少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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感想評価、誤字脱字報告ありがとうございます!
お気に入りが上下してて、やっぱり受け付けない人はいるよなぁ…と若干凹み気味ですが、ヒロインちゃんのコンセプトが地球外生命体:蜜蜂だからね…。人間より虫よりの、精神が人間じゃない生き物が人間にどうにか近づこうとしていくっていう初期案を受け継いでいるのだ…。(初期案は別のお話の、地球外生命体とやさぐれ人間が、世界中に突如として出来た魔物蔓延るダンジョンに潜って、地球外生命体のうっちゃりで、やさぐれ人間が住むアパートに刺さってしまった宇宙船とアパートの修繕費用を稼ぎに行くコメディからきてる)

感想の方であった、白鷺燐火別人格含む読みにくい問題の修正を入れました。これで少しは読みやすくなってるはず…?
基本的に括弧がついていない私表示は燐火ちゃんズのものだと思ってください。何でこんなややこしくしたかって?一人称が種族全体を指す人外生命体的なのが書きたくてね…。白鷺燐火=種族全体の名前、燐火ちゃん=その中のリーダー的一個体を指す名前。ということです。


閑話 真社会性ヒロイン その3

次に案内されたのは、2階の物置部屋だった。どうやら最後に祖父の部屋を案内するらしい。そしてまぁ…お察しの通り、この部屋もエグめの光景が広がっていた。

 

「おぉ―…ロマンって言っていいのかな…」

 

物置部屋の中は、数人の白鷺燐火が模擬戦みたいなことをしていた。左腕を変形させ、骨をブレード状にして振り回し、相手は右腕を肉の塊みたいに肥大化させて骨ブレードを受け止めている。

 

その奥では、両手を握り合わせて祈りの体勢のまま、腕を引き延ばした状態の白鷺燐火、その腕が徐々にねじ曲がり、骨が飛び出て鋭くなり、ねじ曲がった槍状に変形する。それと同時に両肘の部分の筋肉が肥大化していき、形成された槍がその肉に埋没していく。

 

それを迎え撃つは、2人の白鷺燐火、それぞれの左手と右手をつなぎ、反対側の腕を変形させながら立ち位置を変えていく。ちょうどVの字のような態勢となると、腰から床に向かって骨と筋肉が射出され、即席のアンカーの如く床に食い込むように接地された。それぞれの腕を幅広く変形させて盾のように形成し融合していく。大きな円形状の盾、それを形成した後、骨と筋肉が2人を覆い隠していく。骨肉の鎧ともいうべきものが形成された。

 

ギリギリと引き絞られた腕槍、それが臨界点に達したのか

 

バツンッッッ!!!

 

腱が切れたときのような嫌な音を立てて、反動で射出した白鷺燐火を破壊しながら、エグめの威力で射出された。

 

良く見えなかったが、ぐちゃりともがしゃりともいえないような音が二度響き、大盾を上に振り上げた格好の2人の白鷺燐火、その後ろでえげつない穴が開いた壁があった。

 

「な、何あれ…?」

 

おもわずキョドリながら聞く。

 

「アレは物理的な攻撃が来たとき、上手い具合に威力と方向を反らす練習よ。あぁやって訓練を行って、フィードバックを行うことで、今存在している白鷺燐火の戦闘能力を向上させようとしているの」

 

「手前の2人は、即席の武器として骨が良いのか、肉塊が良いのかの研究ね。受けに回るときは肉塊がいいのだけれど…速度がネックなのよね。骨は軽い分、耐久力に難があるし骨密度を高める分エネルギーを消費するから、どうしても短期決戦向きなのよ。その点肉塊は一度大きなものを作って振り回してしまえば、たとえ一部が壊れてしまっても物量武器としての役目は果たせるわ。後は槍とか…もっと小さな骨を射出する銃とか…色々試しているわ」

 

え、えげつねぇ…。

 

「せ、戦闘訓練ってさ…必要なの?」

 

思わず聞いてみる。いやだってこんな高度な感じにやるものなの?

