少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
「はっ…ははっ…あーはっ、はははは…ふっ…あーあ、…そういう、そういうことね。あぁ…うん、なるほどな?」
空気を変えたのは逢坂の乾いた笑い声だった。頭に手をやり、如何にも呆れたようなしぐさをする。
それはきっと胸の内から溢れ出したものが動きとして表出したのだろう。数少ない接触で、逢坂はそういうところがあると判断した。積み重ねた人生経験が、他者に自身の感情を伝えることを強制する。そのほうが有利に立ち回れるからだ。声はデカいほうが主張が通りやすいのと同じように。感情を見せるということは逢坂にとって有利に立ち回れるという経験に裏打ちされたものがそこにある。ひどくわざとらしいが、そこに確かな過去を感じる動きだ。
「…なんだよ」
「いや…なんだ。理解したっつーか。なんなんだろうなぁ。逆に聞くがなんて言えば良いと思う?俺は今無性に言葉を選んでいるんだよ。そりゃなぜかっつーと、
裏に込められた皮肉はありありと伝わった。
「結構疑問だったんだ。なんで異能を埋め込まれたり巻き込まれたりした被害者であろうお前がこのメンツに慕われる…っつーにはアレか。引っ付かれてる理由が分かったんだよ」
うんざりするような、それでいて諦めの悪さを笑う声に憮然とした態度をとる。すまなかったな。俺はこういう人間なんだよ。根っこの部分は変わらない。正直、ストレス半端ないし投げだしたいよ。でも投げ出せる立場の人間じゃない。言い出しっぺなんだ。やりたいって言った人間が一番最初に抜けるのは違う。最後までやるべきだ。…たとえそれが失敗するんだとしてもな。
「いや…そういうことならいいんだよ。わかったっつーか、そうだな。あえて言うなら…信じてみたくなった…か?馬鹿でロクデナシ…そのくせ言葉に嘘がない。厄介だぜソレ。タラシの才能だ。人心掌握に長けているわけじゃない。寧ろ人に対する理解が全くないといっていい。だが、人間を動かすことに長けている。動いてやってもいいと思わせられる人間だ。人間、それも嘘にまみれた現代だからこそ、嘘偽りがない言葉に人は信を置く…そういうモンだ。なら、嘘偽りない言葉で人に頼む…だけならいい。そういうやつはごまんとみてきた。が…人に死ねと…自分のやりたいことのために死んでくれと言える人間はそうそういない。ましてや一緒に地獄に行こうなんて言えるヤツはな。その道が茨の道であることを自覚して人の手を引っ張ることができる。そこに悪意がない。最も質が悪い…怒るに怒れないんだよ。怒りの矛先を向けることができない人間だ…まぁ何が言いたいか…」
皮肉げに嗤う。その先の言葉はとっくに読めていた。
「お前、ろくな死に方しないだろうな?」
「はっ、もう覚悟してる。……とうにできてるんだよ。そんなもん。できてなきゃここまで来てねぇよ」
吐き捨てるように言った俺を逢坂は仕方ないヤツだと肩を竦めて言葉を投げた。
「ならいい。…いいのか?早くね?いや早いわ。話聞く限りお前異能持ちに巻き込まれて1か月も経ってねぇじゃんかよ。早いよね。その覚悟もっと最終部とかでやるもんじゃないの?自分のために親友を死なせに行くときに吐く言葉じゃん。生きて帰れよってフラグ立てるやつじゃんね。はえーって、はえー。危うく普通にスルーしそうになったわ。話の流れで流しかけたよな。ホントに良いのソレ?」
「燐火ちゃんを助けると決めた時に覚悟していたからな。俺は楽に死ねなくても、決めたことを最後までやり遂げたい。俺は俺自身が決めたことを最後まで信じることにした」
「覚悟ガンギマリかよ…お前ら気負わせ過ぎじゃね…?まぁいい…いや良くない…良くはないが…おーけぃわかった。柳田はいい。谷崎は…助けに来たってことでいいんだよな?こんなタイミングよく来たんだ。なんか策はあるんだろ?」
逢坂の標的は谷崎さんに移った。ひとまず安堵する。情緒が不安定になっている先生よりもはるかに大人で詰められると胃が痛くなりそうだから、漸く気を抜くことができた。谷崎さんはどうだ?そう思って顔を向けると…。
「ン…?おーい…あ?」
「あー…谷崎さーん…ちょっとー…アレ?」
谷崎さんの反応がない…。というか逢坂と話していて気付かなかったが、妙なことに先生や燐火ちゃんの反応もないことに今更気づき、声をかけるも反応がない。全員が全員固まっている。
「オイ…どうすんだよ反応なくなっちまってら。何?なんなん?死んだか?」
反応がない…異能か…?
