少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
次で閑話が終わり、1.5章「嘘つき少女と痛みに共感できる少年」の話に入ります。そこで少しお知らせ。
閑話を終わらせたら、ちょっとの充電期間を挟んでから、二日に一回くらいの頻度で投稿していこうと思います。お楽しみにしてくださっている方、少々時間が空きますがご了承のほどよろしくお願いします。
充電期間は大体3日〜長くても1週間になります。
朝帰りみたいなスタイルで学校の準備をする。正確にはあの布団引きずり込み事件から3日ほど経った。まぁ端的に言えば制服が注文して準備したりしてたら週を跨いだということである。
家に帰れずずっと燐火ちゃんの家に居候という形で生活していたが、学校が終わり次第帰って元の生活に戻るつもりだ。
まぁ、帰りは燐火ちゃんの家に行って、夜に帰るという帰宅ルートに変わるのだが…。
「あのね…もう学校行くんだから離れてもらえる?」
くっつき虫のように離れない燐火ちゃんを引きはがそうと力をこめるも、身体から細い触腕を出して引っ付きにかかる。だからそれやめろぉ!
剥がしても剥がしても引っ付いてくる燐火ちゃんに疲れ切って、もう死んだ目で学校の準備をする。実は学校に持っていく荷物は、焼かれたあの日、教室に置きっぱだったりする。だから手ぶらだ。スマホは燐火ちゃんが回収してくれていたので、スマホが無事ならいいか…と現代人特有のスマホ依存を見せつけながら、玄関から出ていく。
もちろん引っ付いてくる燐火ちゃん。俺が起きた時には、諸々の準備を終わらせてこちらの寝顔をじっと見つめていたこの女、本当にホラーだからやめてほしい。怖いよ…。しかも喋らないのなんで?
朝からずっと無言の燐火ちゃんになんとか声をかけているが、身体の引っ付く力の強弱で反応を返すので、なんかもう諦めてる。それで伝わると思ったら大間違いだからな…!
やーっとこさ、俺の日常が再び始まる。様々なことがあって、俺が俺じゃなくなるようなことを体験したが、当初の目的の生存は達成…できたと思う。一度死にかけて復活した場合って生存してるって言っていいよね?スワンプマン的なノリって言われたら俺何も言えないけど…。
外に出る。青空だ。今日は日中晴れが続いて、過ごしやすい気温らしい。こんな一日が続けばいいのにと思えど、もうすぐ来るのは梅雨というじめッとした期間なので…先が思いやられるというか、気分が沈むというか…そういう気持ちが強まっていく。俺偏頭痛持ちなんだよなぁ…。
彼氏と彼女、はたから見たらそういう風に見える俺達、燐火ちゃんは触腕を身体に収めたが、その分、左腕にしがみ付いて離さないというスタイルで、俺は少し斜めった体勢で歩いている。
身長がね…。俺は平均身長の170cmだ。対して、燐火ちゃんは150cm…くらいだと思う。腕にしがみ付こうとすると、俺がちょっと身体を丸めないとしがみ辛いような身長差なので、必然的に俺はキツイ体勢で登校しなければならないことになる。
しがみ付いた腕の先、互いの手を絡めて、にぎにぎしてくる様はまぁ可愛いと思えるが、これが偽装なんだろうなぁと思ってしまうほど本性を見てしまっているわけで…。
なんだかなぁ…。俺ちゃんとした高校生活送れんのかなぁ…と思ってしまう。まぁ…うん、生き残ってるだけマシなんだ。これからで挽回していこう。
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「柳田、白鷺、授業が終わったら生徒指導室に来い」
はい、学校に来て、HRが始まる前、わちゃわちゃと先生が来る前の賑やかな感じの教室は、突如として現れたボスの登場に凍り付いた。
呼ばれた俺、燐火ちゃんに視線が集まり、触れるんだ…というような感情が伝わる。
なにせ、俺達は学校に来てから、ずーっと引っ付いたままなもんで、なんだったら俺と燐火ちゃんの机は離れているはずなのに、燐火ちゃんはノールックで自身の荷物を自分の机にシュートして引っ付きを継続する執着力を見せた。その何気に高い才能を見せつけないでよ…。
