少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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またもや遅れました…が書けているので許してください()
別作品の話となりますが、ひっっっっっっさしぶりに投稿したやつがランキング引っかかって階段転げ落ちましたわよ。何があったの…?まだ二話しか出してないのに…投稿しろと……?


きっとそれでも変わらないから

「あぐぁっ!?!」

 

重めのブローでも食らったみたいだ。めり込む枝先はわき腹を擦りあげていき、きりもみ回転するように吹っ飛ばされる。

 

言葉にならない声だけがその場に取り残された。突き上げられた衝撃と痛みだけが体を突き抜けていく。漏れる息は不確かで血さえ混じっていた。歪みひしゃげた屋上のフェンス、それだけがなぜか記憶に焼き付いて…

 

届かないはずの手を伸ばす。瞬間、記憶が駆け巡る。何かが引っかかって…一瞬、指先がブレた気がした。

 

巻き上がる樹木は急成長し、そのどれもが俺達にその鋭い枝先を伸ばしてくる。

 

「先制攻撃ってかぁ!?柳田ァ!死ぬ気で耐えろッ!」

 

舞う視界、朱く赤く濡れていく。頭を切って血を出したのか。痛みなんて気にする余裕もない。逢坂の声が脳を揺らす。ただ吹き飛ばされたことだけが自覚できる。

 

全員が全員吹き飛ばされたのだろう。視界の端に飛ぶ影が幾人見える。回る視界で辛うじて認知する。

 

回転する人影、驚きと焦りに侵されたその姿は逢坂だった。こちらに手を向けている。手から発されるは大蛇。大口を開けて人一人の見込めそうな大蛇はしなりを上げ、しかし俺を飲み込むことなく腹部に突撃を仕掛ける。瞬間、大蛇は枝槍に貫かれた。

 

人ならざる影、片腕が()()()。裂いた花のめしべとおしべが波打ち泡立ち、多角的な挙動で蠢いている。そうしてこちらに触手を伸ばすは燐火ちゃんだった。グッロ!!!ぞわっと鳥肌。伸ばされた触手が手に絡みつき、振り回すように弧を描く。微妙にねちょぉっとしてる。そこに意思持つ幹枝が追従する。

 

目の端に捉えるは両手両足がない人の姿、俺に腕が回され、追従する幹枝には脚が張り付く。とたんに体に掛かる重力が増したり減ったりする。見やれば幹枝も重力によって減速したり加速したりしていてあらぬ方向へと飛んでいく。一本は学校に、一本はグラウンドに、纏先生がやってくれたんだろう。だがしかい、数が足りない。

 

巨大な影が表出化する、スマホからまろび出た大樹の枝葉その影によってこの世に顕現した女王の手が主たる大樹を掴んだ。きっと谷崎さんだろう。ギシギシと大木が悲鳴を上げて、枝葉を引き千切り、木片を散らす。

 

だが…足りない。どれだけ壊そうとも生成元を潰さないとどうにもならない。壊した端から生み出される…!

 

痛む体に鞭打って無理やりにでも動かして、俺は叫んだ。

 

俺は吐いた言葉に責任を持つタチなんでね…!痛む脇腹に中指立てて、気合を入れて声を出す。

 

「言ったろっ!俺に責任取らせろって…!俺のことはいい…!根元だ!スマホを破壊しろっ!()()()だッ!!!」

 

その言葉に須臾の時間ですべてがスマホに向かう。伸びる樹木に異能を振るう。理外の力でもって枝葉はちぎれて、触れた手を中心に樹木が歪んだ。自らが作り出した影にさらに締め上げられ、特大の衝撃と爆音で樹木諸共スマホは吹き飛ばされていた。

 

そして離され、落ちていく世界で必死に思考を回す。

 

(それで?このまま落下死するのかい?)

 

うるせぇ、思考の邪魔すんな。

 

(思考を回している状況じゃあないと思うがね)

 

わかってるさ。そんなこと。でも必要だろ。心に語り掛けてくるコイツを無理やりにでもねじ伏せる。なぜか喜色満面な感情が伝わる。うへぇ…。いや今はいい。

 

俺が見たもの、徐々に広がっていく寄生柊、女子高生と男子高生の出来事、実が裂けて柊が生えていた。それは何が原因だ?寄生柊に近づくことだ。だが俺はストーカー事件で一つの知見を得ていた。異能がそんな簡単なモンじゃねぇと。

 

明らかに建物内部に居る人間も寄生柊に浸食されていた。もし近づくことや接触が感染経路なら外部との接触がない建物に居る人間が浸食されるのはおかしいはずだ。なら他に感染経路がある。

