少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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感想評価、誤字脱字報告ありがとうございます!詫びの毎日投稿1回目です。

真社会性生物
社会性のうち高度に分化が進んだもの。蜂や蟻にみられるもので、繁殖個体と不妊個体に分かれ、群れ全体で一つの個体という形で種の存続を行う。繁殖個体と不妊個体で大きさや構造に違いがみられること、繁殖を行う女王個体に繁殖が限られ、群れを構成する個体は兄弟姉妹(蜂の場合姉妹しかいない)こと等から、社会性生物のさらに先、真社会生物としてあらわされている。


閑話 真社会性ヒロイン その1

微睡みから覚めていく。二度目の最悪の目覚めだ。いや最悪を更新したというべきか?

 

許容量をオーバーすることが多すぎてもういっぱいいっぱいだ。ストーカー倒してハイ終わりじゃダメだったのかよ。現実はそう甘くないと言われたらそうだけど、辛すぎやしませんかね?

 

吐き出された心中は重い。私じゃない俺がいるということ自体が奇妙な寒気と肋骨の裏を撫でるような怖気を感じる。

 

混ざった。端的に言うとそうなのだろう。

 

そんなまさか、こんなことが起こり得るのか。イカレてる、狂っている。そう叫んだところで、これが事実なのだからどうしようもない。

 

願ったって祈ったって、時間が巻き戻ることは……多分出来る奴はいる。ただ、今この場にいないなら居ないも同然だ。

 

白鷺燐火が徐々に俺に混ざる。だが、俺があちら側に流れることはなかった。俺だけが混ざったデメリットを享受している。クソ過ぎないか?

 

流れ込んだ孤独が俺を蝕んで、知りたくなかった心を奪われるという経験を否が応にも追体験させられた。

 

苦しいなんてものじゃない。アイスを食べて冷たいとか美味しいとか思うよりも先に、この味がなんなのか思い出せないことへのもの悲しさを感じるんだ。

 

辛いなんてものじゃない。音楽を聴いて、良い曲だとか、好きなフレーズだとか思うよりも先に、歌詞の意味を理解できず、音にどんな感情を抱いていたのかを考えることが先に来る異常さと喪失感は筆舌にしがたいものだった。

 

泣きたいなんてものじゃない。起きて、支度をして、学校行って、勉強して、家に帰って、眠って、そんな当たり前の生活すら、覚えてしまっていることの絶望感は二度と味わいたくない。

 

何もないんだ。例えば友達と遊んだから、その日の朝に食べた朝食を忘れてしまったとか、今日は先生に怒られたから通学路で見かけた猫のことを忘れたとか、そういう少し刺激になった出来事によって忘れてしまった日常の一風景をすべて覚えているんだ。日常風景が記憶に残るほど、なんの山も谷もない。薄れるはずの記憶が、何の刺激もないから頭に残り続ける。終わらない絶望、明日が来ることに恐怖しかない。なんでこれで死にたいと思えないんだ。そう思って、気づいた。気づいて…耐えられなかった。

 

(全部……奪ったっていうのか……!なんだよ、なんだよそれ…!お前らの為に生きた屍みたいになってでも生きてくれってことかよ……!あ、頭、頭おかしいんじゃねぇの…!!)

 

別人格に対する怒り。これは俺の怒りだ。でも私の怒りでもある。俺が私の怒りを代弁する。代弁しないという選択肢は端から捨てていた。

 

記憶の追体験は、本当に救いようがなかった。自分のことしか考えてないヤツが一番マトモで優しいってなんだよソレ。

 

[ワタシ]は、知識欲の化け物だ。ただ最初からそうじゃなかった。本体を助けるという役目、それと破綻した人間には普通の人間が理解できなかったから、理解しようとした。その二つが混ざり合って、未知を既知にする化物になった。相手を理解できないから相手を理解できるまで知識の収集をやめない化け物になった。

〈ボク〉は、自己嫌悪の化け物だ。多重人格者という自分に嫌気が差していた。だから、自分は一人でいいという考えを持つ。そして、自分が嫌いだからこそ、同じことを別人格も思っていると考え恐怖した。自分自身に殺される、だから生き残るためにも、本体を最低限生かした状態で、別人格を排除しようとしている。

