地球側がかなり強め。
地球を統治する人々はある決断を求められていた。星の海を越えてやってきた異星人に、植民地化にも等しい従属の要求を伝えられ、返答の期限が迫っていたからである。
ワープ技術を持ち、ブラックホールを動力源とする技術を持つ異星人に対して、地球側の技術力が劣っているのは、悲しいが否定できない事実。いざ戦いとなれば苦戦は免れず、敗北の可能性も無視しえない。
だが、答えは決まっていた。星の彼方からやってきた招かざる客人に対し、その傲慢な要求へ地球の意地を叩きつけてやるのだ。
「答えはノーだ。いくら技術で劣ろうとも我らが、彼らの奴隷になる理由にはならん。我々は自らの意思で立つ、考える葦。友好を、交流を、貿易を望むのならばともかく、隷属を求めるなど以ての外だ!」
言葉と共に気炎を吐いたのは、地球連邦政府大統領兼ミケーネ帝国国主・闇の帝王だ。彼を含め、現在、地球連邦政府を構成する諸種族に合わせて設計された大統領府は、五十メートル級機動兵器でも闊歩できる。
尋常なサイズの人間も利用する為、さながら巨大な要塞の格納庫めいた造りになっているのはご愛敬だ。
大統領の特大執務室には、連邦政府の重鎮達が一部はモニター越しに顔を揃えている。
副大統領のグライエン・グラスマンをはじめ、コロニー統合政府大統領ブライアン・ミッドクリッド、ジオン共和国大統領ギレン・ザビ、火星自治政府大統領のレイレガリア・ヴァース・レイヴァース、火星開発公団のドン・サウザー、木星自治政府のクラックス・ドゥガチ、恐竜帝国の帝王ゴール、百鬼帝国のブライ大帝、妖魔帝国の妖魔大帝バラオ、邪魔大王国の女王ヒミカ、月に眠っていた異星人フューリーの皇帝、更に特別顧問として秘密結社バラルの孫光龍。
多種族で構成される、現在の地球連邦政府を象徴するかのような顔ぶれである。
更に地球連邦軍からは総大将レビル将軍、ゴップ大将、コロニー統合軍総司令官マイヤー・V・ブランシュタイン、ジオン共和国軍総司令官ドズル・ザビ、火星防衛軍総司令官フェザール・イゼルカント、木星防衛軍総司令官・草壁春樹et ceteraと太陽系の誇る勇将達も居合わせていた。
選挙に則り大統領に選ばれた闇の帝王の一括に、室内にいる誰もが同意だと言わんばかりに頷き返す。彼我の技術格差は確かに存在しているが、それも地球に存在する多種多様なテクノロジーを組み合わせ、一致団結して力を合わせれば易々と負けはしないだろう。
「特殊技術開発局のドクターヘル局長は、いつでも機械獣軍団の出撃用意は整っていると鼻息を荒くしているな」
闇の帝王の返答を予想していたドクターヘルからは、いつでも戦えると興奮気味の連絡が来ており、それを読み上げたグラスマンは頼もしさ半分呆れ半分といった様子だ。
彼も異星人からの尊厳を踏みにじる要求に対して、徹底抗戦を主張するタカ派であり、ドクターヘルの戦意の高さは頼もしい限りである。
続いて戦闘の用意が整っていると口にしたのは、ゴールだ。Mのように割れた不思議な形の下あごを持つ巨漢のハチュウ人類は、恐竜帝国の切り札をこの場で提示する。
「我ら恐竜帝国が南極で発掘し、研究していた異星人の円盤ももう少しで実戦投入が可能となる。それでも性能を百パーセント発揮できる状態ではないが、大気圏内用の移動要塞として運用する分には支障あるまい」
ゴールが口火を切ったのに続き、木星を統べるドゥガチや火星の支配者であるレイレガリアもそれぞれが協力を惜しまない旨を口にする。
「それならば我々、木星もかねてから研究を進めていたワープゲート『チューリップ』や無人兵器群をはじめ、ジンシリーズの生産を急ごう。
地球が要求を拒否したとなれば、奴らが木星や火星、月にまで手を伸ばしてくる可能性はある。太陽系の防衛網を再構築しなければな」
「火星も木星と同じく、地球をはじめ太陽系の同胞との連帯と団結を強く訴えたい。我々が発見したアルドノアドライブ、そして火星と月を結ぶハイパーゲートに関しても、戦時体制に基づき防衛線力の配置や技術交流の活発化など、急ぎ手配しよう」
この時代、この地球の主力機動兵器は地球とコロニーが共同開発したバルキリー、カタクフラト、モビルスーツ、アーマードモジュール、パーソナルトルーパーと呼ばれる機動兵器だ。
