東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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(つがい)の野犬剣客

 

「おやおや龍臣の旦那さん。アンタ、これまたド派手にやられたねぇ」

 

座椅子にふんぞり返って酒を飲む一人の若い男が居た。

姿勢は最悪だが、机の上の食器は綺麗に整えられている。

その横や後ろには侍女と見られる絶世の美女たちがつけていた。その数、ここに居るだけで6人。

 

「その為に伏黒を護衛につけたのに、あの子供め…………こうも簡単にやられるとは…………」

 

「お子さま相手になかなか辛辣な評価じゃないか。アンタが値打ちをつける程度の子じゃないんだがな」

 

「何を言う、守れぬ護衛など役立たずだ」

 

「そうかい…………それで?それがここに逃げ込んできた理由かい?淑女の歩く廊下をお前の臭い足で汚しやがって」

 

「なんだと、お前につける女どもの足と私の足とどちらが高貴であるかなど一目瞭然だろう。何が汚すだ」

 

「何か言ったか?俺の女がお前のような不燃ゴミ未満の存在と同等かそれ以下とでも言いたいのか?その口でもう一度言ってみろ!!!」

 

男は侍女があわてて出してきた瓦を殴り付ける。

瓦は粉々に砕けてしまった。

 

「おかしなやつだ…………激昂しているにもかかわらず正面の燭台に当たらんなど」

 

「戯け者、女神の手料理をひっくり返す罰当たりが何処にいる。料理の心得がないために、目玉焼きすら毎度のように焦がしてしまうこの俺が生きていられるのは何故だと思う?それは俺の女たちが真心を籠めて俺のために料理を作っているからだろう。それを無碍にするなど、もはやこの世に存在すべき者じゃない」

 

 

 

「わからんな…………女など料理をして当然だというのに」

 

「わからないのはこちらの台詞だ。どうやらお前とは性根から相容れないようだな…………」

 

「女は家事をして当然だ。我ら男は仕事をするのだからな。女が働くのはせいぜいまぐわう時か子供を産むときぐらいだろう」

 

「合点が行った、お前がそういう男だから誰もお前の侍女に付かないんだろうなぁ」

 

呆れたように男は酒にまた手をつける。

 

「もう少し人の話を聞かぬか」

 

「あぁ。俺は人の話は聞くぜ。だが、人以外の話は聞かない」

 

「貴様……………」

 

「椰子飼龍臣、口を慎みなさい。これ以上の筆竜(ふでり)様への無礼は見過ごせません」

 

隣で男用の酒を注いでいた侍女が冷たい顔で睨み付ける。

 

「黙れ女、お前は黙って酒だけ注いでいろ」

 

「やいやいやい、それが人に物を頼む態度か?慈悲深くやってやれる相手か様子見してたが根っこはそれかい。じゃあもう、協力はご破算ってことでご愁傷様だな」

 

筆竜と呼ばれている男はばっと手を上げて契約を拒んだ。

 

「ま、待て!」

 

「協力関係は、命令じゃなくて「お願い」だろ?なら、こっちにも断る権利はあるさ」

 

「貴様…………雇われ者の分際で…………」

 

「アンタの護衛じゃないからな。俺の時間をこんなにも奪ってくれたんだ、おまけに折角の女房の飯を不味くしやがった。万死に値する」

 

「くっ………………」

 

「逆に訊くが。アンタの方こそ何をしていたんだ。その怪我、簡単にできるもんじゃないだろう。アンタのような役立たずがそこまで怪我をするなんて珍しい」

 

「それは……………」

 

龍臣は口ごもる。

 

「あぁ。なるほど。そう言うことか、お前。新しい女でも見つけてきたな?」

 

筆竜がすべて見透かしたように言い当ててしまった。

 

「な、なぜわかった?」

 

「俺には、相手が誰であれ女のことなら何でもお見通しだ。そうかい、白髪の頭脳明晰な美人ねぇ…………アリだな。会ってない上にはなんとも言えないが、少なくとも見た目は俺のタイプに限りなく近い」

 

「な、なぁ、こういうのはどうだ?その女の情報と引き換えに、私を仲間に」

 

「いや、結構だ。今お前の思考からだいたいの匂いを覚えた。あとは俺が勝手に探す」

 

余っていたご飯を高速で平らげると、筆竜は立ち上がった。

 

「ご馳走さまでした。今日も美味かったぜ、いつもありがとうな」

 

「お気に召されたようで何よりです。では、後片付けはこちらで行います」

 