【オレ】は、利己主義の化け物だ。自分のことしか考えてない、だからこそ自分の好きなことをするために飛び出した。だが一番本体のことを思っていたのもコイツだった。自分の好きなようにやる、それが本体の心労になることは明白だったから、負担を軽減していた。本体の負担となる[ワタシ]や〈ボク〉を気に食わないからという理由で、止めていたのもコイツだ。

 

怒りは止まらない。が同時に泣きたくて仕方がなかった。だってそうだろう。

 

多重人格者に普通の人間は理解できるのかよ?元普通の人間だった俺すらわからなかったのに?

例えば、花を見て、綺麗という単一の心しか持たないということが、花を見て、潰そうだとか、摘んでしまおうとか、水をやろうとか、愛でようとか複数の心があるような存在に理解できるのか?頭の中の自分の声しかない状態が、常時頭の中で声が響き続けていた存在に理解できるのか?

 

わからないなりに理解しようとした末路が、[ワタシ]だった。周りとは違う自分に嫌気を指した末路が〈ボク〉だった。自分の好きなように生きたいという叶わない願いの末路が【オレ】だった、

 

救いようがなさすぎる。じゃあどうすればよかったんだよ。

 

もう訳が分からない。一つの心しかない人間でさえ矛盾に苦しむのに、複数の心を持った人間が抱える矛盾はもう知恵の輪のソレと変わらない。複雑怪奇で難解過ぎる。もう自分が何をしたいのかわからない。

 

たぶん、【オレ】が本体を助けるのもそれが理由なんだ。自己中心的で、一番自身の心に従ってるから、見捨てたはずの本体を助けようとしている。自分でもなんで助けようとしているのかわからないから、気に食わないという理由で助けている。きっとツンデレだとか言い訳だとかそういうのじゃない。本心なんだ。

 

〈ボク〉もそうだ。こんな自分嫌になってくる。自分の中に人を抱えるということ、それが齎す弊害と他者との違い、普通になりたい、一人になりたい、そう思うことは否定出来ない。自分に殺される、たしかにそう思うかもしれない。自分の中に意見が違う人が居て、存在を許容出来るのか。常日頃、自分が否定する考えを脳内で叫ばれ続けても冷静でいられるのか。そういう話だ。

 

【ワタシ】、狂った人格。狂うだろうさ。こんなの、常人に耐えられる訳がない。知識を求めたのは助かりたかったからだ。でも多重人格を治す方法なんて、通常の方法じゃ参考にもならなかった。人の中身を覗き見て、人を知って、治す手段を確立しようとした。そうして、人の闇を取り込んで…さらに狂った。

 

(わかったよ。わかった)

 

俺は見捨てられない。見捨てたくない。

 

(全員救ってやるよ)

 

こんな救いようがない話、クソ喰らえ。

 

(やってやる)

 

意識が明瞭になる。記録更新した最悪の目覚めpart2だ。最高の目覚めpart1でもある。

 

これ以上、下がないだろうっていうどん底の絶望を味わったんだ。これから先、上がっていくしかないだろう?

 

(絶対にやり遂げる)

 

全員救って、ハッピーエンドだ。

 

決意を固めた俺は確かに

 

(ありがとう)

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

目を覚ます。

 

天井にギョロリ、人の目。ふと、視線が合う。

 

目を閉じる。

 

ふぅ〜、息を吐く。

 

もう一度目を開ける。

 

二つに増えた、人の目。わぁ、綺麗な赤目だね

 

もう一回目を閉じる。

 

目を10秒かそこら擦り続けた。幻覚であってくれ。

 

開ける。

 

ギョロッッ!

 

天井にみっしりと集合する大量の人の目。全てこちらを凝視している。

 

「ギャァアアアアアァァァアアアァァアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!」

 

最悪の目覚めじゃねぇか!!!!!!!!!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「しまいにゃ全部ほっぽり出して逃げるぞこの女郎!!!」

 

ご、ごめんなさい……

 

白鷺燐火の部屋、仁王立ちする俺。正座して俯く白鷺燐火・本体。

 

マージで、ビックリした。心臓止まるわ、ホント。

 

なんなの?