 

空気接触、皮膚接触、粘膜接触…色々感染経路は考えられる。が、どれも現実改変能力に関わるか?と考えると微妙だ。それにでけぇヒントがそこにある。

 

大樹の発生原因。スマホ、正しくは柊 真の配信を開いたことで発生したと仮定する。そしてあの言葉。つまり柊 真は配信画面越しにこちら、視聴者側を認識しているということだ。

 

一方通行だった配信画面は双方向の送受信が可能なモノになった。そんなのただの通話アプリじゃねぇかよ。それは言い換えるなら異能の経路にもなるということだ。

 

相手は現実改変能力持ち。配信を見ている視聴者側が見えるなら変えられるはずだ…!

 

なら配信画面を開いた瞬間、ソレが感染源になる…!空気なら既に俺達は殺されているはずだ。粘膜接触も柊 真と接触した覚えはない。ってかそんなことされたら、俺より早く燐火ちゃん達に気づかれる。

 

他にもヒントは山ほどあった。

 

大樹にぶち抜かれたせいで皮膚接触は考えられるが…!それよりも相手が認知していることってのが正解だと俺は思うぜ…!嘘は誰かに嘘だと思われないと嘘足り得ない…!なら嘘を認める俺達こそが自我を持った柊 真が求めるモンだ…!

 

こうして考えられる間もどんどん世界は落ちていく。回る視界で徐々に近づいていく地面にイメージを広げる。

 

薄く、薄くだが口角が上がるのを感じる。吹っ飛ばされた時の違和感。指先の感触。()()()()()。そうだった。ヒントはいくらでもあったんだ。やろうとしてなかっただけ。なぜやろうとしなかったのか?まだ理性を捨てられなかったからだ。人間で居たかったんだ。

 

でもそんなこと言ってる暇はない。だから、やるしかねぇ。

 

できる。出来ると思いこめ。出来なかったら最悪中にいる[ワタシ]に頼ればいい。でも、[ワタシ]は俺がここで諦めるわけないと、私が曲がるわけないと思われている。此処で助けを求めても、助けてくれるだろうが評価は下がるはずだ。どうせ、監禁とかそういうことだろ?もしくは俺が乗っ取られる。そんなの許せるわけねぇ…!やっと手にしたプライベートにどかどか侵入されてたまるかよ…!心は土足厳禁なんだぞ!

 

(被害妄想というやつじゃあないのかい?)

 

おう、じゃあそれが妄想だっていう根拠出してみろよ。妄想じゃないって根拠は過去のお前が指し示しているぜ?

 

さぁ思い出せ、頭を回せ。燐火ちゃんを思い出せ。俺の中には燐火ちゃんの本体がいる。つまり、燐火ちゃんと同じ『肉体増殖』が使えるはずだ。使えていたはずだ。精神のセーフティを意識的に解除した記憶。俺の身体から燐火ちゃんがリスポーンする感覚。私の身体から[ワタシ]の両腕が生える感覚。ってかどれも俺が受け身じゃねぇかよ…!でも身体に刻まれた未知の感覚は残っている。あり得ない感覚が備わっている…!

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

(ふぅん…君はやっぱりそうなるんだね)

 

燐火ちゃんは花だった。何の影響かは知らないが『肉体増殖』での動きは蕾が開くように肉体が展開する。じゃあ俺もそうするのか?いや、違う。もっとあるだろ。頭に焼き付いてるモンが…!

 

ストーカー事件も、逢坂とやり合った時も、俺はロープを使っていた。なんでって非殺傷性かつ鞄に入れてても問題ないものって考えた時、いろいろあったけど利便性考えるとロープしかなかったからだ。罠だって作れるし、ロープの先に鞄を結んで中に石でも詰め込んだら即席のフレイルにもなるんじゃね?と思ったのもある。てか中に入ってる教科書だってそれなりの重さだから十分武器になりそうだけどな。

 

ともかく、俺はそうやってロープを選んで、結果的にそのロープに救われてきた。なら使ったことない銃とか剣とか槍よりも強く、具体的にイメージが出来るはずだ。

 

(止められないか…しょうがない。セーフティを解除しよう。汚染は避けられないなら最小限だ。アレだよ、諸君、我々は失敗したってやつさ)

 

それに燐火ちゃんの姿が過ったのもある。身体をひも状にする姿。細い糸状にして俺の爪をはがそうとしたヤツ、俺を布団に引きずり込んだヤツ、さっきの人間やめてファンタジーのR-18触手植物みたいになってたヤツ。それらが強烈に脳に焼き付いている。大概触手なのは如何ともしがたいが…!