これに非人型機動兵器としてモビルアーマー、更に主に民間で開発されている特殊な動力で動くスーパーロボット、通称特機が加わる。
またドクターヘルがミケーネ帝国と共同開発した無人兵器機械獣、ミケーネ帝国のサイボーグ型機動兵器戦闘獣、恐竜帝国のメカザウルス、百鬼帝国の百鬼獣、妖魔帝国の化石獣、邪魔大王国のハニワ幻人、アルドノアドライブによって特異な能力を持つ火星カタクラフトが特機枠として存在する。
これまで異種族間の生態や価値観の際から生ずる軋轢を乗り越え、今日に至る地球連邦政府・連邦軍は彼らの日々を踏みにじる異星人からの要求を拒否することが満場一致で採択されることとなる。
異星人──星間共和連合ゾヴォークからの要求を南極会談にて真っ向から跳ね除けたことにより、彼らとの交渉は決裂し、太陽系内特に地球圏近郊でゾヴォーク、更にその他の異星人のものらしき機動兵器が散見される事態となる。
ベガ星連合軍、ガルラ大帝国、暗黒ホラー軍団、ザール星間帝国、ギシン帝国、ザ・ブーム軍、イバリューダー、ラダム、ゾンダー、ゼントラーディ、メルトランディ、機械帝国ガルファ、ゼラバイア、エアロゲイターとこれでもか、というくらいに太陽系に殺到し、お互いに潰し合いながら地球の支配ないしは人類抹殺を目論んでいる。
だが実のところ、地球連邦政府が最大の敵と睨んでいるのは、STMC──宇宙怪獣と命名した、銀河の中心からやってくる敵対的宇宙生物だった。
宇宙からの侵略者達を相手しつつ、宇宙怪獣を撃退する為にバスターマシンを始めとした超兵器と遠征艦隊の整備が推し進められている。
更にこれから未来の話ではあるが異星人ガディソード、並行世界からシャドウミラー、異世界から修羅、ダークブレイン軍団が襲来し、プロトデビルンやソール11遊星主の復活、宇宙怪獣の上位種宇宙超獣とその支配者グレートアトラクターとの戦いが地球の生命を待ち受けている。
南極会談が破綻して数日後、地球近海に建設中のスペース・コロニー群『サイド7』は、白い甲虫のような機械群の襲撃を受けていた。
全長二十七キロメートル超の巨大戦艦と直径四十キロメートルに達する要塞ホワイトスター、更に五キロメートルを超える巨大戦艦によって構成される艦隊と共に太陽系に侵攻してきたエアロゲイターの放った無人兵器、メギロートである。
サイド7で開発されている、連邦軍の新型MSとその運用母艦を狙っての行動であろう。
駐留艦隊が迎撃している間に、更にゾヴォークの運用する無人機ガロイカの大群が新たに姿を見せて、サイド7近郊は三つ巴の混戦模様を描く。
駐留艦隊はペレグリン級とクラップ級で構成され、展開している機動兵器はパーソナルトルーパー・量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ、モビルスーツ・ジェガン、アーマードモジュール・レリオン、木星から提供された無人機バッタに無人駆逐艦カトンボといったオーソドックスな顔ぶれだ。
そこに宇宙用に調整を施された機械獣とメカザウルスが特機枠として加わり、ガロイカとメギロートを相手に奮闘している。
大量の侵略者の無人機を相手に奮闘する駐留艦隊だったが、エアロゲイターとゾヴォークが揃って業を煮やしたのか、ゼカリア、ハバクク、レストレイル、カレイツェドといった両勢力の人型機動兵器が投入され、ついに防衛線に穴が開いてしまう。
異星人の襲撃を想定し、コロニーそのものにディストーションフィールドとEフィールド発生機構、シェルターの完備、事前の避難訓練を重ねていたこともあり、民間人への被害はほぼ皆無であったが、メギロート数機がコロニー内部へと侵入する事態となる。
そのサイド7へ近づく艦影があった。
ジオン共和国に所属するムサカ級『ファルメル』だ。エアロゲイターの不審な動きを察知し、遊撃部隊の一つがサイド7宙域まで追ってきていたのだ。
ファルメルを指揮する男の行動は早い。サイド7で戦闘が発生しているのを知ると、すぐさま駐留艦隊に救援の連絡を入れて、自身は愛機へと乗り込んで出撃準備を終えている。
「キャスバル・レム・ダイクン、サザビー、出るぞ」