自分をどう動かせばいいのかをしっかり理解できるタイプの天才である燐火ちゃんは自身の才能を遺憾なく発揮し、俺との密着という目的を果たし続けている。
クラスメイトからの奇異の視線はクるものがあるが、俺が記憶インストされた時も大体こんな視線を晒されたので、まぁうん…慣れないとな。
引っ付き虫を定期的にかまいながら、遅れた授業内容の把握に勤しんでいる矢先の出来事であった。
増々強くなる視線と居心地の悪さ、先生は般若の如く顔をしかめており、怒られることは確定的に明らか…なんて茶化しても事実は変わらない。漫然とため息を吐いて沙汰を待つことにしよう。
冷たい空気が流れる教室内、原因の一人たる引っ付き虫は見せつけるかのように身体を寄せてくる。ここ数日で慣れざるを得なかった柔らかい感触、香る甘い匂い、彼女か?と邪推されたらおうよと答えるくらいの気概を持ちたいが、生憎人間か?と問われたら口をつむぐしかない女なので、誰も俺らのことを口出しできないよう触れないでオーラを出しつつ、来たる裁きの時(放課後)を待つのだった。
HR ちゃんと睨まれた。身体を竦ませて話を聞く。どうやら放課後居残って空き教室で何やらしている生徒が居るとして注意があった。なんのことだろうなぁ…。()
1限 歴史。やっぱ数日休むだけでわからんところ多くなるわ。なぜかわかる燐火ちゃんに教えてもらった。
2限 体育だった。身体の先に違和感があるのは元の俺の手じゃないからだと思う。ストレッチするたびに違和感を感じるも、慣れていかなきゃいけないものなので、頑張って動かして慣らした。
3限 国語、纏先生の話。体育の後はクソ眠いが、目を付けられている現状、寝たら殺されるので、気合で乗り切る。燐火ちゃんは涼しい表情をしていた。大体全部奪われてるから涼しいもクソもないけど。最近、若干の感情の機微を理解できるようになった俺だからわかる。若干どや顔が混じった余裕の表情だ。俺は冷たい視線を食らってもなお余裕そうな燐火ちゃんが羨ましくなった。
4限 数学。1限と同じ。わからないところ多いわ。休んだ日に公式の基礎をやってたっぽい。復習ちゃんとしないと…。
さてお昼。燐火ちゃんを置いておいて、教室を出て、とある場所に向かう。後ろから付いてこようとする燐火ちゃんをどうにかなだめすかした。たぶん会ったらヤバイなという感触は話を聞いてうすうす感じていたからだ。
「どこに行くの?」
「後始末の…後始末?まぁ俺が頼み事とかしてた人にお礼しに行くんだよ」
「そう…付いていくわ」
「いや―…いいよ。大丈夫。俺だけで十分だから」
「でも…」
「燐火ちゃんの後始末の後始末も兼ねてるって言った方がいい?お礼と口止めしに行かないと燐火ちゃんの異能とか抱えてる問題絶対バレるけど」
「……殺せば」
「アウト―!殺しが真っ先に手段として出てくるのはどうかと思うよ燐火ちゃん!」
「……洗脳」
「うんそれもアウトだね。十中八九俺と同じやり方だけど、たぶん俺より酷いよね。共生じゃなくて支配しようとしてるもんね」
「……恫喝」
「ちょーっとランク下がったね。でも物騒なことには変わりないよ燐火ちゃん。それね、殴る武器が釘バットからバットに変わったくらいの違いだから。殺傷能力の違いになってるから。俺が言ってるのは釘バットから話し合いにまで下げようねっていうことだよ」
「……異能持ちはあまり信用できない。不安定で暴走したら目も当てられない」
「……自己紹介?」
「………」
「痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
こんにゃろ!髪の毛を伸ばして足の爪を引っ張り上げやがった。それどう考えても漫画の影響だろ!それどう考えても糸で出来た背後霊が付いた女の技だろ!
クソッ!どんどんパワーアップしていく。漫画教えたの間違いだったか…?でも普通に精神安定剤になってると考えるとまぁいいんだろうけどね!