「いやー…というか燐火ちゃん?アレ?先生?おーい…中の人![ワタシ]?おーい…全員死んだ…?」
いつの間にか[ワタシ]の声も途切れ聞こえない。逢坂と俺だけが状況を理解できずに混乱していた。隔離されたか…?異能か…?逢坂も同じ結論にたどり着いたのか二人揃って周囲の警戒を始める……が何もない。異能による出力もないらしい。
「お、オイ…異能、異能か?異能の仕業か?いやでも俺達に影響ない…なんだ?」
「わからない…どうする?」
「どうするつったって…えぇ…?異能がねぇってことはコイツ等が自主的に固まってるってだけだろ。悪ふざけか?」
二人して困惑する。揺すっても動かない。声をかけて目の前で手を振っても動かない。何があったんだ…?待つこと数十秒…最初に反応を示したのは谷崎さんだった。
「…はっ。あぁいえ…気にしないでください。なんでもありません。なんでもないですよ。本当にです。至って正常ですから。ただちょっと脳の録画機能と保存機能がフル稼働していただけです。あれです。ローディングみたいなものです。再起動入っただけですので。気にしなくても大丈夫ですから。いいですね?」
「あ、はい…」
「ふふっ、あぁ。そうか。そう言うなら…仕方ないよな?仕方ない。許可が出たんだから…な?柳田が言ったんだ。ならいいだろう?」
「修介は渡さない」
「許可したのは柳田だ。私達が口を挟む道理はない。そうだろう?」
「…あぁ」
途端に早口になった谷崎さんとなんか不穏なことを言う先生とそれを止める燐火ちゃんに何やら悪寒が走るも事実だ。頷くしかなかったが……うん、逢坂と顔を見合わせる。わかってくれるか。そんなに?って思うよな。逢坂は俺の顔から察した。
「あぁうん、なんとなーく理解したわ。お前ホント苦労してんな。そんな?って思ってたけど"そんな"だったわ」
うん、わかる。こんな?って思うモン俺も。と逢坂と通じ合っていると急に燐火ちゃん、先生が動き始めた。今瞬間的に二人にカットイン入ったね。睨みあいなの?で、二人共、俺の腕を取る。うん、左と右だね。ぐっと広げられる。十字になったね。逢坂と目が合う。助けてくれない?あ、早い。そのまま力が掛かって…ギリギリと……
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!引っ張らないで引っ張らないで!中身出る!中身が!割れる!割れ…!」
ゾアッ
「うぼぁっ」
「マジで割れた!?」
気の抜けた断末魔、体の力が抜けると同時に鎖骨から生えた第三第四の腕が二人の手をはたき落とした。うっ…大切なナニカが持ってかれたような喪失感だ…。若干の吐き気を伴うソレに俺は体力を一気に持ってかれた。
「グロイグロイグロイ!!!ナチュラルに生えてくるんじゃねぇよ気持ち悪ィ!それアレだろ!口の奴だろ!しっろ!白過ぎ!身体との肌色違い過ぎて雑コラみてぇになってんじゃねぇか!!」
雑コラみたいな腕ってなに!?と思うも気にする余力がない。逢坂の通り、マジで割れて生えた腕のせいで、一気に筋肉痛の疲労が来たみたいな状態の俺はその場に崩れ落ちる。…も体に生えた追加1対の腕が支えてくれた。たまらず思った。
カイ○キー…?
