少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
アンケートはまだまだ続けますが、今の所いっぱい書いてもいいっぽいな…?とりあえず3000字~5000字、クライマックスとかで6000字以上って感じに進めていこうと思います。
注意:この話では気分を悪くする描写が登場します。予めご了承ください
「あなたがそれを望むなら、それはお伽噺ではなくなる」
テオドール・ヘルツル『古く新しい国』より引用
準備は上々。罠も仕掛けたし、先生にも話せた。難色を示されたが、まぁ否定されなかったので、大丈夫だろう。犯人についてもばっちし。ちゃーんと呼び出し用の手紙を下駄箱にボッシュートしたからな。…下駄箱特定は、名前が割れているから、そこまで見つけるのに苦労しなかった。うちの学校は苗字が下駄箱に載ってるからな。他だと番号だけとか何もないところもあるらしいが…まぁ幸運だったということで。
同じ苗字がないかも探したがいなかった為、外れる可能性は低いだろう。これで放課後、3階空き教室に呼び出すことが出来たはずだ。後は行動するだけよ。
教室に入り、頬杖をつく。HRが始まる前に準備ができて良かった。授業合間に罠仕掛けるとかムリだからな…。放課後に準備とか遅過ぎるし…。
HRで纏先生の話を聞きながら思考する。ふと、こちらに目線を向けた先生に対して、笑ってみれば苦虫を嚙み潰した顔を一瞬するモンだからちょっと噴いてしまった。やっべ。
はい、ちゃんと怒られました。
「柳田は…本当にいいのか?」
ひとしきりお説教を終えた先生は、躊躇いがちに、息が詰まって吐き出すように、それでいてまるで自分が苦しいみたいにそう言う先生は、やっぱり…迷惑かけたくないなと思ってしまうくらいにまぶしかった。
心配してくれるのはありがたいし、犯人探しでも手伝ってもらった。これ以上は、自分にやらしてください。情けないっすよ。こんなにおんぶに抱っこで、詰めまでやってもらったりしたら。
そんなことを伝え、でも危なくなったら全力で泣きわめくので助けてください、そうお願いし席につく。先生がどんな顔してるかは、正直見たら心が負けてしまうから、終ぞ目線は下を向いていた。
きっと本来なら先生は介入するべきことなんだと思う。なにせ、俺の前世記憶インストはただの妄想で済ませられるが、白鷺燐火への手紙による被害が出ているのだ。これは先生として解決しなければならないことだろう。
ただ、本人が先生に対して何も言ってこなかったこと(俺が言っただけで白鷺燐火は先生に対して何も言ってないっぽい)、自身の異能がバレることへの懸念、そして何より…俺がいることが問題なのだろう。
俺ははっきり言って邪魔者だ。本来、ストーカー被害なんか学校側からしてみれば話し合いで解決したいものだろう。学校の不祥事になるからな。お互い納得させたということにして、どちらかに転校を勧める。とかも考えられる。
しかし、俺がこうして呼び出して罠を仕掛けたりして、これから問題を起こしますよ、黙っててくださいねって纏先生に言ってるようなものだ。
そうしてことが起こってしまえば、話し合いどころじゃなくなるだろう。下手したら俺は退学になるかもしれない。
それに纏先生からしても、生徒が危険な目に遭うのは避けたいはずだ。
だから俺は説得のために結構残酷というか、ネットで転がっているストーカー話を引き合いに出して脅迫まがいのことをした。
曰く、ストーカーが話し合いで解決するわけがなく、恋の障害みたいに感じてますますエスカレートする。
曰く、ストーカーは周りがどうにかしようとして出来るものではなく、火に油を注ぐだけだ。
曰く、ストーカー被害者がストーカーを否定してまったら、ストーカーが何をしだすかわからない。もし捕まったとしても、釈放された後でまた同じことをする可能性がある。