「かたじけないな。じゃ、」

 

筆竜は壇を降りて部屋の出口を目指す。

 

「ま、待ってくれ!」

 

「──────うるせぇな。そんなに言うんだったら一つだけ条件を飲め」

 

「な、なんだ。何でもする」

 

一瞬、筆竜の口元がニヤリと笑った。

 

「上出来。じゃあ、俺を楽しませたら入れてやらんでもない」

 

「楽しませたら…………だと?」

 

「あぁ、舞を踊れ。それで終わりだ」

 

「舞、だと?」

 

龍臣の体型ではどんな舞も踊れまい。

 

「安心しろ、相手がゴミだからと言って不公平な評価はしない。ちゃんと美しい物は美しいと評価するぜ俺は。何故ならこの世は美しい者こそが強いんだからな。アンタが俺より美しいとこの場で証明できたらいいだろう。護衛というものはいつだって、強い方に付くんだから」

 

「な、何を踊れば…………」

 

「馬鹿たれ。その体型で自由演技なんて汚物にも劣らない汚さだ。さては俺を馬鹿にしているな?…………簡単だよ、演技は指定のものだ。必要なものがあるから時間かかるが」

 

「は、はぁ」

 

「おい、誰かアレ持ってこい」

 

「はっ、では私が」

 

一人の侍女が部屋を出る。

すると、数秒後に侍女が部屋を出た襖が開いた。

 

 

 

「筆竜さまぁぁぁぁ!!!祭りが始まると聞いて駆けつけたわ!!」

 

「おう!ちょうどいいじゃないか(あやめ)~お前も今から呼ぼうとしていたんだ」

 

出てきたのは、薄紫色の髪と着物が特徴の綺麗な若い女性だった。

筆竜に仕えている侍女たちは全員美女だが、その中でも彼女は飛び抜けた美貌で細身。単純な美形レベルで言うならそれこそ慧音や妹紅、アリスに並ぶ。

 

「紹介するよ、俺の愛人の庭石菖(にわいしあやめ)だ。彼女も五輪華の一人でな。【鎖鎌刀の庭石菖(ニワゼキショウ)】とはよく言われている」

 

どうやら、筆竜と菖は仲間同士のようだ。

筆竜は確か視角を衣黄御に送り込んでいたはず。あまり五輪華どうしの仲は良くなさそうだが、この二人は特別のようだ。

亦紅、伏黒、黄御、筆竜、菖。これで五人揃った。

 

「筆竜様、例の物をお持ちしました」

 

「よし、ご苦労だった。褒美を取らせるぞ~」

 

「ありがたき幸せ…………!」

 

「褒美はこれだ、俺が座ってた座椅子~。祭りは一番働いた人が一番楽しむべきだ。ここでじっくり見てな。好きなだけ、遠慮なくくつろぐといい」

 

「ありがとうございます、ですが…………」

 

「おい。俺は俺の厚意を踏みにじる事が大嫌いだって、いつも言っているだろう」

 

筆竜の顔が一気に険しくなる。

そう、彼はせっせと働かない者を許さないが、それに加えて、自分が「休め」と言った時に休まない者はもっと嫌いなのだ。

 

「もう。せっかくのご褒美を頂いたんだから、遠慮なく受け取りなさい?」

 

「あぁ、菖の言う通りだ。万物の理は闘争にあり。強い者こそが神に君臨するのは道理。恐怖と力こそが、すべての知性を支配するのだ。強さとは何か、それは一重に見た者すべてに等しく与える威圧、畏怖。知性有るものは恐怖という独自の感情を覚える。それは相手が自分より強いからだ。その強さを示すには美しさを誇示しなければならない」

 

「はい、申し訳ありませんでした。では、失礼します」

 

侍女は恐れ多そうに筆竜が使った座椅子に座る。

周りの女性たちは「いいな~」と羨ましそうに腰を休めている侍女を見つめている。

 

「ははは、そんなに羨ましそうにしなくたって、お前たちも俺のためにいつも頑張ってくれているんだから。後でちゃんと全員ぶんのご褒美を考えておくからさ」

 

キャーッ、と嬉しさに悲鳴を上げながら侍女たちが飛び上がってはしゃぐ。

 

「やれやれ、我ながら気が多いっていうのも考えものだな」

 

呆れてものも言わず、筆竜はその様子を眺めている。

 

「筆竜、私は何をすればいいのだ」

 