「カ○リキー…?」
逢坂とシンクロした。嫌なシンクロだった。やってることがグロすぎる。人間でしていい事じゃないだろ。なぁおい。俺に優しかったおまえどこいったの?
(あぁ済まない。少し感情が抑えきれなくてね…)
心の中で抗議した俺にそう言い募った[ワタシ]が頬をザパリと口開いて話しを続けた。
「『[ワタシ]が言うのもなんだが…感情に持ってかれすぎだよ。そうしたいのなら、先に問題を解決すべきさ』」
「えぇ、そうです。幸運か…修介君からも許可は取れてしまいましたので」
「『そう。不幸にも許可が出たことだし、話をしようか。というか…君達二人以外は気付いているだろう柊 真の強みと弱み…そして作戦について話そうか』」
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「なにか策が?」
とりあえず喧嘩している場合ではなくなったので、[ワタシ]を中に押しとどめ、話の続きをする。
「えぇ、その前に私自身の考察をお話します。柊 真は、異能持ち。特性は現実を改変する能力。嘘を本当にする能力……話を聞いて真っ先に思い浮かんだのは私達の影響です。私達に現状どれだけ影響があるのか。それを見極めなければなりませんでした」
「『あぁ。最も、[ワタシ]や逢坂とやらは問題ないと判断している。あまり学校に関わらないからね。問題は…白鷺 燐火、柳田 修介、谷崎 結華、笹垣 纏。この四人』」
「影響が強いのは笹垣先生でしょうね。…修介君、唐突ですが、柊 真の能力で最も怖いことは何かわかりますか?」
いきなりの質問、しばらく思考する。怖い事…いやでもシンプルだ。
「現実改変じゃないのか…?」
「『現実改変の何が怖いかということだよ』」
「もっと言えば現実改変の強みはなにか…ですね」
谷崎さんと[ワタシ]が交互に会話を重ねていく。その淀みなさ、迷いのなさ…知っているのか。いやとっくのとうに解決方法がある…?何かを知っていることは確実だ。
考えろ。現実改変能力は脅威だ。その最も怖い事。何が怖い?現実を変えられることだ。人間も動物も非生物だって変えられる。既存の資料も音声も、現在に遍く在るもの全て。なにもかもを変えられるはずだ。逢坂の話しぶりから両親だって改変して…
違和感が大きくなった。確か逢坂は両親も改変したと言っていた。都合がいいように。本当にそうか?自分が塗りつぶされる恐怖というのはあるはずだ。それを無視したのか?あぁいや…現実?
な、なんで気付かなかった…?だっておかしいじゃないか…もしや…気づかされないようにしていた?たまらず俺は逢坂に問いかけた。
「柊 真の親は…現実改変に抵抗しなかったのか…?現実改変に抵抗できなかったのか…?現実改変された人ってどれくらいいるんだ?調査してたんだろ。調べて…わかったんじゃないのか?影響力を把握しているなら…わかるんじゃないのか?」
「逢坂…どこまで改変されているんだ?」
「あ…?そりゃあ………んでだ?」
改変されることを理解できるのは、改変前と後を知っているからだ。知っていないと何が変わったか理解できない。なら逢坂は
逢坂の動きが止まった。今まで考えていなかったことに目を向けて、それがなんであるのか戸惑っているようだった。ぽっかり空いた穴になんで穴が開いているのかわからないというように。次第に態度がおかしくなる。気づいてはいけないことに気付いた。俗にいえばSAN値チェックだ。あぁそういうことか。そうなるのか。現実改変の強み、現実改変の最も恐ろしい事。
「あ―…なんでだ?なんだ…コレ。はっ…な、なんだ…コレ…いや…だって疑問に…お、おかしいはずだ。確かに俺は異能の出力を感じて逃げたが干渉はされてないはずだ…そのはず……何…なんで…俺…俺は……」
「