曰く、ストーカーの対処法はストーカー本人の意識を改めなくちゃいけない、決して、被害者や周りをどうこうするものではない。
こういうことを言えば、纏先生は止まる。止まるしかないのだ。自身が動いてもどうにもならない状況であることを伝え、俺が動かないと状況が打破できないように聞こえさせる。他の人からしたら別案が思いつくだろうが、生憎俺は天才じゃない。
最低なことをしている自覚はある。先生にこんなこと言ったら、十中八九傷つくのはわかってる。でも、先生は今まで積み重ねてきたものを、俺なんかの為に捨てないでほしいのだ。大丈夫大丈夫、俺は先生を利用しようとしてたんだから、そんな人間を助けようとしちゃあいけないってだけだ。
外面と内面で矛盾する自分がいて、心が二つある~なんて茶化してみてもどうにも…胸のざわつきが収まらない。
生きたい、けど罰せられたい。そんなとこだ。どうしようもなく身勝手だな…。
まぁそんなこんなで、俺自身がストーカーの矛先になると言った。ようはストーカーの標的を被害者である白鷺燐火からズラしてしまえばいいと言ったのだ。
俺が犠牲になるのはいいのかって?もちろんその点も纏先生から詰められた。退学になるかもしれないなんて言ったら増々止められただろうから言わなかったが……というか強硬策を取られたはずだ。なにせ、罠関連の話は一切してないからな。まぁ纏先生のことだ。なにか俺が仕掛けているくらいのことは見抜いているだろう。
話は戻して…俺が犠牲になるのはいいのか?これに関してはOKと言っておこう。そもそもが、俺の我儘…とも言えない妄言から始まった。命を落とすかもしれないって可能性もあって、それを変えたいから始めたこと。後々ストーカーに命を狙われるのは勘弁したいが、行動しなければ死ぬのだ。手紙で標的にされたことだしな。だから、相手が動く前にこちらが先手を打つ。そういう話だ。いってしまえば俺が犠牲になるのは確定事項、それが早いか遅いかの違いにしかならない。
この事件を乗り越えたら…俺どうなるんだろうなぁ。纏先生への反省文を書くのは確定してるが、その後の処理が全く思いつかない。生徒の揉め事で済めばいいが、世間に公表されたら大問題だ。白鷺燐火のストレスがマッハだろう。たぶん…別人格が出てくることになる。それだけはなるべく避けたいが…。
いつの間にか始まっていた授業を話し半分に聞き流し頭の中を整理する。
その後のことよりも今のことを優先しよう。
プランA、プランBに必要な道具を改めて確認して焦る気持ちを押さえつける。
プランA、プランBは、相手の行動に合わせていくつか対策したものを大きく二つに分けただけだ。プランAが対峙用。プランBが逃走用ってな具合。
元々、白鷺燐火へ助けを求めるはずだったが、そうもいかない。彼女にはもう無理はさせられない。俺一人でどうにかするには入念な対策が必要だ。
そのために考えられる限りで相手の行動を予想して、相手への誘導や引き出すべき情報を頭に改めて叩き込む。
よし…あとは高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応していこう。まぁ…やれることはやったはずだし、一回限りだからな。最終的に行き当たりばったりになるのは致し方なし。
さて…白鷺燐火から、まったく接触がないというのが不安なんだが…一昨日のことだろうな。仕方ないけど。
授業も恙無く終わり、昼休みに入る。白鷺燐火へ話しかけたい欲があるが……グッとこらえ、図書室へ。
図書委員ちゃんにちょっと用があるからな。図書委員ちゃんはハイスペックヒューマンだから、相手がどう動くのかについて知見を聞いても損はないかと思っただけだ。
図書委員ちゃんにも頼りっきりだなぁ…。終わったらお礼するかぁ。
