少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
感想評価、誤字脱字報告ありがとうございます。
「どの道この内半分以上が 使い尽くされ捨てられちまう」
IDONO KAWAZU様作曲「妄言に足る所以」歌詞一部引用
「よしっ…」
決意を固めた次の日の朝、用意した諸々をカバンに詰め込んでいた。
昨日は準備と対策に充てたが、なかなかにいいものができた。
相手は内側から燃やしてくる異能を持っている。そのために耐火性を高めたり、そもそも燃やされたりしないよう立ち回る必要がある。内側から燃やされるとなると耐火性もクソもないので、後者、燃やされない立ち回りをするために、いくつか追加で購入したものと、作戦を説明しよう!
よいしょっと、これは呼び出し用の手紙。コイツで空き教室に犯人を呼び出す。いい感じに、言うことを聞け、聞かないならお前のことを暴露する。みたいなサスペンスもので殺されそうな人が書く手紙になった。暗示かな?
こいつは難燃性ロープ。ホームセンターで売ってた燃えにくいロープらしい。そこそこ長く、かつ太くも細くもない締めあげやすいちょうどいい幅を持っているので採用した。捕縛用兼トラップ用。
次に催涙スプレー。コンパクトで持ち運びもしやすいお手軽なヤツ。こっちは何かそういうお店で買った。ちょっと特殊なところでしか売ってないんだな…催涙スプレー。トラップと併用して相手の動きを止めるためのもの。
そして最後、防犯ブザーと紐。こちらは最終手段。上二つと考えている作戦が通じなかった時の最終兵器だ。またの名を纏ちゃんブザー。
……先生を巻き込んでいいのか。すげぇ迷ったけど、やっぱり自分一人じゃなんとかできないのは事実だ。どうしても俺一人じゃ力不足で、白鷺燐火を守れる自信がない。だからこその、纏先生に"先生"としての手段をとってもらう。
すなわち…通報だ。先生には異能を使わせず、もし防犯ブザーが鳴ったら、警察に連絡してほしいということを伝えるのだ。先生には、先生らしく居てほしい。無関係な先生としてな。だからこそ、こうやって先生が助けられる手段を絞ってあげることで、介入を未然に防ごうという魂胆だ。そううまくいくのかって?さぁ…?
とまぁ、こんなふうに一日で揃えたにしてはいいモノだと思う。
白鷺燐火への今後の対応は、んー…まぁいいか、学校で会うときに気まずくなるだけだし彼女への対応は後々の自分にぶん投げよう。諸々終わってからでも遅くないはず…
さて…
「行きますか」
集中しよう。
名前は知れた。準備は朝一、HRが始まる前に終わらせられるだろう。放課後に呼び出して、やる。死ぬ確率の方が高いはずだけどな。男にゃやらなきゃいけない時があるってどっかの誰かさんも言ってたことだし。やりますよ。
鞄を背負って、玄関に向かう。今日が勝負、ちょっと原作とズレはあるけれども、どうせ俺がいる時点でズレは否が応にも生まれてる。それがちょっと増えたところで大して変わらないだろう。
この覚悟を薄れさせちゃあ終わりだ。もう後には引けないところまで来ているのに、ここで引いてどうする。やるぞ…やるんだ…。
バチン
両頬を叩いて、再度気合を入れた俺は玄関の扉を開けて外に出る。曇天、家を出て数m行ったところで鼻先にポツリと雫が当たるのを感じて、幸先が悪いにもほどがあるだろ…と渋面で家にUターンして傘を取りに行くのだった。
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窓から外を覗けば曇天、まるで私の心を表しているようだ…なんて嘯いてみたが、私の心は曇天よりも酷い嵐の有様だ。乱れた髪、泣き腫らした涙の痕が頬に張り付いている。まるでピエロだ。私の今までを考えても売れないピエロといったところだろう。滑稽そのもので失笑に絶えない有様だ。
学校に行くのが一層憂鬱になる。ここまで行きたくないと思ったのは、私の半身達が珍しく(私にとっては忌々しいのだが)協力して動いていた男子生徒抹消事件の時くらいだろうか。あの時の詳細は省くが、半身達の逆鱗に触れた男子生徒が、この世界から抹消されてしまった事件だ。知っているのは私しかいない…と思う。ああも徹底的に動いていたのは初めてで、私には何もできなかった。……すべて、私が起こしたというのに他人事なんて図々しいな、私は。
重い身体を引きずって、学校へ行く準備をする。幸いにも通っている高校は微妙にズレた校則があること以外はゆるい。メイク可だ。髪の染色も可。私のこれは地毛だが染色はしなかった。なにせ、黒に染色すると
話を戻そう。さすがに髪が目を覆い隠していたり、スカートが短すぎると注意はいくが、それだけだ。自主性を重んじているというが、ただ教師の負担を減らしたいだけだろう。指摘する先生も適当だ。唯一真面目に指摘しているのは、笹垣先生くらいだろう。
髪を梳かして、目元の腫れを隠すために薄く化粧をする。身だしなみを最低限整えて、鞄を手に取り玄関に行く。ご飯は食べない。食べる気にはなれない。うぞうぞとした不快で障るような胸の感触を味わいながら、朝食を食べたところで吐き戻すだけだろう。
靴を履きながら思考する。
彼にどうやって謝ればいいのだ。考えても考えても、思考が空回りする。対人経験なんて乏しいのだから、私だけで考えてもどうにもならないことは明白なのだが。それでも私の半身達に頼れば、彼は目をつけられ玩具にされるだろう。唯一マシな
……ふぅ、もう、諦めた方がいいのだろうか。彼を諦めて、今までのようにすれば、彼にも迷惑をかけることはなかっただろう。
昨日、彼が休んだのがその証拠だ。謝ろうと焦燥に駆られながら学校に向かえど、彼の姿は見えず、担任である笹垣先生に問うてみれば、体調を崩し休んだと聞かされた私のあの時の心情は、筆舌に尽くし難いものだった。傷ついているのは彼の方だというのに。
自分だけ苦しめばよかったのだ。他人を巻き込んでしまった。傷つけてしまったのではないか。罪悪感だけが胸に募る。息が詰まりそうで、なんとか呼吸がしやすいよう上を向く。
玄関の明かりがまぶしくて、光を遮るように手で目を覆う。
自分の手で差し伸ばされた手を払ってしまった。その事実だけは直視することが辛くて、立ち上がろうにも足元がふらついてしまう。思わず壁に寄りかかってしまう。
再度、壁伝いに立ち上がって扉に手を伸ばす。行かなければいけない。今後私に関わらないよう言うためにも。傷つけてしまった謝罪をするためにも。
ほんの少し、彼が来なければ、彼の顔を見なければ、私を保ってられると逃げてしまう自分がいて。
もうこんなことが起きないように、こんな身勝手な私を戒めるために、自分で自分を殺す覚悟は振り絞らなければ…。
扉を開ければ雨が降り出していて、鼻につく雨の臭いが、喉に張り付くぬめった空気が、よりいっそう頭を曇らせる。たった一歩を踏み出すのにこんなにも時間をかけてしまう自分が、たまらなく嫌いだ。
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そして私/俺は今日という日を一生忘れないだろう。
時間置いた分、短いながらも投稿しなければ…というわけで区切りがいいところで投稿。
感想評価よろしくお願いします。メンタリティがボロボロですが私は元気です。
初めてのアンケート機能を使ってみたので、アンケートに答えてってくださいな。
1.5章のシチュエーション
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