東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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「目指せフラワーマスター!!御衣黄とゆうかりんのたのしいたのしいシルエットクイズ!!」

「なに、このどっかで見たことのある企画の使いまわし!?あとゆうかりんって呼ぶのやめなさい!」

「今日の問題はこれ!」

「話を聞け!?………………この花は…………タンポポ?」

「何タンポポかも答えてね」

「シルエットクイズのルールだと厳しすぎるわよ!?」

正解は本編の後!


出撃

 

「─────────」

 

真っ暗な闇の中。

高い高いところにある部屋の中で、少女は座っている。

その目の前に、仏壇のがあった。

線香を立てて手を合わせると、彼女はうつむいたままなにもしない。

 

 

 

 

 

「なぁにやってんだァ、お嬢」

 

そこへ一人の男がやってきた。

 

「………………っ!?」

 

「お~わりィわりィ、驚かしちまってよォ。さっきまで宴会してたってのに、急にいなくなっちまうんだからよォ、心配して探しにきてやったんだ」

 

「亦紅…………私はもう、駄目かもしれない」

 

「駄目ってなにがさ」

 

「私はきっと、何かを殺す事をしないと気が済まないのかも…………しれない」

 

「そうかァ。それがこの部屋の有り様の訳ってか」

 

仏壇以外の部屋中にあったものはすべて破壊しつくされている。金槌で殴られたように、釘で貫かれたように、家具も壁も天井も床も、傷だらけになってひび割れている。

 

「このままだと私は、本当にただの殺人鬼になる気がするの」

 

「だから寺子屋の先生と関わりを絶った…………前も言ってたなァ。寂しかァねェのか?」

 

「先生を殺してしまうくらいなら、もう二度と会わない方がいいのよ」

 

「あぁ、ちげねェな。だが、お前さんが先生サンのこと覚えてる限りァ、その本物の殺人鬼になっちまった時に真っ先に先生サンを手にかけるんだろうなァ」

 

「………………なんですって?」

 

「お前さんがもしこのままだと駄目だってんなら、真っ先にブチ壊しちまうのは、お前さんにとって一番大切なものからだろうなァ」

 

「一番大切だったものなんて、もうとっくに…………」

 

少女は亦紅にまた背中を向けて仏壇を見つめる。

 

「───────────」

 

「ほんとうは、何をしにきたの?私を殺しに来た?」

 

「まさか。大事な事を話に来ただけさ」

 

「早く済ませなさい」

 

「もうすぐ、連中が来るだろうと俺ァ予測している。お前さんが殴り殺したっていう例の三度笠な」

 

「……………まだ、生きているの………?」

 

少女の冷たい声がヒステリックなものに変わる。

 

「あぁ。お前さんが奴を前にどうするかってのは勝手だが、その前にひとつ断っておきてぇ事があってな」

 

「──────何」

 

「その三度笠ァ、俺の獲物だ。誰にも手出しさせねぇように言っといてくれ」

 

「……………獲物?」

 

「あぁ。ちぃとばかり、因縁があるんでな。まだ決着がついてねェ。もし、俺とアイツの喧嘩を邪魔する野郎がいるってんならァ…………」

 

亦紅は手にした巨大な斬馬刀を振り回す。

 

「……………この俺がぶった斬る」

 

「──────それは、どれぐらい大切なことなの」

 

「命よりも大事だ。だから、もしアイツの姿が見えた時、俺ァお前さんの護衛がしてやれねぇってことだ」

 

「なるほど、それでここへ来たのね」

 

「前にも言ったが、五輪華はだぁれもお前さんを守る気なんざねェ。これまで俺がお前さんを守っていたのは、護ってやりたかったからだ。俺はやりたくてやっていた。だが、そこは義務ってのがねェ。だから、俺ァ五輪華だからと言って、お前さんの絶対護衛である筋合いもハナからねェってことだ」

 

「───────もういいの。あとは、自分でやる」

 

「いいのか?俺が居ねェと、お前さんは本当に護ってくれるやつが居ねェんだぞ?」

 

「───────もういいの」

 

「…………………そうかい。じゃ、俺ァ俺のやりてェことだけを、やらせてもらうぜ」

 

亦紅はそう言い残して、部屋から去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………ありがとう亦紅。ここまで守ってくれて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仏壇に立てたお香が、静かに折れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────────」