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さて…場所は変わって、図書室。良く言えば静謐、悪く言えば閑散としている此処で、あいも変わらず番兵のように、受付の椅子に座る彼女は……貫禄ありすぎない?といった様だ。アレ?司書さんかな?それも本に傷付けたら容赦しない人。そう幻視していると、ふと彼女が読み耽っていた本から視線を外し、こちらを向いて、直後蛆虫を見るような目で、こちらを見つめる。
傷つく、傷つくよ…その目は……。
予測可能回避不可能なダメージを受け、撃沈する俺に痺れを切らしたのか、来いと言わんばかりに顎を使う。
「いちいち見つめないでください。不快で不愉快です」
「ごめん…、やっぱり精神にクるなって…」
彼女は嘆息すると、組んだ脚に本を置き、こちらに向き直って聴く体勢になってくれた。
図書委員ちゃんの気が変わらない内に話を始めるか…。
受付に肘を置いて表面を指で引っ掻く。言う内容がまとまり、めくれた張り紙の端をいじりながら俺は口を開いた。
「困ってることがあるって言うのは…前から聞いてるよね。ちょっとそれが表面化したというか…。端的に言うとストーカーの心理について詳しく教えてほしい」
どもったってしょうがないので聞きたいことをストレートに言う。ごまかしたってしょうがない。
「…まぁいいでしょう。私にとって貴方がどういう状況に置かれているのか、何で困っているのかなんて端からどうでもいいことです。それで?ストーカーの心理ですか?」
一呼吸置いた彼女は手に持っていた本を軽く撫でながら続きを話す。
「私は文字上でしかそれを知りません。物語や事件、果てはゴシップ等様々な文字で構成されたものを読んできましたが、実際の事となると私の予想は2割でも当たっていれば上出来といえるでしょう。それくらい現実というものは奇妙で不確定です。それを知ってもなお、話を聞きたいのですか?」
小難しいことを言ってるようだが、言ってることは簡単だ。自分の予想が当たる確率はほとんどないがそれでもいいのか。そう聞いている。俺は頷いて続きを促した。
「はぁ…、では予想と仮定だらけですが話をしましょう。ですがその前に、そのストーカーについて、人物像を話してもらえますか?」
心底面倒くさそうな彼女に申し訳なさが湧いてくるが…四の五の言ってられない。犯人の特徴、おかれた状況、被害者の見た目(ぼかしを入れて)、周囲のことについて、俺が知っていることをすべて話した。
俺の話を聞いて、しばし瞑目、思考の海に入ったのか反応がないが、彼女を信じて口を開くのを待つ。時計の針が進む音と、図書室に居る生徒のページをめくる音だけが部屋を踊る。
「なるほど、いくつか…そうですね。いくつか似たような心理描写が書かれたものと、過去起こった事件を張り合わせて犯人の心理を考えました。あくまで、予想ですから。話半分で聞いてください」
「まず…被害者は相手のことを何も知らないということは、被害者が何ならかの特殊性を持つ場合が多い、そう考えました。例えば、アイドルといった不特定多数に見られることが多い職業だと、本人の預かり知らぬところで想いを寄せられてもおかしくありません。単純に顔がいい、スタイルがいい、他にない特性を持った人、先の話を聞く限り、アルビノ風の見た目、が当てはまると考えられます」
「アイドルの追っかけがストーカーになった事件が過去にあります。その事件を軽く説明すると、アイドルのことを昔から応援していたファンが、アイドルの引退をきっかけにストーカーになったそうです。ストーカーになった理由は、『ファンを裏切った』『ずっと応援してきたのに』といったことを延々と口にしていた…ありきたりな話です。引退理由もどこにでもある『普通の女の子になりたい』といったものですが、どうやら男ができたことによる引退じゃないか、という話もあります。あるゴシップ誌では、『引退したアイドルの数年後を追ってみた』という記事で、その元アイドルが年上男性と結婚して世帯に入ってることが掲載されています」
