東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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生け花―前

 

 

 

 

 

────────今から2年前。

 

ある春の日、人間の里の真夜中のこと。

 

 

 

「はぁ!今日も飲んだなぁ!」

 

「まさか巴照(ふでり)が奢ってくれるなんて珍しいなぁ!」

 

「なんだ、最近景気良かったりするのか?」

 

「ま、まぁな」

 

「良いよなぁ、巴照は道歩いているだけで女に誘われるんだから。これが売春婦なんだったらまだしも、そこらへんのただの女の子が巴照目当てで金出してくるぐらいだからな」

 

「もういっそのことお前は武人よりも夜の帝王になったほうがいいぜ」

 

「俺」がまだ「オレ」だった頃、いつも通り、オレは仲間たちを連れて夜の里を飲み歩き回っていた。

彼らはオレが子供の頃からの知り合いで、同じ武道場に通った仲だ。

というのも、オレの実家なのだが。

 

オレの実家…………竜藤家は人間の里において屈指の名門武家であり、大陸に伝わる拳法である八卦掌を中心とした武芸を教えている。

もちろんその名門のひとり子であるオレは必然、幼い頃から伝家の八卦掌を叩き込まれた。

実力は当然ながら道場で一番。里で一番の喧嘩自慢として、里でトラブルがあったりしたらよく呼ばれた。

借金取りの仕事を課せられ、人をとことん殴りまくったことも多々ある。

ひとまず、絡まれそうになったらオレの名前を挙げておけばとりあえずは手出しされない、それくらいの大物だった。

 

 

 

「じゃ、オレはこっちだからさ」

 

「おうよ、じゃあな!」

 

「雨が降るみてぇだから、これ以上ハシゴすんじゃねぇぞ?早く帰りなよな」

 

「巴照、この前一人になってからまた飲んでぶっ倒れたってんだろう?二の舞演じんなよ」

 

「あぁ、気遣いありがとな」

 

こうしてオレは友達と別れ、一人で我が家への帰路に付く。

 

「雨、か…………傘ねぇし、さっさと帰るか」

 

いい女と飲みに行きたかったが、この雨じゃ通ってる場合じゃない。

女に泊めてもらうのは勘弁だからな。

他人への気遣いはオレがするものだ。相手に気を遣わせるわけにはいかない。

 

「────────ん?」

 

その時オレは、向こうの路地にいい女の匂いを嗅いだ。

匂いでわかる、間違いなく絶世の美女だ。

しかしどうしよう、もうすぐ雨が降るんだ。

遊んでいる場合ではないのだが……………

 

「……………いや、」

 

雨が降ったって死にはしない。

ちょっと寒いだけだし、服は濡れようと替えが効く。

女は一人一人が千差万別。どうやっても替えがない。一人一人がかけがえのない存在であるゆえに、一期一会のチャンスはひとつたりとも逃してはならない。

 

「よし、」

 

オレは路地に踏み込む。こんな狭いところでなにをしているのかはさておき、とりあえずこの女に声をかけるとしよう。

 

「こんばんは、今宵は良い────」

 

目を瞑って近寄り、目を開けて顔を見る。

これがめちゃくちゃ色っぽくて好き、と色んな女に言われるのでオレの挨拶の鉄板パターンとなっている。

最初は目を瞑っているので、最初はオレも相手の姿はわからない。目を開けたとき、オレはその女の姿をこの目におさめた。

 

「───────ぬ、なっ!?」

 

………………しかし。

 

「う、うわぁぁぁッ!?」

 

その女は、絶世の美女などではなかった。

 

 

「あ…………ぁ……………かぁ……………」

 

暗くて見えぬ路地の奥で、血まみれになって壁にもたれ掛かる、幽霊のような女だった。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

生まれて初めて見た幽霊に腰を抜かしてオレは地面に尻餅付く。

オレは強いが、怖いものは怖い。初めて見るモノはオレだってまずは恐れるものだ。

何があった、殺人事件!?

