死に別れENDばかりのゲームに転生しました。 作:超高校級の切望
『うう、うう〜!』
「はあ、クソ。面倒くさい」
髪の色を変えただけで泣きそうになってる………と言うか若干泣いてるウブメにヒカリはため息を吐く。
そもそも髪の色は彼女と出会う前から白く染まっていて、決してペアルック的なあれではないのだ。
『浮気者オオオオ!!』
神の言葉は、神の敵意は、そのまま世界を歪める。文字通り世界そのものの質量が一つの存在を押しつぶそうと膨れ上がり、歪み………しかし消える。
ヒカリはただそこに佇んでいるだけだ。それだけで何もかも消し去る。
新たな法則を以て世界を作り変える超死星達の中でも異質も異質。世界そのものを消しかねない消滅の化身。無の具現という絶対矛盾。神の権能を子供の癇癪のごとく無視する。
『そんなに、あの女がいいの!?』
「まあ人の話し聞かないガキよりは………」
空間が軋む。神の怒りに世界が悲鳴を上げ、抵抗むなしく塗り替えられる。
空間そのものが万物を噛み砕く牙を持った蛇となって襲いかかってくる。
ヒカリが手を向けると消滅した。
「そもそも、俺はお前と恋仲になったことなんて一度もないだろ」
『大きくなったら、お父さんと結婚するって言った!』
「了承した覚えはねえ」
ヒカリとウブメの関係………それは親子。ウブメはヒカリが気紛れで育てた彼の義理の娘だ。
確かに小さい頃のウブメは結婚だの言っていたが、その後結局ヒカリが離れた後別の男とくっついてマナコを孕んだ。
まあ身ごもったのを知ると連絡切って姿をくらます珍しくもないクソ野郎だったから、見つけて殺すと決めているが。
と言うか神としての力を取り戻したヒカリがそう思った瞬間には同様のクズもろとも消え去っているだろうが。
彼女がそういう男に引っかかったのは、ヒカリが黙って彼女の前から姿を消したからというのもあるのだろう。
「………俺はお前を終わらせることは出来ない。そして、
互いの法則が干渉しあい、神は神へと人間以上の殺意を向ける。その本能を押さえつけ手を組んだ3柱は異常で、『光の神』の神軍は絶対的な力を持つ『光の神』が支配して尚殺し合いをしていた。
ただ、ウブメもまた例外。取り込み、産み直す権能を持つ彼女ならなるほど、あらゆるものを受け入れるだろう。
最も、ヒカリを彼女程度が産み直せたらの話だが。取り込む途中に彼女が消えて終わりだ。ヒカリとウブメにはそれだけの差がある。
『私、強くなったよ? もう、お父さんにも置いていかれないよ』
「俺はそれでも、お前より強いんだよ」
この言葉すら、気を使っている。お前よりも強い、なんて簡単な言葉で片がつくほど、ヒカリとウブメの差は小さくない。
本当に気まぐれなのだ。ヒカリ達にとって気づかぬ内に踏みつぶしてしまうような世界に住む小さな生き物。それを、我が子として育てるなど。
「弱体化していた俺でも、いずれお前から離れなきゃならなかったんだ。今の俺が、ホムラか輝夜以外といられるわけ無いだろ」
『誰その女!』
「…………ホムラは男だ」
なんかもう、面倒くさい。
その間にも銀河崩壊級の
ふと、ヒカリは抱えている隼人を思い出す。自分に触れていて、うっかり消えていないかと視線を向けるとルナビーストがゲシゲシ蹴っていた。
視線を向けなければ気付かなかったが、気付いた後は鬱陶しい。しかし、輝夜の毛先程度の存在であるルナビーストならば、なるほど漏れ出た力に当たっても平気だが、この男も無事とは。輝夜が何かを企むわけだ。
「おい、ガキ。起きろ………」
起きてさっさとこの場から逃がして………ヒカリがそこで思った瞬間、ルナビーストが慌てて離れる。
まるで何かに怯えるように。ヒカリは何も感じない。
何かが起きる予兆はなかった。あったなら、ヒカリは刹那の内に感じ取れる。それが攻撃なら、反射的に消し去っていたはずだ。
だが何かを起こすまもなく、ヒカリの左上半がこの世界から消え去った。
『お父さん!?』
「……………?」
痛みはない。体の感覚は
何だこれは? 熱も音もなく消し去った。自分の『
「────」
左腕に抱えられていた隼人は重力を無視してその場に浮き上がる。今度は感じた。いや、或は感じないと言ったほうが正しいか。
隼人を中心に
ヒカリはウブメを見ると手を伸ばす。ウブメが吹き飛ばされた。同時に、『世界の消滅』が膨れ上がった。
「…………何が起きた?」
球状にえぐり取られた空間の底で、ヒカリは隼人を見る。左半身が修復しない。いや、感覚的にはそもそも傷がついていない。
舌打ちして断面を消し飛ばす。今度はちゃんと治った。だが、違和感。
覚えがある。百年ほど前、ホムラとの喧嘩で腕を吹き飛ばされた時にも味わった、あの感覚………
「輝夜の奴、何を連れてきた」
此奴、此処で殺すか?
と、逃げたルナビーストが戻ってきた。牙を剥き出しに唸る。
「…………チッ」
もう一度舌打ち。ヒカリは周囲を見回す。
離れたところに何人かいる。人間を消さぬよう、あれは調整されていたのだろう。
意識もなかったのだ。アンデッドの自分に無意識の攻撃を当てるのは、世界の基準点である人間なら当然。
「その力、マナコに向けられそうになったら、その時は殺すぞ」
ヒカリはそう言うとその場から去る。神たる彼がそう望めば、偏在する。瞬間移動ともまた違う、結果的に見れば同じ移動方法で現在の拠点に戻ったのだ。
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