「これに当てはめて考えるなら、被害者の特別な容姿からある種のファンが生まれ、そのファンが貴方という男が近づいたことで、裏切られたと感じストーカーになった、そう考えられます」
話を聞いて嫌な汗が流れ始める。
「…俺のせいってこと…?」
「結論を急がないでください。たかだか一つの事件を例に当てはめただけで、それをあたかも真実だと考えるのは早計にもほどがあります」
「別の話に置き換えましょう。『魔女に与える鉄槌』という本を知っていますか?まぁ知っていなくても話は続けますが。『魔女に与える鉄槌』という本…悪書は簡単に言えば、女性に対する偏見を拗らせた男が広めた、女性を魔女として断定しそれを断罪するための方法が書かれた本です。中世で起きた魔女狩り、その発端とされています」
「この悪書に当てはめるなら、ストーカーは被害者に対して偏見を拗らせ、気色悪い目で見ていたということです。こちらの推理は手紙の内容の異質さから考えました。まるで自分は惑わされて踊らされているだけだ。惑わしている相手が悪い。そういう風にストーカーが捉えている可能性ですね」
「なるほど…」
焦りすぎだ。冷静になれ。深呼吸を一つ挟んで続きを促す。
「被害者はある種、特異な見た目をしているのでしょう?そこに信仰を見出しても魔性を見出してもおかしくはないでしょうね。理解できませんが」
頬に手を当て目線を伏せながら考えを口にした。そして、躊躇いがちに喉を震わせる。
「……昔はアルビノの生き物を食べると不死になれる、そういった逸話もありますし、現在でもアルビノの人が襲われるケースが存在しています」
気分悪そうに閉口した彼女に申し訳なさを感じながら、俺は思考を巡らせた。話を聞く限り、ストーカーの心理が大雑把にだがわかった気がする。さっきの二つの話を鑑みても、ストーカーが白鷺燐火にアイドルとか神聖さみたいなある種のフィルターを通して見ていて、盲目になっている…ってのが俺の中の認識だ。つまり、下手に白鷺燐火の話を出すと強硬策に出られたりするかもしれない。NGワードが分かってきたな…。そして、人肉食という最悪のルートが出てきたことに、軽く絶望する。もし失敗したら白鷺燐火は、ストーカーの継続的な被害に加えて、食われる(性的)と食われる(物理)の二択の未来が存在するってことか…。絶対に阻止しなきゃな…。
あと気になる点が一つ。話に出てきた魔女狩りだがここ最近どっかで見た気が…
「あ、あのときか」
「なにがですか?」
思わず口に出してしまって慌てて口を閉じる。
「いやー関係ないことかな…?」
そうごまかすも、鋭すぎて紙でも斬れるんじゃないかって切れ目だけで問い詰める彼女に根負けし、しょうがなく口を開く。
「被害者が魔女狩りに関する本を持ってたから関係あるかなって」
「魔女狩りを被害者が調べていたと…」
しばし熟考した彼女は唐突にある質問をしてきた。
「…貴方は魔女という存在をどう捉えていますか?」
「どう…とは?」
いきなりの問いだったもんで、オウム返しに意図を聞く。
オウム返しされたことで不機嫌になった彼女は、目を細めながら口を開く。ごめんなさいね…理解が遅くて。
「魔女というのは本来魔術や魔法で男を誑かし姦淫を行う、邪悪な儀式を行う存在です。魔女であるかの判定はとても緩く、性格が暗かったという理由だけで魔女認定されることも過去あったそうです」
「そして、魔女狩りでは対象への暴力や凌辱といったことも行われていました」
「魔女狩りについてはひとまず、先の話は魔女に誑かされたと思った男が女を魔女と認定した、とも言い換えることが出来ます」
