東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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「藤原妹紅と上白沢慧音のたのしいたのしいシルエットクイズ!」

「今回もやるのか…………」

「今回の問題はこれ!」

「ふむ…………まん丸いシルエットにトカゲのように細い尻尾かこれは…………え?誰?手足なくないか?」

「正解は本編の後!」


愛の形

 

「あー、暇だわ~」

 

最近、人間の里ではモンペ姿の少女が度々目撃されるようになったらしい。

そう私、藤原妹紅が現れたぞ。

青葉のヤツ、今日ずっと店閉めてて居ないんだ。何してんだかこんな時に。いっつも店の頭で、特技の花札シャッフルばっかりやって暇人しているくせに。

なんでアイツは要らない時ばっかり居るのに欲しい時に限って居ないんだ。

心底、腹が立つ。

慧音はあれから寺子屋の授業に復帰しているみたいだが、まぁ、心配でしょうがなくてな。昨日ぶっ倒れた直後だ、慧音のことは、誰が面倒見るっていうんだ。

慧音の面倒見が許されているのはこの世で私だけなんだからな。

まったく……………あの男はホントに役立たずだ。私が初めて慧音と知り合って、アイツに三度笠をあげたあの日以来、顔を見ていなかった。

それがある日急に、流しそうめんを食べていた最中に、竹林で迷子になっていたのが再会の瞬間だった。

私とアイツの腐れ縁が始まったのはその時からだったな。

 

「はぁ…………寺子屋に顔出すか~」

 

慧音を紹介したとき、相性良さそうな感じを見て、本当の話すると、私は自分の拳を握りしめていた。

理由はわからないけど、この私を生かす怨嗟の焔のように熱い感情はおそらく、嫉妬の類いかもしれない。

加えて焦ってもいた。このままあの二人が上手く行ってしまったらどうしよう、と思っていた。

慧音を独り占めしていいのは、この私だけだと思っていたから。

─────アレは、私だけのモノだ。

 

「─────────────」

 

でも、良いのだろうか。やはりソレは、男女の形の方が正しい筈だ。

ならば、諦めるしかないのだろうか。

 

「よう、浮かねぇカオしてんなぁ、嬢ちゃん」

 

慧音のことは、諦めるしかないのだろうか。

私のような、人間と関わることすらできないモノよりも、オオバのような、典型的な温厚な男のほうが、慧音にはちょうど良い筈だ。

オオバは間違いなく、いい嫁を取れるはずだ。私よりも話も上手いし、頭も良いし、力も強いし、頑張り屋だし、そして穏やかで心優しいし。

 

「おぉいぃ、無視しないでくれよぉ」

 

「うるっさいな!考え事している最中に話しかけるなよ!」

 

急になにしに来たんだコイツは。

ていうか、誰だっけコイツ。

 

「お前は確か…………狩人の……………」

 

確か名前は……………そうだ、

 

「沢城…………慧遠…………だっけ」

 

「おう!よく覚えていたな!てゆーか、初めて知り合ってから結構経ってたってのになぁ。なんだ、嬢ちゃん、あれから頻繁に俺のことでも考えていたか?俺ぁ嫁も子供もいねぇ、大歓迎だぜ?」

 

「何しに来たんだこんな所に。私に用がないのなら、どっか行ってくれないかな」

 

慧遠の冗談をガン無視して、しっしと手を払う。

 

「いやぁ、一人で道のど真ん中で考え事しながら歩いている女を見つけたら、そりゃあもう声かけるしかねぇだろうよ」

 

「わかるのか?」

 

「あぁ。乙女心の分かる男にはなんでもお見通しだ……………ってもまぁ、この場合、お前さんが分かりやすいっていうのが正しい答えだがな。なんだよ、威勢がねぇぜ。まるで失恋した後みてぇだ」

 

「失恋…………はしてないけど」

 

「そうかい。でも、恋愛(そういう)路線の悩みだってのは顔に書いてあるな。メシ奢ってやるから、なんか話してみなって」

 

「いいよ、お前に相談するようなことなんて何もない」

 

「俺だって気になるんだよ、女の真剣な悩みってのはさ。メシ奢ってやるって言ってるんだ、乗っちまっても良いんじゃねぇのか?」

 

「──────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、半ば強引に言いくるめられて私は近くのテキトーな料亭に慧遠を連れ込んだ。

 

「よりにもよって高っけぇトコ選びやがって。俺、お前さんになんかしたか?」

 

「私だって、嫌なもんは嫌なんだよ。ほんとはお前と話したい気分なんかじゃないんだよ」

 

というか、そもそもお前が嫌いなんだよ私は。

 

