少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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ま、まさか感想がつくとは…。書かねばあるまいて…

タイトルははたしてどっちの感情なのだろうね?


不意の遭遇は心臓に悪い

次だァ!一つの難所を乗り越えた俺は強いぜ!展開はえーよホセって?四の五の言ってられねぇ理由があるんだなこれが。

 

状況を整理するとだ。

 

まず、俺はあと2週間で死ぬ未来にある。下手人?知らねぇ。これが問題だ。味方や中立の相手は見極めることが出来る。というか知っている。だが、下手人だけはマジでわからん。つまりこうやってダッシュで廊下を駆け抜けている間にすれ違ってる可能性すらある。

 

次に、死に方が悲惨だ。内側からBONFIRE LITされてしまうのだ。死因がミディアムとかシャレになんねぇぜ。死にたくねぇ。その一心で動いている。

 

原作知識もってるし、その死ぬところにいかなきゃいいんじゃないかと思うだろう。

それで主人公が死んだらどうする?この世界は主人公最強ものだ。主人公の異能が世界の基準になっているといってもいい。ただ、現状の主人公は異能を十全に扱えていないクソザコなのだ。俺が死ぬ一件は、今まで目を反らしてきた現実を受け入れて、いつ死ぬかわからない状況を必死に生きていこうと主人公が決意する場面だ。もう少し早く現実を受け入れていれば、俺を救うことが出来たのに救えなかった、そうした罪悪感が主人公を最強の異能力者になるよう促すのだ。まぁ、主人公そんな救える命が救えなかったと嘆く善性の塊じゃないんだけども。どちらかというと力を持っているのに、それに相応する義務を果たせなかったっていうノブレスオブリージュみたいな反省の仕方するナチュラル上位ヅラなんだけども…。

 

そんな主人公が死んでしまうと、俺は主人公なしで世界と相対しなければいけないことになる。この登場人物全員病んでる世界を?初見殺しが大量にはびこる世界を?無理に決まってるだろ!こちとら異能すら発現してねぇんだぞ!発現するかどうかわからんけども!

 

だからこうして生存RTA主人公救済チャートを走っているのだ。チャート?現在進行形で組んでるよ。ガバったら?リセットできねぇから何とかリカバリするんだよ。再走しろ?できることなら俺だってしてぇよ…!

 

まぁさっきRTAのガバった時のリカバリ手段を確保したから若干のムリはできるだろう。安定チャートは至高。完走しなければ意味がないからな!

 

さて、今向かってるとこは三階空き教室だ。次に俺がやることは犯行現場(被害者:俺)の下見だ。インストされた記憶を引っ張り出して、俺がどうやって死ぬのか、どこに何があって武器として使えるものがあるのか、罠の設置も検討しないといけねぇ。

 

確かに、はたから見れば俺はおかしいだろう。急に現実でRTA始めるヤツがまともなわけがねぇだろ!ってのはもっともな意見だ。てか人間って半日も経たずにこんな動くことが出来るの?と俺すら驚いている。

 

でもやらないと死ぬ。それだけは確信できるのだ。狂人の思考だァ?大いに結構。やらずに死ぬよかやって死んだ方がいい。いくらかマシだ。ベストはやって死なないことだがね。

 

階段をダッシュで駆けあがる。駆けあがったその先、角を曲がった右側通路奥に空き教室がある。俺の犯行現場だ。時間はゆうげぅぉおいぅおう!?

 

「いってぇ~…あ、マジですまん!急いでてよ!怪我…は……」

 

急ぎ過ぎてぶつかった。これだけなら俺に全面的な非がある。これが普通の相手ならな。

 

「いえ…怪我はしてないわ」

 

尻もちをついた少女、傍らに投げ出された本を拾いつつ、立ち上がるその子は、俺が今最も対応に困る少女だった。

 

「あぁ~…本当にすまんね。白鷺さん」

 

ファンタジー特有の異色な髪色。真っ白だぜ?そして紅く光る目。これでアルビノじゃないらしい…。まじかよ、やっぱ現代が舞台といってもファンタジーだな。

 

そう、この神秘的な少女こそが、外見だけではなく内面も摩訶不思議な白鷺 燐火()()である。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

白鷺 燐火は先も言った通り多重人格者である。そして、4つの異能を持つ複数異能保持者でもある。これだけ聞くとチートだよな。しかし欠点もあるんだ。コレ、制御できているとは言っていない。まぁなんだ。白鷺 燐火の異能は制御不能状態というか暴走状態にあるといっていい。テトラアライメンツは、白鷺 燐火()()の異能を制御する物語といってもいいだろう。

 

ではここで白鷺 燐火()()の異能を説明しよう。白鷺 燐火本体の異能『肉体増殖』、言いにくいし、ファンからドッペルゲンガーと呼ばれているその能力はいたってシンプル。自分の肉体を増やすただそれだけだ。白鷺 燐火が多重人格者じゃなければ、この異能はただの肉体を複数コントロールできる異能で終わっただろう。しかし、多重人格者という特性がこの異能と悪いシナジーを発揮した。まぁ予想できる人はおわかりだと思うが、本体を除いた他の人格が自分の肉体を作り出して、勝手に外をほっつき歩いているのだ。

