東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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グランギニョル座の舞踏会

 

椰子飼城。

魔法の森の奥に位置する巨大な戦国城。

迷宮のように複雑に入り組んだ構造をしており、本丸から三の丸までの三城構成。

そして、その三つの城の交差する点に広がる無限の広場にて、戦いが行われていた。

さっきまで晴れていた空には灰色の雲が浮かんでいるが、雨は不思議と止んでいた。

雨上がりに水を弾いた地面にしぶきが走る。

それはもちろん、戦う戦士たちの足が地面を踏みしめる瞬間である。

 

 

 

「やめて!来ないで!私に近付いたらほんとに酷い目に遭うから!!」

 

雛が大勢の山賊に追い回されながら辺りを走り回る。

 

 

 

「はーい!みてみてー!マンチニールの毒を撒き散らしているわよ!!近付いたら死ぬから気をつけてね!!」

 

メディスンがそこらじゅうにさまざまな種類の毒を撒き散らしながら走り回っていく。

メディスンが駆け抜けた後には、消化不全になって腹痛を抱える者や催涙毒にやられて目頭を抑えながら倒れる獣人が続出していく。

 

 

 

「まだまだ!そんなんじゃ私を殺したりなんてできないぞ!」

 

妹紅は竹林で培ってきた格闘技術で、次々と武器を持った相手を素手素足でなぎ倒していく。

まだ炎の妖術を使っていない今、妹紅にとっては準備運動にも練習にもならない。

一気にドロップキックで3人まとめて吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

「よっ、はっ!!」

 

そして、鮮やかに敵の攻撃を躱しながら、手にした模造刀で戦う神門青葉。

雄叫びを上げながら、四方八方から突進してくる戦士たちに怖じ気付くこともなく、全ての攻撃を軽くいなし、カウンターの一撃で次々と敵を昏倒させていく。

 

「くっ、」

 

左右から同時に襲い掛かってくる敵。

右側の方に対して自分から突撃し、腹を蹴りつけた後に止まった腕を掴み、背負い投げをしながら、左の相手も巻き込む。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「……………っ!!」

 

悲鳴をききつけて、青葉は一目散に走り出す。

目の前から邪魔しにやってくる相手に対して、強引に刀を押し付け、その凄まじい勢いの走りで押し出す。

一気に三人ほどの兵を巻き込んで、

 

「どいていろ!!」

 

一気に押し出すと三人は後ろへ吹き飛び、その後ろにいた四人を押し潰しながら倒れた。

青葉が悲鳴の位置を探していたら、3人の獣人たちに腕や脚を捕まれているアリスを見つけた。

 

 

 

「アリスに触るなぁぁぁぁ!!」

 

全速力で走りだし、地面でスライディングしながら、1人こかし、脚払いでまた1人転ばす。

最後の1人に剣を振るうがそれは咄嗟に出された槍で防がれる。

 

「うぉっ!?」

 

自分の間合いの外から放たれる槍が青葉に不利をつかせる。

 

「どせぃ!!」

 

「あぶなっ!!!」

 

槍の振り上げが青葉の三度笠を飛ばしていった。

敵は青葉に命中させたと勘違いしたのか、一瞬槍を引く。

 

「八霖儚月流奥義、顎割り!!」

 

その隙に一気に間合いを詰めた青葉が、あわてて突き出された竹槍を砕きながら、敵の顎を勢い良く斬り上げる。

 

「ギャァァァァ!!!」

 

顎を殴られて空高く吹き飛ばされる獣人。

 

 

 

 

 

「ふぅ…………アリス、大丈夫!?」

 

歓喜より先にアリスの心配。

無事を確認するためにアリスの顔を一生懸命に見つめる彼の頭から笠が飛んでいっていて、普段は見られない彼の素顔があらわになっている。

この状態でハクタク化していないのは空が曇っているからか。

目が見えるということは多少の日光はあるのだが、直射日光でなければ大丈夫なのだろう。

 

 

 

(やだ…………男前…………)

 

アリスが初めて見る青葉の素顔に驚きが隠せず、両手で口元を抑えながら頬を染めて青葉の顔を見つめる。

 