とりあえず真っ赤になっていることだけはわかっていたのだが、それ以外は何にもわからない。

 

「───────し、死んでる………?」

 

「……………う…………ぅ……………ぁ……………」

 

いや、生きている。

 

「はぁっ………………」

 

オレはホッとした。

初めてホトケ様を見ることになると思っていた。

まぁ、武人になればもしかしたら今後も何回か見るかもしれんが。

だが、綺麗な女の死体だけは絶対に見たくなかったから助かった。

 

「──────────」

 

しかしこの女……………

 

「……………綺麗だ」

 

死に際の姿だが、折れた百合のような印象を見せるが……………

百合は折れても百合なのだ。百合が綺麗なのは当たり前だ。折れていても、百合は美しい。

これは……………オレの理想に近い女だ。

 

「──────────」

 

欲しい、オレは素直にそう思った。

今まで数えきれぬ女と遊んできたが、こんなに心に来る女は初めてだ。

これは……………運命なのかもしれない。

 

「───────だが、」

 

どうしよう、この女は死にかけだ。

助けてやるにはどうすればいいのか。

 

「あぁぁぁ、こんな時になんで…………」

 

運命とはなんでこんなにも残酷なのか。

 

「いや、」

 

オレが助けてやればいいんだ。

そうすれば、彼女は生きていられる。

 

しかも…………

 

「フフフッ……………」

 

助けてやれれば、オレが彼女の命の恩人になれば、間違いなくこの女をオレのものにできる。

命を救ってくれたんだ、どんな相手であれ身を捧げてくれるはずだ。

 

オレは歓喜に飛び上がり、建物にもたれ掛かる女を抱え上げ、路地から出る。

思いの外軽い女だ。本当に骨入っているのか?

見たところ栄養失調のようにも見えないし。

──────つまり、最後に食事を摂ってから間もない………?

 

「───────────」

 

何があったのかは知らないが、とりあえずオレは最寄りの病院を目指して走り出した。

 

「待っていろ、今すぐ助けてやるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから!オレは路地でぐったりしていた女を拾っただけなんだ!」

 

─────────だが。

 

「嘘をつくな。お前が勢い余って殴り倒しただけだろう。それで相手を殺して、最期の場所がうちだからってことで責任を押し付けてやろうってことだろう、そんなことは勘弁だからな」

 

オレを待っていたのは冷たい視線と言葉だけだった。

 

「なんだと……………?」

 

「ともかく、うちではお断りだ」

 

「そこをなんとか…………!!」

 

「帰ってくれ」

 

扉を閉められる。手を伸ばした拍子に指が挟まれる。

 

「痛ッ!!!」

 

オレは人を殴りすぎた。強すぎた。

だから………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「また人を半殺しにしたのか。もう助からないだろう、その子は。助からなかったらうちの評判が下がるだけだ、無理な相談だよ」

 

 

………………誰一人として。

 

 

「うちは手術の成功率で売っている、助からない患者は絶対に受け付けねぇからな!」

 

 

オレを信用してなどくれなかった。

 

 

「貴様、それでも医者か…………!どうあれ、人の命を救うのが医者の使命なんじゃないのか………!」

 

とうとうオレは最後の一軒での対応に腹が立ったので、胸ぐらを掴んで圧をかけてしまった。

 

「やめろ離せ、このガキが!そうやって人を殴ったりすることしか能がないからまた一人と人が死ぬんだろう!」

 

「何を…………」

 

「俺たちは人の命を救うことしかできない。だが、お前は人の命を奪うことしかできない。これ以上ねぇ不要因子だ。なにが武人だ、偉そうに武芸の名門だのほざいているが、お前らと殺し屋のなにが違うんだよ!」

 

「貴様………………!!」

 

「どうした?悔しかったら殺してみろ。まったく、なんでお前みたいな人間のクズが俺たちよりも裕福なのかわかんねぇな。人に殺人術を教えるようなお前の実家みたいなものがあるから人がどんどん死んでいくんだろうが。その女のことは知らねぇ。そんなに治したかったら怪我させた本人が自分で治せば良いじゃねぇか。まぁ、どうせ、できっこねぇんだろうがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────────」

 

知っている病院はすべて行った。

オレももう限界だった。

何軒回っただろう、でもどこも、この女を受け入れてなどくれなかった。

 

「─────────────」

 

(なにが武人だ、偉そうに武芸の名門だのほざいているが、お前らと殺し屋のなにが違うんだよ!)