ジオン共和国建国者ジオン・ズム・ダイクンの子であり、地球圏屈指の機動兵器パイロットであるキャスバル・レム・ダイクン少佐は、原作通り、赤い彗星の異名をとる地球圏のウルトラエースの一人だ。
キャスバルのサザビーに続くのは副官シャリア・ブル大尉、更に恋人ララァ・スン少尉、クスコ・アル中尉、マリオン・ウェルチ少尉らが乗るヤクト・ドーガ四機。
ジオン・ズム・ダイクンの提唱した新世代人類ニュータイプとは異なるが、宇宙に適応した人類としての素質を認められた五人は、MSパイロットとして非凡極まりない実力者達ばかり。
ジオン・ニュータイプ部隊の参戦は、サイド7駐留艦隊にとってまさに朗報であった。
コロニー統合軍のスペースノア級クロガネを指揮するエルザム・V・ブランシュタインの部隊と、地球連邦軍のヒリュウ改が急ぎ駆けつけてくれているが、この戦闘を嗅ぎつけた異星人の部隊が複数接近中の知らせも入っており、まるで予断を許さない状況なのだから。
キャスバル隊の参戦に指揮を盛り返す連邦軍の様子に笑みを浮かべつつ、キャスバル本人は機体の後部からファンネルを射出し、こちらに気付いたガロイカを容易く翻弄して、ビーム・ショット・ライフルと腹部メガ粒子砲を巧みに使い分けて、瞬く間に撃墜してゆく。
キャスバル以外の四人もファンネルに頼らず、あくまで選択肢の一つとして運用する技巧を見せて、ゼカリアやレストレイルと言った上位機相手にも優位に戦い、撃墜スコアを見る間に増やす。
並みの部隊の数倍に相当するキャスバル隊の戦闘能力は、駐留艦隊の面々が思わず呆気に取られても仕方のない凄まじさだった。
その最中でララァが気付き、次いでシャアやシャリア達も気づく。
サイド7からメギロートの侵入孔を通じて、連邦軍の新型戦艦ラー・カイラムと新型機νガンダム、Ζガンダム、更にヒュッケバインMk-Ⅲ二機が飛び出してくる。
ラー・カイラムは本来の艦長が負傷したことにより、ブライト・ノア士官候補生が艦長代理を務め、νガンダムには開発者テム・レイの息子アムロ・レイ、Ζガンダムにはカミーユ・ビダンが搭乗し、ヒュッケバインMk-Ⅲにはリョウト・ヒカワ、リオ・メイロンが乗り込んでいた。
アムロとカミーユ、リョウト、リオは民間人だったが、メギロートの襲撃によって、自衛の為にそれぞれの機体に乗り込み、戦いに巻き込まれている。
キャスバル達が感知したのはアムロとカミーユが自分達と同じ素質を持ち、リョウトとリオはまた異なる素質を有しているのを感じ取ったからだった。
素人に毛が生えたも同然とはいえ、生まれ持った素質の凄まじさは原作と変わらず、また機体の優秀さにも助けられて、アムロ、カミーユ、リョウト、リオは驚異的なパフォーマンスを発揮して異星人共の残りを平らげて見せるのだった。
その後、合流したクロガネ、ヒリュウ改と共にラー・カイラム、ファルメルは連邦軍の軍事要塞ルナツーを目指して出発し、その道中で両手に余る数の襲撃を受けながらも、その全ての敵を文字通り全滅させ、部隊全体の撃墜スコアは百を超えたという。
ルナツーに到着後、紆余曲折あって軍人になったアムロ達は、ファルメルのみ本国に帰還して、キャスバル、ララァ、シャリア、クスコ、マリオンは同じコロニー国家つながりでクロガネの世話になる形で混成部隊として再編される。
彼らの目指す先は地球連邦軍極東支部。数多のスーパーロボットと機動戦艦ナデシコ並びに機動兵器エステバリス、とある学生の乗るカタクラフトが活躍する激戦区である。
なおその間にもルナツーや近隣のコロニーを襲う侵略者を千切っては投げ、千切っては投げ、ジュドー・アーシタら悪童とラドリオ星から忍者を求めてやってきた星間航行艦エルシャンク一行を加えている。
さてその頃の地球もまたあまりの侵略者の多さに、流石にいくつかの防衛線を突破されて、地球上に拠点を作られるという失態を犯している。
これをバラルから供与された妖機人を含め、地球上で本領を発揮する機械獣やらハニワ幻人やら化石獣などが率先して迎え撃ち、そこをMS、PT、カタクラフトがフォローしている。