いい加減、空気に耐えられなくなって龍臣が口をはさむ。

 

「おぉ、そうだった。舞を舞ってくれるんだったな。よし、専用の装束を持ってきてやったから着せてやろう。少し着付けが難しくてな、一人で着れる物じゃないんだ」

 

筆竜はそう言うと、先ほど侍女が持ってきた「装束」を手に取り、それを龍臣に羽織らせる。

ざらざらとした触感と堅さ。間違いない、藁編みの羽織だ。

 

「藁……………?」

 

「おう。ちなみにもう一枚上があるからな」

 

藁編みの羽織を着せた後、その上からゴザに近いものを巻き付け、紐できつく縛る。

これによって、龍臣は腕の自由がなくなってしまった。動くのは脚だけ。

座っているこの姿は、まるでミノムシのようだ。

 

「これは…………なんだ?」

 

「さぁ?それはお楽しみだ」

 

筆竜は慣れた手付きでゴザを巻き付けて縛る。

よくこの体形を上手く縛ったものだ。

 

「さて、準備は完了だ。ほら、立てよ」

 

無理やり龍臣を立たせると、筆竜はそのまま背を向けて壇の上に上がる。

 

「───────?」

 

戸惑う龍臣に背を向けたまま、筆竜は顔だけ後ろに向ける。

───────そして、ニヤリと笑った一瞬、

 

龍臣は自分が、何か決定的な恐怖に食らい尽くされているということを実感した。

何か、嫌な予感がしたのだ。

 

その刹那に。

 

 

 

 

 

「────────はっ!!」

 

身を翻すように、筆竜はバッ、と後ろに身体を向ける。

龍臣の正面に向けられた彼の身体の前に、

1本の弓があった。

 

 

 

 

そして、そこにつがえられている矢は、矢尻が油によって激しく燃え盛っていたのだった。

 

 

 

「な、何をする気だ、筆竜!?」

 

「言うまでもない、始まりの合図だよ!」

 

始まりの合図?そんな阿呆な。

彼がつがえている矢は、今さら説明するのも馬鹿馬鹿しいが、火矢だ。

そして、龍臣が着ている装束は藁だ。

火矢が命中しようもんなら、どうなるかなんて誰でも明確にわかる。

 

 

 

「そら、派手に躍りな!」

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

当然、龍臣は我を忘れて逃走を図る。

唯一自由な脚で走り出し、とにかくこの部屋の外へ。

 

しかし───────

 

 

 

「ちょっと待って?」

 

背後から伸びる魔の手。

熱を感じない冷たい細い腕はあっという間にゴザの上から龍臣の身体を絡めとってしまった。

それは間違いない、鉄の鎖であった。

龍臣の背後から延びてきた鎖のもとを辿ると、菖の手元であった。

そこには稲刈り用の小さな鎌が握られており、その柄尻から鎖が伸びていた。ならばやはり、あれは間違いない。

───────鎖鎌だ。

鎖鎌とは鎌から鎖の生えた武器であり、その先に鎖に繋がれた分銅を取り付けたもの。

農民や町人といった刀を持たぬ階層の人間が護身用に持った武器であり、かつては農民一揆にも用いられた歴史がある。

外の世界でも、廃刀令と呼ばれるものが発令された後にも刀を没収された士族たちが暗器として隠し持っていたとも言われているのだ。

菖の武器はそんな鎖鎌なのだが、鎖の先端についていたのは分銅ではなく、小刀だった。龍臣をぐるぐる巻きに縛った鎖。龍臣の腰からはぶらぶらと短い刀が提がっていた。

 

 

 

「何をしているの?筆竜さまの火矢なのよ。ありがたく受けなさい?」

 

菖は息をするように龍臣を縛り上げると、びくともしないように拘束してしまった。

要はいま二人は綱引きをしている状態なのだが、龍臣がどれだけ力を振り絞っても意味がない。全く進まないどころか、びくともしないのだ。

龍臣の体重は130キロは優にある。それの移動を平気で阻止してしまう菖はなんという力の強さだ。

 

 

 

「冥土の土産に教えてやろう。俺たち二人を相手にして、生きて返ってこれた者は居ないのさ。何故なら、」

 

 

 

筆竜は勢いよく息を吸うと、叫ぶように高らかに言った。

 

 

 

 

 

 

 

「─────俺たちが、いちばん(うつくし)いからだ!!!」

 

 

 

 

 