「そういう事するから連れていけないの!あんだーすたん!?」
ようやく爪を放してもらえた。めっちゃ痛い、靴下を脱いで確認したが、剝がれたりはしてなかった。少々赤くなったくらいで。十分被害あるわこれ。
ようやく説得…というか交換条件付きで行くことを許された。
条件は燐火ちゃんの家に週4で泊まりにくること。週7を週4にまで下げた俺を誰か褒めて欲しい。
めちゃくちゃ不満げなオーラを放たれたが、あの家に毎日住んでたら精神病むに決まってるだろ!とゴリ押した。もっとまともな家になってから言って欲しい…とか思ったら、すーぐ
「私にまともとか言わないで欲しい」
とか激重感情ぶつけて来るから駄目だよ燐火ちゃん。まともにするって俺言ったでしょ!自分の異常性を武器にしない!悲しくなるでしょうが!
こういうこと言われるとどうにもいたたまれない感じになるからやめてほしい。ほぼ捨て身攻撃と一緒なんだよ…。
なんとかなだめすかして抑えきって、ようやく、ようやく向かうことが出来た。向かう先はもちろん図書室。図書室の番兵こと図書委員ちゃんもとい谷崎さんが居るので、OHANASIしにいくのだ。そうしないと、色々不都合あるからね…。
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「……生きてたんですね」
図書室、受付の椅子に座って本を読む彼女、谷崎さんは顔を上げて俺の顔を見るなり、開口一番に発した言葉がそれだった。
「んまぁ…幸いなことに」
受付の端に腰掛けて、自身の無事を伝える。まぁいろいろ心配かけるようなこと言ったし、なんなら数日休んでたからね…。生存報告大事よ。
「……あぁ安心してください。誰にも言いませんよ」
口を開こうとした瞬間、思考を読まれたように差しこまれた言葉。幾ばくかの安堵と新たな疑問が湧き上がる。
「どうして…?」
「貴方なら気付いているでしょうけど、私も…だからですよ。バレてまずい状況に陥るのは私もということです」
その言葉を聞いて納得した。確かに谷崎さんは異能持ちでそれがバレたら最悪殺されるだろう。異能持ち同士は基本仲が悪いし、関わり合いになろうって考えをしない…はずだ。自分の優位を保つためにな。強い異能を持ってるならそれはなおさらで、自分が殺されないように殺しに行くという輩だっている。異能持ちでの仲の悪さは同族嫌悪みたいな感じだ。同じく抱えてるものがあって、それを忌避している。自分の闇を隠し通したいからこそ、闇を抱える同輩に関わりたくないと考える。自身が異常であることを理解してしまうから。
まぁそこらへんは、人それぞれによるものもある。相手が居なければいけない異能だってあるし、仲のいい異能持ちが出来たらそれとつるむことはあるかもしれない。ただまぁ…歪んだ形になるだろうというのはわかる。だってねぇ…、俺はいま仲良くしている宇宙外生命体に想いを馳せた。つまりはそういうことである。
「別の女の子の事を考えるのは失礼ですよ」
そんなことをつらつらと考えていたら、すっげぇ勘違いされそうなこと言われた。
「いや違うからね!?そういうことじゃないよ!?」
「言い訳しないでください。後うるさいです。静かにしてください」
咄嗟に言い訳するもぴしゃりと黙らせられた。だってさぁ…!
