──っしゃオラァ! 今日のお仕事完了ゥ!!
見てるか全国の観測者ども! 鬼殺隊の
何、今日はヤケにハイテンションだなって? HAHAHA! ヤダなぁ、私は普段通りサ!! いや、割とマジで。
だってさぁ、多いんだよ。仕事がッ!
柱は最大九名。なので担当区域は当然九つ。でも現在柱は私含め四名。
という訳で、一人最低二区間を担当しなきゃいけない。それでも一区域余るので、そこは私とまこちゃんで分担している。槇寿郎さんは歳だし、新入りの行冥さんに任せるのも忍びないからね。
まぁ私の場合は三区域丸々任されてもなんとかなるんだけどさ……
調査? 知らん!
いやだって、ホントに凄いんよ。私の血の誘引力。
珠世さん曰く、先祖返りなのか何なのか……私の血は無惨と非常に近くて、鬼の身体に馴染むらしい。耀哉に至っては顔までそっくりみたいだし。(ちなみに耀哉はすっごく嫌そうな顔をしながら『千年も経ってるんだからもうほぼ血縁なんて有って無いようなものだろうに……』と吐き捨てていた)
おかげさまでわたしゃ鬼の
てなワケで今日も今日とて山を駆け回って四体ほど鬼を斬り捨て、やっとこさ帰宅です。ちなみにこのペースだと二週間で柱への昇格条件満たせちゃうんですが? どういうこったい。鬼は無惨と上弦しか増やせねぇ筈だろチクショウめ。いや流石に一日四体は珍しいけどさ。
うぇへへ、しっかし楽しみだなぁ……明日は久しぶりの休日。行冥さんと猫を愛でる日だ。
原作キャラとはもう何人も会ってるけど、感動は薄れない。私の中の『キャラクター』が『目の前で生きてる人間』になって、『私』を見てくれる。これほど嬉しいこともそうない。
そして何よりね! 行冥さんの場合は既に『曇らせ』のために『爪痕』を残す準備があるのですよ!!! これは大きい!
──などと考えながら歩いていたら、隣の錆兎くんに覗き込まれて声をかけられた。
「ご機嫌ですね、師範」
「……ん、顔に出てましたか? お恥ずかしい」
「……いえ、雰囲気でなんとなく」
「凄いですね……」
ヤバいヤバい。ニチャるのは内心だけにしなさい私。かぐやはミステリアスなクールキャラで通すと決めたでしょう。
錆兎くん、最近私の内面見抜けるようになってきたからね……気を付けないと。
「──ははっ。そんなに気を張らなくても良いじゃないですか。かぐや様の凛とした表情は素敵ですが、俺はもっと、師範の色んな表情が見てみたい」
「歯の浮くような台詞をスラスラと……どこで習ったんですかそんなもの」
「本心ですよ。俺自身の」
「…………初対面で乳を揉む助平のくせに」
「ゴッッは!? そッ、それを引き合いに出すのは反則では!?」
「まこちゃんに頼んで去勢してもらいましょうか……」
「勘弁してくださいッッ」
「全く……あまり師匠を揶揄わないように」
──でないと、最期まで手元に置いておきたくなっちゃうじゃあないですか。
錆兎くんは、厄徐の面で顔を隠しながら首肯した。
*
──仮面で顔を隠し、音に出さず『
……いや、世辞ではないが嘘は吐いたか。
『顔に出ていましたか?』
──綺麗な人だというのは、知っていた。しかしたったあれだけで印象が変わるのだから、美人というのは恐ろしい。
あぁそうだ。あの時珍しく、彼女は
それを『雰囲気でなんとなく分かった』などと言ったのは……『自覚させてしまったら、この
──だって、あんなに躊躇なく自傷する人を初めて見たのだ。
便利だからと、無感動な瞳で己の血を消費する彼女の姿は……もう、見たくないから。かぐや様には、自分が周囲に愛されているという自覚を持ってもらわなきゃいけないと思ったのだ。
……だから正直に、俺なりに、好意を伝えてみたつもりなのだが。効果は、あったのだろうか?
────互いに耳が赤くなっていたことは、仮面で隠れて見えなかったことにした。
*
明治コソコソ噂話
かぐやが対行冥用に準備しているのは、愈史郎の札らしいぞ。
全盲の行冥さんに自分の眼を貸し出して、忘れられない思い出を沢山作る気らしい。
『はいそうです、その札を額につけてもらって……後は私もつければ、行冥さんは私と同じものが見えるようになる筈です』
『──ふふ、そうでしょう? 突然白目を剥いた大柄な男性が泣き始めるのって、かなり衝撃的なんですから』
『そしてこの子がお待ちかね、〝猫〟の茶々丸くんです! どうです? 可愛いでしょう?』
『ここの毛が〝白〟 ここが〝茶〟でここが〝黒〟
三毛猫で男の子はとーっても珍しいんですよ?』
『──次は海を見に行きましょう。
そして秋になったら紅葉を、冬になったら雪原を、春になったら桜を見ましょう。まだまだ世界は色付いたばかりです!』
この時のかぐやは『どうせ誰も見てないやろ』と思ってめちゃくちゃニッコニコだったので、錆兎が見ていたらおそらく顎を外していたでしょう。
『守れなかった約束』は曇らせの定番。(じゅるり)