東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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「藤原妹紅と上白沢慧音の、たのしいたのしいシルエットクイズ!正解は、爾子田里乃だ!」

「いや、いつクイズ始まっていたんだ!?」

「次回もお楽しみに!」

「もうこんなネタ回になってちゃんと続くのか!?」


アリス救出作戦

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「がへぇ!!」

 

空高く打ち上げられた男たちが一斉に地面にうちつけられてのびてしまった。

 

「いっえぇ…………なんだよぉ、こんなに強いなんて聞いてねぇよぉ…………」

 

「なんだよ…………何者だよこの女…………」

 

あまりの高さからの落下で骨が折れたのか、ほふく前進で苦しそうに逃げようとする男たち。

 

「──────ふん。人間の里に物騒な男どもが湧いて出る、っていう話は聞いていたけど。まさかここに顔を出すとは良い度胸じゃない。誰の許しを得て…………いや、何様のつもりで、私の花畑(シマ)を荒らしに来たのかしら」

 

背の高い、黄緑色の髪の女が倒れている男の背中を踏みつける。

 

「う、うぅぅぐぅぅぅ…………!!」

 

「聞いてる?ほら、立ちなさい。この程度でくたばられたら困るから。ここにわざわざ踏み込むなんて蛮勇は称賛に値するわ。貴方たちが乱暴に踏みつけて、折れた花の茎の数の2倍ぶん、貴方たちの骨を折り曲げてあげる」

 

女は手にした傘で追い討ちするように立てない相手を殴り付けたり、蹴りつけたり、勢いよく全体重で飛び乗ったり。

静かな怒りを持った暴力で、女は男たちを蹂躙していく。

動けない弱い相手にも容赦はしない。

 

「弱いものいじめ、だなんて言わせないから。弱者は強者に力で捩じ伏せられるのが道理。まして、無断で人の縄張りを荒らした責任(ツケ)は、たかが指詰め程度のケジメでは済まされないと思い知れ…………」

 

女は太陽のように光輝く向日葵畑の真ん中で、ただ一人、禍々しい煌めきのままに、向日葵を踏みつけながら無我夢中で逃げていたと思われる泥棒らしき男たちを袋叩きにする。

そこにあるのは、狂気か、正義か。

 

 

 

あるいは─────花への静かな情愛か。

 

 

 

 

 

─────華は満開の向日葵畑の中で嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、もうすぐ着くぜ」

 

「ここを抜けた先が、俺たちの小屋だ」

 

アリスを強引に連れ去った男たちが、二度と逃走しないように彼女を取り囲みながら進んでいく。

警戒しているからか、進みが妙に遅い。

 

 

 

「ん?おい、あれは…………」

 

男たちが歩いている先に、木でできたカウンターテーブルが一台置いてある。そこに、一人の少女が座っていた。

 

「なんだ、あのガキは」

 

「さぁな。飲み物でも売ってるんじゃね?」

 

男たちは顔を見合せる。

さっきはこんなの居なかったような気がしたからだ。

だが、違和感はすぐに気のせいだろうと払拭された。

こんな小さな女の子に気付くはずもない。

 

「おい、こんなとこでなにしてんだ?」

 

一人が少女に話しかける。

 

「え?貴女……………」

 

アリスが少女の顔を見て何か言いたげな表情をする。

 

「ここで美味しいジュースを売ってるんです。お母さんはもう少し先でフルーツ集めに行っているからいないんですけど…………」

 

「へぇ、そうか。俺たち、ちょうど喉が乾いていたところでな。人数分くれよ」

 

「わーい!ホントですか?じゃあ私、お母さん呼んでくるから、ちょっと待っててね!」

 

頭に蝶々結びのリボンをつけた赤スカートの少女は上機嫌で奥へと向かっていく。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

アリスが呼び止めようとしたが、少女はすたこらと行ってしまったので助けの声は聞こえなかった。

 

「あーあ、行っちまったな…………」

 

「まぁな。でも、これはラッキーだなぁ。誰もいねぇのに、物だけはここにあんだから」

 

少女がテーブルに置きざりにしていったジュースが男たちの目に写る。

店番はいない。しばらく戻ってくる気配もない。通行人もいない。

ならば、ここで何をしようが、バレることはない。

 

「ちょっと、貴方たち、まさか…………!」

 