「言いながらクソ食っているけどな」

 

「─────ほっとけ」

 

腹が立ったらヤケ食いするしかないだろうが。

 

「─────それで?教えてくれよ、悩みってのは?」

 

それで、私は所々を濁しながら、自分の悩みを打ち明けた。

 

「ははぁん。なるほどなぁ、要は、嬢ちゃんの恋人が男に取られそうなのか」

 

「ちょ、あんま大声で言うなよ…………」

 

「なんでだよ、良いことじゃねぇか、お前さんがその娘のことが好きなんだったら、そりゃあ良いことじゃねぇか」

 

「違う、取られるのがいけないつってんだ私は」

 

「ならアピールするしかねぇだろうが。自分の良いところをもっと見せて、いいと思ってもらうことが大事だ。まさか、お前さん、欲しい嫁巡って男と喧嘩するってのか?」

 

「そこまでは言ってない」

 

「そうか。でも、俺に言えることなんてそれぐらいだ。モテる方法なんて誰にもわかんねぇだろう。その人の好みに合う在り方をしろ、としか進言できねぇよ」

 

「問題はそこじゃないんだ。その…………なんだ。女が女に惹かれるなんて、その…………おかしいだろ」

 

「おかしい?何がだよ」

 

「愛、っていうのは男女の形が正しいものであるべきだ。私は、自分のアピールとかそういうこと以前に、倫理的に論外ってされていることに問題があるんだよ」

 

「はぁはぁなるほど、お前さんの言いたいことがやっとわかったぜ。それを先に言ってくれなよ」

 

なんだよ…………お前に私の言っていること分かるわけないだろうが。男なんだから。

 

「心配すんな、お前さんの想いは、間違ってなんかないぜ。確かにお前さんの言う通り、「雄と雌の愛」は正当な形だよなぁ。雄は雌を守るためにあるんだからなぁ」

 

「…………………そうだよな」

 

私はヤケクソに魚を頬張る口を止めて俯く。

 

「だがな、それは「性」の情愛の話だ。もちろん俺だって、身体つきが立派な別嬪さんが良いに決まっている。もちろん男なんか勘弁だ。けど、俺の言う所の愛と、お前さんの言う愛っていうのは別だと思うぜ?」

 

「何言ってんだお前」

 

「いいか?嬢ちゃん。愛ってのはそんなに難しいモンじゃあない。「愛」ってのは「誰かが誰かを大事に思うこと」だ。そこには雄も雌もねぇよ。親が子供を大切にすることも愛だし、友達を想うこともまた愛だ。性の話とかはもっと先の事だ、まずは自分よりも大切な人がいるか、それだけの事だからな」

 

「───────────」

 

「お前さんがその人と一緒に居たいと思うことはちゃんとした愛だぜ。誰にも笑う資格なんてねぇし、お前のライバルとなる男とも競り合うに相応しいものさ。相手よりもその人を想えるか、それが戦いの勝敗だ。俺はいいと思うぜ。どんなカタチであれ、人が人を想うっていう事は、どのカタチであれ美しいもののはずだ」

 

「………………いいのかな、私」

 

私は、欲しいものなんて、今までなかったから。

 

「あぁ、いいぜ。自分の欲しいものは好きなだけ欲しがれ。そして掴み取れ。欲望は出しまくっていいんだよ。好きな相手が自分より大事だと思うのなら、その想いは恥ずかしがらずに貫き通しな。きっとそれが、一番そいつのためになるからな」

 

「──────うん、そうかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八霖儚月流奥義、(はやぶさ)返し!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

これで、あと一人だな。

 

「くそっ…………身体が動かねぇ…………!!」

 

「さっきのジュースには、毒が混じっていたんだよ。店番が居ないならこっそり飲んでしまう、なんていう君たちの性根を逆手に取ったこっちが一枚上手だったようだね」

 

「ふざけやがって……………」

 

ラスト一人がこちらに走りよって殴りかかってくるが、身体に力が入らないのか、直撃してもペタッ、という弱々しい音しかしなかった。

 

「くそっ…………」

 

「さて、ラスト一人だからね。教えてくれ、君たちは何をしているんだ。その様子だと、ただの人さらいではなさそうだな」

 

「なんの…………事だ…………」

 

「隠さなくてもわかるよ。どんなに人間のフリをしていても、身に染み付いたケモノの匂いまでは隠せない。同じ獣人としてわかるよ。君たちも獣人の山賊の一味だな?君らの上司に椰子飼梓っていう女がいるはずだ、どこに居るか教えてくれ」

 

刀を仕舞って、膝から崩れた男の前で屈みこんでみる。

 