 

萎びた野菜みたいになってる白鷺燐火・本体は、半目になって見下ろす俺に、おずおずと言い訳を始めた。

 

「貴方に……何かあったら…って思うと心配で………」

 

しょんぼりとした感じで言うが、寝起きで天井に目がびっしりと集まっていたら、普通に恐怖だからな?

 

「ホントさぁ…、やめよ?禁止禁止、これから家と同化するの禁止な」

 

「わかったわ……」

 

正座をさせる意味はない。だって、自分の肉体を変化させて正座に適した肉体とかしそうだもん。これは俺の我儘…というか体裁的なものだ。

 

へなへなになった白鷺燐火・本体が、ふと口を開いた。

 

「貴方は………今までより…態度が軽くなったわね」

 

ボソッと言う彼女に、俺の怒りは再び点火した。

 

「そりゃあねぇ!混ざっちゃったからねぇ!アンタを他人と見れなくなっちゃってねぇ!もうカテゴリーが友人から家族に切り替わったんすわ!」

 

びくんと跳ねあがる彼女を無視して続ける。吐き出せるときにはき出して置かねぇとよォ…耐えられないんだわ。

 

「確かに助けてもらったことはありがたいけど、人間助かったら、助かる方法も吟味する生物でしてねぇ!不満たらたらなんすわ!傲慢でごめんね!」

 

終わったことを掘り返すことの無意味さは理解しているが、じゃあこのままなぁなぁにできるかと言われれば、NOだ。

 

「……あの時助けるためにはそうするしかなかった」

 

目をそらして、言う白鷺燐火・本体。オイゴラ

 

「だろうね。それは認めるよ。確かにあの時の俺は、その献身がなければ死んでいたね」

 

事実は変わらない。確かに、俺が生きるためには白鷺燐火・本体の助けは必要不可欠だった。

 

「でも、精神が混ざる必要あった?」

 

肉体はね???精神混ざる必要何処にあったんよ???

 

「…………あった」

 

依然として視線が合わない状態が続く。ふと天井を見たら、びっしりと集合していたはずの目が全てあらぬ方向を向いていた。お前らもかい!!!!!全部白鷺燐火だけどさぁ!!!!!せめて、どれか一つくらい目が合ってほしかったわ!!!!!

 

そしたら、一斉に目を閉じて、自分はただの天井ですよと言わんばかりに平常時に戻った。そこまで目ぇ合わせたくないの!?!??

 

「その間はなんだその間は」

 

呆れかえって再度、正座でプルプルしてる白鷺燐火・本体を見る。

 

「………精神干渉を受けていたから、その精神干渉を無効化するために、必要なことだった」

 

なるほどね?それじゃあ、その理由があったとして…

 

「じゃあ、この絶賛受けている精神干渉やめてくれない?」

 

こういうことになるんだけど?

 

「……………いや」

 

断るなよ…!

 

「はっ倒すぞ」

 

我慢できず発した言葉。

 

「はっ倒されてもいい。本望」

 

間髪入れず返すんじゃあない。混ざってから俺に対する遠慮は歯止め全部投げ捨てやがったな…この女。

 

「潔過ぎる。吹っ切れ過ぎだよ……はぁ…」

 

これ以上は押し問答になりそうな予感がしたので、ひとまず終わりだ。肩の荷を下ろして、一息吐いて、ふっと湧いた疑問を口にした。

 

「っていうかこれから何て呼べばいいの?」

 

さっきだって白鷺燐火・本体という呼称を心内でしていた。しかし、目の前の正座白鷺燐火は、別に本体ではないし、ただ生み出されている白鷺燐火を統制する個体の一つでしかない。正真正銘の本体は、俺の身体の中にいる。

 

だから、白鷺燐火・本体と呼べる存在は実は俺だったりする。ややこしすぎるだろ。俺=白鷺燐火が成立してしまったことによるバグだ。自己の定義を他人に委ねるんじゃあないよ、ホントに。俺は多重人格者だった…?ってことになるじゃん。あながち間違いじゃなくなったからシャレになんねぇわ…。

 

「私のこと…?」

 

