魘夢vs炭治郎の一回戦目は丸々カットです。(炭治郎の使用呼吸が常時ヒノカミ神楽になっていること、本来魘夢に施されていた『血』の増量強化がされていないという違いはあるものの……どう考えても結果は同じなので)
「……手ごたえが、無い?」
首を斬り終えてしまった鬼の身体を前に、思わずそう呟いた。
──本当に『下弦の壱』だったのだろうか? コイツは。
コレが『彼』より序列が上の鬼と言われても……正直信じ難い。
「──やるね」
「ッ」
背後──鬼の首が落ちていた辺りから声。やはりまだ終わっていない……!
「フフッ! そうそう『その顔』だ、そういう表情が見たかったんだよ俺は」
振り返ってみると、汽車の天井から肉柱が生え、鬼の首と結合していたことが分かる。
これは、一体……?
「どうして首を斬っても死なないか、知りたいよねぇ?
いいよぉ教えてあげる! いま俺は気分が高揚しているから!!」
「…………」
時間稼ぎか、嘘の情報で撹乱する気か……? いや、嘘の臭いはしない。まさか本当に『気分』で話しているのか……?
…………目的は不明だが、聞くだけ聞いておくことにしよう。
「簡単な話さ! キミが斬った
お前達がスヤスヤと眠っている間に──俺は
「なッ──」
「青
その通りだ! 今やこの汽車全体が俺の肉であり、骨であり──
──ねぇ、できる? 汽車の端から端までウジャウジャいる乗客全員を守りながら、俺の頸を探して断ち斬れる?
────答えは聞いてない!!」
「──くッ」
言うや否や、肉柱と『首だったもの』は天井に引っ込んで消えた。
──乗客を喰う気だ。
「善逸起きろ!! 起きてくれ!!! 列車全体が鬼になってる!! 俺と禰豆子だけじゃ、乗客を守り切れないッ!!」
この位置からでも声が届く可能性があるのは善逸だけだ。
俺と善逸が三両ずつ、禰豆子が二両。この配分なら伊之助か煉獄さん、甘露寺さんの誰かが起きるまで、なんとか持たせられる筈……!
──という予想は、
「ドラッシャアアア!!!」
雄叫びと共に、天井を突き破って現れる双剣を確認。
「──伊之助ッ!」
「そう、俺様だ!! 状況は把握してる!
「──え?」
促されるままに、伊之助が空けた穴から飛び降りて──驚愕した。
「霹靂一閃──六連」
善逸が、縦横無尽に駆け回り……車内に発生していた触手を三両分ほど斬り裂きながら合流したのだ。
「伊之助、楽しんでいる余裕はない。早くお前も護衛に復帰しろ」
「わーってらぁ。
──な?
「………………」
──え、誰??
正直『面白い』とか『頼もしい』とかの前に、困惑とか恐怖とかがくるんだけど。
「どーゆー理屈かは知らねぇが、コイツは
──あの時『山』で首無しを斬ったのは、
「────」
なるほど、そういうことか。
実際あの時善逸は、『伊之助を庇って意識が落ちた』と口にしていた。
──これが、彼本来の力。
善逸が強いことは知っていたが、まさかこれほどとは。
「炭治郎」
「な、なんだ?」
「──禰豆子ちゃんは、俺が守る。
お前は鬼の本体を斬りに行け」
「────。
あぁ、任せた。伊之助も、
「──おう!!!」
いける。今の俺達なら……!
向かうは再び、先頭車両。
鬼の臭いが、最も濃い場所だ。
*
大正コソコソ噂話
伊之助にとって炭治郎は『越えるべき踏み台』であり、『ほわほわする相手』であり、未だに『隊長』である。
なので夢に出てきた『子分』の中に彼はおらず、『列車型の怪物』の前に『そのままの姿』で倒れていた。
伊之助は子分と共に彼を助け、共に怪物と戦うことを望んでいたのだ。
*
噂話2
『煉獄家』『寝室』
敷かれている布団は一つ。枕は二つ。
そして『かぐや』が、布団の上で杏寿郎を待っていた。
「……うむ! コレはいかんな!!」
「……? どうしたんですか? 今日は本当に、様子が変ですよ?」
「
「……そうですか。もう、行くんですね」
「名残惜しいが、そろそろ戦局も動く頃だろう。柱である俺が、いつまでも寝ているワケにはいかない」
「……全く。分かっていた割に、本気で楽しんでいませんでしたか?」
「ハハハ、耳が痛い!」
「……
「勿論」
「──では、さようなら」
「今度は現実で会いましょう。かぐや様」
赤い刃が煌めき、燃える血潮が『寝室』を焼いた。