「あ、あぁ…………アリスさん?」

 

「はっ………!!こ、こっち見ないで!自分の方に集中して!!」

 

「え、えぇ!?」

 

「いいからその目でこっちを見ないで!」

 

青葉は前髪も長いので、笠を被っていてはその目付きはなかなか確認できない。

だがいざ笠を脱いでしまえば、穏やかさと心強さを兼ねた瞳が映るのだ。

生憎とそれは相変わらず、濁った色をしているが。

 

「…………可愛いね」

 

返答に困りすぎてついにおかしくなったのか、意味不明な言葉だけ言って青葉は背中を向けた。

 

「ばっ………は、は、あはぁぁぁぁぁっ!!!」

 

度重なる情報の波でアリスの脳もパンク寸前。

今のなんとも言えない感情を擬音にしながら顔から火を噴きまくる。

 

「ちょ、アリス!!後ろ後ろ!!」

 

後ろから棍棒を持った獣人がアリスに飛びかかってくる。

 

「しまっ、」

 

「まったく!!」

 

青葉はアリスに抱きつくように飛び付くと、棍棒を鮮やかに躱してアリスを守り抜けた。

 

「き、うやゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

意味不明な状態にアリスがついに発狂した。

青葉の腕に抱かれたまま大暴れしている。

 

「ちょ、いたいたいたいたいたい!!!暴れないで!!」

 

そうこうしている間にも敵は青葉たちを追いかけてくる。

 

「うおっ、これヤバっ」

 

腕に抱えたアリスを離そうとするがアリス側が青葉を抱いている状態で思考停止してしまっているのでびくともしない。

なので仕方なく、青葉は抱きつかれたままアリスの体勢だけ変えさせて、お姫様抱っこで走り出した。

 

(あ、あぁ…………私、戦地のど真ん中で、こんな美男子にお姫様抱っこされながら敵から逃げてる…………)

 

意味不明の状況の連続でとうとうアリスはキャパオーバーを起こして発熱し始めた。

オーバーヒートの影響で朦朧とした意識の中で状況整理の準備をずっと頭の中で行っている。

 

「軽っ!アリスこれ、風で飛んできそうだな」

 

青葉は細身だが体力だけはかなりある。

女性を1人抱えながら走る程度のことは朝飯前だ。永琳の手伝いをしていたときは、もっともっと重いチェストや木箱を抱えながら永遠亭の中を1日じゅう走り回っていた。アリスよりももっと重い男性患者を抱えて移動することだってあった。

今さらこんなもの、普通の荷物を抱えながら走るのと同じだ。

なんならアリスが青葉の首を腕で抱いてくれているのなら、片手でアリスを持ちながら右手で剣を振るうこともできる。

だが、あくまでそれは大人しくしていた場合だ。今はアリスの発狂が止まらないのでどうにもならない。

 

「困ったなぁ」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁやめてぇぇぇぇぇぇぇぇ近寄らないでぇぇぇぇぇ!!!」

 

雛がまた走っていく。

青葉の目の前を通りすぎていく大量の獣人。

雛はなぜか100人以上の敵をおびきよせていた。

 

「……………まぁ、いいか」

 

なんとかなるだろう、と独断で無視する青葉。

その前から、残った敵が現れた。

 

「やばっ、挟みうち…………!!」

 

 

 

走る脚を止めて辺りを見渡す。

アリスを抱えた青葉は、大勢の敵に完全包囲されていた。

 

「……………アリス、いい加減降りてくんない?」

 

「王子様…………椰子飼梓…………七色の人形使い…………カブトムシ…………」

 

「か、カブトムシ?」

 

アリスは見ての通りまるで使い物にならない状態だ。

 

「──────────」

 

青葉から冷や汗が出てくる。

この人数相手に、普段の青葉でいけるかいけないかだ。

アリスを抱えたままでは…………

 

(ダメ元で頼るしかない!!)