 

「違う……………………」

 

武道は…………オレの生き甲斐で…………

武人は…………オレの夢なんだ…………

 

(そんなに治したかったら怪我させた本人が自分で治せば良いじゃねぇか。まぁ、どうせ、できっこねぇんだろうがな)

 

「……………やってやるよ」

 

なら、オレが治してやろうじゃないか。

医療はなんにもわからないが、ヤブ医者どもの元で寝かせるよりかはずっと良い。

もうこんな夜遅くか。早く家に帰ろう。

 

 

「ぅぁ………………ぐっ…………はぁ、はぁ、」

 

「ごめんな、また…………動き回ることになる」

 

また女を背負い、オレは実家を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた!うちの巴照が女性を殴り殺したって…………!!」

 

────────だが。

 

 

 

「そうか、やっぱり女遊びにふけっていたのか」

 

「しかも、大怪我させた相手の始末を病院に押し付けようと里じゅうの病棟に駆け込んだんだとか!今あちこちから苦情が来ているわ!」

 

オレの最後の希望は、最悪の形で帰ってくることになった。

 

「──────親父、お袋、信じてくれ………!オレは、見知らぬ人を訳もなく殴ったりするようなやつじゃない!」

 

「黙らんかバカタレが!」

 

親父に怒鳴られ、頬を殴り付けられる。

さすがのオレも、親父…………すなわち師範には勝てない。

 

「…………………ぐっ、」

 

「もう俺はお前を息子とは認めん。お前は一家の家紋に泥を塗り、さらに武芸の世界を穢した。そして、里の人々に迷惑をかけ、一人の女性の命を奪った」

 

「─────────親父、」

 

「ぐすっ、ぐすっ……………あぁぁぁあなた……………なんてこと…………」

 

「泣き止め、君の責任ではない」

 

「いいえ、巴照を産んだ私が悪いんだわ。ほんとうに、ごめんなさい……………」

 

今ちょうどすがろうとしていたお袋が、オレの助けを求める声の前に放った一言で、

 

「───────────────」

 

 

 

 

オレの中で、なにかが音を立てて壊れた。

 

 

 

 

「………………………」

 

玄関に寝かせていた女を抱えて家を出ていこうと、オレは居間を立ち去る。

 

「待て!貴様は我が竜藤の名を穢したのだ、ただで済むと思うな!!」

 

「ぐぁッ!!!」

 

何度戦っても勝てなかった親父が、壁にかけてあった模造刀を引き抜き、それでオレを殴り付けてきた。

壁までふっとばされて倒れたオレに追い討ちをかけてくる。

 

「貴様は、武道を、武人を、竜藤を、なんだと、思って、いるのだ、この、無礼者が!!」

 

何度も、何度も、殴られる。

オレはもう、抵抗する意思を失っていた。

目の前にいる相手が、自分の親だと信じられなかった。

「期待しているぞ」と幼い頃からオレの頭を撫でて、どんだけ型が身に付かなくても根気強く教えてくれたあの親父はどこへ行ったのだろう。

 

「そうよ!あなた、なんて、産まなければ、よかった、あなた、なんて、産まれて、こなければ、よかった、のよ!」

 

横からお袋が靴で踏みつけてくる。

両親からリンチされるなんて、普通の家庭ならあり得ない現象だ。

うまい飯を毎日のように作ってくれて、破けたお気に入りの着物を直してくれた、オレのお袋は果たしてオレを今蹴りつけてくる彼女なのだろうか。

 

「──────────────」

 

その時、オレは悟った。

オレがなんで大切に育てられてきたのか……………

 

それはオレが大切な息子だからではなくて、

 

 

 

「─────────────」

 

オレのことを、自分たちの思う【竜藤の後継者】と思っていたからだ。

両親にとってオレとは、一家の顔に過ぎなかった。

名声、富、実績。それらを得て栄華を築くための装置にすぎなかった。

ただの、手段であったのだ。

これまでは偶然、両親が思うような後継者で居られたから可愛がられていたのだ。

オレは、この女にいかれてから、竜藤の後継者であることよりも、オレが竜藤巴照という、自身の意志を持つ1人の生き物として生きることを優先した。

今日のことはそれの結果だった。

思うような動きをしないのならば、自分等の意向に逆らうのならば、存在自体が不要。

それが、オレの両親の、本音であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がはっ!!」

 

