東方 編史帖~上白沢慧音の過去へと迫る旅   作:マジカル赤褐色

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暗黒に染まる電飾

 

「ぜぇぇぇいやぁぁぁぁ!!」

 

「どわぁぁぁぁぁっっ!!」

 

決まったァァァァ!!!!クイーン・ビー依神女苑、必殺のゴージャススープレックス!!

 

「どっ…………せぃ!!!」

 

「ぐ、うあぁぁぁっ!!」

 

さらに女苑の十八番、無一文ヘットバット!!これは痛い!!

これを食らってもなお立ち上がれる青葉選手も大概生物をやめておられる模様!!

会場にいるすべての観客は、今超生物同士の宇宙戦争を見ているわけです!

女苑のプロレス技は基本的にすべて我流、初見で見破ることは不可能です、対して青葉選手は空手、柔道、特に太極拳を軸にした戦法で戦っています。

武道ファンの私に言わせれば、青葉選手の太極拳はかなりの腕。おそらく結構ガチな師匠から教わっているだろうことが想像されます。

形意拳、八卦掌と並ぶ三大内家拳とされる太極拳は、伝統拳とも呼ばれており、ゆったりとした流れるような動きが特徴です。

昨今では健康体操の技法として外の世界で親しまれておりますね。

 

 

 

「セレブリティラリアット!!!」

「箭疾歩!!!」

 

女苑のラリアットと青葉選手のパンチがぶつかり合ったぁぁ!!

てか、今のはなんだ!?箭疾歩(せんしっぽ)は太極拳ではなく八極拳の技!

なんとこの男、本気を出してきたぁぁぁ!

 

「構えが変わった…………!」

 

「次は俺の番だ……………!!」

 

すばやい前進からの強烈な震脚!!

女苑転倒!!からの─────!!!

 

「どぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!」

 

起き上がりを狙った連環腿!!

おそらくこっちの八極拳が本命だ!!

大陸において、大昔とある槍の名手がその達人だったと言う八極拳、その歴史になぞらえてまさに二の打ち要らず!!

女苑もさすがに今ので限界か~?

 

 

「まだまだこんなもんじゃないわよ!!」

 

「ぐっ…………!?」

 

高速で胸ぐらをつかむ!!

 

「食らえ!!散財アッパー!!!」

 

「ぐぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

鈍い音をたてながら青葉選手吹っ飛ばされるー!!!下からの強烈なアッパーを受け、顎から流血しながらふっとばされリングに叩きつけられる!!

今のは相当なダメージ!!青葉選手、リングに突っ伏したまま動かない!!

ダウーン!!!

 

カウントが入った!!

ここまで凄まじい猛進劇を見せてきたお二方の頂上決戦にも、いよいよ閉幕が訪れたか!!

 

「まだ…………まだだ…………!!」

 

「え!?」

 

「美鈴さんの為にも負けられないんだ!!!」

 

あっ!!青葉選手がいきなり起き上がって女苑の顔面に大振りのパンチを食らわせた!!

女苑がロープまで吹っ飛ばされ、また仕切り直しだ!!

タフですね、このひと!!!

 

「くっ……………なかなか……………」

 

「ふぅ…………ふぅ…………」

 

我々としては決着がつかないとイベント的にアレなんですが、どうやらこの二人はおそらくあと数時間は持ちこたえられる模様!!

 

 

 

「いいや、そうは行かない!!負けるの嫌いなのよ!!……………姉さん!!」

 

「なっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女苑─────!!頑張れ─────!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃぁぁぁぁ!!!やってやるわ!!」

 

女苑、姉の応援を受けて気合い注入!!!

自分の拳を打ち合わせて一気に気合いを入れた!!

おそらく彼女に疲れとかはないらしいです!!

 

 

 

 

 

 

「──────さぁ、見せてやるわよ!最凶最悪の姉妹の力、受けてみなさい!!」

 

 

「──────なら、俺だって、」

 

 

「む?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリス───!!!俺に元気を分けてくれぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリス、お呼びのようよ」

 

「幽香?え?どういう…………」

 

「ほら、大事なボーイフレンドがお困りのようよ。応援ぐらいしてやりなさい」

 

「ぼ、ぼぼぼ、ボーイフレンド………って!?」

 

「ほら、貴女には青葉が必要なんでしょう?なら、ここで戸惑ってなんていないで」

 

「で、でも……………」

 

「アオハさん、この前「アリスの度胸あるところは嫌いじゃない」って言ってたわよ」

 

 

 

 

 

「青葉────!!!頑張れ─────!!!」

 

 

 

「わかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

わ、わかった!?