 

青葉はそう思うと、大声で助けを呼んだ。

 

 

 

 

 

 

「たすけてー!!プリズムリバーウィズH!!」

 

「そうだわ、プリズムリバー!!」

 

アリスが正気を取り戻した。

 

 

 

 

 

「みんな!青葉さんが呼んでいるよ!」

「なんか、アリスを抱っこしているね!」

「お熱いねぇ~!!」

 

(ダメだこいつら戦う気ないわ)

 

助けを呼んで損した気分になった青葉。

アリスもまた顔を赤らめる。

 

 

 

 

 

「いいえ、違うわ。アレはお姫様抱っこではない……………」

 

ただ1人常識人のルナサが指摘する。

そう、彼らは遊んでいるわけではない。ただのピンチなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレは……………社交ダンスよ!!!」

 

(?????????????????)

 

青葉が白目を剥いて驚愕。

アリスも意味不明の沈黙を垂れ流す。

 

 

 

 

「みんな、タンゴを演奏するわよ!」

「じゃあとりあえずは、私が勢いを取るわね!」

 

トランペッター、メルランの演奏が始まる。

トランペットの力強く響き渡る音が獣人たちの間を通って、青葉の耳に到達し、その鼓膜に空気の振動として届く。

────────次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やる気出てきたァァァァ!!!」

 

「え、ちょ、青…………やあぁぁぁ!」

 

アリスが急に空に投げ出され、衝撃で背中が勢い良く反れる。

そのまま後ろに転びそうになったアリスの手を取り、背中に手を回して支えてくれた1人の男がそこにいる。

 

「──────今の間だけ、俺のトヨさんになってくるかい…………?アリスさん」

 

「青葉……………さん?」

 

辺りは意味不明のシチュエーションに早変わり。

 

「踊ろう、アリスさん」

 

「はい……………」

 

「その前に…………他のお客さんを片付けてしまおうか」

 

青葉がアリスの両手を掴んでそのまま回り出す。

青葉の回転に持っていかれたアリスの両足は空中に浮かび、回転するバーのように回りだす。

ハンマー投げの要領で回転するアリスの長い脚が辺りの敵をなぎ倒す。

 

 

 

「いい調子ね。メルランの音楽は【躁の音】を引き出す。聴いた者の精神力は昂り、一気に興奮状態へと高まる。青葉さんの普段の遠慮がちで人思いな所で抑圧されていた本来の感情が、一気に放出されていくわ」

 

ルナサが頷く。

これのどこがいい調子なのかわからない。

ちなみに、いい感じな言い方をしているが、これってキャラ崩壊の一貫だ。

 

─────「躁の音を演奏する程度の能力」。

メルラン・プリズムリバーの能力だ。

 

先述の通り、メルランのトランペットによる演奏は、聴き手の精神を昂らせる効果がある。

困難に直面して落ち込んだ者や、悩みを抱えて憂鬱になった者を苦しみから解放する力があり、要は聴き手の心を幸福にする力がある。

……………ただし、元気も度がすぎると良くない。

やり過ぎると、このように抑圧されていた感情が全てぶちまけられ、我を忘れるほどに興奮してしまいさまざまな人間関係での問題が発生する。

攻撃的な言動をとってしまったり、理性が働かなくなって愚かな過ちを犯してしまったり、調子にのりすぎてやらかしたり、キャラが壊れたり。

 

 

 

「ちょっとやり過ぎかもしれないわ。私のソロパートも挿入しようかしら」

 

「はーい!」

 

メルランが演奏をやめ、今度はルナサが1人でヴァイオリンを弾く。

弦の美しく柔らかな音色が空気を流れるように伝う。

その音色は、暴れまわる青葉たちではなく、山賊たちのほうに届いた。

すると、山賊たちは武器を下ろし、その場に座り込んでとたんに大勢でうめき出したのだ。

みな口々に、「オレたち何してるんだろう」「こんなことして意味あんのかな」「てかこの人数であんなやつらに勝てるわけないじゃん」「早く家においてきた母さんに会いてぇよ…………」と嘆き始める。

 

ルナサの能力は陽気を呼ぶメルランの能力とは対になる能力であり、それを、

「鬱の音を演奏する程度の能力」と呼ぶ。

怒りといった感情による興奮で精神が高揚しすぎた者の気持ちを落ち着かせる効果があり、やりすぎるとこのように全てにおいて鬱になり、メルランが必要な状態に追い込まれる。

