破壊殺──
炎の呼吸 伍ノ型──
(斬り落とした両腕が、再生している……! 頸が無くてもお構いなしとはッ。よもやこれだけの鬼気を放っておいて、イチ使い魔に過ぎぬとでも言うのか!?)
滅式
炎虎
互いの技がぶつかり合い、突風が発生する。
一つ、二つ、三つ──瞬く間に幾度も繰り返されるそれによって、杏寿郎と猗窩座を中心に、擬似的な嵐が吹き荒れる。
蜜璃も援護に回ろうとするが……。
「
「……ッ」
攻撃を加えても意味がない以上、捨て身で暴れられたらどうなるか……先の『時間稼ぎ』で、彼女は身をもって知っている。
知っているから、歯噛みして……傍観するしかない。徐々に負傷が増えていく師範を、見ていることしかできない。
──そこに遅れて到着した伊之助は、異次元と化している戦場を前に、一瞬だけ立ち竦むが……『あること』に気付くと、声を張り上げた。
「ギョロギョロ目ん玉!!
「……!
「──ッ。待」
恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風
『待て』という制止の言葉は間に合わず、蜜璃は
宙返りしながら放たれた蜜璃の斬撃は、確かに猗窩座の肉体を袈裟斬りにしたが……無情に、残酷なことに……一瞬で、その傷は再生した。
「──ぁ」
破壊殺・終式 青銀乱散光
『選択を間違えた』と気付いた時には、もう遅かった。
全方位を粉砕する『百連撃』が、杏寿郎と蜜璃を襲う。
(マズイ、位置が……!!)
「──くッ!?」
杏寿郎はすぐさま猗窩座に斬りかかり、彼の足を止めようと試みるが……。
(膝下が動かん……!!)
終式により、杏寿郎は左目が潰れ……右膝の皿が割れていた。
「────。
……感謝するぞ、杏寿郎。貴様に追い詰められたからこそ、俺はこうして『一つ上の領域』に昇ることができた」
遂に、猗窩座の頸が再生した。
杏寿郎は行動不能。絶体絶命の危機。
……しかし猗窩座は杏寿郎に
「──ッ。待て……!」
「……名残惜しいが、鬼狩りとしての貴様は既に死んでいる。死人に構うほど、俺は酔狂ではない」
「──逃げろ甘露寺!! 起きて走れッッ!!!」
蜜璃は主に頭部を狙われており、顎を打たれて失神していた。
「「──っっ」」
「弱者が出しゃばるな。虫唾が走る」
救出に走ろうとした善逸と伊之助は、片手間に放たれた『空式』により撃沈。猗窩座の歩みを止めるどころか、視線を逸らすことすらできずに倒れた。
「…………」
「破壊殺──」
「甘露寺ィィィ!!!」
蜜璃の前で、猗窩座の腕が振り上げられ──
*
腕を振り下ろす直前、
「……誰だ、お前は。
何故邪魔をする?
……いや、どうでもいい。腕を掴まれたところで、俺の力なら振り払える。
そうして、謎の声を無視して甘露寺を殺そうとした──その時だった。
振り上げた腕に、
──夜明けだ。
「ア アァ ア ア ア゛ア゛ア゛……!!!」
指が、拳が、焼け爛れて……崩れていく。
頸の弱点を克服しても尚、日の光による傷は……未だ、致命傷になり得るらしい。
──だがまだだ。掲げた右腕は使い物にならなくなってしまったが、まだ左腕が残っている。
甘露寺だけでも、殺してから──ッ!?
「させるかァァァ!!!」
獣の呼吸 番外 投げ裂き
咆哮と共に飛来した二刀の内一つに、左腕が落とされてしまった。
断頭直後であることと、陽光に晒されたことによる、二重の弱体化を踏まえても──あんな弱者に、こんな刃毀れだらけの刀で──屈辱だ。
「小蝿風情が……ッ!!!」
「誰が『小蝿』だゴラァ!?
俺は『
「嘴平伊之助、覚えたぞ……!! ──次は殺す」
みっともなく捨て台詞を吐いて、近くの木陰から木陰へ跳ぶ。
…………戦いはこうして、痛み分けに終わった。
俺はまた、『女』を殺すことなく終わった。
*
大正無限噂話
「……ふん。柱でもない隊士に腕を落とされるとは、上弦の参も堕ちたものよな?
──と、言いたいところではあるが……
「あの柱はもう戦えん。継子と耳飾りの底は知れた。充分だ。
お前は私の失望を覆し、進化した。
「お前には欠番としていた『弍』の数字と、それ相応の『血』をやろう」
「──