動けない龍臣に向かって、無慈悲にも火矢が放たれる。

べつだん、筆竜は弓の心得があるわけではないが、人並みにはできる。

その矢は的確に、龍臣の背中のど真ん中を貫いた。

 

 

 

「は、あ、アヒャァァァァァァァ!!!」

 

いまから燃えるという恐怖で、龍臣が最後に甲高い悲鳴を上げたあと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

人間にも獣にも聞き取れない悲鳴を上げて、龍臣らしき人影は炎上する。

 

 

 

「はーっはっはっは!!!そら、踊れ踊れ!!!歯向かう奴は皆【(みの)躍り】だ!!!ほらほら、もっと激しく舞うんだ。死を目前にした極限の抵抗にこそ、人は命を燃やすかのような強さを発揮するのだからな」

 

 

 

─────蓑踊り。

分かりやすく言えば拷問の一種。

外の世界では、江戸時代にとある宗教の信者を弾圧するために西方の藩で実行された処刑方法であり、

蓑を背負わせ、そこに火をつけることで対象者は踊り狂うとのこと。

かちかち山でタヌキが兎によって背負った柴を火打ち石で燃やされるのと同じ体験ができるということだ。

だがこれは童話のように背中の火傷程度の生ぬるいダメージでは済まされない。

もちろん、身体は炎上し黒煙で呼吸ができなくなり、そもそもの炎の灼熱に耐えられなくなってこれ以上ないほどの苦しみを与えられながら死に絶えるのだ。

 

 

 

「どうした?動きが鈍くなってきているぞ?遠慮するな、その畳は燃えにくい素材でできているからな。お前が床で転がり暴れようと、ここが燃えることは絶対にないから安心してくれ」

 

 

 

そんな凄絶な処刑を、この場の者たちは全員大笑いしながら見つめているのだった。

悲鳴すら聞こえなくなり、蓑が燃え尽きたことで火も勢力を失い消えた頃。

そこにあったのは、真っ黒になった大きななにかだけだった。

 

 

 

「ふぅ。楽しかったが、少し物足りなかったな…………なんといっても短かったし」

 

「その代わり、いい悲鳴を上げてくれましたね」

 

「まぁ、そうだな。力強さはあったから仲間にしてやらんでもなかったが、その姿では無理だろう」

 

どうやら、彼らはこの黒い物体の正体を知っているらしい。

いったい、これがどうして元人間の姿に見えるのか。

 

 

 

「筆竜様」

 

「なんだ?」

 

「後片付けはこちらで行います。それで、彼の持っていた鞄はこちらになります」

 

「あぁ、ありがとう……………鞄?」

 

侍女から鞄を受けとると、筆竜は中身を漁り始める。

 

「金目の物は、結構あるな。うわ、腹立つわ。よし、これはお前らで山分けしな。俺らはいいから」

 

「い、いいんですか?」

 

「おう。遠慮なく受けとれ。ただし、ちゃんとお前たちで譲り合いしろよな?」

 

「ありがとうございます!!!」

 

どうやら、筆竜はそこまで金目のものに興味はないらしい。

 

「筆竜さま、これ…………」

 

床に無造作に捨てられた鞄の中から、菖がなにかを見つけて手渡した。

 

「ん?なんだこれは」

 

それは一枚の絵だった。

そこに描かれていたのは……………

 

 

 

「女の肖像画か?にしては完成度高いな。ふむ、白髪高身長で細く恵まれた身体つき…………いや、なんだこのクソダサ冠は。青い洋服もなかなか似合うものだな。というか、かなり瞳の綺麗な美人だ。もしかして、こいつがヤツの言ってた女か?」

 

「どうするの?この人」

 

筆竜は目を少し擦った後、もう一度肖像画を見つめる。

そして、絶句して手から肖像画を滑り落としてしまった。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、ふふふふふ…………………」

 

「えっと?」

 

「ふふふふふ…………!!!ふははははははははは!!!!」

 

筆竜は手から刀を取り出すとぶんぶんと振り回し始めた。

太い刀身、長い刀身、わずかに波打つ刀身。それは大陸の刀、八卦刀に酷似していた。

 

 

 

「う、う、美しい……………!!!この女欲しいぞ!!さぁ、今すぐ行って…………この女を俺のモノにしてやるぞ!!!」

 

 

 

筆竜は目をギンギンに開いて喜んだあと。

肖像画を拾い上げて真上に投げると、八卦刀で八つ裂きにしてしまった。

 

 

 

 

広間に響く筆竜の笑い声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その床に散ったのは、16分割された、