オレはようやく逃げる決心がついた。

このままだと、死ぬと判断したからだ。

オレの上にまたがって何度も顔を真上から殴り付けてきた親父の胸を突き、拘束が緩んだ隙に蹴り飛ばし、その隙に逃げることを選んだ。

今のオレには戦う意志も余力も実力も、加えて気力もない。

だから、軽くダウンさせ、お袋が気を取られているうちに逃げた。

玄関に寝かせていた女を再び抱きかかえ、オレは玄関を蹴破って外に出る。

 

「はぁ、はぁ、はぁ!!!」

 

「待て、クソが、死ねぇぇぇぇ!!!」

 

後ろから走ってきた親父が、真剣を投げつけてきた。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

背中を切り裂く一条の矢。

だが、ここで止まるわけにはいかない。

女は無事か?奇跡的に、当たらなかったらしい。

なら、大丈夫……………!!

 

 

「えいっ!!」

 

塀を飛び越え、そのまま飛び降りる。

急げ、まだ敵は追ってくる。

塀の外は急斜面になっており、一度踏み込めば最後、断崖絶壁から滑り台のように転落することになる。

人一人抱えた状態で崖を滑り降りる。当然ながら止まることは不可能。

だから、自分のことはどうでもいい。すでに大怪我しているのだから、今さら枝が刺さったり擦りむいたりする程度どうってことない。それよりも、わずかな衝撃で死んでしまいそうな女を守ることに専念しろ。

彼女はオレ以上の致命傷を負っていてなお、オレが見つけてから今に至るまでの2時間の間、ずっと闘っている。

生きようとしている。

 

 

 

なら、【俺】も……………それに答えないと!

 

 

「ぅうッ、オオォォォアァァァ!!!」

 

女を抱いたまま、俺は崖の麓に背中を向け、背中から飛び降りる。

前を向いたままだと、女が地面に打ち付けられる。

 

「ぐぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!!」

 

地面に転落。

受け身を取れたから、女は無事だ。

俺の背中のほうは大変なことになったが、今さら背骨の骨折なんてたいしたことじゃない。

ここまで来ればもう追ってこないはずだ。

でも、これからどうすればいいのだ。

俺には帰る場所もないのだ。

 

 

 

 

「───────────クソッ!!」

 

どうしたらいいか分からなくなって地面を殴り付ける。

自分の拳から流れる血を見て、余計に悲しくなってくる。

 

「────────雨だ」

 

 

 

そういえば……………今日は雨が降る予報なんだったっけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…………はぁ…………はぁ…………」

 

里の外に病院はないか。

そう期待しながら俺は里の外に女を連れて、歩き続けるが建物の一軒も見当たらない。

雨が冷たい。上着は雨をしのぐために女に被せてやっているので、さっきと比べると倍で寒い。

 

「くっ……………そっ……………」

 

地面に倒れる。

こんなに長い時間、そして距離を、人を抱えて動くのは厳しい。

体力の限界だ。

そして、さっき散々に殴られ蹴られ、その大怪我も祟る。

肉体の限界だ。

そして、里の人々に見限られ、両親に勘当され見捨てられ。

精神の限界だ。

 

 

 

「あぁ……………こんなことなら」

 

こんな女、拾ってやらなければよかった。

手を出さなければ、俺は普通に家に帰って、明日も幸せな毎日を送れたのかもしれない。

でももう、過去には戻れない。

 

「お前も災難だな…………自分が致命傷を負って、他人に厄を振り撒いて、ヤブ医者にお手上げされていまだに助かる見込みナシだ」

 

もう俺には……………彼女しか残っていない。

金もない、食い物もない、服もこれしかない。

大切な家族も、帰る場所も、俺には残っていない。

オレという懐かしい人の形も、もう何処かへ忘れてきてしまった。

もう、人間として生きるというあたりまえのことすら、遥か彼方へと置いてきてしまった。

 

 

 

「────────ごめんな、」

 

自分は…………世界一強いと思っていた。

でも実際は…………一人ではなにもできない。

 

「─────俺はほんとうに、人を殴ることしかできないよ」

 

この無力さをどうしたらいいのか。

もう、なにもできない。

ここだったら……………死んでも誰にも迷惑かからなさそうだな。

家とかも見当たらないし。

それに、これだけボロボロなら、俺たちの死体を見つけてくれた人も、俺がこの女を殺ったという勘違いはしないでくれるだろう。

 