「こうした時、女性側は何もしてないのに魔女として認定されたことになります。ただの言いがかりですね」
「ですが、もし被害者が自身を魔女として認識していたらどう思いますか?ということです」
あまりの考えに動揺しながら俺は反論した。そんなのって…
「じ、自分のことを魔女だって?なんだってそんな意味が…」
「順序が逆と考えてください。魔女だから男を誑かしたのではなく、男を誑かしたから魔女になった。それを自覚したらどう思いますか?」
「そんなの…ただの結果論というか…おかしいだろ」
だってそんなのまかり通ったら、世にいる女性全員魔女認定されてもおかしくないだろ…。男は女性を魔女に変えるジョブチェンジシステムってことになるはずだ。
だが、彼女は何かを確信した様子で言葉を結ぶ。
「私達はそういうことが出来るものを知っているはずですよ」
机に本を置き、首に手を添えもう片方の手で肘を支えながら、ぽつり、言う。
「異能」
がたっ、だたんと動揺して机を支えについていた手が崩れる。べったりと身体を受付に預け、早口に俺は言葉を紡いだ。
「被害者の異能だって言うのか?被害者が男性を魅了する異能に目覚めて事件を起こしたから異能を制御するためにそういう本を読んだとかそういうk」
「違います」
ぴしゃり、断言した口調でそう言われ俺は閉口した。
俺が物理的に近づいたのを嫌がるように、椅子を後ろに下げて距離を置きながらうんざりとした顔で口を開く。
「ストーカーですよ。理解が浅くて困ります。先ほども言ったでしょう?男が女を魔女と認定した。言いがかりだと」
わかってる。わかってんだ。こんなの現実逃避だ。それが本当だって認めたくないだけだ。
「もし、もしもの話ですが、ストーカーが異能に目覚めたとして、それが被害者に影響しているなら…」
仮定、仮定の話なんだ。そうだろ?
「ストーカーが、対象を魔女として認定する、そんな異能に目覚めていたら」
俺が相手にするのはただのストーカーのはずだろ?
「魔女狩りの対象となったら」
ははっ、うーん…嘘だよな?嘘だろ?…嘘だろ。
「被害者はどうなるでしょうね」
眩暈が俺を襲った。
~~~~~~~~~~
「待て、待って。なんだ?魔女と認定する異能って!?」
荒ぐ声、言い知れない不気味さが心に巣くい出す。
「静かにしてください。ここは図書室です。それに…言ったでしょう?あくまで予想の話です」
「予想って言われたって…!?」
動揺に支配された俺は、思わず手に力が入ってしまい、そのまま受付に乗り出すような格好になる。
「近いです。そんな近づかないでください、鬱陶しい。…異能というのは確かに存在して、物理法則や既存のルールを逸脱したことを起こせます。人が空を飛ぶ、死んだ人が生き返る、そんな異常がまかり通ってしまう」
さらに俺から距離を離すように椅子を後ろに滑らせ、壁にぶつかった彼女は、壁に背中を張り付け、心底近づきたくないという顔で続きを話す。
「昔はそんなこと起こらなかったと聞きます。いつからそうなったかはわかりません。ですが…確かに異能は実在して、理解できないことを起こせます」
「出来ないことはない、そう考えるのが妥当です」
「そんなの…」
俺はただひたすらに理解を拒む言葉を言おうとして、それがまかり通ることが分かってしまって、口をまごつかせる。
この世界は思ったよりも、おぞましく、恐ろしい世界だった。それを改めて認識した。いや、理解はしていたのだ。作者が少年少女の闇を見たい、そう言って作りだした世界観だからエグイ設定は存在するのは知っていた。異能というものが、その人が抱える闇から発生することは理解していたつもりだった。
だけど…こんななのか?そんな悍ましい世界だったのか?いや違う。この世界じゃない。
相手を魔女として認定して、魔女狩りを行う?なんだそれ?時代間違えてんのか?