「そそ、アンタは白鷺燐火の……リーダー?だ。俺もお前の下にいるみたいな認識している。お前を助けるために動いてるわけだしな」

 

こう…白鷺燐火と混ざってこうして自分?と話すと、どうにも俺がリーダーだ。俺に従え!みたいな思考になる。これ精神汚染じゃない?だって俺の体内に初代白鷺燐火がいるわけでしょ?絶対にそれの影響でしょ。なーんか強気に出てしまう。1週間前くらいまで赤の他人に対してだよ?そんな、変わるって絶対良くない影響出てるじゃんね。

 

「呼び分けるための呼称が欲しい。いちいち、白鷺燐火・本体って言い方はしこりが残って嫌だ。それに…俺が主体じゃねぇんだこれは」

 

最後の言葉。それが俺の本心だ。

 

「そんなの…」

 

「白鷺燐火。アンタなんだ。俺はアンタが抱えている問題に首を突っ込んだにすぎないんだ。身勝手なことを言うようだが、俺はアンタ自身で乗り越えてほしいんだ。この際、俺がどうとかどうでもいいんだ。今まで付き合ってきたものを、今まで苦しんできたものを、自分の手で清算してくれ…っていうと俺も含まれるのか…なんなんだよこれぁよー!」

 

頭をガシガシと掻いて、頭のごちゃごちゃを整理しようとする。白鷺燐火に対して向ける言葉が全部俺にも適応されるの、マジのバグだろ!!!頭おかしなるわ!!!!おかしくなってるか!!!!!じゃあ手遅れか!!!!!!

 

「とにかく!とにかくだ!!……途中で俺にぶん投げるってことはやめてくれ」

 

乗り越えようと頑張らなくちゃいけないのは、白鷺燐火であって俺じゃないんだ。俺はせいぜい手助けをするくらいで。だから、主体は俺じゃない。アンタなんだ。

 

「これは…アンタの物語なんだ」

 

原作知識がまろび出る。そういうことなんだ。俺はアンタを救いたいだけで、主人公になりたいわけじゃない。俺にこの世界の主人公なんて土台無理な話だ。死ねる。軽く数百単位で。

 

「いったろ?俺を踏み台にして幸せになれって。そういうことだよ」

 

俺はわき役でも何でもいい。少しでも幸せの手伝いができたらいいんだ。

 

納得できたかどうかわからない。でも、少なくとも心の変化は促せたはずだ。

 

「……わかったわ。私のことは…」

 

深刻な面持ちで顔を伏せる。きっと、色々な葛藤があるんだろう。首を突っ込んだとはいえ、巻き込んでしまったという罪悪感があるだろうしな。なんでわかるかって?混ざってるからだよ(白目)

 

「燐火ちゃんって呼んで?」

 

「なんで??????」

 

さっきのシリアスを返せこの女郎。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「Why?」

 

唐突にちゃん付けを求められた俺は、思考を停止。思考が加工されずそのまま体外に排出された。

 

「その……改めて思うと嬉しかったから」

 

よくわからない理由で…あー…あー?…あーっ!!!!

 

「呼んだわ!俺、ちゃん付けで呼んだ!アレなの!?!?!?」

 

まさかの雑な伏線回収に仰天する。そも、伏線であったのか怪しい。何故なら俺は忘れていて、流れ込んだ記憶が、忘れてんじゃねぇ!といわんばかりに強制的に俺の脳にぶち込んできたからだ。それ頭痛くなるからやめろ!

 

確かに俺は、初期、原作知識インスト後のコミュニケーションの中で、燐火ちゃんと呼んでしまい、気まずくなるという失態を犯した。どちらかというと思い出したくない記憶に分類される、黒歴史カテゴリーの記憶だ。あの時の俺、迷走し過ぎだろ。いや必要なことだったのか?現に今こうして問題の糸口になっている。でもあの時の俺は確かにコミュ障拗らせたような感じで、ウゴゴ…。

 

「えぇ?それでいいの?ホントに?」

 

「いいの。私が……嬉しいから」

 

「そっかぁ…」

 

もうそれでいいか…。考えるのに疲れた俺は、ぼや~っとしながら、考えるのをやめた。

 

「へいへい燐火ちゃん燐火ちゃん、相談があるんだけど」

 

燐火ちゃん呼びになれてないのか、ヘッタクソな笑みでむにむにとした表情を見せる白鷺燐火・本体改め燐火ちゃん。可愛いが過ぎるな?

