東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅 作:マジカル赤褐色
悪霊復権
よう。突然だが…………国を興すには何が必要か知ってるか?
言ってみろよ、お前にとって………国になくてはならない概念っつーの?
そういうモンをさ。
あぁ………なるほど、お前はそう思うのか。
んじゃ次の俺の番な。
────俺はこの時のために、準備を進めてきた。
俺らの幹部たちがただの上級戦力だとでも思ってたのか?
アイツラはな、俺が国を興すための重要な【機関】だったんだよ。
まず、国には【主権】ってのが要るよな?
要はこの国を動かす原動力………それがこの【俺】だ。
俺の指、指示一つで俺の国は動き出す。
俺の独裁じゃあなくて、そこに住まう民たちのためのな。
民の意見を俺が聞き入れ、俺がこの手で国を変えて民を支える…………そんな国を、俺は目指す。
だが国を作って俺が椅子に座った所で何の意味もない。
俺が民を統率するためには守るべきルールが必要だった。
仲間同士で傷つけ合わねぇ、俺に逆らわねぇ、いかなる犯罪行為も犯さねぇ…………
そんな【律令】を司るのが【モーガン】だった。
俺はしょせん、ただの王。
国の政はアイツが受け持っていた………俺ほどの情熱と行動力がなかったから、想いだけはいっちょまえの俺とは相性が良かった。
王が上に立ち、ルールができた。
次は何が必要だ?
あぁ、お前の言う通りだ。
そうだな、【領土】が必要だった。土地がねぇんじゃ国は作れない。
だから俺は【
それがまさかあんな事になるとは夢想だにしてなかったが。
国境のある土地を作り、ルールをつくり、王が立つ。国民・領土・主権っていうよな?
これで定義上では国が成立したってこった。
だが俺は怠らねぇぞ。
次は国の内側を守るための【警察】を作った。
【
国の内側からの崩壊を防いだ次は外からの攻撃に備えるんだ。【防衛庁】だな。
そのための【お禅】だよ。
ヤツがいる限り、この国は無敵のはずだった。
そして、あとは他の国との関わりだ。
【外交】なくしちゃ国は発展しねぇ。
幻想郷の種族様たちと手を取り合うためにも、【
そしてあの人間どもを消し去るために【軍隊】が必要だよな?
【
幻想郷の連中の行動速度を甘く見ていたっつーわけだ。
そして最後に─────俺を表に、この国を裏から牛耳る【代官】が必要だった。
ヤツの名は【
アイツがいねぇと何もかもが回らねぇ。
さしずめ、俺ら幻想郷獣国同盟の要石といったところか。
こんな有能な仲間がいるんだ、俺は上手くいくと思っていた。
だが…………現実はそう甘くない。
反獣国同盟とかいうのが幻想郷のヒョッコリさん共で組まれていた。
今まで顔を出してこなかったような女どもが一斉に力をつけてな。
そして……………各地で俺の部下どもをぶっ倒して回るという剣士…………神門青葉。
そりゃあなぁ、一瞬ででもブチ殺してやりてぇところだがそれができねぇに困ったワケがある。
あの野郎が持っているんだよ。
俺らの国を築くための…………「最後の鍵」をな。
それをやつが持っている以上不用意に危害を加えられねぇ。
だから…………ヤツは社会的に抹殺する。
アイツから鍵を奪い取るんじゃねぇ、アイツが鍵を手放すように仕向けりゃあいい。
…………だが、どうすんだ?
殺さないようにアイツを消す方法…………
鍵と神門青葉を離すことさえできりゃあそれでいい。問題はその方法………………
そう思っていたんだ。
そしたら都合が良すぎることに来ちまったんだよ。
新しい…………この為に使えそうな駒がな。
「人斬りワーハクタク」がな。
────────妙だな。
幻想郷が、悲鳴をあげるなど…………どういう事だ?