 

 

 

 

 

(アリスって………………)

(単純ね……………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくわかりませんが、青葉選手もやる気十分の様子!!

おそらく次で決まるでしょう!!!

 

 

 

 

「行くわよ青葉ぁぁぁぁぁ!!!」

 

「来やがれ女苑んんんんん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憑依剥奪改(ひょういはくだつかい)・スレイブロパー=プレミアム!!」

 

華符(かふ)迷獄蓮華掌(めいごくれんげしょう)!!!」

 

 

 

 

 

凄まじい勢いの拳のぶつかり合い!!!

今の音と振動と、それにともなく突風は、観客席にまで届きました!!

これはどっちが勝つんだ!

青葉!?女苑!?

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

青葉か!?

 

「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

女苑か!?

 

 

 

 

 

さぁ!どっちが勝つんだ、

どっちだ、どっち────!!!!!!

 

 

 

「ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

相討ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

────────っと!?どぉぉ!?

な、なんだ!?なんだいきなり!!!

 

地響きが……………!?あれ!?

マイクの音声が途切れた!?

あ!モニターが消灯!どうして…………!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……………」

 

俺と女苑は倒れてもまだ立ち上がる。

 

「はぁ、はぁ……………この…………!!!」

 

「ぬぐっ!!!」

 

女苑の頭突きを食らって、俺はまた後退するが、

 

 

「このやろう…………!!」

 

同じように女苑に体当たりを食らわせる。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、」

 

 

 

二人で千鳥足になったまま、そのまま足取りもおぼつかないまま、ぐったりとリングに倒れた。

 

「──────青葉!!!」

 

リングの上に御衣黄が上がってきた。

 

「──────御衣黄………今は、試合中だぞ………」

 

観客がなに勝手に上がってきているんだ。

こんなのまずい。失格扱いになるぞ。

 

「そうじゃない。まずいことになった、すぐにここを離れるぞ!」

 

言うが早いか、御衣黄は俺の手を掴んで立ち上がらせてきた。

 

「な、ちょ、まっ─────え!?」

 

「すきありゃ!!!」

 

その隙に女苑がドロップキックをぶつけようと走りよってきた。

やべ、こんなのが激突したら御衣黄まで………!!

 

「だめだよ女苑!!私たちも逃げないと!!」

 

だが、すんでの所でさっき女苑を応援していた少女が羽交い締めにして止めてくれた。

 

 

「ちょ、姉さん!?なに勝手なことしてるのよ!!」

 

「それどころじゃないよ今は!見てよアレ!」

 

その少女………女苑が言うには紫苑だっけ?

…………が指差した方向には、

 

 

 

「な……………!!!」

 

女苑と俺は声を合わせて試合中だということもド忘れしたまんま口をあんぐりさせた。

 

─────裏椰子飼城が…………闇に包まれている………!!

螺旋の如く渦を巻く紫黒い、禍々しいオーラが龍がとぐろを巻くように城を包んでいる。

城の土台となっている建物と、その横に並ぶ四つの高層タワーも黒雲に包まれてよく見えない。

 

 

「な、なんなんだあれは……………!!!」

 

「─────青葉!!」

 

大急ぎでリングに乗り上げてきた女がいた。

金髪に白いケープと青いドレススカート。

アリスたちも来てくれたようだ。

 

「アリス!どうなっているんだ!」

 

「わからない。けれど、こうなったからにはもたもたしていられない。作戦変更よ!今すぐ椰子飼城に向かうわ!」

 

「ちょ、今から!?」

 

俺が戸惑っているところに慧音さんもリングの縁から声をかけてきた。

 

「呑気に試合などしている場合ではない!さぁ、早く!」

 

「わかった…………ぐうっ…………」

 

ダメだ、予想以上の接戦になったせいで歩くのも一苦労だ…………

 

「ほら、さっさと肩貸しなさい!」

 

すると、俺の横から女苑が肩を組んで一緒にきてくれた。

 

「女苑…………君…………」

 

「試合は中止だから仕方ない。さっさとここを出るわ。私たちがあの城の異変を食い止めるから、あんたたちは休んでなさい」

 

