自らを『鱗滝さんの娘』と名乗った
──まず第一に、そもそも俺の身体がまだ『岩を斬れる状態』でないこと。
そして、どうすれば『その状態』に持って行けるのかを。
「とにかく肺を大きくすること。
彼女は『証拠を見せてあげる』と言うと、俺の試験に使われている岩を──片手で押して動かした。
その後、俺は岩を元の位置に戻そうと頑張ってみたけれど……両手で押しても、岩はビクともしなかった。
彼女の手足は細く、しなやかで──
「これが水の呼吸──全集中の呼吸を極めることで、得られる力」*1
逆に言うと、これができない限りいつまで経っても岩は斬れないということ。
そして、大抵鬼の首は岩より硬いというのだ。
「全集中の呼吸は『水の呼吸』以外にも流派があって、その人に合った流派を調べる方法もあるにはあるんだけど……ある程度以上鍛錬を積んでる人じゃないと、その方法は使えないの。
その点『水の呼吸』は比較的身体にかかる負担が小さいし、対応した
だから、『学んで無駄になることはない』と──なんだか『
「それは違うかな。私は炭治郎が一年半頑張ってきた分を、自覚できる形にしてあげてるだけだもん」
真菰さんは時々言うことがフワフワしている人だったが、基本的には合理的で──脳筋でもあった。
「──水の呼吸を、四六時中……!?」
「そ。それが、全集中の『常中』」
彼女には彼女の予定がある。真菰さんは毎日付きっきりで俺を見てくれるワケじゃない。
だから彼女は、鱗滝さんと同じように『課題』を残していくのだ。
──『できるまで、死ぬ気で鍛えて』と……そう言って。
常中訓練は、彼女に修行を見てもらうようになってから四ヶ月ほど経った時に提示された課題だ。
……そして、それが彼女からの最終課題だった。その日以来真菰さんは、俺の前に現れなくなった。
常中の習得は、最終課題だけあってキツく、達成までに時間もかかった。一ヶ月以上かかってしまった。
でもおかげで、あれほど『刃が立たなかった』岩は──難なく両断できるようになっていた。
そして、最終選別に至っては……初めて受ける『本物の殺意』に足が竦みこそしたけれど、対処できない相手は居なかった。
俺は最終選別を突破し、十人の同期と共に──鬼狩りとしての門出を迎えたのだった。
*
大正コソコソ噂話
同期の中に、カナヲはいないみたいだぞ。(アオイの最終選別に合わせて勝手に参加した。つまり無一郎の同期)
しのぶさんの『死んでしまったカナヲ以外の継子達』は原作カナエさんのお墓参り時に姿が見えず、炭治郎達の最終選別の前には死んでいるらしいことが言及されている。(カナヲが勝手に選別へ参加した理由が、身内が次々亡くなったことによる鬼への無意識な怒りの蓄積とされている)
今作のカナヲは正史より少しだけ感性が元に戻っていたので、アオイの護衛として、少し早く選別に参加していたらしい。