鬼殺しのかぐや姫   作:しやぶ

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(15C)

 

『ぁぁあああ──アアアアアッッ!!!」

 

 ──目覚めた!! 生きてる!

 

「禰豆子! 大丈夫か!?」

 

 起きる前、間近で血の臭いがしていたが……。

 

「ムー……」

 

 ──見たところ、傷は浅い。鬼の再生力で、もう塞がっている。

 他の皆は……!?

 

「……縄?」

 

 全員、手首に『(うっす)ら鬼の臭いがする縄』が結ばれている。……俺の縄だけ焼き切れているが……コレはおそらく、禰豆子の血鬼術によるものだろう。

 

「繋がれた先に、()()()()()()()……そうだ切符!!」

 

 …………間違いない、細工がされてる。切られた時に眠らされたんだ。

 そして見たところ、俺達以外の乗客に縄が結ばれている様子はない。──騙されているのか、脅されているのか、理由は分からないが……彼らは鬼の協力者とみていいだろう。

 

 ……夢の血鬼術。繋がれた縄。

 日輪刀で断ち切ると、後遺症がありそうで怖いな。

 

「禰豆子、皆の縄も燃やしてくれるか?」

「むぅ!」

 

 ──焼却を確認。

 その後すぐに起きたのは、案の定というべきか……車掌さん達だけだった。そして手に持った(きり)状の刃物をこちらに向け──襲いかかってきた。

 

 ……幸い、武術の心得のある人はいなかったから……鎮圧に苦労はしなかった。

 …………一人を除いて。

 

「……どいてください。できるなら、手荒な真似はしたくありません」

「…………抵抗する気はないよ。ただ……」

「ただ?」

 

「僕も、気絶させてから行ってほしい」

 

「それは……どうして?」

 

「……キミの心に触れて……僕はいま、すごく穏やかな気持ちでいる。

 ──でも、()()()()()()()。また、心変わりするのが怖い。

 時間が経てば、平気で人を傷付けてしまえる自分に戻るかもしれないと思うと……怖いんだ」

 

「……そうやって、また逃げるんですか?」

 

「……ぇ?」

 

「貴方達の気持ちは、解ります。俺だって、ずっと幸せな夢をみていたかった。

 ──でも、どんなに辛くたって……前に進むしかないんです。目を背けても、()()()()()()()()。失ったものは戻ってこない。

 だから、逃げないでください。思考を止めないでください。

 ──でないと、いま残っている幸せも……この先手に入る筈だった幸福も……()()()()()()に、なってしまう」

 

「…………邪魔したね。

 ──『彼』は先頭車両に居るよ」

 

「……ありがとうございます。それでは」

 

「うん。頑張って。

 …………こんなに暖かいのに、意外と厳しい面もあるんだね……キミは」

 

 禰豆子を彼らの護衛として残し、俺は先頭車両に向かった。

 

 

 

 *

 

 

 

 大正コソコソ噂話

 

「──無意識領域に入るのはこれで二回目だけど、何……? 前の時と全然違う……人によって、こんなに変わるの……?」

 

 燃える大地。灼熱の空気。()()()()()()()

 

 その空間に、女が立っていた。

 女はブツブツと何事かを呟きながら彷徨い歩き──その途中で『赫い宝玉』をみとめると、立ち止まった。

 

「…………〝精神の核〟 見つけた……!

 ……色も違う。けど、どうでもいい……! これさえ壊せば──」

 

 女は手に持っていた錐を振りかぶり、〝宝玉〟を粉砕せんとするが──。

 

 

  その時、落雷が起こった。

 

 

「──っ!?」

 

 

 落雷(ソレ)は見事に錐を撃ち抜き、結果として女の武器を奪った。

 

「痛ッ、これは──何が起こってるの……!?」

 

 空は暗雲に覆われ、土砂降りが始まる。

 大地からの出火は止まり、霧が女を包んだ。

 

 ──そして、

 

 

「…………うそ。なんで、()()()()……!!」

 

 

 霧は〝核〟をどこかへ隠し──代わりに女の視界へ入って来たのは、()()()()()だった。

 

 

「どうしてよッ!? 無意識領域に、人はいない筈で──」

 

 

 少女は手に持った竹刀で女を打ちのめし、再び霧の中へと消えていった。

 

 空には雨上がりの虹が出ていたが、誰の目にも映らない。

 

 

 

 *

 

 

 

 噂話2

 

 甘露寺さんは、和食洋食中華に南蛮、ハイカラなスイーツだって頼めばなんでも出てくる食べ放題のお店で、『蛇を肩に乗せた男性』に見守られながら幸せに食事をする『夢』を見ていたらしいぞ。

 

 無意識領域に侵入したのは車掌で、花畑を進んだ先に『緑と桜色が混じった宝玉』を見つけるが──現実世界でヘッドロック*1をキメられダウンしたらしいぞ。

 

*1
正史で冨岡さんがしのぶさんにやっていたアレ

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