「─────────ごめん、」

 

俺は最期に、女の手を握って、そのまま目蓋を閉じる。

もう……………疲れたんだ。何もかもに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────おい、しっかりしてくれ」

 

 

 

 

「─────────────」

 

どうしてだろう、こんな真夜中に…………こんな人気のない道に……………

人の声がする。

 

 

「────────っ」

 

顔を上げる。

雨は止んでいた…………いや、差し出された傘のお陰でここだけ雨が降っていないのか。

 

 

「──────酷い怪我だ、何があったんだ」

 

「──────アンタは…………」

 

「俺?そこらへんの獣人」

 

獣人…………?

青年は俺とあまり年齢差のなさそうな若者で、荷物を抱えたまま、傘だけ差してここに倒れる俺たちを見つめていた。

首の後ろから三度笠が掛けられている。

今は雨で傘を差しているから使っていないようだが普段はそれを被っているのだろう。

 

「ちょっと待て、三度笠があるのに傘持ってるのか?引っ越しか?アホなのか?」

 

青年は大笑いする。

 

「あんまり苦しくなさそうだね、そのツッコミは」

 

青年は改めて大笑いする。

 

「俺は家出中の身なんだ。いや、家は里にあるんだけど…………その、第二の家というか?師匠の元を出たんだ。ケンカ別れして」

 

「──────────」

 

こいつには…………帰る場所はあるのか。

 

「君は何をしているんだい?」

 

なぜだろう、初対面なのにこの獣人とやらは信用できる。

俺は自分にあった出来事を説明しようとしたが、そんな場合じゃないことに気がついた。

 

「頼む教えてくれ…………この近くに病院はないか!人間の里にある病院は、どこもこの娘を受け入れてくれないんだ!」

 

「はい?そんなことあるの?」

 

「どいつもこいつも、俺がやったんだと勘違いしやがる。患者を救うのが医者の使命だってのに…………あのヤブ医者どもが…………!」

 

「お医者さんが必要なのは君もだと思うんだけど…………てゆーか、君そんなに人を殴りそうな顔してないよ」

 

「まさかお前…………俺を知らないのか?」

 

「知らないよ一般人のことなんて」

 

そうか……………こいつは竜藤家なんて知らないのか。

 

「─────────」

 

青年は仕方なさそうに腰から吊るしたひょうたんを手に取ると、蓋を開けて女に飲ませた。

 

「何を……………」

 

「大丈夫、ただの薬湯だよ。ほんの気休めにしかならないけどね、でも間に合うでしょ」

 

青年は意味不明なことを言い出した。

 

「間に合うって…………何が」

 

「…………?だから病院。行かなくていいの?」

 

「連れていってくれるのか!?」

 

「うん、途中までだけどね。でも心配しないで、案内役を用意してあげるから」

 

青年は手荷物を全部下ろすと俺に持たせる。

代わりに傘を肩と顎で挟んで持ちながら、女のほうを背負った。

 

「さ、行くよ。俺がさっき家出してきたところにね」

 

「なっ…………!?医者の息子なのか!?」

 

「師匠のところって言ったでしょ。あそこは患者を救うことが第一だから、どんなのでも快く引き受けてくれるよ」

 

青年は先を急ぐ。

俺がこんな状況なのにどうしてそんなに早く歩くのか。

 

「待ってくれ」

 

「どうしたの?」

 

「その女は、俺が担ぐ。知らない奴に任せられるか」

 

俺は荷物を下ろして青年に返すと、女の身柄を奪い取る。

 

「なるほど…………一理あるね」

 

青年はとくに反発する様子も見せず、納得した様子で歩き始めた。

 

「荷物が手軽になったなら、必然足も速くなるけど頑張ってね」

 

青年は早歩きで進み始めた。

 

「ま、待て!!置いていくな阿呆が!!」

 

 

 

この日、竜藤巴照はこの道で命を落とし、

 

 

 

 

 

 

代わりに、竜胆筆竜が産まれた。

なんか………どうしようかなぁって()

  • 知るかボケ
  • とりあえず………早く文編書きません?
  • 東方の18禁作品の執筆とかしないの?
  • サボってないで執筆しろ
  • アボカド食べる?
  • その他(その他ってなんだよ)
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