「確かに改変されたはずなんだ!確かに!俺は理解できたはず…!だって情報が食い違って…!いや…これも?これも間違いか…?んだこれぇよ…どれが間違いでどれが正解だ…なんで、気づかないんだよ。気づけない…見えてるはずだったろ…なんで…」
あぁ、怖い。恐怖している。全貌が掴めない。雲を相手にしてるみたいだ。もしそれが本当ならどうやって対処すればいいんだ。だってそうなら…
俺は震える声で答えを言った。
「現実を改変されたことに気付かない。」
「「『正解だ』です」」
最悪の答え合わせだった。俺は言い募った。それを否定してほしかった。嘘だと言ってほしかった。でもそれがどうしようもない本当だという直感があった。その直感が当たってほしくないという願いだけに突き動かされていた。
「もし…もし、俺が柊 真に接触していたら、変えられている可能性がある。そして、それに気づくことは…出来ない。だ、だって現実の改変だ。どうやって疑問に思えばいい…!常に自分を疑い続けても、自分の考えすら干渉されるのだとしたら、どうしようもできない…!」
恐ろしい。最強だ。だって変えられたことに気づけないなら、知らない間に敵意や害意というものを消されている可能性がある。逢坂がそうだ。知らないうちに意識を向けないようにされている。違和感に気付かれないようにされている。もう…
「ろ、廊下ですれ違ったら…、いつの間にか…俺が…俺の心が変わっていたことなんてあり得る。ありえてしまう…!それに気づけない。気づかされないようにされる。絵に描かれた人物が上塗りされた色に気付くことはないんだよ。それが当たり前になるんだ。改変されたことに気付けるのは改変の外にいる人間だけ。物語の人間が地の文を知ることがないんだから…地の文を改変されてしまえば登場人物はその地の文に沿った感情を抱くことになる…!」
脳がひりつく。喉が渇く。息が荒い。どうする…どうする…!考えろ。考えて…対策を…!どうすれば作者に勝てる!?相手は物語の作者と同じなんだ!やり直しができない作者なんだ!一度筆を入れた物語は変えることは出来ないが付け足すことができる書き手が相手なんだ!作者を殺す方法を考えなければいけない…!焦燥と絶望がたまらず声を上げた。
「俺も含めて、偽物かもしれないという前提で相手をしなくちゃいけないのかよ…!」
「『そうだよ。[ワタシ]も含めて、もう現実改変の影響を受けている。影響が少ないのは接触が少なかった[ワタシ]と逢坂…と思っていたがどうやら柊 真の関係深い場所に近づいたことでより強く影響されたらしい。もう無理だろうねぇ』」
「『名前と性別、異能持ちであることと、現実改変能力を持っていることは合っているだろう。そこを歪めてしまえば異能として成り立たなくなるだろうね。しかし、それ以外が本当に正しいのかどうかそれはわからない。逢坂クンが言った家や事務所が本当に強い影響を受けていて、どんなことが起こっているのか。それが真偽不明になった』」
「私達では正直な所倒すことができるかどうか…というところなんですよ。私やそこの白鷺セカンドはとっくに気付いていました。だから私達が目指すところは如何にこの件をあたかも解決させたように見せるか…だったんです。まぁ無為に終わったわけですが。例えるなら…どうやって物語の書き手を殺せと?例え作者が物語の中に居るのだとしても…それで殺せるだけなら苦労はしないですよ…。確かに異能持ちは他の異能に耐性を持っています。しかし、それは耐性というだけで効かないわけではありません。寧ろ、抵抗出来る分違和感や影響は小さく、気づきにくいものとなるでしょう。最も、抵抗できなければ気付くことすらできずに終わりですが…」
「『そして、それに気付いたのは私達だけではない。というか…そこの出涸らしは最初から気付いていただろう?そして…先生も』」
