」

 

達也は電話にあったCADが電化製品のショートするような瞬間を見たという姉の言葉を思い出していた。

 

「成程、そう言う事か。」

 

「!?」

 

「これも単なる事故じゃないって事だ。」

 

「どういう事ですか?」

 

達也の発言に吉祥寺が問いた。

 

「俺もよく分からん。観戦していた姉から七高の選手のCADが電化製品のショートしたような感じに見えたらしい。生憎俺はそんな魔法は知らない。」

 

「確かに、CADそのものを使用不能にする魔法なんて聞いた事が無いですね。」

 

「というより、そんな魔法あるかしら?見間違いか何かじゃない?」

 

「俺もそう思いたい。が、もしCADに細工されていたとしたら?」

 

達也の新たな仮説に一同が困惑した。

それもその筈だ。そんな魔法が高校生の試合に持ち込まれているなど思うわけない。

 

「確かに七高選手の表情から見るに意図した起動式以外の起動式が送られたと見えるよね。司波君、七高選手のCADは?」

 

「知っての通りだ。事故後、大会委員によって回収されている。出されたところで何も分からないだろうね。」

 

「それは・・・つまり?」

 

「七高に裏切り者がいるから?」

 

「いや、高校生じゃない。」

 

「!?・・・それって、まさか・・・。」

 

蒼褪める一条に達也は頷いた。

 

「大会委員・・・。」

 

「「「「・・・・っ!!」」」」

 

「若しくは大会委員に紛れ込んでいるかだ。事故を警戒して魔法科高校内でやるには警戒を呼ぶ。だが、連中なら・・・」

 

「だが、どうやって!?大会委員がCADを弄る時間なんてないぞ!」

 

「そうですわ、お兄様。競技用のCADは各校で厳重に管理していますし・・・」

 

一条と深雪の意見に達也は静かに頷きながら

 

「CADは一度、競技前に検査目的で大会委員に引き渡される。だが、手口が分からん。」

 

そう、どうやってCADにウイルスのようなものをインストールするのか。分からないからこそ、対処しようがない。

 

「CADにハッカー用のプロテクトを搭載するのは?」

 

「ソフトが重くなる。それ以前に俺たちだけで対策したところで意味が無い。向こうは大会を妨害する為にあの手この手でやってくる。」

 

「現状手詰まりか・・・。」

 

「後は被害を出さないように慎重に行動するとか?」

 

「それでは本末転倒ですわ。」

 

対処仕様がない大きな相手。大会委員会という存在に、仮に一条、七草、十文字で声明を出したところで九校戦に十師族の干渉を作る悪い例となりかねない。

 

「十師族としての声明では後々にしこりも残ってしまう・・・か。」

 

「ああ、九校戦という事業に簡単に関与出来てしまう前例を作れば、他の組織も絡んでくる可能性がある。」

 

「現段階では、これ以上の抗議も無意味・・・という事ですの?」

 

「悪く言えば、誰かが犠牲になるのを待てとも言うな。そんな事態を許したくもないが・・・。」

 

達也は苦虫を嚙み潰したような表情をしながら言うと、他の面々も手詰まりな状況に何も言いだせるような雰囲気ではなくなっていた。だが・・・

 

「よし、後は他の可能性も無いか研究所とかを当たってみるとするよ。俺たちで話し合っても現状は解決出来そうにもないしな。」

 

一条は、大会委員の裏切りじゃない線を追い、事故の検証を研究所にも依頼して、先程話に上がった精霊魔法による事象の再現を行う方法でやると示した。

 

「ああ、何か手がかりを見つけたら情報交換しよう。」

 

その日の一高三高による合同調査は終了した。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ホテル 某所

 

「では、今日の事故は何者かによる仕業だと?」

 

「ええ、大会委員会は否定し続けていますが、疑いとしては濃厚です。」

 

「高校生達の魔法競技を妨害して何になるというのだ?」

 

「現状、詳しい情報はまだですが、ある組織が賭け事をしているようです。偶然、確認出来た音声データには、特定の高校を優勝させる為に、他校に対して妨害を行っている模様です。」

 

「その組織については何も分からぬのか?」

 

「ARF部隊に索敵偵察をさせているところです。それからシャドウにも動いてもらっています。」

 

「シャドウトルーパーの事だな。潜入諜報のプロも動員したのか。」

 

「彼らなら必ず情報を掴んでくれるでしょう。しかし、問題は・・・。」

 

「我々には被害は及ばんだろうが、座して見て見ぬふりはしてはなんの。マスタージェダイ。」

 

「ええ。競技上廃ビルを使った会場もあるようですから万が一は・・・。」

 

「うむ。軍との調整を任すぞ。」

 

「はい、議長。」

 

 

あのレース事故後、密かに集まったジェダイメンバーと議長、レッドガードリーダーは今後の起こりうる事態に向けた協議を進めていた。

事故とその背景、裏で暗躍する組織の存在まで掴んだ以上は、厳正に対処しなくてはならないと集まった面々は感じていた。

事は、国防軍と警察機構を巻き込んで更に動き出そうとしていたのだった。

 

 

 

 





現状、共和国軍が大っぴらに動く予定は無いです。

なので、静観する方向で話を進めていきます。

ただ、まあ察している方もいるかもしれませんが、其処はまだ予想って事で。




次回は、達也中心にしたいと思います。ではまた~
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