 

「…?なにかしら?」

 

我に返ったのか、正座のままこちらに向き直った。(それでも頬がむにむにしてる。突っつきたい衝動に駆られるが、ひと先ず抑えて…)

 

「精神汚染、やめようか」

 

サッと目線が逸らされた。

 

「あのね?俺困るの。困っちゃう。わかる?プライベートがないの。そっちに俺の記憶が流れていないのが救いだけど、俺だけ特大デメリット受けてるじゃんっていうね?」

 

正座状態で目をそらす燐火ちゃんを覗き込んで目線を合せようとするも、縦横無尽に顔が動き、目線を合せようとしない。

 

「私は………貴方のリーダーでも……ある。………言うことに従………うべきよ」

 

ほぼ首のストレッチみたいなことをしながら言うもんだから、途切れ途切れで聞き取りにくいし言ってることが強引過ぎる。

 

「ほーん?都合がいい時だけリーダー面するんだ。なるほどねぇ?」

 

「………」

 

「黙るならやめようぜ、燐火ちゃん」

 

「…………はい」

 

ようやく目線が合い、そのまま見つめ合う。

 

「俺は俺として燐火ちゃんを助けたい。俺と同化して俺を言い訳に使おうとするのはやめてくれ」

 

「……うん」

 

「俺は助けるよ。例え燐火ちゃんと混ざらなくても。確かに燐火ちゃんと混ざって過去を知ったから、助けようって考えたけどさ。その前から俺は助けようとしてただろ?」

 

「……うん」

 

「俺は俺なんだ。柳田 修介なんだ。俺が俺であることは変わらない」

 

「……うん」

 

「信じてくれ、何て言わないよ。人を信じれるような過去をしてないって知ってるからな。ただ俺が変わらないってことを理解してほしい」

 

「…うん」

 

「俺は燐火ちゃんに干渉されなくても、変わらずに助けるよ」

 

「うん」

 

「わかった?」

 

「……わかったわ。『眠って』」

 

何とか説得できたようだ。燐火ちゃんのその言葉で、身体の中がすーっと風が突き抜けていったような感触の後に、俺が必死に出さないようにしていた私という一人称も、ずっと流れ続けてきた記憶も全部止まった。

 

「貴方の中にいる〔私〕を非活性状態にした。命の危機に瀕したら、活性化すると思うけど、それ以外は貴方に干渉することはないわ」

 

「よしっ…!」

 

俺のプライベートは守られたらしい。それに…これでこっち側の記憶流れ込まれてたら、原作知識を知ってしまって発狂してしまうかもしれないからな。マジで危なかった。

 

一仕事終えた疲労感から、くぅとお腹が鳴る。寝起きでこれやってたからな…。腹減って仕方がない。

 

「燐火ちゃん俺腹減っちゃった。ご飯食べたいんだけどいい?」

 

距離感が変だって?なんかもう燐火ちゃんの事手のかかる妹かなんかだと思うようになったよね。俺はお兄ちゃんだった…?

 

「えぇ、リビングに案内するわ」

 

そうやって正座から立ち上がり、一緒になって部屋を出る。女の子の手料理かなとかわくわくしてた俺はリビングの惨状を、白鷺燐火という生き物の一端を知ることになる。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おはよう」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

「ひょえっ!?!??!!?」

 

情けない悲鳴を上げた俺。だって仕方ないだろう?

 

リビングに大量にいる異形の白鷺燐火が、それぞれの作業を首から下だけ動かしながら、顔だけが、こちらを向いて微笑んでいた。




感想評価よろしくお願いします。

ギリギリ、日付を回っていないから毎日投稿です()

……お待たせして申し訳ないです。やり取りが纏まらなくてね…。

第二章ヒロイン投票

  • 支配系ヒロイン()
  • 暴力系ヒロイン()
  • 上位者系ヒロイン()
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