なんだ、やっぱりこの人もいい人だった。

俺も右腕で女苑の肩を支える。

 

「な、まさか君たちも梓ちゃんを助けるために………!?」

 

「梓が誰かはわからないけれど、私と女苑は、獣人の山賊を止めるためにここへ来たんだ。ドロシーたちに誘われて」

 

「ドロシー!?あの女が!?」

 

アリスがドロシーという名前に対して過敏に反応した。

アリスは唸りながら歯を食い縛りながら拳を握りしめる。

 

「じゃあ、俺たちと目的は同じってことか………?」

 

「さぁ?たぶんそうなんじゃないかしら?」

 

なら、この二人とドロシーも仲間にできるかもしれない!

 

「女苑、手を貸してくれ!俺たちでこの異変を止めよう!」

 

「そう言ってるけど、どうなの姉さん?」

 

女苑は少し黙ると、姉のほうに意見をもとめた。

 

「うぅ…………どうしたらいいんだろう…………」

 

紫苑!!そこは迷うところではない!!

─────てか、この二人の差すごいな!

大丈夫!?姉妹だよね?姉だけなんかすごい不憫な扱いになってるんですけど!

顔も暗いし、目に隈があるし、身体も痩せ細っていて弱々しいし、なんか髪も服もボロボロで不潔な印象あるし。

なんか…………複雑な事情とかないといいけど。

─────俺が困っていた時、ふと御衣黄が呟いた。

 

「そうだ紫苑。君、お菓子は好きかい?」

 

「お菓子…………?えへへ、食べ物ならなんでも大好きだよ!」

 

あっ…………………………………

 

「そうなんだ!じゃあ、このどら焼き食べるかい?」

 

さっ、と御衣黄は美味しそうなどら焼きを出してきた。

 

「くれるの!?」

 

紫苑は顔を明るくする。

 

「もちろんさ。中に六種類の小豆が入っていてね、美味しいから食べてみなって~。たまんないよこれ~!」

 

「やった………!!嬉しいよ、ありがとう!!」

 

知らない男に差し出されたどら焼きに警戒心もまったく見せず紫苑は夢中で食らいつく。

……………勢いのわりに、すごく美味しそうに食べるんだな。

 

「ちょ、姉さんになに勝手に渡してるのよ!姉さんも危ないじゃない!」

 

間違いない。

 

「うぅん、大丈夫!これすごく美味しいよ!」

 

しかに気にせず紫苑はどら焼きを味わう。

 

「毎週お気に入りのお店から箱買いで仕入れているからね。暇があったら教えてやろうか?」

 

「うん、ありがとう!今度教えてほしいな!」

 

「よし!じゃあ教えてやるには生き残らなくちゃあならない。俺たちは行き先が同じなんだ。同じお菓子好き同士、仲良くやらないかい、紫苑?」

 

当然、こんな和菓子のように甘い誘いに断る理由もなく、

 

「うん!協力する!決めたよ女苑!私、この人たちと戦う!」

 

「もう…………姉さんったらすぐ食べ物で買収されちゃうんだから…………ドロシーに誘われたときも私は反対したのに!」

 

あ、食べ物でつられたの二回目なんだ。学ばないねぇ…………

 

「よぅし、頑張るぞ。で、何をすればいいの?」

 

「嘘でしょ姉さん」

 

「どら焼きが美味しすぎて…………」

 

えへへ、と照れた顔をする紫苑とそれをたしなめる女苑。

仲が良いようでなによりだ。

それを呆れた様子で苦笑いしながら見ていた俺は背後を見る。

アリスたちが「早くして」と催促するようにこっちを見ている。

なんか…………今さらだけど俺の仲間たちって全員キャラが濃いんだな…………

 

「まずはあの城を目指そう。話はそれからだ」

 

新たに加わった仲間、紫苑と女苑、それから勝手に上がってきた御衣黄を連れて俺はやっとリングを降りた。

みんなと改めて合流してから今後の方針について話した。

 

「しかし、あれはなんなんだろうな」

 

慧音さんが呟く。

 

「酷い音。私の演奏でもとてもじゃないけどハッピーにはできそうにないわね」

 

メルランが言うぐらいなら間違いない。

 

「えぇ、負のエネルギーに満ちている。鬱………というより…………あれは…………」

 

「例えるなら絶望、ね」

 

