鬼殺しのかぐや姫   作:しやぶ

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(14)前田ァ!!

 

 ──蝶屋敷。機能回復訓練用道場にて。

 軽い柔軟を済ませた後、俺とカナヲさんは少し早めの鍛錬を始めていた。

 

「……私の負け」

 

 薬湯の入った湯呑みを頭に乗せたカナヲさんが、心なしかいつもより頬を緩ませて──そう宣言した。

 幾度もの敗北を重ねながらも、俺は遂に反射訓練での白星を挙げたのだ。

 

 ──その時だった。

 

「うむ! 良い試合だった!!」

 

「「わっっ」」

 

「あわわわ……」

 

 不意に発せられた称賛の声に驚いて、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 声の主が、想定外の第三者だったということもあるが……今はそれよりも。

 

「す、すみませんカナヲさん!」

 

「ん、気にしないで。元々そういう訓練だし。

 ──しかし、お早い到着ですね。()()()

 

「いやはや、驚かせてすまない!

 甘露寺の気が昂っていたからな! 日課の走り込み代わりに道中を走って来て、予定より大分早く着いてしまった!*1

 栗花落少女と竈門少年も、朝から精が出ているようで感心感心──ではあるのだが、『()()()()』は少しマズイな! 栗花落少女は風呂を浴びてくるといい!」

 

「……? ……では、お言葉に甘えて。お先に失礼します。

 ──炭治郎」

 

「あッ、はい!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()、返事をする。

 

「……?? ……次は負けないから。気を抜かずに鍛錬を続けること」

「──それは勿論。……です、ハイ

 

「…………それじゃ、またね」

「……はい。またいつか」

 

 それから彼女が退室したことを確認し──無意識に溜め込んでいた息を吐き出した。

 

「師匠、一応私も着いて行きましょうか?」

「そうだな、頼む」

 

 ……うん、その方が安全で良いだろう。

 おそらく『甘露寺』さんと思われる女性が、カナヲさんを追って外へ出て行く様子を……煉獄さんと二人で見送った。

 

 そうして、問いかける。

 

「あの、煉獄さん────隊服って、()()()()()ですよね?」

「あぁ。()()()、な」

 

 なのに何故か、薬湯で濡れたカナヲさんの隊服は……彼女の身体に()()()()()()()()()()()()()()()

 

「では、アレはどういう……」

「案ずるな。こういったことをやりそうな痴れ者なら一人、心当たりがある。可能な限り早急に、対処しておこう」

「……まさか以前にも、同じようなことが?」

「いや、同じではないな。()()()()()()()()()()()()()

 以前問題になった時は、直接露出の多い隊服を渡していたらしいからな……隊服を受け取った女性隊士側が返品して、担当を変えさせれば済んでいたのだが……」

「ということは、縫製係ですか。注意はされなかったんですか?」

「勿論した。以前俺と錆兎、胡蝶姉妹、後は不死川がそれぞれ別件で厳重注意を行なっている」

 

 ……支柱が五人も出張ったのか。思っていたより大事になっていたらしい。

 

「そこまでいくと、今までよく除隊になりませんでしたね……」

 

「……理由は二つ。

 一つは『本当に反省していると思っていたから』 注意して以降は、女性隊士にも注文通りの寸法で真面目に作っていたからな……。まさかあんな()()()()()してまで、女性の肌を晒そうとするとは……流石に想定外だった」

 

「──開発?」

 

「それが理由の二つ目だ。

 奴──前田まさおは、優秀な縫製係であると同時に……藤花彫り技師であり、鎹鴉の調教師であり──それらを可能とする、特殊素材を作成する化学者としての顔を持っている。

 放逐するには、些か惜しい」

 

「…………それは、困りましたね」

 

「そうだな。

 ──が、今はそれよりだ。丁度都合良く、栗花落少女と甘露寺が席を外してくれたワケだからな……()()()()()()()()()()()ことがある」

 

「……? はい、なんでしょう」

 

「実はだな──」

 

 

 『人を喰わない鬼は、禰豆子(キミの妹)以外にも存在する』

 

 

 疲労も寝不足も吹き飛ぶような、衝撃の事実が告げられた。

 

 

 

 *

 

 

 

 大正コソコソ噂話

 ゲスメガネが受けた厳重注意について。

 

 CASE1:かぐやの隊服(上着)を露出多めで提出。かぐやも(自分が着る分にはまぁ見られても減るもんじゃないし、攻撃は避ければ済むから別に構わないものの、他の女性隊士にもやるのは看過できないので)怒ろうと思ったが、それ以上に杏寿郎と錆兎がキレたので仲裁に回った。結果、『胸元の露出はさせない』と誓わせた。

 CASE2:『夏だから』と、姉妹揃って異様に丈が短い馬上袴を渡された。姉妹は隊服に油をかけて燃やした。『脚の露出もさせない』と誓わせた。

 CASE3:女性隊士にナンパをして困らせていたので、通りがかった実弥が凄んで止めさせた。『迷惑なナンパもしない』と誓わせた。

 

*1
『片羽の蝶』第三話『甘露寺蜜璃の隠し事』より、『恋の呼吸』は精神状態の影響を強く受ける呼吸であると判明している。この話の中で『恋心を捨てようとした』彼女は(過度な食事制限による弱体化も含まれていたとはいえ)雑魚鬼に敗北しかける程弱体化していた。このため杏寿郎は、蜜璃に関してのみ、体力よりも精神状態を比較的優先して稽古の内容を調整している。




 
 (一応明記しておきますと、)ゲスのスペックは『これくらいないとクビになってないのオカシイだろコイツ……』という筆者の独自解釈です。
 
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