 

 

 

次の日の朝、

人間の里へ続く門。

その下に、複数名の少女と一人の男がいた。

一人、七色の人形使い アリス・マーガトロイド。

二人、蓬莱の人の形 藤原妹紅。

三人、小さなスイートポイズン メディスン・メランコリー。

四人、秘神流し雛 鍵山雛。

五人、いぬゐ舎店主 神門青葉。

 

 

 

「さて、それじゃあ出発と行きたいけど、その前に確認事項がいくつかあるからそれについて話すわね」

 

アリスはそう言うと、退屈そうにつっ立っている青葉に歩み寄って鼻頭を指でつっついた。

 

「貴方のことなのよ、あ・な・た!!!」

 

「うぉっ、ちょちょちょちょ、何!?」

 

「何!? も何も無いわ。なんで昨日の今日で勝手に外へ出てるのよ」

 

怒りを通り越して呆れに至ったアリスがもうどうしたらこの馬鹿を止めれるのかお手上げ状態になって腕を広げて背中を伸ばしてわーわー喚き立てている。

 

「もしかしてオオバも蓬莱人だったりするか?」

 

「いや、トヨさんに頼んで応急的に治療してもらってから、メディスンの毒で痛覚を一時的に麻痺させてもらった。効果は一時的なものだが、昨日と大差ない体調だ」

 

「トヨさんって…………誰のこと?」

 

雛とメディスンは顔を合わせている。

 

「朝…………彼の部屋に来てみたら、なんか妙に彼の体型にしては布団がふくらんでいるなと思ってかけ布団を退かしてみたら、女性と並んで眠っていたのよ…………」

 

「───────オオバ…………」

 

「ちがうちがう!!してない!してないから!」

 

「してないって何を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もはやアホね、貴方……………」

 

「仕方ないだろう。慧音さんを救うには今しかないんだ」

 

「そうじゃなくて!いや、それもあるけど!?貴方は今痛覚が麻痺している。つまり麻酔がかけられているって認識でいいのね?」

 

「あぁ。傷口はトヨさんの、なんとかかんとかっていう技術の力で一時的に塞がっている」

 

「なんにもわっかんねぇ」

 

「だから、痛覚が治る前に生還できたら大丈夫ってこと。トヨさんの治療は一時的なものだから、最終的には昨日の傷も全部元通りになっちゃうんだけどね。悪い意味で」

 

「あんまり無理はするなよ、オオバ」

 

そいつは君に言いたいよ…………

 

「あら?誰か向こうから来るわよ?」

 

雛が指差した方向に向かって全員が視線を向ける。

 

 

 

 

 

「お待たせー!!!」

「ちょっと時間かかっちゃったー!」

「その代わり、友達を連れてきたよー!」

 

 

 

 

 

「あれっ!?アリス、どういうこと!?」

 

メディスンが向こうを指差して跳ねながら叫ぶ。

 

「あぁ、あれね。あれこそが、今回の秘密兵器よ」

 

「お、おぃ…………マジかよ…………」

 

妹紅が見たことの無い震えの声を上げる。

 

「あれはまさか、あぁっ、間違いない…………プリズムリバーウィズHだ!!」

 

ちょ、なんか増えとる────!?

それもそのはず、以前合流したあのプリズムリバー姉妹が向こうからこっちへ来ているのだが、その横に新顔が並んでいたのだ。

 

 

 

「た、太鼓?」

 

「あぁ…………最高だ…………!!」

 

妹紅は地面に膝をついて空を仰ぐ。

大丈夫かな、妹紅(こいつ)

それにしても、今回の秘密兵器が…………

 

 

 

 

 

「みんな、おはよう!メルランよ!」

「リリカだよ!!」

「ルナサよ。そして────」

 

 

 

堀川雷鼓(ほりかわらいこ)よ!」

 

 

 

だから、だれ──────!?

 

「言ってなかったわね。プリズムリバー姉妹は彼女と共にプリズムリバーウィズHとして活動しているのよ」

 

「は、はぁ……………」

 

「あなたが私とプリズムリバーの雇い主ね?そんなに音楽の力が必要になるなんて、どういうイベントごとなのかな?」

 

まって、この人、予定把握してないの!?

