鬼殺しのかぐや姫   作:しやぶ

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第二十三話(B)

 

 ……遊郭での死闘が終わって、はや二ヶ月。長いこと昏睡していたから、あまり実感はないのだけれど……それはさておき。

 

 

 

 

 

 

お前にやる

 

刀は無い

 

 

 

 

 

 

 鋼鐵塚さんから、手紙が届いた。三枚。『()()』は、その内の一枚である。

 その他二枚には、紙面いっぱいに『ゆるさない』『呪う』『憎い』と何度も書かれていた。こわい。

 

 ……『かぐや様は、日輪刀を折ったことがない』

 

 鋼鐵塚さんは、同じ黒刀を発現させた俺にも『同じことができる筈』だと信じてくれていたが……俺はその期待を、裏切ってしまった。不甲斐ない。

 

 那田蜘蛛山の『彼』と、上弦の陸──妓夫太郎。

 彼らは強かった。俺一人では、とても太刀打ちできる相手じゃなかった。

 ……それでも、退くワケにはいかなくて。限界以上の成果を得るために、普段気にしていることを……諦めてしまった部分が沢山あって。

 その筆頭が『禰豆子の安全』であり、次点が『日輪刀の消耗』だった。

 

 

『……運が無いわね。折角いい腕してるのに──()()()()()()()()()だなんて』

 

『階級の問題かしら? アンタの担当、()()()()()()()()()でしょう』

 

 

 ……そのせいで、俺が無茶な戦い方をしてしまったせいで……刀は折れることこそなかったものの、一度の戦いで急激にボロボロとなり……鋼鐵塚さんが侮辱されてしまった。彼が怒るのも無理はない。

 

 しかし、いつまでも刀が届かないのは困る。刀が無いと、鬼殺隊士(俺達)は戦えない。

 

 ──というワケで俺は、刀鍛冶の里へ向かい、鋼鐵塚さんと直接会って話をすることにした。

 

「……思えば、()()()()()()()()だな……禰豆子」

「むー」

 

 出立前夜。日課の手紙を書く手を止め、妹に声をかける。

 

 ……蝶屋敷の看護婦である、なほちゃんとアオイさん。二人を強引に連れ去ろうとしていた宇髄さんを止めたことから始まった、遊郭での激闘。

 ()()()()()()()()()、完全に決着がついた後ではあったけれど……あの戦場には、蛇柱の伊黒さんも来てくれていた。

 支柱で唯一、徹頭徹尾俺と禰豆子の排斥派であった彼だが──。

 

 

『……もういい、わかった。

 …………俺も、()()()()()()()()

 

 

 禰豆子の力が『私とは別行動の方が組織にとって有益』と熱弁してくれたカナエさんと、光栄にも俺の力量を『柱の領域へ踏み入っている』と評してくれた宇髄さんの説得があり──伊黒さんが、俺と禰豆子を鬼殺隊の一員と認めてくれるようになった。

 ……ただ、その後宇髄さんから『甘露寺に感謝しておけよ』と耳打ちされたことを鑑みるに……俺の知らないところで、甘露寺さんの説得により……伊黒さんの中では既に、答えが出ていたのかもしれないが。*1

 

 ──水面下の話はさておき、これを契機にお館様から『()()()()()()()()()()()』と許可を貰うことができた。

 鎹鴉を使って今までの戦績と、『支柱の全会一致』という事実を周知させれば、誰も文句は言えないだろうとのことだ。

 

 というワケで、刀鍛冶の里へは俺と禰豆子の二人で行く。*2

 

 

 ──翌朝。

 

 

「竈門少年!!」

 

 

 蝶屋敷を出る直前、聞くだけで心が熱くなるような声がして……振り返る。

 

「──煉獄さん! 見送りに来てくれたんですか!?」

「うむ! ……最低限、身体は回復しているようだな!! 安心した!」

「はい! まだ鈍っている感覚はありますが、動けます!」

 

「里に着いたら、温泉に入るといい! 身体がほぐれる!」

「分かりました!」

 

 そうして俺と禰豆子は、刀鍛冶の里まで運ばれていった。

 

