東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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河童と山童みいつけた

 

一方、先に川へ向かった化野安曇一行。

駒草太夫、ネムノ、安曇の3人は遅れてくるはたてと椛を待ちながら山を下りていく。

ずーっと一人唸っていた安曇がついにずっと思っていたことを叫んだ。

 

「………………なんで老怪しか居ねぇんだよここ!」

 

「あ゙あ゙ん゙!?老いぼれ扱いは聞き捨てならんべ!」

 

「まったくこの若造ときたら……………」

 

「あのなぁ!俺はオオバみたいなお利口さんとはまったく違うからな!?そもそも俺は鞍馬天狗の集落に行きたかったってのに。大天狗の判断とはいえ、オオバの野郎が慧音先生とか妹紅ちゃんとか文ちゃんとかイイのどんどん先に取っていくのはまだしも。よりにもよって仲の良かった一千子を持ってかれる上に、せっかく俺のところにいたはたてちゃんも椛ちゃんもいなければ、余ってるのは熟女だけかよ!?」

 

「あんたいっぺん死んでみるべか!?」

 

「お前、時代が時代なら命ないぞ」

 

「あーあー、つまんねーの。だいたい………河童なんてどこにいんだよ。両生類になんか会いたくねぇよ気持ち悪い」

 

「やれやれ、どんどん敵を増やしていくねぇ………」

 

「河童なんてそこら辺で遊んでるさ。すぐに見つかるべ」

 

「いやいや、そんなすぐ見つかるわけ…………」

 

 

 

 

 

「─────これは河童のもんだい!」

 

「─────いや、これは山童のものだよ!」

 

 

 

 

 

「めちゃくちゃすぐそこにおったー」

「めちゃくちゃすぐそこにおったー」

「めちゃくちゃすぐそこにおったー」

 

 

 

 

 

3人の右の茂みの先で、なにやら四角いものを引っ張るように取り合っている2人の少女がいた。

その姿はさながらオモチャを取り合う子供のようだった。

 

「おや………あれは山童のたかねじゃあないか」

 

「それに河童のにとりまで。いっつも仲良くて結構だべ…………」

 

 

水色の服を着た緑の帽子とリュックサックが特徴の少女、そして迷彩服の少女がいる。

 

「え?河童?…………あれが?」

 

安曇は自分が思っていたのとだいぶ違う河童を見て困惑している。

 

 

 

「これは、百鬼丸様に謁見するための大事なものなんだ!山童なんかに渡してたまるかー!」

 

「いいや!こっちが先に見つけたものだよ!河童が勝手に盗み出したんだろう!」

 

 

 

「───────え!?」

「───────え!?」

「───────え!?」

 

 

 

その名前に3人は完全停止した。

 

 

「あいつらまさか、」

「鞍馬天狗と繋がりがあるべか!?」

「じゃあ敵だな、ブッ飛ばすぞ二人とも」

 

「む!?誰だ、覗き見なんて悪趣味な真似をするやつは!」

 

「まさかお前たちもこの箱を狙ってるわけか!」

 

 

にとりという少女のリュックサックから白い5本指の手袋をつけた巨大な金属製のアームが伸びてきた。その2本の鋼鉄の腕は茂みをかき分けて、3人の姿をあらわにしてしまった。

 

 

「よし、私たちの争いはあとだ、まずはあの3人をやっつけるぞ!」

 

「あぁそうだね!なんでネムノが混じっているのかはわからないけど、私たちのビジネスの邪魔をするやつは容赦しないよ!」

 

 

 

 

「ちょっと待て、誤解だ!」

 

「落ち着いてくんろ!話を………」

 

 

ネムノたちの静止はまるで耳にないらしい。

 

 

「問答無用だ!カタパルト展開!」

 

「こっちも至近距離射撃ミサイル・キューカンバー装填完了!」

 

 

2本のミサイルランチャーが同時に向けられる。

今まさにケンカしていた2人だが無駄に息が合う。

 

 

「くっ、やるしかないか………!」

 

「やれやれ、どうなるんだか………」

 

ネムノが中華包丁を構え、太夫も花札なんかを取り出して戦闘態勢を整えるその中で。

 

「下がってな、二人とも」

 

安曇が首を回しながら前に丸腰で出てくる。

 

「なんだって!?」

 

「お前は下がってろ。弾幕がないことには、彼女らには…………」

 

「なに、婆さんを守るのは孫息子のやる事だろ」

 

 

そう言って安曇は二人の前に出て法被をはたく。

中に着ていた着物がはだけて、細身ながらあの青葉よりも発達した筋肉を晒して戦う意志を全面に出す。

 

 

「この際だ、どっちの兵器のほうが強いか勝負だたかね!」

 

「望むところだ、見せてやる我々の大発明を!」

 

 

 

「喰らえー!!!」

「喰らえー!!!」

 

 

 

バシューーーン、と大きな音を立ててミサイルが2発発射される。

2発とも頭を安曇に向けて直進していく。

 

 

「安曇!」

 

「安曇!」

 

 