 

「…えぇ、必要よ。[ワタシ]は特殊な例で、様々な異能を使ってくる。『叡智拝領』…人の異能を奪うことが出来るから、その分手札が今も増え続けてる」

 

確か、[ワタシ]は複数の異能をもってるわけだから、こうしている間にも手札は増え続けている。まぁそうだな。

 

「[ワタシ]の異能で一番嫌なものってわかる?」

 

「嫌なもの…?えぇ―…初見殺しとか?」

 

初めて出される異能の対処なんてどうやる?って話だ。

 

「それもあるかもしれないけど、私は何度でも挑むことが出来る。初見殺しは意味をなさないわ。一番嫌なのが…」

 

「能力が分かっても対策のしようがないものよ」

 

「あー…あぁー!…えっでもそんな異能ある?対策のしようがないって言ったって大体欠点があるでしょ」

 

知ってても対策のしようがないものっていっても必ず欠点があったりするんじゃないか?異能ってのは人の闇なわけだ。全てにおいて隙のない闇ってなんだよっつー話だからな。

 

「えぇ、それ単体ならね。[ワタシ]は複数の異能を併用してデメリットを打ち消したりするわ。そのせいで、短時間しか使えない強力な異能も長時間使えるようにしているの」

 

「複数の異能を組み合わせたものだから詳細は知らないのだけど名前は…『征全説』。征服の征に、全ての全、説明の説で征全説。自身の肉体を一切の攻撃が効かない無敵の状態にするわ」

 

「えぇ…チート?どうやって対処したの?」

 

思ったよりチート性能な複合異能だった。そうか…そういうことができるのか。ホントに手札が多いと厄介だな…。

 

「長時間物量で押さえ続けて根負けさせた。死ににくい相手を不快にさせることだけを考えた身体を量産して、物量にものを言わせて1か月くらい延々に嫌がらせしたわ。そしたら解除できた」

 

「お、おぉ…」

 

能力で勝てないから延々と嫌がらせしたのか…陰湿…。ってか他の異能で蹴散らされたり…とか思ったけど、そうか。本体だし、殺しても復活するから相手するだけ無駄なんだ。無限リスポーンする雑魚敵が延々粘着して来たらそりゃ根負けすると思う。俺だって根負けする。たぶん1週間持たんわ。

 

「そういう生き残るための術をこうして身に付けているの。あの腕の槍は先っぽに纏わりつく肉塊を搭載するつもりよ。いまだと射出の衝撃で全部剥がれ落ちてしまうのだけれど…」

 

え、エグイこと考えるなぁ…。マジで物量と嫌がらせで対抗してきたのか…。そうだよなぁ…。他の人格もチート能力してるしなぁ…。自分を増殖させるだけだと勝てねぇってどんなインフレ具合だよ…。

 

うん…?

 

「部屋広くね?」

 

なんで気付かなかったのか。改めて考えるとここは普通の家で、こんなに広々とした部屋なんて用意できないはずだ。それなのに、部屋の外部と内部で釣り合っていない。ちぐはぐだ。

 

ふと出た疑問に、壁の方を指さしながら燐火ちゃんが答えてくれた。

 

「あれ、あそこを見て。暗く影になってる部分に何か蠢いているでしょう?」

 

そう言って、指差された先を目を凝らしてみてみると、いる。ナニカテクスチャのバグのような生き物っぽいナニカがいる。

 

えっ…ゲームでグラフィックがバグった敵じゃん…。

 

「アレは…?」

 

「[ワタシ]から奪った異能の一つ。『擬神暗来』。神モドキを召喚する異能なのだけれど…私と混ぜてあるわ。1分に一回身体が粉々になってしまうけど、調整に調整を重ねてここまできたの。できることは、基本なんでも。今は空間の拡張を行っているわ」

 

「えっ、いや、えっえっ…?」

 

思ったよりとんでもないこと言われた。というか『擬神暗来』って原作の終盤も終盤、[ワタシ]との対決の時に出てくる異能じゃん!原作崩壊じゃんか~…。いや俺が生きてる時点でとっくのとうに原作崩壊か…。

 

『擬神暗来』、原作でも最強異能ランキングに上位に食い込む異能だ。1位ではない。これは、[ワタシ]でも召喚することしかできず、1分か2分の時間制限がある。これを超過すると、黒っぽいテクスチャバグシルエットが、勝手に行動して世界をめちゃくちゃにしながら、光があるところへ邁進していくという地獄絵図が出来あがる。さっき燐火ちゃんが言った通り、基本なんでもできるため、人を指一本、上から下に指差すだけで殺せたりする。ただ、残酷に殺すのが好きで、身体をバラバラにしたり、小動物に生きたまま食われたり、恐ろしい化け物が影から生み出されて引きずり込まれたりと、殺害描写に事欠かない。止める唯一の方法は、同じ『擬神暗来』を召喚して対消滅させるというか、仲間割れを起こす。