「貴方が苦労していることはわかっていますし、貴方が何をしにきたのも理解しています。人にお礼をするときに、別の誰かのことを考えるのは失礼だと思わないんですか?」
「ごめんなさい。めちゃくちゃ助かりました。ありがとうございます」
至極真っ当なことを言われたので俺は素直に謝った。確かに失礼だね…。
「…はぁ、で?貴方は大丈夫なんですか?」
「というと…?」
「今後の身の振り方ですよ。笹垣先生、怒っていましたよ。まぁ私も危うく死にかけたので不満は溜まっていますが…」
「それについては本当にごめんなさいという他ないんですが…」
「って言ってもなぁ…とりあえず俺は一応無事だしひと先ずは普通の生活に戻るつもり…じゃないかな。また何か起こらない限り」
「……貴方は自分がまきこまれたことを自覚してそれを言っています?」
「…はい、絶対また何か巻き込まれそうだなって思います…」
「はぁ……、理解しているならいいですよ。まったく…手が焼けますね、貴方は」
そういうと本を受付に置いて、こちらに向き直る。真面目な話を察して、俺も受付から身体を起こして言葉を待った。
「取引と行きましょう。私が貴方が直面する問題に手助けをしましょう。その代わり、一度手助けする度に私のいう事を一つ聞いてください。先の問題については取引を結ぶ前ということで、ナシということでいいです。どうですか?受けますか?」
取引、それも結構都合がいい内容だった。俺が抱えている問題はどうせろくなことにならないだろうし、頼れる人が増えるというのは純粋にありがたいからだ。言うことを聞くという点も何を要求されるかわからないが、まぁ精神汚染されないだけマシだろう。そう考えると悪くない条件だった。
「ん―…お願いします」
「……本当に考えなしですね、貴方は。それだから騙されるんですよ…」
最後何を言っているのか聞き取れなかったが、一応俺も考えてるからね?ちゃんとリスクとリターンを考えて返事してるから。
「結構いっぱいいっぱいというか、その条件を飲み込むほどキツイ立ち位置にいるってことなんだよなぁ…」
「それに関しては同情の念が絶えませんよ…。せいぜい足掻いてください。死なないくらいに手助けしてあげますので」
「ウイッス…」
「てか…なんでこんなに助けてくれる…のか聞いちゃっていい?っていうか聞いてるんだけどさ」
少し疑問に思っていたことを口にした。まぁこんなに助けてくれることは感謝してるが、その内が見えなくて怖い。というのがある。
「ふむ…」
「そうですね。端的に言えば面白いから。というのもありますし、貴方の姿勢に好感が持てたというのもあります」
「…おぉ、ちょっと気になる点あるけど、その心は」
「貴方がたとえ打算ありきで話しかけてきたとしても、私の知識に追いつけるよう事前に学んできた点や、聞こうという姿勢、会話が下手なりに頑張って相槌を打つ点が面白く、会話をする相手として楽しめたので」
「おぉ…いやまぁ…コミュ力低いってのは自覚してるけどね?」
おぉ…傷つく。いやでも評価されたから喜べばいいのかな?わからない、嬉しさと悲しさのはざまにいる。
「私だって抱えているものがあるんですよ。人にバレたらまずい人間で、だからこそ普通に接してくれる人間を大切にしたいと思うのは普通のことでしょう?」
複雑な顔で意気消沈していると、フォローっぽいナニカが飛んできた。まぁ言ってることはそうだ。燐火ちゃんだって孤独だったからあんなに追い詰められてしまったわけだし。
「じゃあ…これからも…よろしくお願いします?」
「えぇ、よろしくお願いします」
そうして奇妙な取引と挨拶を終えて、俺は最初の難所をクリアしたのだった。しいて言うなら中ボス戦を突破したってところか…。
「今ココで第二形態になってもいいんですよ?」
「ナチュラルに心読むのやめてください。あと第二形態は勘弁してください」
「顔に書いていたので。人を中ボス扱いした貴方にも非がありますよね?」
「それはそう。ごめんなさい」
なぁんで俺のまわりの女子は俺よりスペック高い人多いのかなぁ…。俺は力が抜けた肩を揺らして、教室に戻るのだった。
「あぁそうそう、貴方のポケット、後で確認してください。私のRINEのIDが入っています。連絡はそちらでしましょう」
後ろからかかる言葉、瞬時にポケットを確認すると紙切れが一枚。いつ入れたのぉ?
ホントに規格外な女ばっかりだよ…とほほ。
俺は頷きながらその場を後にするのだった。
そして、ラスボス戦が始まる。
感想評価よろしくお願いします!
ランキング入りありがとうございます!ちょこちょこ入ってるけど、やっぱり朝と夕方に投稿した方が伸びがいいのかなぁと思ったり…。二日に1回ペースの投稿は投稿日時を安定させるつもりです。
きんきょーほうこくと報告と言えないようなもの
最近二段プリンを食べて休息したので、どこかでスイーツの話入れられたらなって思いました。
あと1.5章は主人公はサブキャラになります。別の子がメインを張って、主人公はそれに巻き込まれる形です。
1.5章の主人公・ネクストコ〇ンズヒーント
「スタンド:ドギー・スタイル」モドキ
あるいは人力スパイダーマン
第二章ヒロイン投票
-
支配系ヒロイン()
-
暴力系ヒロイン()
-
上位者系ヒロイン()