「うん、雷鼓とルナサ姉さんの言うとおりだよ、あんなのナシだって。たぶん、近付いたらすごく危ないに違いないよ」

 

プリズムリバーウィズHもようやく事の重大さに気付いたようだ。

 

「──────あの負のオーラは私の貧乏エネルギーに似ているけど、そんな緩やかなものじゃない」

 

「私の溜め込む厄とも違う…………まるで、居るだけで死を確信させるような呪いの類いだね」

 

死の呪い………………

 

「ということは、城を覆うアレは梓の呪いってことかしら?」

 

おそらく、アリスの見解に間違いはないようだ。

 

「梓ちゃんに何があったんだ…………心配だ、今すぐ行こう」

 

「おいおい、下手したら近付いたらだけで死ぬかもっていうのに、いくらなんでも軽率すぎないか?そこまで真っ直ぐなのは千歳飴だけで十分だってばよ」

 

わかりにくい例えをするな。

 

「知らない、子供の命がかかっているんだ。それに、俺らが近付いて死んでしまうというのなら、あの真ん中にいる梓ちゃんはどうなる…………?それを黙って見過ごすわけには行かないよ。あの子は慧音さんの大切な教え子なんだ」

 

「やれやれ………こいつはもうどうしようもなくなるパターンだ」

 

まさか御衣黄に呆れられる日が来るとは。

 

「しかし、不安がひとつあるわね」

 

「うん、」

 

メディスンと幽香さんが呟く。

 

「え……………?」

 

「ほら、敵は梓の家の財産を狙っているっていうんでしょう?なら、遅かれ早かれ、梓は始末されるかもしれないってこと」

 

「お父さんになるっていうことは、梓の立場に近寄るためのものであって、もしかしたらあの人たちからしたら梓なんてどうでもいいのかも…………!」

 

なんだって……………まずい、それは考え付かなかった。

俺はうまれてこの方、悪いことを考えるのが苦手だった。けれど、今ので確信がついた。そうだ………今すぐにでも椰子飼家の資産を受け継ぐのなら、梓を始末するのが先決…………!

 

「なら、より一層急がないと!時間がない!!」

 

俺は御衣黄に預けていた模造刀を奪い取ってすぐさま走り出した。

 

「青葉!!」

 

「おい、青葉!!」

 

アリスと慧音さんが慌てて追いかけてくる。

それに続いてみんなも走ってくる。

 

「待て待て!梓ちゃんを守ろうとするのなら、途中で五輪華の妨害が来るかもしれない。その時はどうするんだ!」

 

「もちろん、邪魔するやつは全員ぶっ飛ばすに決まっているだろ!!」

 

「マジかよあんた、正気か!?」

 

御衣黄が驚いた顔をする。

 

「そうだったらなんなんだ!」

 

「どうって─────最高じゃねぇか!面白そうだな!一世一代の大乱闘だ、派手にやっちまって良いんだな?」

 

こんな時でもこの戦闘狂は相変わらずだ。

 

「ふっ…………君といると窮地でも希望が湧いて出てくるよ」

 

「昔っから、場を和ませることだけが取り柄だったんでね。あんたはどうだい、ゆうかりん?」

 

御衣黄が真隣を走る幽香さんに問いかける。

 

「はぁ…………興味ないわ」

 

「そうは言っても、あんたは結局俺についてきてるじゃないか。青葉を連れてきたら解放するって言ったのにまだ一緒に戦ってくれるってことは、何か目的でもあるんじゃないの~?」

 

「別に……………貴方の事にも、青葉たちの目的にも獣人の山賊にもなんの興味もないわ。ただ……………」

 

幽香さんはその邪悪な顔を浮かべる。

 

「貴方たちの行く先に【強いやつ】が立ち塞がるのなら、戦って倒したいだけよ」

 

「きひっ、はははははは!!やっぱりあんたと俺は似た者同士だぜ!!」

 

「叩き殺すわよ」

 

「おー、怖い怖い。で、慧音さんはどうなの?文系の先生に体育は厳しいかい?」

 

「え…………そのだな…………別に私は戦いに興味などないし、極力避けるつもりだ。お前たちの方こそ、梓ちゃんを保護することが最優先事項だということを忘れるなよ?」

 

慧音さんも走りながら念を押してくる。

 

「リリカ、メルラン、ルナサ、雷鼓。準備は大丈夫?」

 