 

そんな異常で制御できない暴走最終兵器を第一章からすでに使いこなしている…。いやしているのか…?アレはそんな生優しいものじゃないはず。擬神というより悪魔だ。邪悪な悪魔。

 

「なぁ…アレってちゃんと制御できてんの?」

 

従順に空間の拡張をしている『擬神暗来』

 

「…?いえ、制御出来ずに身体が崩壊するからその度に調整して作り直しているわよ」

 

「じゃあさ…アレ、いつ作り直した?」

 

俺が質問すると、遠くにいるはずの『擬神暗来』がこちらを向いた。

 

「そうねぇ…、……確認したわ。最高記録を大幅に更新してる。活動時間が今まで1分とかなのに、あの個体は10分活動できているわ…」

 

「なぁ…アレこっちで制御できるか?命令状態からその都度指示出す感じ」

 

ジッとこちらを見つめているような『擬神暗来』。身動ぎする。

 

「………出来ないわね。指示を受け付けてないわ」

 

「なぁ………」

 

どこかでみたことがあるようなうごき。そうだ、あれ。いのししとかがはしってくるときみたいなよびどうさ………

 

「…………」

 

「思いっきし受肉して暴走してね?」

 

そして、暗闇を実体化させて近くにいる白鷺燐火をなぎ倒しながら、こちらに猛然と突っ込んできた。

 

「『肉体増殖』!『エラー個体発生、排除プロコトルB!!!』」

 

だめじゃねぇか!!!!!!

 

燐火ちゃんは悲鳴の如く叫び、俺は脱兎の如く逃げ出した。

 

暴走がバレた『擬神暗来』が、俺達に牙を剥いたのだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ホント……勘弁してくれ………」

 

「ごめんなさい……。封印するわ…………」

 

二人揃って息を荒げて、ようやく鎮圧できた『擬神暗来』に思いを馳せる。

 

あのあと、数秒もしないうちに崩壊する『擬神暗来』in白鷺燐火を複数投入して、ようやく抑えられた。受肉してたからなのか、異常な強さをしていてホントに疲れた…。しかも、アイツ、なんか俺ばっか狙ってくるし、足元にいきなりワニの口が出現したときはさすがに肝が冷えた。危うく避けなければデスロール喰らうところだったし、それをゲラゲラと腹を抱えて笑うような仕草をしていた。マージイラつくヤツだったわ…。

 

「はぁ……よし、最後の部屋行こう。今度はなに?人間大の脳みそが鎮座してる?それとも、キメラ白鷺燐火が「シテ…コロシテ…」してる感じ?もう並大抵のことじゃ驚かないよ俺」

 

「えぇ…」

 

そう言って、次を急かす。もうさっさと終わらせて休みたい気分だった。同じく疲労している顔で、燐火ちゃんが頷くと最後の部屋、祖父の部屋…だったか?に向かう。確か家の奥でどんな魔窟になっているのか見当もつかない。もう人体実験しててもおかしくなかった。それくらいのインパクトが今までの部屋にあったからな。

 

そうして、たどり着いた祖父の部屋、扉を開けるとそこは…

 

「…普通だ。普通の和風な部屋だ…」

 

何の変哲もない普通の部屋だった。ベッドが置いてないことから布団で寝るのだろうか。部屋はスペースが広めで、畳が敷かれていた。座布団と四角い木製のテーブルが置かれている。掛け軸とかは置いていないが、置けばすごく似合いそうな部屋だった。あと花瓶とか壺とか。棚にはいくつかの本がしまわれていて、絶対高そうなアンティークっぽい桐たんすがある。

 

しかし、おかしいと思う点がいくつかあった。まずこの部屋、窓が一か所しかないし、とても高い位置にある。しかも極端に小さいのだ。そこに格子が嵌められている。窓ってこんな小さくていいんだっけ?あれ?なんか…ルールが決まってなかったか?

 

それに、置いてあるものが軒並み低いのだ。テレビはそこそこ大きいものの、薄型のやつだったり、一番高いもので桐たんすの100cmあるかないかだ。押し入れはあるものの腰から下の低い位置で、こう…ドラ〇もんが住んでいるような押し入れじゃない。一定の高さのものが置かれてないように感じた。

 

なんだここ…?