今から戦いに出ると知ったらどうするのだろう彼女らは。

 

 

 

「青葉…………神門青葉だ…………よろしく」

 

「えぇ、よろしく」

 

雷鼓と握手することになる。

 

「アリス、なんにも教えてないの?」

 

「えぇ。イベントごとがあるから演奏を頼んだ、ってことだけは伝えてあるけど」

 

「───────────」

 

マジかよ、と俺は石になる。

 

「まさか、私たちが戦っている間、プリズムリバーウィズHが音楽を演奏してるくれるってことか…………!?」

 

妹紅がさらっと言ってくれたので青葉は妹紅を凄まじい目付きで睨む。

 

「まぁ、端的に言うならそういうコトね」

 

「いぃぃぃぃぃやったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

柄にもなく妹紅はガッツポーズして飛び上がる。

ひょっとしてかなりのファンだったりするのだろうか。

 

「でも…………危なくないかしら、この4人を連れていくのは…………」

 

このなかではまだマトモなほうである雛が不安そうな顔をする。

 

「大丈夫。プリズムリバーウィズHなら、どんな演奏も最高のものになるから!」

 

やっぱりこっちとあっちで話が乖離してる────!!!

そんな俺の肩をアリスが軽く叩く。

 

(大丈夫、彼女らを守りながら戦えばいいの)

 

(やっぱり戦闘能力皆無だったんじゃん!)

 

(安心して。彼女らがいるといないとでは、大違いだから)

 

アリスは意味深な事だけ言って、また皆の前に出た。

 

「さぁ、もう話すことはないわ。ほら青葉。さっさと先へ行きなさい」

 

「えぇ…………俺が先頭?」

 

「そりゃそうだ。オオバしか道を知らないんだから」

 

しょうがないなぁ……………

 

 

「──────────」

 

考えてみれば、これが最終決戦になるわけか。

慧音さんを助け出して、どこかで捕らわれている風見幽香を救出し、五輪華を退け、竜胆筆竜をぶちのめし、そして梓ちゃんを助け出す。

 

「─────────死ぬかもな」

 

「死なないように頑張れよ。お前、死に損なうのは得意だろ?」

 

「────────ふっ」

 

 

 

よし、覚悟は決まった。

今、病棟で医者にバレないように俺のフリをして寝てくれているトヨさんのためにも。

 

(───────勝ってくるよ、トヨさん)

 

貰った紋章をつけた刀を抜き、刀身を見る。

やはりその鋼には、刃がついていない。

 

(あなたなら、その剣に意味を与えたはず、それを、忘れないでください)

 

あぁ、もちろんだ。

誰も斬らずに、救えるってことを見せてやる。

 

 

 

 

 

 

「──────よし、行くよ皆」

 

一歩踏み出す。

最初の一歩がすべての始まり。

 

「えぇ」

 

アリスの一歩。

 

「はいよ」

 

妹紅の一歩。

 

「行きましょ、スーさん!」

 

メディスンとスーさんの一歩。

 

「うん!」

 

雛の一歩。

 

「行くわよ皆、」

「最高の、」

「演奏を、」

「届けよう!」

 

プリズムリバーウィズHたちの一歩。

 

 

 

 

 

 

 

「────────慧音さんを助けに行くぞ!!」

 

 

『おーーーーーーーっ!!!!!』

 

 

 

 

 

そして、以上9名が、二歩目を歩み出す。

人間の里の門から出る。

この先は何があってもおかしくない。心を引き締めて歩き出す。

 

 

 

行き先は魔法の森の奥、椰子飼城。

さぁ…………そこそこに長かった椰子飼事件を、終わらせに行こうか!!!




「御衣黄とゆうかりんのたのしいたのしいシルエットクイズ解凍編!」

「解答の字が違うわよ…………タンポポって、セイヨウタンポポやカントウタンポポ、カンサイタンポポやエゾタンポポ、トウカイタンポポなど、地域によってさまざまな種類があって色々と僅かな違いがあるのだけど、花を上から見たシルエットクイズなんて、こんな難しい条件でわかるはすがないじゃない…………まぁ、この中のどれかだとは思うのだけど…………」

「この正解の花を、この花に相応しい君に…………コウリンタンポポだよ」

「せめて黄色いタンポポにしろ!!!」

「花言葉は「目ざとい」。ズル賢いとか、卑しいとか、そういう意味だね」








(o゚∀゚)=○)´3`)∴
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