 

1人の白鷺 燐火は女優業を始めた。また1人の白鷺 燐火は夜の街に繰り出し、また1人の白鷺 燐火は完全犯罪を成し遂げた。

 

別人格好きにやりすぎだろ…。そりゃ本体も困るわな。

 

そんな不憫な彼女、今回の俺ウェルダン事件の重要参考人(予定)だ。そして、あんまり触れたくねぇ歩く地雷でもある。まぁ俺が死ぬ要因の一つというか…死因:主人公の近くにいたから。っつーどっかの体は子供で頭脳は大人の名探偵サマみたいなことが起こりかねんからだ。大体の漫画やらアニメやらの主人公ってトラブル体質だよな。そうじゃないと盛り上がらないのはそうなんだが。

 

そんなわけで、歩く死亡フラグの彼女にはあんまり関わりたくないのである。命は助けたいが。出来れば俺が関わらないところで異能バトルを繰り広げてほしい。俺は外野でいいよ、外野で。

 

「怪我とか…してない?大丈夫?」

 

一応会話を続けるが、離れてぇー!離れてぇよー!アレだ、他人からの噂で苦手意識を持った不良に出くわしたみたいな気まずさがある。

 

「えぇ、特に怪我らしい怪我はしてないわ。私も本に夢中だったから…」

 

そう言うモンだから目線を下げて夢中になっていたであろう本が何なのか見るが…あぁうん…地雷だわ。

 

精神障害に関する本に?多重人格者を題材としたミステリー、トートバックに入ってるのは…魔女狩りについての本?何の関係があんだ?他は…心理学関係の本が2冊…。まぁ触れづれぇな。きっと彼女なりに解決方法を探しているんだろう。

 

「あぁ―…廊下走っていた俺が言うのもなんだが、歩きながらの読書は危ないぜ?そんなに本を持ちながらだと尚更な」

 

「それに、今だと放課後に残ってるのも結構やばいぜ?なんか笹垣先生から聞いたけど、放課後にあんまり素行がよろしくないヤツが空き教室でたむろってるとか」

 

それとなーく注意を促してみる。まぁ真っ赤な嘘だが。主人公には死にやすいところに来ないでほしいんだよな…。ちゃんと命を賭けるところで命を賭けてくれ(無茶ぶり)

 

「そう…気をつけるわ」

 

彼女はサッと手と本を使って持っている本のタイトルを隠しながら淡泊な反応を返す。こういうキャラだからね、シカタナイネ。

 

「あーあと、本ばっか読んでると目疲れるし、絵とかふきだしでわかりやすいマンガとか気分転換に読んでみるといいんじゃないか?」

 

老婆心出たな…。いやこの場合、老爺心か?まぁお節介というか…。前世記憶インスト前から結構多重人格問題に取り掛かってるっぽくて余裕がなかったのは知っている。まぁ白鷺 燐火本人からしたら重要な問題だし、周りにあんま関わってられないってのはわかるが…。それでも、誰の手も借りずに無理難題を解決しようと必死になっている人間を見捨てられるほど俺も心を捨ててないわけで…。いやね?言い訳だけどね?彼女に関わりたくないなら、さっさと離れろってのもわかるよ?でも前世で鬱々とした状況に何度も陥るのに、救いがないってかわいそうじゃないですか!?俺は最後は必ずハッピーエンドで終わってほしいハピエン厨なんだよォ!

 

「じゃ、俺用あっから!」

 

脳内自己弁護を終えた俺はさっさと被害現場予定地に向かう。その後ろにいた彼女の顔がどうなっていたのか。自分の命を優先するがあまり見ていなかった俺は…。端的に言うとフラグの管理をミスってそこからなし崩し的に運命が連鎖していくことを知らなかった。

 

「……………マンガ」




遅くなりました…。(夏の暑さにやられていた&コロナの後遺症で苦しんでいた)

たった一人で、解決方法の芽すら見えず、途方に暮れて、それでも足掻くしかないと半ば諦め気味で、惰性に近い感情で、自身の問題に取り組んでいたが、ふとした出来事から、なんてことはない、けど確かに求めていたはずで、今まで自分が忌避してきたはずの他者からの言葉を、そしてそこからにじみ出る自身の身を案じてくれる気持ちを、そして廊下の角でぶつかるという王道のシチュエーションから繰り出された不意打ちの優しさを味わった少女の気持ちを述べよ。時間制限はなし。書いてる最中のスマホや辞書等の検索はアリとする。……では始め!

1.5章のシチュエーション

  • 嘘つき少女と人の痛みに共感できる男子()
  • 幸せをかみしめている少年と愛されたい少女
  • 幸福の価値が分からない女と不幸体質の男
  • 天才と天才女になり切れなかった凡才男
  • 自分に価値を見出せない男とまぶしすぎる女
  • 忘れた少年、忘れたかった少女
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