今まで黙っていた二人が口を開いた。最初に口開いたのは先生だ。俺を見据えてまるで憐れむような目を向けた。
「…あぁ、そうだ。柊 真が現実改変の異能を持っているなら、最も影響を受けているのは私ということになる。授業で何度も接触するからな。今回のはきっかけだろう。今までも、ずっと私に対する干渉を続けていたらしい。
「…私は、複数の自分を作り出すことができる。全体にして一個体となれる。ここにいる私はただの一端末。バックアップは常にとっているの。…ストーカー事件の時から私という端末がおかしな反応をするようになった。私の意識はそこの分かたれた人格以外すべて同じでなければいけない。それなのに例外が生まれた。そこで私は攻撃されていると理解したわ。今の私は常にバックアップの記憶を上書きし続けているの。でも端から干渉されているわ。対処するといったかしら。私は無理だと思うわ。私と相手は千日手なの。相手は私の全てを書き換えない限り私を変えることは出来ない。私もまた近づけば変えられるのだから攻撃が難しい。」
「あぁクソ…!そりゃあ黙るよな…!こんなのクソ過ぎる…!敵意を持てないならどうする…!このまま見過ごせってのかよ!何か…!何かないか…!頭を回せ…!」
こんな厄ネタとは聞いてねぇ!クソッ。燐火ちゃんはどこまで知ってたんだ?いや問い詰めたところでどうにもならないな…!先生はさっきの話で気づいたっぽいか。じゃあどうしようもねぇな!逢坂は気付かないようにされていて…谷崎さんは助言しに来て…[ワタシ]だよ[ワタシ]!なんで教えなかった!どうせ知ってたんだろ!
(時と場合を考えるものさ。戦っていた時の惨めに助けを求めている時に言ったら君は立ち直れなかっただろう?自分が干渉されてもう負けているかもしれないなんてねェ)
あぁそう!ご親切にどうも!エンジン掛かってきたかガンガンに心が燃えてくる。やってやる。やってやるよ…!
考えろ。考えるんだ。何か手はある。万能な能力なんてものはない。相性が絶望的悪いだけで穴はあるはずなんだ!変わるまでに5秒、5秒ある。それが鍵となる時間…動ける者、出来る物、課題と経路。相手は人間だ。どうしたって穴は出来る。そう願うしかない。現実改変…上書きを許容すればあるいはいけるのか?どこからどこまでをおかしいと捉えるか。それを言うなら、俺はもう可笑しいことになる。混ざってるんだからな。それこそがキーか?あぁいや待てよ……
瞬く光につられて声を打つ。鍵が見えた気がした。
「誰が
「異能がもし嘘を判断しているなら、何をもって嘘と言っているんだ?嘘は正しくないことを言う。なら何をもって正しいという判断をしている?基準があるはずだ。本人の基準、価値観…影響。全部ひっくるめると記憶だ。経験だ。その人の積み重ねてきたものがそれを正しい正しくないと判断している……はずだ」
「なら…柊 真はまだ生きている。生かされている。記憶と経験、それが嘘を嘘とする基準だから。それだけは消せない。それだけは打ち消すことができない。異能にとっての源泉」
異能に結果だけはない。過程が必ず存在する。それならそうなった原因も残っているはずだ。
「[ワタシ]、記憶の改竄は出来るよな?」
「『…フフッ、あぁもちろんだとも。』」
「その記憶の改竄は
別に記憶を消すだけが記憶改竄じゃないはずだ。逆に付け足すこともできる。存在しない記憶、それが出来るなら、強制的に善人にすることができる。終わった後で元に戻せばいい。非人道的だがそうするしかない。
「『無論どこまでも…知らない記憶でさえね。ただ、相手の異能の都合上、触れないといけない。』」
「燐火ちゃん、俺の
俺の中に本体がいるということは俺も燐火ちゃんの異能を享受できるということだ。バックアップを取り続けて自分を上書きし続けて違和感を抱き続ける。目的を永遠と更新し続けて間違えないようにする。それが俺にどんな影響があるかわからないが、やるしかない。