「し、知らねぇ…………そんな名前の女…………俺たちは、基本的にはお頭の命令で動いているけど、お頭も、俺たちを率いていても組織の中ではほんの下っ端にすぎねぇんだ…………俺たちは下っ端というより、もはや研修生みたいな扱いだからな」

 

「核心に迫る情報まではいい。わずかな手がかりだけでも教えてくれ」

 

「さぁな…………俺たちだって組織の端くれ…………簡単に敵に情報なんてやれるかよ…………」

 

やはり、そう簡単には応じてくれないか。

 

「ホントに?そのままだと死んじゃうかもだよ?」

 

戦いの最中ずっと木の陰に隠れていたメディスンが出てきた。

 

「はぁ、はぁ…………構わねぇよ…………別に」

 

「自分の命が惜しくないのか?君たちがやっていることは、そんな偉業なのか?」

 

「あぁ。大偉業だよ、よくわかんねぇけどな。とにかく、お頭が言うには、「俺たちはお館様の言うことに従っていれば世界は平和になる」ってな。俺たちだって、悪いことして世の中平和になると思うほどバカじゃあない。きっとお上には、何か大きな力があるんだろう。こりゃ直感だが、もしかしたら、やってることは悪いことかもしれねぇが、最後にはいい結果になるのかもしれねぇ…………」

 

「いいと思うのか?人間たちを困らせて、いい世の中になるって、本気で言っているのか?」

 

「あぁ、できるね!間違いない、たとえどんな犠牲が出ようと、最後に幸せになれれば、それでいいじゃないか」

 

「それで、困る人が出てきても?」

 

「あぁ!そうだ!困る人のことなんて知ったことか!俺たちは、より良い幻想郷を作るために、活動を続けなければならない。だから俺たちは、これからmo」

 

「少し黙っててくれ。五月蝿いぞ、【お前】」

 

顔面を草履の裏で蹴り飛ばす。

元々毒で体力がなかったからか、一撃で昏倒してしまった。

 

「アオハさん……………?」

 

メディスンが顔を覗き込んでくる。

 

「ううん、気にしないでメディスン。俺たちは、梓を捕まえるのが目的だから。なんの情報もなかったんだから、仕方ない」

 

話が通じないのなら、こうするしかない。

 

「青葉……………」

 

アリスがゆっくりと、こちらに戻ってきた。

 

「アリス、大丈夫だった?今、縄を切るから待ってて」

 

「う、うん。メディスンも一緒だったのね」

 

「うん!アオハさん、人形を助けてくれるんだって言うから、特別に協力してあげることにしたの!」

 

メディスンとアリスは楽しそうに話をしている。

──────獣人の山賊の下っ端どもは洗脳でもされているのか?

なんであんな堂々と自分たちは正しいと誇れる?

理由があるはずだ。どうもアイツらは、ただ人間を困らせたいわけではないみたいだ。

あいつらは、一体、何が目的で動いている?

なんだ、お館様って。獣人の山賊たちは、俺たちが思っている以上に大きな組織なのか?

賢者を自称する大妖怪が察知する…………つまり、問題視されている?

博麗の巫女が動く。魔法使いたちが動く。

梓ほどの強力な能力者。

「人間」のみをターゲットとした犯行。

 

あいつらは、人間を困らせて何がしたい?

人間たちの中に、妖怪を追放しようと企てていた秘密結社などの団体があったということを、聞いたことがある。

今回は、その類似パターン?人間を追放することで獣人たちに何の得がある?

それがわからない以上、真相は闇の中だ。

とにかく、人間にしか手を出さないのなら、人間側になにかしらの負のイメージを持つ者が、ここに集まるのか。

それでも、人間をここまで困らせることに意味を見出だす者がいるのか?

誰か、間違っていると反発する者は居ないのか?

彼らを率いるほどの理由、信じこませるに足る理由が、どこにある?

 

──────あぁ、もしかしたら。

 

「そういうことかよ……………兄弟」

 

もし、それが理由で人間を狙っているのなら、この件は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

【人間が嫌な思いをする程度】の問題では済まされないってことだ。




「藤原妹紅と上白沢慧音のたのしいたのしいシルエットクイズ、解凍編!」

「また解答の文字が違うぞ」

「慧音はわかった?」

「でも、手足がはっきり見えないということは、角度の違いだと思う。ズバリ、上から見た蓬莱山輝夜だ!」





「残念、正解は魂魄妖夢と一緒にいる半霊くんでした!」

「くっ、意外と良くできてる…………」

「上から見た輝夜…………今回はだいぶ当てに行ったな」

「…………………言わないで、今思うとすごく恥ずかしい」


To be continued…………
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