何が起きている。
…………私には、計り知れぬことだし、どうでもよいことだが。
「お眠りのところ、失礼するよ〜」
……………………なんだおまえは。
「やっぱりそこにいたか………博麗神社の中に、打開策はあった」
「ちょっと!ヒトの神社をゴソゴソ開けて何するのよ!てか誰よあんた!」
「止まりなさい。いかに博麗の巫女と言えども、神綺様の御半身に触れさせはしないわ」
「あんたはもっと誰なのよ!」
「はじめまして。俺は魔界の偉い人、そっちは夢子。魔界からやってきた」
「私よりその寂れたお堂に挨拶先にするんか!?」
騒がしい者共だ……………寝起きものの前で音を立てるな。起きたくなくなる。
「かつて封印………いや、眠りについたか?まぁいい、こんなお堂に隠居したとされている全幻想郷にその名を轟かせた鏖魔。その封印がついに解かれたってわけ。博麗の巫女も勿体無いねぇ、こんな大物をこんな残念なお堂に住まわせるなんて礼儀知らずな女の子だよ………」
「よし、ぶっ飛ばすわあんたら。うちに勝手に入って勝手に敷地外の私も知らないようなお堂を見つけて勝手に扉開けては嫌味ったれ。どんなたち悪い妖怪かは知らないけど、生き埋めにされる覚悟はあるようね」
「いいの?そんなことしちゃったら、この幻想郷は終わりを告げる、君のやるべき事はここを守ることじゃなくて?」
「誰が異変解決の生業よ。うちはただの巫女なんですけど〜?」
「失礼。ストレス発散で暴れていただけだったわね。たしかに貴女に民を異変の危機から救い出すなんて殊勝な心がけはなかったわね」
「うるさーい!」
こんな茶番劇を見せられるために私は起こされたというのか?
「すまないね。本題はここからだよ、知っての通りここは君の知っている世界とは何もかもが違う。このお堂も、君が眠っている博麗神社のものではない。だが、神社の外れにあるぽつんと一つの不思議なお堂…………これが君を別の幻想郷へ呼び寄せるための触媒になるんだよ」
ふむ……………
「何を納得してるのよ!てかあんたは姿を見せなさいよ!」
「静かになさい、それは神羅の交渉次第なのだから」
今さら魔界の神の………しかもその半分がこの場に何の用だ。
「俺たちの魔界を襲撃したのは【その君】で間違いない。一度は我々は刃を交えて戦いをした身だ。魔界のことなど、今さらどうでも良いだろうが………君にはそれ以上にここに力を貸す理由が提出できる」
ほう、言ってみせよ。
「これは【霧雨魔理沙】の頼みだ。「彼女の恩人と、博麗霊夢の2人を助けてやれ」と」
──────────なに………?
「君が眠っている間にもこの世界の霧雨魔理沙は数多くの旅をしてきた。その中で彼女は霊夢とは一心同体の存在。彼女にとってなくてはならない存在だ。そこにいる、偉そうな巫女がね」
「カッチーン………」
「落ち着きなさい」
それで。私は何をすればいい?
博麗霊夢、お前が答えろ。お前は私に、何を欲する。
「さっ、どうぞ。幻想郷は君次第だ。異世界から【違法な助け】を借りてでも幻想郷を救うのか、それとも自分の力で正々堂々と助けるのか。ただし、神門青葉は連続殺人で投獄中。そのうち牢獄で死ぬだろう。となると、君に頼れる対獣人の戦力はない。だから…………君が頼れる最大の仲間を頼るしかないんだよ」
「…………………………………………………私は、幻想郷を守る。この土地に生きた、人間、妖怪………神々、そのすべてが今危機にさらされている。それを紫に託されたときは嫌気が差しまくったけど…………まして幻想郷でもない魔界の連中からもこんだけお膳立てされといて、私が断る勇気はないわ」
ほう、大したものね。
なら、それは私にお願いします、と言うわけか。
「─────えぇ、頼むわ。幻想郷を守るために、力を貸して!」
はははははははははは!!!!!
いいだろう、なら叫べ博麗霊夢、博麗の名を継ぐ者よ!
奇しくもあの女と同じ名前か………これはなんの因果か。
子孫………いや、そうか並行世界か!!!
そうかそうか!お前はこの世界の【博麗靈夢】なのだな!!!
あっはっは!おもろしくなってきたわ!
そうと決まればこんな古くされた小屋など突き破って外に出てくれる。
博麗霊夢、報酬はこの堂の改築で手を打ってやろう、
「はぁ!?そんなお金な─────」
「オッケー!」
「はいいいいいぃぃぃぃぃ!?」
「目覚めよ、彼方なる幻想の魔王よ!!!たとえ異なる幻想なれどその魂は今ここにあり!汝の名はサキュバス!否………これは大陸での呼称を英名に翻訳したものに過ぎんか、まぁいいどのみち破壊神は破壊神だ、気に入らないのなら、汝の名を告げよ!!!この神羅、お前を取り巻く【世界の境界】、斬り裂いて入れてくれる!」
「良いだろう!我が名は【魅魔】!!!全人類への復讐を為さんとする、復活の悪霊なり!!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
東方編史帖〜約束の幻想郷
帰路の記憶
◇ ◇ ◇ ◇ ◇