「…えぇ出来るわ。本当にやるつもり?」
「あぁ…最後、逢坂」
「……なんだ」
「柊 真への異能は共有と軽減を最大限に使ってくれ。最後の鍵だ。」
共有と軽減、それが出来るなら、出力を分捕ることができる。そして、奪い取った異能で柊 真の異能の出力を下げることができれば…いける。いけるはずだ。
「…クソ、どうすればいい?」
「簡単だ。アンタに敵対の意思はない。相手が害意や敵意を判別して異能を使うなら、逢坂はただの人助けだ。ヒットしない可能性が高い。谷崎さん、作戦はこうじゃないか?まず、俺が燐火ちゃんと[ワタシ]を体内に保存する。それでもって、俺が柊 真に接触。只管に燐火ちゃんにバックアップを取り続けてもらいつつ、接近して[ワタシ]を出して接触させる。そこで記憶の改竄を行い、正しい正しくないという判別をする記憶を削って付け足す。そうすることで、一時的に異能の機能停止を狙う。あとは逢坂が異能を使って軽減で出力を削る。…どうだ?」
「…ふむ。まぁ及第点ですね。付け加えるなら、先生を使いましょう。先生は異能持ちとバレてる可能性が高いので一緒に同行させればそちらに意識が割かれます。相手はストーカー事件で感じた異能持ちを警戒しているわけですから、もしかしたら先生かもしれないと思うかもしれませんね。それと、私が居ますよ。私が影に入って貴方をごまかします。貴方は白鷺燐火と混ざり合って異能持ちといっていいかどうか…怪しまれるはずです。私がカバーしましょう。序に、逢坂君も影にしまっておけば奇襲の視点でもいいでしょうね。」
「うぐ…まぁうん…それで」
普通に上位互換の作戦を言われたが…だがまぁ根本は合っていたらしい。この作戦で問題になるのは俺の被害だ。まず俺自身が前に出るから、燐火ちゃんに頼っている俺では即座に負ける可能性がある。知らない間に記憶を上書きされて塗りつぶされる可能性がある。それに耐えられるかどうか。今後どういった影響があるのか。それが全く分からない。
だが、それしかない、はずだ。
ならやる。俺が出来ることをやるんだ。
「やってやる。柊 真、塗り潰されても、塗り潰してやる…!」
はい。ようやく更新です。
小ネタというか、まぁ皆さん予想はついてる人いるかもしれませんが、実は[ワタシ]で完封できるというか、今まで出てきた異能で柊 真ぶち殺せます。テレポ異能と強制的に感情をフラットにするヤツと影踏むと動きとめるヤツと記憶改竄で完封できちゃいます。じゃあなんでやらないのって言うと、答えは「そこまでやる義理がない」です。今回は柳田がなんか助けたいっていうから助けているだけですね。だから柳田がどうにかしろって[ワタシ]に言えば、普通にどうにかしてきます。まぁその…無残なことになりますが。基本的に[ワタシ]の柳田に対するスタンスは手のかかるペットです。最初はめちゃくちゃ警戒されてたけどべたべた触ってたら諦め気味に触ることを許してくれてキャッキャしてるだけです。ペットの全てを知って、ペットの心を全部自分で満たしたい系女子。
2024/06/26に近況報告も兼ねた小ネタ集というか裏設定載せておくのでよろしくお願いします。
あと、改めまして、感想評価ありがとうございます。すごい励みになっていて、色んなものを書いているから他の更新の兼ね合いもあって遅々として進まないという状況で、他作品を見ている方にはご迷惑をかけていますし、この作品だけを読んでる方にも毎回遅くなってしまって本当に申し訳ないです。今後も感想評価いただけると、執筆の糧となりますのでよろしくお願い致します。
第二章ヒロイン投票
-
支配系ヒロイン()
-
暴力系ヒロイン()
-
上位者系ヒロイン()