「いいだろ、ちょっとぐらい。味見してやるだけだからさ。ほら、置いていったってことはご自由に飲んでくださいってことだろ?」

 

言うが早いか、男たちは全員でジュースを手に取って代金も払わずに飲み干した。

 

「あ、そういえばお前のぶんなかったな」

 

「要るか?俺のコップだけど」

 

「勘弁して。喉乾いてないから」

 

「つれねぇなぁ、ま、こういう女はそれはそれでアリか」

 

アリス以外の全員はジュースで喉を潤すとそのまま小屋を目指して歩き出す。

──────そしてそれが、仇となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アオハさーん、うまくいったよ」

 

少女、メディスンが遠くから男たちの様子を見ていた青葉の元へと戻ってきた。

 

「お、ありがとう。怪我とかはなし?」

 

スコープで様子を伺っていた青葉が聞く。

 

「うん」

 

「いやー、まさかメディスンと出会うまで集めていた果実がここで役に立つとは思ってもいなかったよ。ホントに上手くやれるの?」

 

「うん。あのフルーツは全部無毒だったけど、絞ったジュースにとびっきりの筋弛緩毒を混ぜておいたから、この後だんだん動きが鈍くなると思うわ」

 

「よし、これなら上手く行きそうだな」

 

青葉はガッツポーズした後にメディスンとハイタッチ。

 

「アオハさんの方はうまくいったの?」

 

「うん。あの程度ならぜんぜん余裕だよ」

 

青葉にとって「あの程度」で済んだものとは一体……………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

男たちは小屋についた瞬間に凍りつく。

小屋の入り口を警備していた仲間たちが全員倒れていたのだ。

武装した4人の警備が全滅するなんて。

 

「ちょ、え?なんで!?」

 

「お、おぉぉぉぉ、お頭ぁ!?」

 

男たちが慌てて小屋の鍵を取り出して差し込むが、鍵を差した瞬間に彼らは気付いた。

扉がありえない形に変形している。

木製とはいえ、警備を突破した上で小屋に侵入されたわけか?

いや、大丈夫だ。小屋の中には彼らの頭目を含めた十数名の精鋭たちがいる。

カチコミは何度かあったことだ。その度に袋叩きにしているのだから、多少の殴り込み程度──────

 

「─────────あ……………」

 

中に入ってからの結果は単純。

その精鋭たちも、全員失神していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい数分前のこと。

 

「ごめんくださ~い、道具屋です。クソ野郎共を片付けに来ました~!」

 

扉を蹴破って、模造刀を抜いた青年がこの小屋に入ってきた。

 

「うぉっ!?なんだテメェはぁ!?」

 

「なにしてんだオラァ!!」

 

見慣れない侵入者が扉を破壊してきたので、反射的に一番近い男が丸腰で殴りかかってくる。

 

「うるっせぇぇぇぇぇぇ!!!何してんだ、はこっちの台詞じゃボケェ!!!いたいけな女の子拐って連れ込もうとはいい度胸じゃないかぁぁぁ!!」

 

青年は飛びかかってくるそれを脇に置いていた角材でフルスイングして撃沈させる。

 

「やっちまえお前ら!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

中にいた男たち十数名が一斉に襲ってくる。

 

「八霖儚月流、奥義──────」

 

青年は垂直に立っている体勢から急に右足を前に出して前傾姿勢になる。

刀を鞘に戻し、腰に差していた一式を背中に背負うと、床を勢いよく踏みしめ、一気に気を練る。

 

「なんだ!?」

 

その様子を見た数名が一歩退く。

瞼を閉じて前方に対する全ての集中力をかき集める青年。

その背後は、がら空きだ。

 

「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

背後から本物の刀を持った男がその凶刃を振り上げる。

青年は背後をまるで見ていない。

その流れから直接、

 

「──────屋根穿(うが)ち」

 

目にも見えぬ動作で直立に戻った青年が模造刀で背後の敵を空高く吹き飛ばす。

背中を向けたまま、腕だけで背後を下から上に向かってアーチ状に薙ぎ払っただけだ。

 

「ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

吹っ飛ばされた男は頭だけ屋根を貫いて動かなくなった。

 

「げぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

現実を疑うような光景に誰もが驚愕する。

 

「─────(あぎと)割り!」

 