二人の叫びが響く中、安曇は涼しい顔をして直立不動。

 

にとりの放ったミサイルを回し蹴りで弾き返し、たかねのミサイルを裏拳で殴りつけて返した。

 

 

 

「うぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「うぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

河童と山童の驚愕はまだ早い。

 

安曇はさらに弾き返されて跳ね返る2発のミサイルを追いかけるように走り、それを掴んで両方とも一気に投げとばした。

 

 

 

安曇にはなんの雄叫びも掛け声もない。無言でこの離れ業をやってのけた。

 

2発のミサイルはにとりとたかねの背後の草むらへと飛んでいき、ズドォォォォォォンと大爆発を起こした。

 

 

 

「な……………」

「な……………」

 

 

 

太夫とネムノは凍結したように固まっているが、安曇はさらに走り出す。

にとりとたかねの間を走り抜けると、草むらの中へ飛びてこんでいき、何かを4人の間へ投げ飛ばした。

 

一つの影がドサリと倒れる。

 

黒焦げになっているが、それは甲冑を着て羽が生えた何かしらの生き物だった。

 

 

 

「鞍馬天狗、こいつじゃねぇのか」

 

そう。安曇には、にとりとたかねの存在は眼中になかった。始めからコソコソと奥にいるこの生物しか見えておらず、たまたまミサイルがいい感じに飛んできたのでそれを利用して捕まえようとしただけだった。

 

「……………………へ?」

「……………………へ?」

 

二人の河童は顔を見合わせている。

 

 

 

「グゥ…………ウゥ……………」

 

「よし、縛り上げんぞ。こいつから情報洗いざらい吐き出させようぜ」

 

安曇はいつの間に取り出したのか縄で黒焦げになった人物の手足を一瞬で縛り上げると担ぎ上げた。

 

「お、ちょうどいいなそこのお前ら、この辺に河童の集落とかないか?じっくりこいつと話をさせてほしいんだ」

 

 

「あ…………あぁ、いいともいいとも!河童の集落なら、私が案内しよう…………!」

 

「なッ………なら、山童の里に来てよ!河童の里よりもずっと治安がいいよ!」

 

「なんだって!?相手はこっちのほうを探しているんだぞ!人の話を聞け!」

 

「河童はどいつもこいつも悪人しかいないからおしえてあげただけさ!」

 

 

「ぐぬぬぬぬぬぅぅ……………!!」

「ぐぬぬぬぬぬぅぅ……………!!」

 

 

いつまでも競り合っている二人の横で安曇は張り詰めた顔で地面を柄杓でガゴーン、と叩いた。

ビクッ!とその重圧にふたりは喧嘩を止めてしまった。

 

「は、ははっ…………河童の集落はこっちだよ〜!ついてきて!」

 

「しょ、しょうがないな………今回は譲ってあげるよ………でも気をつけてね?河童って言うのは詐欺師ばかりだから」

 

先へ行くにとりとたかねをよそに安曇は無言でついていく。

 

 

「────だいぶ、印象変わるねぇ…………」

「────まったくだべ。頼りになるもんだ、」

 

 

2人顔を見合わせ、劇的な豹変を見せる安曇に驚きながら、遅れてネムノと山如はついていくのであった。

 

 

 

 

 

「……………へぇ。あれがあの有名な鳥辺の屋ね………これは確かに、凄まじい商売オーラを感じるわ!龍だけに持たせておくのはもったいないもの!私も彼の力にあやかりましょう!」

 

 

そして、その様子を見ていた人物がここにもいたということは内緒の話だ。

 

 

 





駒草 山如(こまくさ さんにょ)

妖怪の山で賭場を開く山女郎の胴元。
いづな旅館が作られて以来は賭場をそこに定期で開催していて、実は飯空Projectの恩恵を最も強く受けている人物。紫の髪と銀の煙管が特徴。
どこか妖艶な印象を思わせる若い奥方だが中身はかなりの歳月を生きている。
邪気のない純粋な子供が大好きで、隙あらばタイプな男である青葉を取って食べようとしているが慧音と妹紅による防御が固くて不用意に近づけないらしい。
結局青葉とはなかなか一緒にしてもらえず代わりに化野安曇を並べられる事になるが、最初は可愛げのなかった化野と徐々に良好な関係を築いていくことになる。
同じ子供好きの妖怪として山姥のネムノとは大の仲良し。





坂田ネムノ(さかた ねむの)

幻想郷で最も料理が得意な山姥。
飯空Projectに協力していづな旅館とは関わりを持っているが、人の多い場所をあまり好まない。
怒らせると恐ろしい上に、厳格な母であるため恐れをなすものも多いが実際は心優しく人思いな妖怪であり普段の危険度は極めて低く友好的。
ただしひとたび縄張りを侵し逆鱗に触れればその巨大な包丁が飛んでくることになる。
礼儀正しい青葉の事はかなり気に入っているようだが無頼漢で無愛想な化野に対してはかなり厳しいく接する。とはいえ、化野のバカ孫感も嫌いではないそう。
山如とは子供好きどうし、仲良くやっているようだ。
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