上白沢慧音の肖像画だった。




竜胆 筆竜(りんどう ふでり)
五輪華の一人。
通り名は「青の華・八卦刀の筆竜胆(ふでりんどう)」。
筆竜胆は春の野山にひっそりと咲く美しい蒼い花であり、明かりのある場所にのみ花を咲かせるものだ。竜胆という植物の仲間であり、穂先が筆に似ていることから筆竜胆と名付けられている。
花言葉は「真実の愛」。やや横暴で女癖が悪いものの、その内には仲間や部下に向けた尽きぬ愛と優しさを秘めた彼らしい文句である。
八卦刀とは八卦掌という大陸武術で用いられる暗器。
形状は青龍刀や柳葉刀とほとんど同じであるが、八卦刀の方が僅かに刃が太く長い。
生まれながら大陸武術と縁があり、武に生まれて武に育った。筋金入りの武人。彼の生まれは武術の名門だったそうで、どうやらさまざまな体術や武術に精通しているようだ。
性格は一言で表すならば「唯我独尊」。名門生まれなだけに常に絶対の自信に溢れていて、いとも簡単に自分を「世界一美しく強い男」と語る。
美しさだけを全てと思っており、美しい者こそがすべての理であり、美しい者こそが強いと思っている。
なので、美男美女両方に目が無く、見つけ次第喧嘩して倒してしまいたくなるらしい。
負けず嫌いな所もあるがそのぶん己の正義は断固として貫くため、自分より美しい者はちゃんと美しいと認めるらしい。
これだけだとただの最低ナルシストのように聞こえるが、根は顔に負けないほどのイケメンであり、女性からすれば憧れの的。
日頃の感謝は絶対に忘れない。わずかな変化にも気付いて指摘してくれる。疲れた者は無理矢理にでも休ませる。頻繁にご褒美をあげる。
なんか女性に対する思いやりが妙に厚い。
だが一方で優しすぎて気難しい所もあり、「遠慮」や「謙遜」といったことをひどく嫌う。
本人の言うところ、「いいって言っているんだから遠慮するな!厚意を与えているこっちが不愉快になる!」だそう。
女には飢えていないぶん、当然ながら次から次へと新しい女に手を出すので、とにかく気も愛も多い人物だ。侍女たちは別にいいらしいが、読者諸君や作者からすればまぁ~信じられない男だ。
紆余曲折を経て上白沢慧音の存在を知り、その容姿に一目惚れし、なんとしてでも慧音を我が手中に入れようと奔走する。



庭石 菖(にわいし あやめ)
五輪華の五人目、最後の一人。
「紫の華・鎖鎌刀の庭石菖(にわぜきしょう)」と呼ばれている。
庭石菖とは明るい野原に咲く白味を帯びた小さな薄紫色の花であり、菖の仲間。花言葉は「愛らしい人」。快活さと淑やかさ、そして美しさを兼ね備えた彼女をよく表している。
鎖鎌とは稲刈り鎌の先に長い鎖とそれに繋がれた分銅を取り付けた武器なのだが、菖の場合は鎖鎌刀といって、鎖の先には分銅の代わりに小刀が繋がれている。
小刀自体はドス程度の長さのため、刀身そのものは五輪華で最短なのだが、鎖の長さが最大18メートルと尋常じゃないので、実際のリーチの長さは五輪華でぶっちぎりの第一位。
自由自在に鎖を振り回し、その遠心力が織り成す猛スピードで小刀を走らせたり、鎖で相手を縛って動きを封じる、長い鎖を振り回して自分の周囲を防御したり、さらには辺り周囲を鎖で囲って金網デスマッチ風にし、鎖を自由に跳び伝ってバル○グのような動きをするなど、多彩にして自由な用途で武器を扱える。
性格は明るく元気なおてんば少女。
筆竜の愛人であり、二人仲良く揃って、二人一組で五輪華に加担している。
本来は五輪華は仲があまり良くないらしいがその理由はいまのところは不明。
可愛らしい容姿と人間性だが、あの筆竜ですら、「何事にも相性というものがあるが…………まぁ~まず普通の武人からすれば俺よりも菖のほうが厄介な相手になるだろう」と絶賛するほどの実力家である。
明るくて可愛い子がいちばん強いのは昔からのお約束ごとだ。
なので本来は菖が筆竜を尻に敷く立場なのだが、菖が筆竜をリスペクトしているので、結果的に主導権は筆竜のほうにあるらしい。
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