 

部屋に入ってぐるりと見まわして、最後に燐火ちゃんの方を向くと

 

ガチャリ

 

扉を閉められた音がした。

 

「…ん?…ん!?」

 

「ちょ!!?燐火ちゃん!?燐火ちゃん!?開けて!!」

 

扉越しにいるであろう燐火ちゃんに声をかける。いたずらにしちゃあ質が悪い。この違和感がありまくりな部屋に閉じ込められるとか監禁…みた…いな……

 

「それが狙いか!」

 

思わず声を荒げた。クソッ、ハメられた。油断した。閉じ込められた。抱え込んでいた妄執を忘れかけていた。変わらないんだ。どれだけ外面が変わろうと内面は変わらない。それはさっきまでの部屋紹介で理解できたはずだろ?俺に対する激重な感情を抱えてたのはわかってたはずだ。

 

「どうすんだよ…!」

 

振り返って再度部屋を見回す。やはり窓から出るには難しい。あの格子をどうにかしなくてはいけない。壁を叩く。びくともしない。だろうな。無機物と融合してるから耐久力が向上してそうだ。大声で叫んでみるか?やってみる価値はある。

 

「監禁されてるーー!!俺は閉じ込めモガッ」

 

叫んだ瞬間、後ろの扉が突如として隆起して横合いから俺の口を塞ぐ。やはり対策してきた。扉に融合していた白鷺燐火が口、手足を拘束してくる。身動きが取れない。そのまま扉に張り付けになる形になった。

 

扉越しに燐火ちゃんがポツポツと話す。

 

「貴方はもう十分助けてくれた」

 

「私はもう十分よ」

 

「貴方があんな目に遭ってしまったのは私の責任だから」

 

「貴方が望まないことをしてしまった償いをしなくちゃいけないの」

 

淡々と、しかし決意を持った声音で言う燐火ちゃん。違う、俺が決めたことで燐火ちゃんが気に病むことじゃない。首突っ込んだのは俺で、迷惑かけたのも俺なんだ。

 

「もう…いいの。もう貴方を傷つけたくない」

 

伝えたい言葉はいくらでもあるのに、伝えたい相手は扉一枚挟んだ向こう側にいるのに、伝えることが出来ないこの状況がもどかしくて仕方がない。

 

「貴方に苦しい思いをしてほしくない」

 

 

吐き出す言葉に何の意味も込められないことはわかっているはずなのに、どうしてもなんの毒にも薬にもならない言葉しか出てこないはずなのに、心が張りつめて溢れそうなほど、何の変哲もない安心の言葉を言いたかった。

 

「貴方に……生きてほしいの……」

 

身体の力が抜けた。藻掻く力はもうなかった。

 

俺はゆっくりと扉に体重を預けた。数秒数十秒、徐々に身体の拘束が解けていく。たぶん、またここで俺が声を出せば拘束が飛んでくるのだろう。だから、なるべく、淡々として、優しい言葉ではない剥き出しの本心を告げた。そうしなきゃいけない気がした。

 

「生きてるのキツイよ。そりゃあ。俺の中に自分じゃない人間がいるって。考えると怖いし、自分が自分じゃなくなる怖さってのは、筆舌しがたいさ」

 

「ごめんなさい」

 

か細く震える言葉があった。

 

「俺には打算があった。手伝ってもらいたいことがあって、それに協力してほしいから、邪な心を持って話しかけた。だから、今の「私の責任」云々はすげぇ負い目がある」

 

「そう…なの…」

 

泣きそうなほどの言葉がこぼれた。

 

「幻滅した?」

 

「……少し」

 

少しずつ心の整理が付いてきた。

 

「だよな。助けてくれる人は聖人君子であってほしい。俺だってそう思う。騙そうとしない、純然たる善意で助けてほしいってのはわかるよ」

 

独り言みたいに続けていく。立ってるのも億劫になって、扉にずりずりと身体をすり下ろしながら、腰を落とした。アレだね、映画か何かのワンシーンみたいだ。扉越しにこうして話す、エモいやつ。

 

俺は弱い。俺が持っているものと言えば、原作知識くらいなもので、戦闘となると全く役に立たないから、俺の武器は必然的に言葉ということになっていく。

 

「俺はそんないい人間じゃない。でもさ。それでも、一度手を付けたことを途中で投げ出すようなことはしたくないんだ」

 

「……」

 

「正直に言えば、燐火ちゃんの為とかじゃなく、義務感によるもの…かな」

 

生き延びたいから、で今やってることは終わった後の責任を果たしている。そういうことになる。

 

「…そう」

 

