鬼殺しのかぐや姫   作:しやぶ

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(16C)

 

  破壊殺──

  炎の呼吸 伍ノ型──

 

(斬り落とした両腕が、再生している……! 頸が無くてもお構いなしとはッ。よもやこれだけの鬼気を放っておいて、イチ使い魔に過ぎぬとでも言うのか!?)

 

  滅式

  炎虎

 

 互いの技がぶつかり合い、突風が発生する。

 一つ、二つ、三つ──瞬く間に幾度も繰り返されるそれによって、杏寿郎と猗窩座を中心に、擬似的な嵐が吹き荒れる。

 

 蜜璃も援護に回ろうとするが……。

 

()()()甘露寺!! ()()()()()()()()!!」

「……ッ」

 

 攻撃を加えても意味がない以上、捨て身で暴れられたらどうなるか……先の『時間稼ぎ』で、彼女は身をもって知っている。

 知っているから、歯噛みして……傍観するしかない。徐々に負傷が増えていく師範を、見ていることしかできない。

 

 ──そこに遅れて到着した伊之助は、異次元と化している戦場を前に、一瞬だけ立ち竦むが……『あること』に気付くと、声を張り上げた。

 

「ギョロギョロ目ん玉!! ()()()()だ!! 前に戦った『首無し鬼』は、それで死んだ!!」

 

「……! ()()()()()!!」

 

「──ッ。待」

 

 

  恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風

 

 

 『待て』という制止の言葉は間に合わず、蜜璃は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 宙返りしながら放たれた蜜璃の斬撃は、確かに猗窩座の肉体を袈裟斬りにしたが……無情に、残酷なことに……一瞬で、その傷は再生した。

 

「──ぁ」

 

 

  破壊殺・終式 青銀乱散光

 

 

 『選択を間違えた』と気付いた時には、もう遅かった。

 全方位を粉砕する『百連撃』が、杏寿郎と蜜璃を襲う。

 

 

(マズイ、位置が……!!)

「──くッ!?」

 

 杏寿郎はすぐさま猗窩座に斬りかかり、彼の足を止めようと試みるが……。

 

(膝下が動かん……!!)

 

 終式により、杏寿郎は左目が潰れ……右膝の皿が割れていた。

 

「────。

 ……感謝するぞ、杏寿郎。貴様に追い詰められたからこそ、俺はこうして『一つ上の領域』に昇ることができた」

 

 遂に、猗窩座の頸が再生した。

 杏寿郎は行動不能。絶体絶命の危機。

 

 ……しかし猗窩座は杏寿郎に(トドメ)を刺さず、飛ばされた蜜璃の方へ足を向けた。

 

「──ッ。待て……!」

「……名残惜しいが、鬼狩りとしての貴様は既に死んでいる。死人に構うほど、俺は酔狂ではない」

 

「──逃げろ甘露寺!! 起きて走れッッ!!!」

 

 蜜璃は主に頭部を狙われており、顎を打たれて失神していた。

 

「「──っっ」」

 

「弱者が出しゃばるな。虫唾が走る」

 

 救出に走ろうとした善逸と伊之助は、片手間に放たれた『空式』により撃沈。猗窩座の歩みを止めるどころか、視線を逸らすことすらできずに倒れた。

 

「…………」

 

「破壊殺──」

 

「甘露寺ィィィ!!!」

 

 

 蜜璃の前で、猗窩座の腕が振り上げられ──

 

 

 

 *

 

 

 

『もうやめて』

 

 腕を振り下ろす直前、()()の声が聞こえた。

 

「……誰だ、お前は。()()()()

 

 何故邪魔をする?

 ……いや、どうでもいい。腕を掴まれたところで、俺の力なら振り払える。

 

 そうして、謎の声を無視して甘露寺を殺そうとした──その時だった。

 

 振り上げた腕に、()()()()()()

 

 ──夜明けだ。

 

「ア アァ ア ア ア゛ア゛ア゛……!!!」

 

 指が、拳が、焼け爛れて……崩れていく。

 頸の弱点を克服しても尚、日の光による傷は……未だ、致命傷になり得るらしい。

 

 ──だがまだだ。掲げた右腕は使い物にならなくなってしまったが、まだ左腕が残っている。

 

 甘露寺だけでも、殺してから──ッ!?

 

 

「させるかァァァ!!!」

 

 

  獣の呼吸 番外 投げ裂き

 

 

 咆哮と共に飛来した二刀の内一つに、左腕が落とされてしまった。

 断頭直後であることと、陽光に晒されたことによる、二重の弱体化を踏まえても──あんな弱者に、こんな刃毀れだらけの刀で──屈辱だ。

 

「小蝿風情が……ッ!!!」

 

「誰が『小蝿』だゴラァ!?

 俺は『嘴平(はしびら)伊之助(いのすけ)』様じゃい!!」

 

「嘴平伊之助、覚えたぞ……!! ──次は殺す」

 

 

 みっともなく捨て台詞を吐いて、近くの木陰から木陰へ跳ぶ。

 

 …………戦いはこうして、痛み分けに終わった。

 

 俺はまた、『女』を殺すことなく終わった。

 

 

 

 *

 

 

 

 大正無限噂話

 

「……ふん。柱でもない隊士に腕を落とされるとは、上弦の参も堕ちたものよな?

 ──と、言いたいところではあるが……()()()()()

 

「あの柱はもう戦えん。継子と耳飾りの底は知れた。充分だ。

 お前は私の失望を覆し、進化した。()()()()()()()()()()()()()()()()()、強くなった」

 

「お前には欠番としていた『弍』の数字と、それ相応の『血』をやろう」

 

 

「──()()()()()()ぞ? 猗窩座よ」

 

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