俺もプリズムリバーウィズHに声をかける。

 

「もっちろん!幻想郷一のキーボーディストの力を見せてあげる!」

 

「私のトランペットで全員をハッピーにさせてあげるわ!」

 

「あの濃い負のオーラであろうと、私たちの演奏が必ず書き消して見せる」

 

「そう!音楽は万事共通、あらゆる物に響き渡る魂の叫びだからね!そうでしょう、紫苑、女苑?」

 

さすが幻想郷一番の音楽ユニット。ノリの良さとたのもしさは最高だ。

 

「えぇ!戦いの中でまたあんたたちの演奏を聞けるのなら楽しみでしょうがないわ!」

 

「女苑ばっかり活躍してて羨ましいよ。私だって、妹のために戦いたいんだ!」

 

「どんな厄だって、私が吸い込んであげるわ!死にたくはないけど」

 

とりあえず依神姉妹と雛がいれば大体の良くないオーラはへっちゃら………だと思う!

 

「そして、私とスーさんと青葉さんが叶える人形解放の未来は、もう目の前よ!!」

 

あれ、なんで俺がメディスンの仲間に含まれてるの?

 

「それで?アリス~」

 

「どうしたの、メディスン」

 

「さっきから黙っているけど、何かあったの?」

 

幽香さんが思わせ振りな言い方をしてニヤニヤしながら俺とアリスの顔を見比べる。

何をしているんだ。何がしたいんだ?

 

「いや、その…………なんでもないわよ」

 

「そうゆっくり走るなって。つれない女も良いけれど、意気地がない女の子は嫌われるぜ?だよな、青葉?」

 

「え?俺もまぁ…………度胸ある子は好きだけど」

 

まぁ、別に無くてもどうってことないけどさ。

 

「はぁ…………もう、わかったわよ…………」

 

アリスは急に走る速度を上げると、あっという間に御衣黄を追い抜き、俺の横に並んできた。

 

「じゃ!ごゆっくり~!」

 

御衣黄を始めたした慧音さん以外の全員がスピードを落とすと、こちらに手を振ってきた。

え!?ちょ、は!?

 

「ちょ、貴方たち!!」

 

「大丈夫大丈夫!ちゃんとついていくから!邪魔しちゃ悪いから離れたまでさ」

 

アリスがため息をつくと、また黙って走り始めた。

 

「……………アリス」

 

俺は前々から気になっていたことがあったから、少し聞いてみるとしよう。

 

「あっ…………なに、どうしたの?」

 

「その、さ─────さっきから………いや、むしろもっと前から思ってたんだけど、俺と話すときだけなんか素っ気なかったり静かだったりするじゃないか」

 

「え…………そ、そんなこと…………」

 

そんなふうにはぐらかしたってバレバレだ。

 

「そんなことあるよ。だから、この際訊かせてくれ。正直に言ってくれたら俺、怒ったりしないし、アリスのこと嫌いになったりしないからさ」

 

「う、うん…………なにかしら」

 

「アリスは─────俺が嫌いなのか?」

 

「────────────」

 

アリスは沈黙したまま、また俺から顔を反らしてしまった。

そして、顔をまた向き直してくると

 

「なにそれ、特にないわよそんなの」

 

怒ったように言ってきた。

 

「スッキリしないな。じゃあこう言えばいいかい?「好き」か「嫌い」かで言ったらどっちなんだ。俺はてっきり嫌われてると思っていたんだ」

 

「………………だ、っば……………」

 

「お、お…………お~い、アリスさん?」

 

 

アリスはまた顔を反らしてしまった。

そして、俺に顔を見せないまま、

 

聞き取れないほどの小さな声で─────

 

 

 

 

 

 

「言えるワケないじゃない─────ばか」

 

 

 

 

 

────ただ一言、そう言ってきただけだった。

 

 

 