「最低だよな。首突っ込んだ癖に、関わるのが義務感って。まぁ正直後悔しているのもある。こんなことになるなら…なんて思ったことは一度や二度じゃない」

 

「そうね」

 

きっと裏切られたと思うだろう。でもそれは偽りない本心で、それが伝わってほしいからこうして言葉を紡いでいた。

 

「ただね。それと同じくらい、燐火ちゃんを助けたいって思ったのは本物なんだよ」

 

そしてこれも、嘘偽りない本心だ。

 

「…………なんで」

 

空気が冷たくなる。

 

「……なんでよ」

 

重苦しくて、俺たち二人しかいないみたいに錯覚するほどだ。

 

「知っちゃったからさ。どんだけ苦しんでるのか」

 

「同情よね…それ」

 

「だね。でも本心だ。たとえ最初が打算ありきだったとしても今の気持ちに嘘はないよ」

 

「うそ「嘘じゃない」…」

 

「感情は流動性なんだよ。いつだって、その人が同じ感情を抱くことはない」

 

「…私は失ってしまう怖さをいつも味わってるわ」

 

知ってる。原作知識でも、記憶として、経験としても。

 

「うーん…種類が違うっていうか…言葉に当てはめたりしてるだろ?もっと原始的というか…本質的なものだ」

 

「本質的…って曖昧ね」

 

「そういうものさ。心があやふやで不定形だから、人は言葉や音楽動きで型にはめようとする」

 

「あやふや…」

 

「というわけでさ…。まぁ何が言いたいのかというと…」

 

「話し合おうよ。俺と燐火ちゃんで混ざってても、伝わらないものがいっぱいあるって気づいたでしょ?互いにわからないことがあってさ。それを理解するための時間とか足りなかったわけだ」

 

「だって、いうてまだ2週間?も経ってないじゃない?関係性育んで」

 

「俺はここにいるだけじゃ燐火ちゃんを助けられない。それに、こんな人間に責任持とうとしなくていい。何回も言うけど、俺を踏み台に幸せを掴めって、まぁこんな人間だから容赦なく踏み台にしろってこ「そんなこと…ない」

 

挟まれた言葉。燐火ちゃんの本心が出された。

 

「この想いが嘘じゃないのは私も…。だから、例え貴方が打算ありきだったとしても、救われたのは本当で、嬉しかったのも本物だから…」

 

「それを貶さないでほしいわ…」

 

「あー…、ごめん」

 

「……」

 

「……」

 

2人して無言の時間が流れる。気まずい。下を向いて、上を向いて、どうにもならない感情が湧き上がって。頭を搔いて、必死に思考を整理して、…一息吐いて、自然とこぼれた言葉に今の気持ちがこもっていた。

 

「もっとさ。ぶつかり合わないといけないんだよ、俺達。自分だけが抱えてる想いが相手を傷つけるかもしれないからって蓋して押し込めてさ。見ないふりして…すれ違ったわけじゃん」

 

「うん…」

 

「だからもっと、喧嘩しよ。言いたいこと言いあってさ。お互いが思ってることぶつけ合ってさ、話し合ってこ。暴力は俺勝てないからね?やめてよ?」

 

「……ふふっ、えぇわかったわ」

 

「じゃ、出してくれる?」

 

そういうと、一拍もしないうちに寄りかかってた扉が開いて、俺は扉から床に崩れ落ちた。

 

さかさまになった燐火ちゃんを下から見上げて俺はずっと感じてきたことを口にした。

 

「当初の目的だったヤツ、覚えてる?」

 

「…?」

 

忘れていたのか首をかしげる燐火ちゃん。うん、可愛い。

 

そんなことをしていると…

 

グゥ~~~~。

 

割と大音量で腹の虫が鳴きだした。

 

「腹減ったわ」

 

たぶん、この瞬間、2人ともすげぇ間抜けな顔をしていたと思う。

 

絶対忘れない

 

一生笑える顔をしていた。




感想評価よろしくお願いします!

燐火ちゃんの恋愛シチュ書きづらいんじゃい!シンプルに激重なんだわ!誰だこの設定にしたヤツ!私だわ!!もっと書きたいことあったけど、ひと先ず、真社会性ヒロイン終わり!次回から別の閑話を1話か2話挟んで、1.5章、始まります!
突貫で書いたから…後で加筆するかもしれない…。

第二章ヒロイン投票

  • 支配系ヒロイン()
  • 暴力系ヒロイン()
  • 上位者系ヒロイン()
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