さらに超高速の低空姿勢ダッシュからの振り上げで、また一人、顎を切り上げられて吹っ飛ぶ。

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今度は小屋の窓を割って外に投げ出される。

 

「ひ、ひぃぃぃ!!!」

 

「一斉にかかれー!!!」

 

奥で隠れている頭目らしき者の指示で一斉に他の者が襲いかかる。

 

「─────────」

 

青年は止まったまま、背後に飛び退く。

そして、さっきの角材の端を踏みつけて、屋根に向けて飛ばす。

青年の身長を上回る角材が屋根に直撃した刹那、孔の空いた屋根がさっき吹っ飛ばされた者と共に落下してきた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

さらにラスト数名が屋根に潰されて再起不能。

 

「───────あ……………あ……………」

 

頭目も口をあんぐり。

 

「はい、終わり。これに懲りたら女の子の誘拐なんてやめるんだな」

 

床に落ちていた石レンガを拾い上げて顔面に投擲。

 

「ぶっ───────!!!」

 

頭目が一撃で昏倒して立てなくなってしまった。

こうして、小屋の中は全滅状態に。

 

「よし。あとはメディスンと合流するだけだな」

 

三度笠を被った青年、神門青葉は刀を納めて小屋を出ていった。





神門 青葉(みかど あおは)

お馴染み、もう一人の主人公枠。
アリス編では慧音や妹紅の登場が少ないので、基本的に彼がメインでストーリーが進行する。
知っての通り、能力は引き続き「文字を書き換える程度の能力」。汎用性に長けていると同時に、彼の弾幕が撃てないという致命的な弱点を補う能力でもあり、相手のスペルカードを書き換えて反撃するという用法がある。文字とはすなわち記録。つまり、ありとあらゆる記録を改竄、捏造できるという、一見なんの変哲もなさそうな名前に反して非常に危険な能力でもある。
弾幕ができない一方で本体の戦闘力は比較的高い。八霖儚月流なる特殊な一刀流剣術を用いて、腰から吊るした模造刀を振るうことで近接的に戦闘が可能。
遠距離では最弱と言えるが、近距離においては最強格とも思われる。
スペルカードの反射は恐ろしいが、正直初見殺しの面が強いので、一度知ってしまえば、スペルカードを使わないだけで対策可能。通常の弾丸だけ連射していれば勝手に倒れてくれる雑魚。
三度笠に紺の着物姿だが、動きやすいように今回は普段の着物に加えて青紫色の袴を履いている。
意外と交渉スキルに長けており、お堅い少女だろうと簡単に手懐けてしまうらしい。





アリス・マーガトロイド

アリス編のメインヒロイン。
「獣人の山賊」たちを壊滅させるために霊夢たちと協力している金髪の魔法使い。
その繋がりで、同じ目的を持つ青葉と手を取り合うことになる。
山賊側の能力者に命を狙われているらしく、それを凌ぐために青葉を仲間に入れて、共に能力者撃退のために奮闘する。
能力は「人形を操る程度の能力」。魔力の糸で人形たちを自由自在に操り、自分の代わりに攻撃させるということから、「七色の人形使い(或いは人形師)」の異名を持つ。
複数の人形を同時に操作するには、相当な集中力と分割された思考回路が必要になるので、おそらく攻撃中のアリスは無防備なのだろうが、小さくも強大な人形の猛攻を躱してアリスに近付くのはほぼ不可能。
基本的にクールで大人しい性格だが、どこか抜けたような印象を持っており、年相応の少女らしさが滲み出ている。
青葉はアリスの性格や容姿に、自身にとっての理想の女性像という印象を抱いているが、なんとなく「どちらかというと苦手」らしい。
魔法使いであるために、普段から愛想が無く、見かけ通りの冷静沈着さを体現したような在り方をしているが、生まれながらの優しさがついつい滲み出てしまうという、良い意味でまだまだ半人前の魔法使いなのである。