 

ってかなんでこんなに記憶が鮮明に…ってこれもしかして走馬灯っ!?死にかけた時にあるヤツ!?私死にかけるとこんなエグ目の記憶を見せられんの!?つかまた一人称汚染が…!いや今は無視しろ!!!!

 

(こうなるのが嫌だから抑えていたんだがね…まぁしょうがない)

 

意識が持ってかれそうになるのをぐっと抑えて、身体を半回転する。地面に背を向ける。このままだったらいつ激突するかわからない地面の恐怖におびえるけどなぁ…!

 

こんな走馬灯許してたまるかよ…!

 

(残念だが歓迎しよう)

 

右手を伸ばす。左手を添える。空へと伸ばす。ただ空に手が届くのだと信じるように。無垢に。出来て当たり前なのだと。ただ純粋に…!

 

世界を塗り替えろ…!出来て当然と考えろ…!燐火ちゃんは言っていたはずだ…!自分は出来ると思うのが大事だと…!なら…!

 

俺は出来るっ!

 

 

「『解けて、結んで、縄となれ!』」

 

 

瞬間、俺は来る衝撃に目を瞑った。確かに地面は近づいていて、それを風を切る音で理解していた。だからこんなぶっつけ本番が成功するって思ってなかったから、この身体は死にはしなくてもほぼ致命傷になるだろうと思っていた。

 

(よくできました。ようこそ、我らが同胞。我らが主よ。()の主導権を握ったのは君だ。晴れて君は、()()だよ)

 

脳裏で囁かれたその言葉に目を開ける。映る視界に引き攣った、けど確かな高揚感を伴った笑みが出る。

 

「ははっ、あぁーあ…」

 

視線その先、俺の右手五指は確かに解けて、五本が捻じり合いより合い一つの縄を形成している。それは腕にまで到達して、そして、肩から先はロープとなっていた。面白いことに俺が買っていた難燃性ロープに近い色をしていて、イメージのせいなのかよくわからないけど、左手で握った感触はほぼ同じだった。

ロープの先は壊れた屋上のフェンスに絡みついて、軋みを上げながらも俺を支えている。

ぷらんぷらんと宙ぶらりんになって吊るされている。地面を見やれば数メートルだった。あっぶね、ギリギリじゃねぇかよ。

 

「ははっ、出来ちまった。なら…さぁ!」

 

諦めが心に広がる。出来てしまった。晴れて俺も人でなしだ。だったらこれも…できるはずだ。イメージを広げろ。俺は人間じゃねぇ。道具だ。機械だ。そう思え。だから…

 

「『俺を巻き取れぇ!』」

 

その言葉に腕が反応する。ぴんと伸ばされていた人体ロープは俺の根元から急速に巻き取られていく。巻き取られていくと同時に俺の右腕が徐々に徐々にと戻っていく。痛みはない。あぁ、出来る。出来ている。

 

高速で動く視界、結ばれた糸は腕に解けて、巻き上がる勢いに俺は一本釣りされた魚みたいになって…

 

屋上に根を広げた柊の大木が、四方八方に幹枝を振り回して逢坂の協力者が張った結界を壊そうとしていて、それらを必死に防ぐ逢坂と、大樹を締め上げる谷崎さん、燐火ちゃんと纏先生が幹枝をさばきつつ、スマホがあるであろう根元を攻撃している。

 

「壊せなかったのか!?」

 

「ギリ動いてんだよッ!ファッキン文明機器がよォ!クソ頑丈に作りやがって!」

 

逢坂の言葉に歯噛みする。どうやらぶち壊すまでにはいかなかったようだ…が大樹の成長は止まった。常に幹枝が動いているが新たに幹枝が生まれる様子はない。ただ振り回しているだけ。ならあとは壊すだけだ!

 

「てかそれどうしたんだよッ!?てめぇ異能は持ってねぇだろ!」

 

「借り物だッ!燐火ちゃんと同じやつ…のな!」

 

迫りくる枝を蜘蛛男並みに体を振り回して回避する。これ次の挙動を考えておかないと壁に叩きつけられた虫みたいになるのキッツイな!!!

 

「バッカだろお前!んなことして…「今は目の前のことに集中しろっ!大樹を落とすぞ!」

 

「んなのどうやってだ!?」

 

「大樹に異能は使えるか!あぁ上だ!上から来るぞ!」

 

屋上にギャリギャリと体を擦りつけながら着地すればその地点に狙いすましたように幹がたたきつけられようとする。すぐさま右腕を解いて近くで振り回されてる枝に巻き付かせて退あぁぁぁあああああ!?!!!!

