東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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ドリームジャンボお土産ショップ

 

 

「あやや〜!ミケさんではないですか!」

 

 

文がその少女に手を振る。

猫のような姿をした少女は文の顔をみると嬉しそうにする。

 

 

「彼女は?」

 

「妖怪の山では珍しいよろず屋って所ですかね?」

 

「ははぁ………」

 

「お客さ〜ん、お土産をお求めかな?なら、後でじっくりお話してあげるから!」

 

「というわけで先ほど申し上げた通り、みなさんにはここでちょっとしたゲームをしていただき、温泉旅行を楽しんでいただきたいと思います!」

 

 

勝手に話を進めよる。

だが、天狗というのはだいたいこんなノリだ………

 

 

 

 

 

「というわけで、まずはこのお店の中から商品を3つ選んでいただきます。最も安いお買い上げをしていただいた方には特別賞が贈られます!」

 

「?それは実際に買うのか?」

 

「もちろんです」

 

 

もちろんですじゃないぞ。普通にそれお前たちの利益になるんだぞ。

ゲームとか語っといて実際はただ単に金儲けしているだけではないか!

 

 

「ウチには貴重な商品がいっぱい並んでるよ〜?欲しいもの、どんどん買って帰ってね!」

 

「制限時間は10分!では、スタートです!」

 

 

お前ら絶対グルだろ─────!!!!!

 

 

「おい待て、それより勝ったやつに贈られる優勝賞品ってなんだ?」

 

 

ここで妹紅がちょっとした質問をする。

 

 

「お?気になりますか?仕方ないですね〜、では、とっておきの商品お見せしましょう!」

 

 

文は畳まれた白いシャツと黒のスカートのセットと、天狗の頭巾がセットになったものを差し出してきた。

 

 

「当店自慢の、【だれでも射命丸文コスセット】ですにゃー!」

 

 

イラネェェェェェェェェェッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、私たちは嫌々、商品物色に回るのだった。

 

 

「慧音!見てこれ!この店、布系のお土産どれも綺麗だよ!うわぁ、迷うな〜。手ぬぐいもあるし、着物もあるのか…………靴下なんて持って帰ったら鈴仙ちゃん喜ぶかな」

 

「私は子供たちにお菓子でも買って帰ろうかな」

 

 

 

私と妹紅が立ち止まっている間に、青葉は色々見てきたようだ。

向こうから楽しそうに帰ってきた。

 

 

「二人とも!見てこれ!色んな形の型抜きがあるよ!海苔専用の!これで色んな料理に海苔を被せられるよ!」

 

「………………それは、良かったな」

 

「こんなのどこでも買えるし意味ないだろ………海苔なんて型抜きや包丁がなくても手で破けるじゃん」

 

「加熱して少しだけ溶かした箱チーズの上に、炙った海苔を重ねて、海苔とチーズの間に間におろした山葵を挟むとすごく美味しいんだよ。薄切りチーズ用の型抜きも一緒に買っておいたら色んな形のチーズ海苔が作れそうだ!俺は山葵を間に挟むのが好きだけど、練りつぶした梅干しとかでもおいしいよ。今度寺子屋の子たちのためにたくさん作りたいし、あとで買っておこうかな〜。色んな形あった方がみんな嬉しいだろうし」

 

 

「……………………お前の感性は皆目わからん、」

 

 

「そっかー………クッキーの型を見ていた女の子が二人いてね。その子たちとお話しして結構盛り上がったのになぁ………慧音さん料理作るの得意だから分かり合えると思っていたのに」

 

「まーた女拾って…………」

 

「珍しい子だったよ。人間なのに洋服着ていたんだよ。一人は黒い帽子に白シャツ着てて、もう一人は紫のワンピース着てたんだけど、礼儀正しい子だったよ。俺と顔が合うなり挨拶してくれたんだ」

 

「はいはい女の話は終わりださっさと買うもん探してこい」

 

「そうだった、観賞用の植物がいっぱいあったからもうちょっと見てくるね」

 

 

やっぱりこの男の趣味はわからん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、皆さんの商品を確認いたします〜!」

 

 

というわけでゲームが終了した。

 

 

「しまった…………調子に乗りすぎてめちゃくちゃ高い風呂敷とか靴下とか色々買っちまった、」

 

「妹紅さん、3つと言ったはずなんですがなんで8つもお買い上げに?」

 

 

妹紅の金額は3種類のお菓子の箱を買った私の支払いの十倍以上になっていた。

 

 

「ホムホム、今のところ青いキミが一番お安いお金になりましたにゃ。それで、あと一人は………?」

 

「慧音、オオバ見たか?」

 

「いや………まだ、」

 

 

さっき海苔の型抜きにあれだけ興奮していたわりには帰りが遅い。

まぁ、あんなものに心を惹かれているなら欲しいもの色々と見つかったのだろうな。

真面目な青葉のことだ。欲しいと思った全ての商品の金額を確かめて一番安い組み合わせを考えているに違いない。

 

 

 

 

 

 

「おまたせー!」

 

 

青葉が遅れてやってきた。

だがしかし、私は口をあんぐりした。

 

 

なんと、青葉はなんと手ぶらで帰ってきたのだ!