 ──それとこの時何故か、煉獄さんから『土産(みやげ)は多めに買っておくこと』をオススメされるのだが……これについては、また別のお話。

 

 

 

 *

 

 

 

 大正コソコソ噂話

 

 宇髄さんは正史同様焦りでとち狂い、なほちゃんとアオイさんを連れ去ろうとしていたところを炭治郎に止められている。

 そして炭治郎が『代わりに行く』というところも同様。

 上記のシーンはツッコミどころしかないが、だからこそ『この時の天元さんなら誘拐未遂するし、炭治郎なら自分が形式上〝要監視者〟だと知ってても、代わりに行こうとするだろうな……』という筆者の信頼から、そのままになっているぞ。

 

 相違点は、蝶屋敷にカナエが居たこと。(しのぶさんは正史同様不在)

 なので止められた後、その日の内に『一時的に監視役を天元が引き受ける』という形で許可を取っている。

 そして地味に、カナヲの引き止め方が『服を引っ張る』から『日輪刀の鯉口を切って振り向かせる』に変化してたりもする。

 

 戦闘に関する相違点は以下を参照。

 

 

『遊びはこのくらいにしとくかなぁ。

 ──お前の相手は、俺達じゃねぇからなぁぁ』

 

 

 宇髄さんは妓夫太郎との戦闘中、病葉に乱入されて離脱。

 その後妓夫太郎は炭治郎が、堕姫は善逸・伊之助が相手取り──真っ先に炭治郎が脱落。禰豆子が狂乱形態になって応戦*3し、伊之助が援護に回るも……敗北。*4

 善逸は堕姫の首を落とすものの……兄妹の不死性を知らず反撃を受け、重傷。

 

 

〝──コイツ、さっきやり合った柱より強くねぇかぁぁ?〟

 

 

 かまぼこ隊全滅のタイミングで、カナエ・カナヲが参戦。

 妓夫太郎をカナヲが、堕姫をカナエが対処。天元さんが戻ってくるまで持ち堪える。

 炭治郎はその猶予を使って善逸に応急手当てを施し、伊之助と共に潜伏するよう伝える。

 そして堕姫がカナエの日輪刀を奪い、勝利を確信した瞬間──善逸が『霹靂一閃・神速』で堕姫を急襲。伊之助がそれに合わせ、斬首。

 妓夫太郎には炭治郎が毒の苦無(クナイ)を投擲し、弱体化させた上で注意を引き──『譜面』が完成した天元さんとカナヲが斬首。決着。

 

 ──という流れだった。

 

 

 噂話2

 

 堕姫にとって『かぐや』は恩人の仇であり……故人である。彼女が産屋敷であったことは知らない。

 柱を探していたのは、単にやり場を無くした復讐心を『かぐやの親しい仲間・親族』へ向けるようになったからである。

 しかしその『変化』は無惨にとって好都合だったため、実はちょっとだけ心象が良くなり、劇中で一度様子を見に来た時に少量血を貰っていたりする。

 

 

 噂話3(お土産の忠告について)

 ヒント:かぐやは覚醒当初面会謝絶状態だったため、起きた姿を見たのはカナヲ・しのぶ・耀哉・杏寿郎の四名のみ。そしてメンタルが回復してすぐ、刀鍛冶の里へ向かった。

 

*1
いましがた彼が書いていたものは、彼女にその感謝を伝える手紙でもある。

*2
厳密には複数いる案内役の方に運んでもらうのだが、里の中に入ってからは二人なのでノーカン。

*3
炭治郎は堕姫相手に終始善戦していたので、これが初披露。

*4
原作ではこのシーンで『鬼の禰豆子に体力の限界はない』『怒りのまま、相手を粉砕するまで暴れ続ける』とされているが、無限列車で『爆血を使い過ぎると彼女は眠ってしまうため、乗客護衛戦は爪のみで行っている』と説明がある。格上の彼を相手に、禰豆子は血鬼術を出し惜しみできず……戦闘中に眠った。(一般人捕食未遂は発生せず。代わりに伊之助へ何度か攻撃を仕掛けていたので、炭治郎に狂乱形態の危険性は伝わっている)

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