プリズムリバー三姉妹(プリズムリバーさんしまい)。

種族としては騒霊という幽霊の一種、いわゆるポルターガイストに含まれる。
姉妹で「プリズムリバー楽団」を結成しており、幻想郷のあちこちでお祭りや宴の度に呼ばれてはその素晴らしい演奏を披露する、みんなの元気の源。
人間や妖怪、さらには神霊にまでその演奏は認められており、幻想郷の音楽の最先端を行く超有名人。
「主に手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力」を持っており、なぜか宙に浮かせた楽器と共に踊るとなぜか音が出る。ただ、いちおう手を使って演奏することもできるらしい。
それぞれがまったく違う楽器を使い、その音色が呼ぶ効能もそれぞれ異なるため、まさに「三者三様」のあり方をしている。
「音楽とは魂に訴えるメッセージ」なのだそうで、耳をふさいでもその音色は届く。
姉妹の仲は非常に良好で、それぞれがまったく違う性格なのにも関わらず常日頃から息ピッタリな演奏で今日も幻想郷を元気で満たしてくれている。
実はあの妹紅もひっそりと彼女らの大ファンなのだとか。



ルナサ・プリズムリバー

そのプリズムリバー楽団の長女にしてリーダーであるルナサはリーダーに相応しい生真面目で素直な優等生属性。ただし口数が少なくて暗い印象を持つため、リーダーは次女のメルランと勘違いする人も多い。
紫掛かった黒い服に金のストレートショートが特徴のヴァイオリニストであり、ヴァイオリンの上品な音色で聞き手の心を落ち着かせる。
そんな彼女に相応しい能力は「鬱の音を演奏する程度の能力」。聞いた者を落ち着かせる力を持っており、興奮しすぎた相手や怒りに震える相手の心を癒すことができる。しかし、過剰に聞きすぎると気分が落胆しきってしまい、何をやるにもやる気が起こらない状態になってしまう。危険な能力であるため、ルナサ自身も最新の注意を払っている。
普段口にしないだけで、メルランとリリカの事は命よりも大切にしている。
そのわけはきっと、一番上の姉だからなのだろう。
「そのいつも不安そうな瞳が少しだけ心配だが」って青葉が。



メルラン・プリズムリバー

プリズムリバー三姉妹の次女。プリズムリバー楽団の花形であり、三姉妹の中で最も人気があってファンが多いみんなのアイドル。水色のウェーブヘアに桃色の服が特徴。
いつでも笑顔で元気満天、快活な少女ぶりは見ているだけでも癒される。
楽器はトランペット。派手な音色が聞き手の精神を高揚させてライブを一気に盛り上げる。
彼女の持つ「躁の音を演奏する程度の能力」は聞き手の心を興奮させ、憂鬱になった者を苦しみから救う力がある。ただし、聞きすぎると抑えが聞かなくなり、理性のタガが外れて大暴れしてしまうことも。
ルナサの音とメルランの音はそれぞれの調和が大事なのだ。
もちろん、姉のルナサのことも、リリカのことも愛している。好きな言葉は「ハッピー」。
辛いことがあっても、いつもいつも笑っている。「逆に悲しみだとか、そういうものは知らないのだろうか………?」と青葉談。



リリカ・プリズムリバー

プリズムリバー三姉妹の三女。演奏中もあまり目立たないが、実際は彼女なくしてプリズムリバー楽団の演奏は成り立たないというまさに縁の下の力持ち。
赤い服に薄い茶髪がトレードマーク。
あざとくてお調子者であり、メルランとはまた違う意味での元気さを思わせる。他二人と比べると人間的で俗な部分が強く、時々世渡り上手な印象を思わせる。
横着しがちなところを見るにせっかちで狡猾な部分もあるため、もしかすると青葉と似通った部分も多いかもしれない。
ルナサは弦楽器、メルランは管楽器を得意とするようだが、リリカはなんとすべての楽器が得意なそうだ。
基本的にはメインは二人の姉に任せキーボードを使うことが多いためキーボーディストとしての印象が強い。
「幻想の音を演奏する程度の能力」を持っている。
これだけ他二人とはまったく異なるベクトルで特殊な字面をしているが、要は二人とは「音」としての意味から異なるものを演奏しているということだ。
ルナサとメルランは先述の通り「心に響くメッセージ」を演奏するのだが、リリカは「耳で聴き取るミュージック」を届ける役割がある。
つまりルナサとメルランの音は耳で聴き取るのが難しいということであり、それを聴きやすいように調整するのが彼女の役目ということだ。
ある意味プリズムリバー楽団で最も大事な存在である。
サポーターということもあって周りへの気遣いがあって面倒見が良い。
ルナサとメルランとはまるで三つ子のように対等な関係性で居るところを見るに、「リリカも姉属性が十分にあるんじゃないか」と青葉は思っているらしい。
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