少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
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さぁて…なんとか歩く死神を抑えられたので、早速犯行現場予定地に向かうとしよう。
いやね?さっきはマジでビビったが、なんとか丸く収まってよかったよホント。もし、しこりが残ったりでもすれば。マークされて謎の因果で凄惨な死体になってる可能性があるからね…怖い世界だよ。シャレであってほしいぜ…。
さて、今の時間は午後5時を過ぎたあたり。外はまだ日が出ているが、もうすぐ沈んじまうだろうよ。さっさと終わらせないと見回りの先生にどやされちまう。
「ここだな」
ほこりにまみれた教室のプレート、ガタついてる扉、机や椅子が教室の後ろにきれいに並べられていて、教室の大体7割が空きスペースだ。入ってみればたぶんハウスダストの奴はむせるんだろうなって感じのほこりっぽさ。試しに黒板を指でなぞってみれば、文字が書けるくらいにはほこりがたまっている
“YOU DEAD”
「よし」
未来の自分に皮肉を込めたメッセージを残しておこう。この焦りが明日も続くとは限らないからな。寝て起きれば、気楽になんとかなるだろっ!って考えて悲惨な末路をたどるかもしれない…。これはいましめだ。まぁふざけが9割だが。
「さて…」
ここが被害予定地かぁ、テンション上がるなぁという風にはならず、どこまでいっても普通の空き教室だ。特に気になる点もなく、インストされた前世記憶と大体同じである。
「確か…ここらへんか?」
ちょうど自分が死んでいる場所に立ってみる。入口に近いところ、黒板を正面に見て、教室右寄り真ん中らへんといった場所だ。ここらでエンチャントファイアされて人間ミディアムにされたんだが…
「なんもねぇな…」
いや、まぁそうなのだ。犯行現場予定地といっても今ここで何か起こったわけではないから、何もないのが普通なのだ。せっかち過ぎたか…?なんかできることはあるはずだが…
強いて言うなら、窓から纏ちゃんと話していた指導室の部屋が見えるくらいか?この学校は中庭を囲うように設計されているので、学校の内側に当たる教室は中庭の様子や他の教室の部屋が見えてしまうのだ。ちなみに犯行時はカーテンを閉められていた。対策バッチリで反吐が出るぜ……。
とりあえず色々と漁ってみる。古びた教卓の中に何かないか、全体を一通り見まわしもしてみた。とりあえずカーテンは開けておく。
「うーん、帰るか!」
結局何も収穫がなかった。どこにでもある空き教室だわ。がらがらっと扉を開け、帰路に着く。行きであった心臓に悪いイベントは特になく、ちゃっちゃか家に帰ることが出来た。
とりあえず、今日の出来事と今後やることを整理するかぁ…。見切り発車もいいところで、割と手探り状態だからな。死を回避するためにしっかり作戦を立てなければ…。
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神というものが存在しているなら、私が一体なにをしたというのか。
聖書では、神に背を向け、神の言葉に逆らうことを罪とするらしい。それなら私は生まれながらに背教者だったということだろうか。
…いくらなんでも酷すぎやしないか?前世の罪が上乗せされたのだろうか。それならば私はどんな罪を犯したというのか。
いくら自問自答や逃避をしても解決する問題ではない。しかし、その問題から目を背ける時間というのは、疲れ切った私にとって必要なことなのだ。
今日も憂鬱だ。以前より
こんな力欲しくはなかった。確かに生まれ持ったもので苦しんでいたのは確かだ。自己主張の激しい私の半身達が、頭の中を駆け巡り、思考をかき乱す。正常な思考なんてできるはずもなく、ひとたび気を抜けば体の主導権を取られるものだから、日常的に精神を張りつめていなければならない。心を擦り減らす毎日を続けていると、私の半身達は悪魔のような甘言で惑わしてくる。主導権を渡せと。
主導権を渡せば最後だ。早くて1日、遅ければ1年も体の主導権を持っていかれる。私の半身達が主導権を渡せと口々に言う理由が代わって分かった。私の心の中というのは、どうにも暗く寂しい。私が悲観的な人間だからだろうか。少なくとも、こんなところにずっと居るくらいなら、外に出て好きなことをしたいと思う気持ちもわかる気がする。
そんな同情でずるずると身体の主導権を渡していたら、終いには完全犯罪を犯そうとしたのだ。あの時、私が全力で主導権を奪い取らなかったら、若干11歳にして犯罪者になっているところだった。
そんな生活を送っていたから、最初解放された時安心してしまった。神様が苦しんでいる私に慈悲の手を差し伸べてくれたのだと思った。初めて、何も声がしない夜を眠ることが出来た。それだけでうれしかった。それなのに…。
身体を手に入れた私の半身達は、いままでの鬱憤を晴らすように自己中心的に活動を始めた。犯罪行為に手を染めたと聞いた時は卒倒したし、有名人になったという突然の報告に、恥ずかしながら授業中に大声を出してしまった。いまでもCMやテレビ、外に張り出された広告に移る〈僕〉の顔を見るのが億劫で、自然と顔が下を向き、テレビもあまり見なくなっていた。そして、私は警察に目を付けられるんじゃないかとビクビクする毎日だ。どういうわけか、[ワタシ]が警察にお世話になる事は今までなかったものの、それをラッキーと幸運で流せるわけがない。
私の体で好き勝手しないでほしい。そう言えば、そろいもそろってお前は私だろうと鼻で笑われる。話を聞いてくれない私が怒っても、それなら