メルランとルナサはこの二つの演奏の力をうまく両立させないと、聴き手に大きな損害を及ぼしてしまう。

 

 

─────余談だが、プリズムリバーの演奏は精神に直接影響を及ぼすため、【耳を塞いでも意味がない】。

その楽器から流れる旋律そのものが彼女らの武器である。

 

 

 

 

 

 

即ち、例えるのなら────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに、【音速の弾幕】。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかも音なのでその方向性は放射状に広がり、あらゆる角度、方角へと飛んでいく。

音が聞こえぬ距離まで離れない限り、この演奏による影響の回避は絶対にできないのだ。

音速、即ち秒速340メートルの速度で飛んでくる音を回避することはできるわけがない。しかも耳を塞いでも影響までは防げない。

 

 

……………これこそが、アリスの用意した秘密兵器なのだ。

 

 

メルランの演奏で味方の士気を向上させ、ルナサの演奏で敵の戦意を喪失させる。

これだけで雑魚敵は簡単に突破できるようになっているのだ。

 

しかし、メルランの演奏が停止しているというのに、なぜ青葉とアリスはルナサの演奏の影響で鬱になっていないのか。

 

そこで補足を要するのが、リリカの説明だ。

 

 

 

「キーボードの音量こんな感じでいいかな?」

 

「いいと思うわ。これでメインのヴァイオリンの音と後ろから静けさを補強するトランペットの音が噛み合った」

 

リリカの能力はルナサとメルランとはまたかけ離れたベクトルで特殊である。

「幻想の音を演奏する程度の能力」というものであり、幻想の音とは自然界には存在しない特殊な音色のことである。音の幽霊とも言われているのだがいまだに詳しいことは不明。

ともかく、ルナサやメルランの演奏と合わさることで二人の演奏の影響を抑えることができる。

だから、鬱になりすぎず、昂りすぎず、ちょうどいい落ち着いた楽しい曲に変えることができる。

単体では相手の精神に干渉する能力がないように、彼女のキーボードの音色はあまり響かぬものであり、地味なものになる。

しかし、影ながらその存在はプリズムリバーである意味もっとも重要なクッションであり、その価値は当然他の二人のものと等しい。

二人の音色の調和を司る重要な役割であることは間違いない。

 

 

このように、プリズムリバーは単体の音が強すぎるため、互いに演奏を重ねることでちょうどいい音に調節できる。

リリカの幻想の音による調整で、青葉とアリスだけ、ルナサの演奏による影響を弱め、逆に周りの獣人への躁の音の影響を減らしているのだ。

こうすることで、戦意を喪失した兵士たちに、興奮中の青葉とアリスが襲い掛かると言う、なんとも悲しい構図が完成するのだ。

 

 

 

「よし、じゃあここに私のドラム入れよっか!」

 

 

 

「はい?」

「はい?」

「はい?」

 

堀川雷鼓の事、忘れていては困る。

 

「だって私たち四人揃ってプリズムリバーウィズH、だもんね!」

 

「……………………」

「……………………」

「……………………」

 

沈黙。

タンゴの演奏中に、ドラムなんて入ろうもんなら大変なことになる。

しかも、雷鼓の能力は、今使うにはあまりにも危険すぎる。

物わかりの良いプリズムリバーには、それぐらいは理解でき─────

 

 

 

「もちろん!!」

「もちろん!!」

「もちろん!!」

 

 

 

─────ません。

テーマを忘れて彼女らは、

 

 

「そうだ、忘れてたよ!演奏したい曲を演奏しなくちゃね!」

 

「そう、それが音楽の醍醐味よ!」

 

「よし、最高の演奏にするわよ」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

自分達が音楽団である矜持を選んだ。

雷鼓のドラムが暴れだす。

身体の周囲を円環のように囲う打面に振るわれる高速のバチさばきが辺り一面に先程までとは比べ物にならない激しいビートを刻む。

 

 

 

