『ぁぁあああ──アアアアアッッ!!!」
──目覚めた!! 生きてる!
「禰豆子! 大丈夫か!?」
起きる前、間近で血の臭いがしていたが……。
「ムー……」
──見たところ、傷は浅い。鬼の再生力で、もう塞がっている。
他の皆は……!?
「……縄?」
全員、手首に『
「繋がれた先に、
…………間違いない、細工がされてる。切られた時に眠らされたんだ。
そして見たところ、俺達以外の乗客に縄が結ばれている様子はない。──騙されているのか、脅されているのか、理由は分からないが……彼らは鬼の協力者とみていいだろう。
……夢の血鬼術。繋がれた縄。
日輪刀で断ち切ると、後遺症がありそうで怖いな。
「禰豆子、皆の縄も燃やしてくれるか?」
「むぅ!」
──焼却を確認。
その後すぐに起きたのは、案の定というべきか……車掌さん達だけだった。そして手に持った
……幸い、武術の心得のある人はいなかったから……鎮圧に苦労はしなかった。
…………一人を除いて。
「……どいてください。できるなら、手荒な真似はしたくありません」
「…………抵抗する気はないよ。ただ……」
「ただ?」
「僕も、気絶させてから行ってほしい」
「それは……どうして?」
「……キミの心に触れて……僕はいま、すごく穏やかな気持ちでいる。
──でも、
時間が経てば、平気で人を傷付けてしまえる自分に戻るかもしれないと思うと……怖いんだ」
「……そうやって、また逃げるんですか?」
「……ぇ?」
「貴方達の気持ちは、解ります。俺だって、ずっと幸せな夢をみていたかった。
──でも、どんなに辛くたって……前に進むしかないんです。目を背けても、
だから、逃げないでください。思考を止めないでください。
──でないと、いま残っている幸せも……この先手に入る筈だった幸福も……
「…………邪魔したね。
──『彼』は先頭車両に居るよ」
「……ありがとうございます。それでは」
「うん。頑張って。
…………こんなに暖かいのに、意外と厳しい面もあるんだね……キミは」
禰豆子を彼らの護衛として残し、俺は先頭車両に向かった。
*
大正コソコソ噂話
「──無意識領域に入るのはこれで二回目だけど、何……? 前の時と全然違う……人によって、こんなに変わるの……?」
燃える大地。灼熱の空気。
その空間に、女が立っていた。
女はブツブツと何事かを呟きながら彷徨い歩き──その途中で『赫い宝玉』をみとめると、立ち止まった。
「…………〝精神の核〟 見つけた……!
……色も違う。けど、どうでもいい……! これさえ壊せば──」
女は手に持っていた錐を振りかぶり、〝宝玉〟を粉砕せんとするが──。
その時、落雷が起こった。
「──っ!?」
「痛ッ、これは──何が起こってるの……!?」
空は暗雲に覆われ、土砂降りが始まる。
大地からの出火は止まり、霧が女を包んだ。
──そして、
「…………うそ。なんで、
霧は〝核〟をどこかへ隠し──代わりに女の視界へ入って来たのは、
「どうしてよッ!? 無意識領域に、人はいない筈で──」
少女は手に持った竹刀で女を打ちのめし、再び霧の中へと消えていった。
空には雨上がりの虹が出ていたが、誰の目にも映らない。
*
噂話2
甘露寺さんは、和食洋食中華に南蛮、ハイカラなスイーツだって頼めばなんでも出てくる食べ放題のお店で、『蛇を肩に乗せた男性』に見守られながら幸せに食事をする『夢』を見ていたらしいぞ。
無意識領域に侵入したのは車掌で、花畑を進んだ先に『緑と桜色が混じった宝玉』を見つけるが──現実世界でヘッドロック*1をキメられダウンしたらしいぞ。