少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった 作:よくメガネを無くす海月のーれん
朝、カツンとそこらの石ころを蹴りながら通学路で昨日を振り返る。
やったこと、やらなきゃいけないことは一応固まった。
一晩中考えてたからな。寝不足だが…そのおかげで頭の中を整理できたといっていい。
まず、再三言うようだが、あと2週間程度で俺は死ぬ。
そんでもって回避する方法は、下手人をどうにかするしかない。
現状、犯行現場はわかるし支援者も作った。予定だが重要参考人(歩く死神多重人格者とkillcountトップ女)が二人もいる。一人は白鷺 燐火、もう一人は図書委員ちゃん。
が、肝心の下手人が分からない。これが問題だ。
昨日の成果、纏ちゃんに応援要請を了承されたことで、下手人の特定にはある程度の方向性が見えた。
これはでかい。原作でも屈指の強さを誇る彼女を味方に付けたってだけで、安心感がダンチだし、最悪纏ちゃんに全部ぶん投げれば下手人を見つけてくれるという自信がある…時間はかかるが。そして、俺が死ぬが…。まぁ纏ちゃんに、異能持ちっぽい人いたら教えてというだけで、今の五里霧中状態から抜け出せるだろう。
改めて、こっから俺がしなきゃいけないことは三つ。
一つ目、下手人の考察と捜索。
これは、必須事項だ。原作通りに動くのか犯人の動向を追うのは大事だし、能力が分かれば生存確率が格段に上がるだろう。だが、手がかりはゼロで、男で2年生であることしかわからない。ひょっとこのお面を被っていたことが特徴くらいか。異能は今わかっているので、パイロキネシス、発火能力だが特殊なものである可能性が高い。
先も言った通り、纏ちゃんに言えばある程度の下手人の候補は絞れるはず。俺が本格的に動くのは纏ちゃんからの情報後といったところか。
二つ目は、図書委員ちゃんとの接触。
図書委員ちゃんの詳細は後にするが、彼女を味方につける…とは言わずとも、中立的立場に置けたら万々歳だ。それほど彼女は強い。俺とか瞬殺されるし、纏ちゃんでも五分五分、覚醒燐火ちゃんなら死力を尽くせば勝てる…ぐらいの強さだ。ちなみに、
ともかく、仲間にできたらその時点で勝ち確といっていいが、高望みはしない。最低条件は敵対しないことだ。
三つ目は、白鷺 燐火との関係づくり
一晩考えて思いついたが、やはり関係を持っていて損はないと判断した。なにせ、この物語の主人公様。ピンチの時に駆けつけてくれるってんなら心強いモンだ。
それに、昨日の件で若干関わりを持ってしまったからな。その前、前世記憶インスト前は、なるべく関わりたくないなぁと考えていたが、燐火ちゃんの現状を知ってしまった以上、可哀想だし、俺も危険が危ない()ので、遠慮なくかかわって利用させてもらおう。
関係構築のために、いくつかの接点が必要なのだが、昨日の俺はファインプレー。マンガをオススメした。こっから、オススメのマンガ、それも特殊能力が出る奴とか勧めながら、徐々に関わっていけばいいだろう。燐火ちゃんは割と警戒心が強いため、ちょっとずつ、ことを進めなきゃいけないが…。2週間あればほどほどに関係が作れるはずだ。気分は買ってきたおもちゃでどうにか気を引こうと頑張る飼い主だ。燐火ちゃんという名の艶やかな白色の毛並みを持つクセ猫は、ちょっとやそっとじゃ靡いてくれないクール猫だ…。そう考えるとかわいく感じてきたな……。うーんアリだが…後にしよう。
俺はへんちくりんな思考を打ち止めにした。とりあえず、目的が決まったんだ。やるだけやっていくしかない。
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そんなわけで、この一週間、それなりにやってきたが…そう現実はうまくいかないもんで…。
燐火ちゃんと仲良くなろうとした俺のコミュニケーション集をご覧いただこう。
『り、燐火ちゃん?あ、白鷺さん白鷺さん白鷺さん、ちょっといいかなぁ~なんて』
『あ、オススメのマンガはこれとこれとこれと…』
『り、白鷺さん、この後暇だったりする?…あっ、暇じゃない…ごめん…』
うーん…!空回り!
ダメだよ。俺は陽キャ並みのコミュ力なんて持ってなかったんだ。自覚していたはずだった。んだけどなぁ…。まず、燐火ちゃんが頭の中で定着してて気を抜くと燐火ちゃん呼びになる。ワンアウト。単純にコミュ力がないから会話が途切れて変な空気になる。ツーアウト。距離感を詰めるのが下手で警戒されてる。スリーアウトチェンジってところか。
終わってんな!!!
「もう俺どうしろってんだよぉ…」
放課後、誰も居なくなった教室で独り愚痴る。猶予は後1週間、纏ちゃんからの連絡は今のところない。自分でも探してみたがまったくもって犯人の手がかりなし。図書委員ちゃんは接触を試みたが、警戒心が強くあまりいい成果とはいえなかった。
『……何の用ですか?用がないなら邪魔しないでください』
図書委員ちゃんは毒舌で、容赦ない言葉で周りの人間を曇らせ、歯向かってきた人間には自身の異能で叩きのめしてから、さらに言葉の毒を浴びせるというキャラだ。作者はキャラに鬱屈した感情でも抱えてんの?そんな、恐るべき毒舌を生で見れたことは嬉しいが、ソレはソレとして俺の心にひびが入った。…フツーにつらいね。まぁなんとか立ち直って、図書室の番兵みたいになってる図書委員ちゃんから本を借りつつ、オススメの本を聞いてあしらわれたり毒を吐かれたり、たまーにいい本勧められたりする関係にはなった。俺のメンタルは強くなった。嬉しくない誤算だ。
「収穫0ダァ…どうするんだよ」
一応俺単体でも動いてはいたのだ。休み時間に学校を回ってちょっとおかしな雰囲気だったりお?と思う人に目星を付けたり、耳をそばだてて他人の会話を盗み聞きしたり…。結果はこうやってうなだれてる時点でお察し、ということだ。
こうしてうなだれてもしょうがないのはわかってる。ただ行動しても結果が出ない焦りと、迫りくる不確かな死のタイムリミットが思考を鈍らせネガティブな方向にむかっていってしまう。キッツい…。こちとら高校生だ。斬った張ったの命の張り合いなんてしたことないのに、いきなりお前を殺しに来る犯人を見つけ出せとかいうミッションは荷が重すぎる。
「ハァ…帰るか」
思考はどん詰まり。一寸先は闇どころか闇が全方位五里霧中状態だ。誰か―!光明をお持ちのお客様はいらっしゃいませんかー!
ぱっぱと荷物をまとめ、教室を出る。職員室に寄って、纏ちゃんに進捗どうですか?と漫画家を急かす担当の如く聞いても返ってくるのは収穫なし。あと一週間しかないのに…。
肩を落としてそのまま下駄箱に向かった俺は…その先、自身の下駄箱の前で立ち尽くす燐火ちゃんの姿を見て、どうやら脳内で呼んだお客様が光明と一緒に厄介事もデリバリーしてきてくれたことを察して、苦笑いと安堵が混ざった何とも言えない表情を浮かべながら、燐火ちゃんに話しかけるのであった。
「や、やぁ白鷺さん。どうかしたの?」
や―っとおはなしの間の部分がつながったので、これから楽に書けるはず…
感想評価よろしくお願いします。
1.5章のシチュエーション
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