堀川雷鼓の能力は「何でもリズムに乗らせる程度の能力」。

字面でわかる通り、要は──────

 

「イェェェェェェェェェェェイ!!!来たぜ、これぇぇぇぇぇ!!!」

 

──────何でも調子に乗らせる能力。

 

青葉がさっきまでの穏やかさを投げ捨て、響き渡るトランペットとヴァイオリンとキーボードとドラムの音に任せた激しい感情に置き換わる。

もちろん、メルランとルナサの演奏による影響は先程と変わらない。ただ、そこに雷鼓の演奏が加わっただけですぐにこれだ。

 

 

 

 

 

「エブリバディ、俺の名前は神門青葉!

アリス相棒(バディ)、檻を破る脱獄希望者、

ナイスバディ、燃え盛る地獄の業火、

ハヴァナイスディ、露払い凄く急ごうか、

オールレディ、すでに俺ら沈黙の動乱、

アイキャンフライ、さぁかますぜ至極の鎮魂歌!」

 

 

 

青葉が外の世界の文献で読んだ謎の韻踏み文化をオリジナルで考えて叫び出す。

音楽の影響でもはや彼のキャラは低迷している。

 

「ヘイレディ、刮目しやがれこいつでどうだ!

────八霖儚月流奥義、獣哭き・(いかづち)!!!」

 

アリスを抱えたまま高く飛び上がり、八霖儚月流、稲妻落としの構えをする。

そのまま地面に急降下し、相手ではなく地面を勢い良く殴り付ける。

獣哭きと稲妻落としの両方の力を合わせた強烈な一撃で地面に振動が走り、辺りで戦意を喪っていた兵士たちが一斉に地響きと風圧で吹き飛ばされたちまち失神していく。

 

 

「イェーイ!!!いいね!この演奏!」

「今度のコンサートでまたやってみようかしら~」

「そうだね!帰ったら早速練習だね!」

「よし、一旦休憩としましょう。凄い速い曲を急にやるとスピード感覚がズレてしまうわ」

 

 

 

 

 

「す、すごい…………」

 

「いいや、君の聲のほうが凄い情熱的だ」

 

(まだ演奏の影響受けてる…………)

 

プリズムリバーの演奏が終わったのでアリスは元に戻ったのだが、青葉はまだミュージカル俳優の役柄が抜けない。

 

(近くで見るとほんとに美男子……………)

 

「美女に言われるなら相当なんだな、僕は」

 

「わ、わかるの?」

 

「君は顔が整いすぎて、何考えているかすぐに顔に出る。李のように赤い、正直な顔だね」

 

青葉がアリスの両手を取る。

 

「あ…………………」

 

「そういえば、いま守ってあげたぶんのお礼とか、用意してくれていたりする?」

 

「そ、そんな…………今は何も持っていないから…………」

 

「へぇ…………ついつい盗みたくなる(もの)を持ってるとは思うけど」

 

「それ…………は………………」

 

青葉の顔もろくに見れなくなってアリスは目線を反らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいオオバ!!お得意の貴公子演技なんてしてないで、早くしろー」

 

「あ、ごめん妹紅~。今から真面目にやるよ」

 

──────嘘である。

 

 

 

今のはぜんぶ彼の演技である。

演奏が終わっているのにモードチェンジしているままである意味がないからだ。

演奏が終われば精神への影響もなくなるので元の姿に戻るのは当たり前だ。

戻るスピードの個人差とかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────────────」

 

アリスが凄い顔で青葉を見つめる。

 

 

「あっ……………………」

 

 

察したように青葉が笑った瞳のまま口だけ「やべっ」という形に開ける。

 

 

 

──────次の瞬間。

 

 

 

 

 

「ぼえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

 

 

 

 

アリスの渾身の平手打ちで、青葉は吹っ飛ばされて地面に盛大に転倒した。

なんか………どうしようかなぁって()

  • 知るかボケ
  • とりあえず………早く文編書きません?
  • 東方の18禁作品の執筆とかしないの?
  • サボってないで執筆しろ
  • アボカド食べる?
  • その他(その他ってなんだよ)
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