 

 

「オオバ!?お前商品はどうした!?」

 

「え?何も買ってないよ?」

 

「ハァイッ!?」

 

 

すると青葉は私ですら惚れかけるぐらいに最ッ高に男前な顔をしてこう言うのだった。

 

 

「ははっ。競技に参加したらその時点で【この服を押しつけられる可能性が1ミリでも増える】ってことじゃないか。だったら失格負けになったほうが安全でしょう?」

 

「青葉さん、私は悲しいですよ」

 

 

 

────────言い得て妙だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルールを守らない悪い子な青葉さんには罰として強制的にこちらの射命丸文コスセットをお渡しいたします」

 

「すみませんでした」

 

 

いやいや………優勝賞品という趣旨が…………

 

 

「お二人もどうかにゃ?私服バージョンだけじゃなくて、潜入用のキャスケット文コスもあるよ?」

 

「だからいらないと言ってるだろ」

 

 

「あっ!俺それがいい!それにして欲しい!」

 

 

お前は何を言ってるんだ!?

 

 

「はい!これで私と青葉さんはペアルックになりましたとさ!」

 

「やったぁ!この服ならどこへでも行けそうだよ!せーのっ、はい、」

 

 

文が青葉の掛け声に合わせ、慌ててカメラを自分たちの方向に向ける。

 

 

「あやや〜!!!」

「あやや〜!!!」

 

 

肩を寄せ合って二人左右でピース!

 

パシャ。

 

仲良すぎだろお前ら。

あと、青葉似合ってるの腹立つな。

 

 

「むーっ!いい取材ができました!青葉さんのノリの良さ、蓬莱人の貴重なスカート姿、慧音さんの衣装センス、これはいい新聞になりそうです!」

 

「私のファッションセンスの事を書いたらプライバシーの侵害でいかなる措置も取るから覚悟しろ!」

 

「はい、覚悟しときます」

 

「覚悟しなくていいから書くな」

 

「というわけで私は今から帰還して記事に起こしてきます、みなさんご協力ありがとうございましたー!青葉さん、今回の取材で貴方にもっと興味が湧いてきましたよ〜。また色々聞きたいと思うのでその時はよろしくお願いしますね!」

 

 

文は翼をはためかせて空高く飛び上がる。

 

 

「あっ!待て!!!」

 

 

私は勝手に飛び去ろうとする文を呼び止めようとしたがもう間に合わない。この高さは聞こえな─────

 

 

「ちょっと待ってくれ!!!」

 

 

次の瞬間、青葉が猛烈に高い跳躍を見せて、建物より高い場所にいる文の脚を掴んだ。

 

 

「アヤーッ!!!墜落しちゃいますー!!!」

 

 

文はあれでも怪我をしているので青葉に掴まれて飛べるはずもなかった。

ズガーン、と地面に落下する。

 

青葉がこんな無茶をして呼び止めるとは…………

 

 

「文さん…………謝礼がまだだ、取引だぞこれは。約束が違う、」

 

 

しっかりしてるなこの男……………

 

 

「うぅ、覚えていましたか。そうですね…………謝礼…………」

 

「考えられないなら俺が言うね。お昼ご飯。御湯殿いづなのオススメグルメスポットご馳走して」

 

「ううっ……………いま金欠なのに……………」

 

「そーなんだ。ふーん、」

 

「あやーっ!わかりましたよもー!オススメグルメスポット、紹介しますからついてきてください!」

 

 

文はトボトボと歩き始めた。

─────急に元気なさすぎだろ。

 

 

「さ、行こうよ。もういい時間でしょ」

 

「ナイスだオオバ!ちょうど腹が減っていたところだったんだよ!」

 

「ミケさんもありがとう。おかげでいい買い物ができたよ」

 

 

お前、何も買ってないだろう。

 

 

「もぅ、まったく。ズルに付き合うのは今回だけですからにゃ?」

 

 

ミケは2つの袋を青葉に手渡す。

なるほど、ゲーム終了前に私たちがここへ来る前にはもう買い物は済んでいたわけか。今回は彼が一枚上手だった。

 

 

「またのお越しをお待ちしておりますにゃ!朝と夜までずっとやっているから、また来てくださいにゃ〜!」

 

 

ミケは手と尻尾を振って見送ってくれた。

私たちも手を振って招きねこを後にした。

 

 

 

 

 

「……………………あの少年、どうなってんだろ。良くわからないけど、私よりも縁起の良さに満ちている者がいるなんてにゃぁ」

 

 

 

 

私たちの温泉旅行はまだ始まったばかり。

 

 

 

 

裏を返せば、これぐらいのカオスな時間がまだ続くということだ……………

 

 

 

───────疲れを癒すための温泉旅行がこんなにも疲れるものだとは…………

 

 

 

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