 

「ジェットコォースターの比じゃねぇ~~~~~~!あ、腕ちぎr死ぬぅ!」

 

「馬鹿じゃねぇのお前!?大蛇ァ!嚙みちぎれ!!!」

 

右に左に、遠心力を全身で感じて投石器の投石がごとく振り回された俺は逢坂の腕の大蛇に巻き付けた枝を砕かれ…そのまま空の彼方に飛ぶ…!と思えば急に強烈な下方向の重力を感じてそのまま大蛇にキャッチされる。

 

「すまん!助かった!」

 

「クソッ!異能が通りにくいのかやすいのかわかんねぇ身体になりやがって…!大樹に異能の通りはわりぃぞ!全然だ!」

 

「じゃあ学校に異能を使え!透明化で学校自体を透過させろ!」

 

「なんでんなこと…!「大樹を落とす」

 

「落とすゥ?」

 

「屋上に戻ってくるときに見た。あの大樹、学校に根を張っている。幹や枝をさばいたとしても根本のダメージにはなってない。なら学校自体を透かして大樹の支えを失わせる。少なくとも今のジリ貧状態からは抜け出せる」

 

「そのあとはどうする!落としたってスマホが壊れるかはわからねぇぞ!」

 

「俺が行く。いや、『[ワタシ]がいく』」

 

「あん?ちっ、そんな簡単に変わるのかよっ。急に声だけ変えやがって気持ちわりぃな」

 

『一緒にしゃべってんだからしょうがないだろ…[ワタシ]が持つ異能で下からぶち抜く。タイミングは任せるが10秒保たせろ。俺は他に伝えてくる」

 

「あちょ…!クソッ!言いたいことだけ言いやがって…!20秒後だ!死ぬ気で合わせろ!」

 

すぐさま離脱。後ろから響く声を頭に叩きつけてから()()()()

 

「『燐火ちゃーん!聞こえてるだろ~!!20秒耐久だ!』」

 

『わかったわ…今の貴方は死んでも死なせないから』

 

ヒュー!クソ重い返答が帰って来た!伝わってるし許容しよう!

精神のセーフティが解除されたことで俺は燐火ちゃんの精神汚染をある程度受けることになるが…それで得られる恩恵の一つがこれ。異能による距離を無視した通信だ。ダイレクトに言葉が伝わり、こっちにもダイレクトに言葉が伝わるので精神衛生上よろしくないが…まぁいい。あとは…!

 

「纏先生~!!!谷崎さーん!何処に「うるさいですよ」「おひょっわっ!?」

 

声を掛けた瞬間ににゅっと影から顔だけ出してきた谷崎さんにまじビビりする。何?ずっといたの?てか大丈夫なのそれ?打ち首されたあとみたいになってるよ?

 

「ずっといたわけではありませんよ。呼びかけられた時点で潜って来ただけです…話は大体わかりました。抑えますよ」

 

「えぇ…?」

 

ナチュラルに精神読まれてる…てか聞いてたの?えぇ…引き気味で返答すると溜息を吐きながらジト目を向けられる。

 

「今更ですか?顔に出やすいのでわかりやすいんですよ…それに貴方のことは大体把握してますからね」

 

そっか俺顔に出やすいんだった。てかするっと怖いことを言われたが助かってる面もあるので致し方なし…致し方なしで良いんだよな?

 

「致し方なしです」

 

「そっかぁ…」

 

もはや覚か何かの読心能力でも持ってるんかと思ったがそういえば能力的に持っててもおかしくありませんでしたね…はい。粛々と受け入れ…ってやべぇ時間は?!

 

「今ので10秒くらいですかね。あ、11秒です」

 

「纏先生ー!!!!!!逃げて―!!!!!」

 

全力で叫びながら全速力で駆け出していく。あと数秒で今立ってる屋上含めたすべてが透過される…!大樹よりも早く下に居ないといけねぇ…!

 

全力で動く俺の影、そこに追従する谷崎さんがまたもや溜息を吐く。すいませんねぇ行き会ったりばったりで!