また軍属ではないマジンガーやゲッターロボ、ライディーン、ガイキング、ゴッドマーズ、ダイターン3、ダルタニアス、ガオガイガー、ゴッドグラヴィオン、電童といったスーパーロボットの活躍も目覚ましく、地球市民(ハチュウ人類やミケーネ人なども含め)の希望の光となっている。
更には宇宙から地球へ侵略以外の目的でやってきたグレンダイザーやエルシャンク一行、イバリューダー・オーガン、テッカマンブレードなどの存在も、数えられるほどだが、宇宙勢力が敵ばかりではないと地球連邦政府を喜ばせた。
侵略者達にしてもちょっとこれはどうなの? と頭を抱える地球圏の混迷具合に一か月ほどもすると、どの勢力も一旦、状況の整理をしようと考えたようで、不気味な平穏が生じる。
地球側もこの機は逃さず、ナデシコとガイキングの母艦大空魔竜、火星自治政府と共同建造した飛行戦艦デューカリオン、ダルタニアスの母艦アダルス、スペースノア級ハガネからなる独立部隊を編成し、地球上の激戦地を飛び回ることとなる。
部隊の多くが民間人からなる部隊であったが、司令官に任じられたダイテツ・ミナセ大佐の人柄もあり、幸い、部隊の運用は円滑に進み、戦闘を再開した侵略者達をコテンパンに叩きのめして回り、地球侮りがたしと侵略者達に知らしめることとなった。
その最中、魔装機神サイバスターとマサキ・アンドー、ヴィレッタ・プリスケンを隊長とするSRXチーム、バラルの下で念動力を鍛えていたクスハ・ミズハ、ブルックリン・ラックフィールド、レオナ・ガーシュタイン、タスク・シングウジが超機人龍王機、虎王機、雀王機、武王機と共に合流し、戦力を一気に増大化させる。
そこにラー・カイラム、クロガネ、ヒリュウ改、エルシャンクが極東支部を訪れて、地球と宇宙で活躍していた両部隊は無事に合流する。
そこで闇の帝王は一計を案じた。南アタリア島で鳥の人のアドバイスを受けつつ、近代改修を終えた初代マクロスを旗艦とする独立部隊の結成だ。
ブルーノ・J・グローバル准将を艦長とするマクロスとVF-19S、Fを乗機とするスカル小隊に、ラー・カイラムや大空魔竜、ナデシコらが合流し、太陽系内外を活動範囲とする独立部隊ガイアセイバーズが結成されることとなる。
地球連邦政府・軍と破嵐財閥の全面的な支援を受けて結成されたガイアセイバーズは、地球人類とその友邦の平和と自由、独立を脅かすあらゆる脅威と戦い、勝利を目的とする地球の切り札といってよい。
ガイアセイバーズの初陣は南アタリア島に降下してきたゼントラーディ先遣隊だったが、ここにゾンダー、イバリューダー、ラダム、エアロゲイター、ギシン帝国も加わって大混戦となる。
南アタリア島をはじめ周辺への被害を危惧したブルーノ提督は、ワープの一種フォール度航法で月の裏側へ脱出しようとするも、侵略者達との戦闘の影響によりフォールドは不具合を起こして、冥王星軌道付近へとガイアセイバーズを連れ去ってしまう。
南アタリア島の市民を巻き込みつつ、フォールドアウトしたガイアセイバーズは、太陽系外の警戒に当たっていた、この時点での地球最強の戦艦エクセリオンとの合流に成功する。
ガンバスター、ガンバスターの量産型シズラー、ガンバスター改を保有するエクセリオンと共に、ガイアセイバーズは太陽系内に侵入していたラダムやイバリューダーを含む諸勢力を叩き潰しながら、木星と火星を経由しての帰還を新たな目的に定めた。
この頃には既に他のエクセリオン級やマクロス二番艦から十三番艦、八百メートルサイズのマクロス・ハーフ級、四百メートルサイズのマクロス・クォーター級、孫光龍の応龍皇や霊亀皇も積極的に前線に出ており、侵略者達に多大な出血を強いていた。
侵略者達があまりの被害の多さにおしなべて顔色を青くさせ、ゼラバイアやゼントラーディ、ラダム、ゾンダーのような一部の勢力を除いて、太陽系からの撤退を真面目に議論していた。
だが、そこから更にゼントラーディ、メルトランディ基幹艦隊と宇宙怪獣の大群の襲来とガイアセイバーズの大暴れによって、ほとんどの勢力が壊滅するのだが、彼らが地球に手を出したのを後悔した時には手遅れだったのは、言うまでもない。
地球が銀河最強の称号を手に入れるのは、ほんの少し先の未来のお話である。
<おしまい>
後半になるとグレートガンバスター、フルスペックのダイバスター、エルトリウムも加わります。