「待て。じゃあ被害者が魔女に対して調べていたこととどう結びつくんだ?被害者が気付いていたってことか?」
「かもしれませんね。そこに関してはいくつか考えられます。被害者が気付いていた可能性、自身の見た目に関することで調べていた可能性、ストーカーの異能による可能性…」
「自分を魔女だと認識させる異能ってことか?なんだって意味が…」
「意味ならありますよ。予想ですが当たっているなら反吐が出ますがね。聞きますか?」
話を一人で進めていた彼女が珍しく話の続きを委ねてきたことに嫌な予感をしながら、うなずく。
「相手を魔女と自覚させることで、誰かを惑わしているという罪悪感を煽る。そうすることで、相手の視野を狭める。そういったことも考えられます。手紙に書いてある通りですよ、誑かしたのは被害者なのだから、こんな目に遭うのも自分のせい。自身の正当化も目的に入ってるとも考えられます。被害者面したい……大丈夫ですか?」
…あー…やばいな。冷静じゃない。いますぐ相手をぶん殴りたい衝動に駆られている。なんだそれ?はっ?気持ち悪いとかそういうのじゃない。肺のあたり、身体の中心で暴れ出すかのように、ただただ純粋な怒りと殺意が湧いてくる。思わず握りしめた拳が行き場を無くして、腰に振り降ろされる。そのまま制服を掴み、皺ができるほど握りしめる。
「煽った私が言うのもなんですが、抑えてください。これは予想ですし、私が考えられる限りで最悪のことを言っているだけです」
「もっと簡単で即物的な理由かもしれませんし、ただ被害者の罪悪感が強いだけかもしれません」
「ですが…貴方の話を聞く限り、最悪の状態を考え、行動するのが最善だと考えます。相手の理由なんて終わった後でいくらでも聞けるはずです」
諭すような言葉に、いくらか冷静さを取り戻す。何事かとこちらを見ていた図書室の生徒が居ることに気付いて、頭の中が冷えていく。ここで怒ってもどうにもならない。
「…ありがとう。本当に助かった」
「いえ…あくまで推測です。役に立つかどうかはどうだっていいのですが…そうですね。受け取っておきましょう」
心をなんとか押さえつけて、礼を言うと珍しくそっけない返事がくるはずなのに、お礼を受け取ってもらえた。今までだと、『さっさと行ってください』と返されたりするのに。
「私だって思うところがあるんですよ。そんな気色悪く外道で愚劣な存在が身近にいるってことに吐き気がする。ただそれだけです。解決して愚物を消し去ってくださいね。本当に」
「わかった…。なんとかする」
最後の言葉を強調しながら、口を閉じる彼女に、俺は確固たる意志で返答する。
その後も魔女狩りについてや、他に考えられるストーカーの考えを教えてもらい、昼休みを終えた。
午後の授業はいつの間にか終わりを迎えた。考え過ぎて時間を忘れていたらしい…帰りのHRを終え、俺は真っ直ぐ三階空き教室に向かう。
罠をチェックし、空き教室の真ん中に椅子を用意する。カーテンが開いていることを確認し、先制のジャブとして考えた言葉を脳内で反復する。
さぁ準備は整った。
クライマックスでもないのに、8000字行った馬鹿がいるらしい…
感想評価よろしくお願いします!
はてさて…ストーカー君の異能ってどういうものなんだろうなぁ()
ちなみにですが図書委員ちゃんを喋らせるプロットもストーカー君の裏設定をお話に出すプロットも存在しませんでした。図書委員ちゃんはもっと先の話に出すつもりでしたし、ストーカー君はさすがに気持ち悪すぎるなって思ったので、プロットの没設定として眠らせていました…が眼鏡を無くした怒りで登場させました。そのせいで8000字いきました。
たぶんちょっとの間投稿ペースが速くなります。後誤字脱字も増えると思います。
あと闇がもっとドス黒くなります。
現実が許せねぇ…!作品にぶつけてやる…!(執筆意欲が急上昇)(眼鏡紛失の怒り)(自業自得)(闇が暗黒化)
1.5章のシチュエーション
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嘘つき少女と人の痛みに共感できる男子()
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幸せをかみしめている少年と愛されたい少女
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幸福の価値が分からない女と不幸体質の男
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天才と天才女になり切れなかった凡才男
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自分に価値を見出せない男とまぶしすぎる女
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忘れた少年、忘れたかった少女