毎日、毎日、この体のことや能力をどうにかしようと模索する日々。解決策を見つけたかと思えば、それが何の役にも立たない事なんてザラだから、今では惰性でやっている。
私の人生はこのままで終わるんだろうかと思っていた。この私の半身達の対応に追われる人生で終わってしまうんだろうか。
私だって好きなことはしたいのだ。美味しいものが食べたい、きれいな景色を見に行きたい、人と話したい。昨日のテレビでちょっと面白かった芸人さんの話をクラスメイトと共有してみたい。帰り道を一緒になってだべりながら帰りたい。休日に友達とショッピングに出かけたい。服を一緒に選んで、どっちがいい?と意見を求めたりして、昼には美味しいランチを食べて、好きな子ができた?なんてコイバナをしたい。テスト前に一緒に勉強会だってやりたい。逆にテスト前にまったく勉強せず、あんまりテスト勉強してこなかったんだ、なんて定番のやり取りをしてみたい。
そんな、当たり前の日常がすべてすり減らされていく。高校生は一度しか味わえない。そんな高校生活をこうしてすり減らしていいのだろうかと思うが、半身のせいで、誰かが傷ついて、迷惑を被っていたりする中、私は関係ないと気にせず高校生活を満喫しようと思えるような図太い人間にはなれなかった。
苦しい。漠然とした将来の不安とは違う、明確で具体的な闇が覆いかぶさってくる。自然と足取りは重くなり、歩くことすらままならなくなっていく。
助けて、何て言えたらどれだけいいか。生憎、これを人に話しても狂人扱いか精神科を勧められるだけだ。私は人生の大半を病院で過ごしたくはない。狂っている人間ではない。
あぁでも、今日はいいことがあった。
私が問題を解決するために本を図書室で借りたその帰り。彼と廊下でぶつかったのだ。そこだけ切り取ってみればなんてことはない、ただのアクシデントだ。彼は急いでいたらしいが、私も本に注意を向けていたことだし、お互い様だろう。
それはどうでもいい。彼は私の事を気にかけてくれた。それが大事なのだ。
彼は転んだ私を気遣い、マンガでも読んで気分転換してみてはどうかといった。
気分転換というのは、今まで出てこなかった。ずっとこれが平常運転だから、休憩するという意識が抜けていた。それもそうだろう。問題を解決することが生きることみたいになっているのだ。生きることを休むなんて発想出るわけがない。マンガ…。帰ったら探してみようか。というより、私のこの多重人格や異能なんて、マンガの設定にありそうなものじゃないか。そこから探してみるのもいいだろう。
突如ふっておりた天啓に、足取りが軽くなる。重く私の背中にのしかかってきた闇に光が照らされた気分だった。
たかだか優しくしてもらっただけ、と片付けられないほどに弱っていた私の心に染み込んだのだ。
私が転んだ時、彼は私を奇異の目で見なかった。同情の感情すらこもっていた視線だった。今まで人に関わらず、変な行動ととれるようなことをしてきた私に近づこうとする人間なんていなかった。偶然関わろうものなら、顔をしかめたり、あるいはそそくさとその場を離れる者が多かった。確か、以前はその人達の一人であった彼だが…。どういう心境の変化か、私に接しても嫌な顔せず、警告や助言なんてこともしてくれた。
私に近づきたくないといった感情はある。でもそれは、今までの異常なものには近づきたくないというものより、私の性質をわかっているからなるべく近づかないといったものに伝わった。…ただの思い込みかもしれないが。
ともかく、私にとって奇異の目で見ず、アドバイスをくれる人なんて今まで会ったことが無かった。
柳田…そう修介。修介君だ。彼は他の人とは違うかもしれない。それに授業中のあの叫び、寝言かもしれないがもし彼も何かしらの異能に目覚めたのだとしたら…。
力になれるかもしれない。唯一の理解者になってあげられるかもしれない。
同じ異能持ちでしかその苦しみをわかってあげられない。だから、もしそうだとしたら、願わくば。
こんな最低で身勝手な女を助けてほしい。
つなぎ回。
感想評価よろしくお願いします。
嵐天(で、前も後ろもわからず途方に暮れた私を)差し込む(懐中電灯の)光に、私は奇跡を見出した。
嵐の中五里霧中で遭難している人からしたら、差し込んだ光が自然光だろうが、人工光だろうがどっちでもいいし、たとえそれが偶然差し込まれた光だとしても、人は偶然を運命や奇跡と呼ぶし何の問題もないな!
偶然、懐中電灯で照らしてしまったミディアム予定君からすれば?
ほとんど当たり屋。
1.5章のシチュエーション
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嘘つき少女と人の痛みに共感できる男子()
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幸せをかみしめている少年と愛されたい少女
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幸福の価値が分からない女と不幸体質の男
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天才と天才女になり切れなかった凡才男
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自分に価値を見出せない男とまぶしすぎる女
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忘れた少年、忘れたかった少女