メディスン・メランコリー

青葉と偶然知り合うことになった妖怪。
元は人間の手によって捨てられた人形が魂を持って妖怪化した、「物の妖怪」。
その過去から、人形たち全てを守ろうとしており、「人形解放」を主張している。
人間が大嫌い、人形が大好き。もう分かりやすすぎる性格のため、人形を餌にすれば何でもするという、どストレートすぎる性格。単純すぎるというかチョロすぎるというか、青葉の手によってあっさりと買収された。
本来人間の為に力を貸すつもりではないのだが、アリスの人形を破壊したということで、人形への過保護が覚醒し、怒りのままに敵を根絶やしにしようと奔走する。
能力は「毒を操る程度の能力」。
文字通り、あらゆる「毒」を使うという、字面どおりの危険な能力。人間への友好度最悪、危険度MAX。アリス編における最大の危険人物のひとり。
毒と言っても、単純な植物や生物の毒だけではなく、毒でありつつ人間にとっては「薬」となるような物質も扱うことができるので、なんでも、体に悪いものだけ扱うわけではないようで、いちおう仲間を守ることもできなくはないらしい。たとえば生の海苔はこの国に住まう者にしか消化できないのだとか。
固体、気体、液体。物質三態全部おまかせ。気体にしたら完全に毒ガスだから気を付けろ。
青葉の師匠である八意永琳に試料や試薬となる毒を提供しているそう。永琳曰く、「毒はモノを生かす物質」なのだそうで、やはり毒とはモノを殺す力をもつ一方で人間やその他の生き物も「毒」という物質を無くして生きていれないらしい。
鈴蘭の花を「スーさん」と呼んで愛しており、隣に浮いているちっちゃいのも「スーさん」と呼んでいる。ちっちゃいのはおそらく鈴蘭の化身か何かなのだろうが、こっちが本体なのではないのかという説もある。
赤いスカートに金髪青眼、蝶々結びの大きなリボンが特徴の小さな女の子。
小さいくせにまぁまぁでかい態度で度々青葉やアリスを困惑させる。
初対面で彼女に猛毒を盛られた青葉からの評価は「性格は良いが、毒が怖いから近寄りたくない」そう。
ちなみに、「Medicine」には「医学」、「薬品」といった意味があるそうだ。毒とは古来より転じて薬とされた物なり。





椰子飼 梓(やしがい あずさ)

「獣人の山賊」に加担する赤い着物を着た茶髪の少女。
能力は「相手を呪い殺す程度の能力」。
いかにも、といった、ちっとも穏やかじゃない物騒な字面の能力。
相手に五寸釘の弾幕をけしかけて戦う。
釘自体は攻撃とはならないが、命中した釘は「呪いのパーツ」として対象の肉体に浸透する。
そして、対象に見立てた藁人形に釘を刺すことで、釘を刺した部分と対応した相手の部位を「殺す」ことができる。
腕を貫けば腕を、足を壊せば足を、首を引きちぎれば首を、胸を穿てば心臓を。
殺傷能力のみに特化した能力であり、一度弾幕に当たってしまえば問答無用で不可避の死を叩きつけられる、恐怖の能力だ。
────これは、「生物を呪い殺す」能力ではなく、「相手を呪い殺す」能力であるため、正しい方法で使えば、相手が【生物でなくとも】殺すことが可能。
この能力のルールにおける【殺す】の定義とは【命を奪う】ことではなく、そこに【在る】という事実を消すことである。
生物以外の物体を跡形もなく粉砕することが可能であり、本気を出せば不老不死の蓬莱人を殺すことも可能…………かもしれない。
能力自体があまりにも危険なだけでなく、金槌を振り回して近接戦闘もできるので、遠近共に隙がない強敵。
「お館様」という男の命令でアリスの命を狙っており、彼女の人形を返り討ちにするほどの実力があることもわかっている。
性格はまさに、この能力を持つに相応しい狂人。
とにかく物騒で穏やかでない、恐怖のような印象を持つ威圧的な女の子。ちょっと気に食わなかっただけで暴れ出し、度々「呪い殺すぞ」と脅迫してくる。
自己の防衛力の高い繊細な性格であるため、完璧以外が嫌いで、目の前にいるすべてを信じない一匹狼。
その一方で、最強の人形使いとしてのプライドもあり、自分と同じように人形を使う魔法使いであるアリスのことは、命令とはまた別で敵視している。たぶん、命令されずともアリスのことは殺しに行っていたかも。
自分のためなら手を汚すことを厭わない危険な性格だがどこか「壊れ易そうな所があって心配」、と青葉は評価している。
彼女の脆い心にある真意とは─────?
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