 

「そっちの方が貴方らしいのでいいです…手伝いますよ」

 

「おわっ!?」

 

実体化した影に足を掴まれ、自分の影に沈んでいく。飲まれていく。コレホント大丈夫!?と思うが足は宙ぶらりんでままならない。

 

ぼたり

 

と頭まで飲まれて影の底に着いたと思えば、そこは学校の廊下か…?昇降口が横に見える。一階廊下か。

思わず上を向けば影だまりと化した一部天井から谷崎さんが逆さまに顔を出す。影ってそういう事も出来んの?てかそんな早くできるならさっさとやってほしかったんだけど?顔に出たのだろう矢継ぎ早に

 

「人を入れたのは初めてなので運が悪ければ影の中で一生そのままでしたがそれでもよかったですか?」

 

「はいすみませんありがとうございます」

 

俺の不満はべきべきにへし折れた。はい、アリガトウゴザイマス…。もうちょっと安全マージン取ってくれるとサイワイデス。

 

「貸しが増えましたね。それに急いでください。私は影に引っ込みますが…あと5秒です」

 

その言葉を残して谷崎さんは消える。…また貸しが増えるのかと一瞬気落ちするも気合を入れる。どっちにしろやるしかねぇんだ。コラテラルコラテラル…本当にコラテラルか?いやいい。今は…

 

天井を仰ぐ。腕を解く。作戦…そのためにはわかってんだろ?

 

(あぁ。もちろんだとも)

 

手を貸せ。お前の力が必要なんだ。

 

(対価は?)

 

………死因

 

(いいだろう)

 

苦々しく吐いた言葉に喜色の感情が伝わってくる。俺の前世に当たる死因なんてどうでもいいだろうにどうして聞きたいんだか…なんて思っても対価がそれで務まるならいい。

 

腕を伸ばす。細くていい。長く、長く。

 

手首、肘、肩と、どんどん体はほどけて行って、ついには上半身を侵食し始める。身体がどんどんロープに変わっていく感触に背後霊で戦う漫画を思い出す。ポジティブに考えよう。俺は主人公みたいな能力を手に入れたのだ…借り物だけど。

 

(さぁ始めよう)

 

あぁ。やろう。

 

息を深く吸って、深く吐く。時間だ。

 

視界が急に開けて、屋上その先までよく見える。大樹の裏っ側さえ綺麗にな。位置は上々。腕の変化も上々だ。

 

腕を伸ばす。波立たせる。まだだ。足りない。リソースが足りていない。()()()()()()()

 

重ねて言うが『肉体増殖』は燐火ちゃんの異能で俺は借り物を使ってる。が…一点に絞れば俺は借り物の扱い方に優ってると言っていい。

 

何かって簡単、前世の知識だ。原作知識の活躍だぜ御覧じろってな。

 

『肉体増殖』はその肉体の変化に焦点が上がることが多いしなんならそっちがメインみたいに扱われている。が、それは叙述トリックみたいなもんでもう一つ本質がある。

肉体の変化は肉体に、そしてもう一つは…

 

増殖。

 

増やすことが出来る。増えることが出来る。そして、異能ってのはイメージによって扱い方を変えられる。原作知識じゃ中盤でやりだすんだが…使わせてもらうぜ。

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()』」

 

誰に対する叫びか。心が沸騰していくのを感じる。自然と口角が上がっていく。あぁできてしまったぜ…!

 

自切、自分の身体を切り離す。すると切り離した右腕から、()が生えてくる。柳田さんがコンニチハしてる。ははっ、キモいが…必要なことだ。そして、ソレもまたロープに変えていく。さらなる自切、1は2へ。2は4へ。4は8へ。8は16へ…!

 

全てをロープに変換して…結ぶ!結んで、結って、太く長く…固く強く…!そして振るう。振るうんだよ。《上》に!っよいしょぉ!そんで…!

 

「[ワタシ]ィ!」

 

持ってたはずだよなぁ!無敵の異能を…!『征全説』を…!

 

(対価を)

 

「…失血死だッ!」

 

「『よろしい…契約は為された……征全説……あらゆる傷害は許されない』…やっぱり君は…」

 

「行くぞぉ!」

 

[ワタシ]が何かを言いかけるのを声を枯らして叫んで潰す。意味深なコト今言うんじゃねぇあとで聞いてやるから…!身体が淡く光る。配管工のおっちゃんの無敵かよ…。でもいい。これでいい。これがいいんだよ!無敵ってことはよ…あらゆるダメージを受けないってことはよ…

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

最強の盾は最強の鉾になりうるんだ。だって誰にも壊せない盾で圧死潰されたら死ねるぜ?馬鹿な俺でも考え付く…ならよ…!

 

ははっやってやる!

 

「丸太は持ったかァ!?!串刺し刑だッ!」

 

屋上から迫りくる巨大な落下物に対して叫ぶのだった。




柳田はテンション上がると逢坂みたいになるタイプ。
闇殴も別作品の方も感想評価下さるとモチベーションになりますので何卒よろしくお願いします。

またしても雑に扱われる纏先生…(ぼそっ)

第二章ヒロイン投票

  • 支配系ヒロイン()
  • 暴力系ヒロイン()
  • 上位者系ヒロイン()
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