少年少女が抱える闇で殴りあいをさせたかった   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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オワー!!!(どんどん読んでくれる方が増えていることに驚愕し椅子から転げ落ちる)

読んでくれてありがとうございます!


”知ってしまった”

早速、纏ちゃんにチクり申した。返答は「これだけだと誰かを特定するには足りない。ただこちらの目を付けている生徒と照らし合わせればある程度絞れるかもしれない」とのこと。

纏ちゃん目星付けてたの?教えてくれてもよかったのに…とか愚痴ったら、不確定要素のままで教えて、いらぬいざこざを起こされても困るという何も言い返せない正論を言われたので、頼ってばかりだしなんも言えねぇ…と肩を落としたら笑われた。後、はにかみながら、先生に任せておけだなんて言われちゃったら惚れるちゃうだろォ!さすが人気投票で毎回上位に食い込む女、こういうさりげないイケメン要素が魅力的なんだよな。……地雷原タップダンスの要因だけど…。

 

ことを済ませた。後は纏ちゃんに任せる…ってのはちょっと無責任が過ぎる。ってなわけで俺個人でも動こうと考えている。まぁ言いだした本人が何にもしないってのはね?

 

というわけで電気屋に行って、ちっさいカメラを購入。貯金が消し飛んだが…コラテラルコラテラル…。これを下駄箱に設置して燐火ちゃんにきしょいラブレターを投函してくる下手人の姿を収めようということだ。俺天才か?まぁそのために…

 

(白鷺さん、ちょっと頼みたいことがあるんだけどいい?)

 

燐火ちゃんに許可を取らなくてはいけないということである…!!!燐火ちゃんの下駄箱にカメラを設置するという犯罪ムーブの許可をもらわないと、コレはできないし、纏ちゃんにバレたら消される。なんなら、纏ちゃん以外の先生にバレたら死ぬ。普通にアウトだ。まぁ実害が出たら元も子もないので、なんとか許容してほしいところ…。あの時ああしていれば…とか割とこの世界じゃシャレにならん。

 

(どうかしたの?)

 

ぴろんと返信がくる。早いな…。燐火ちゃんRINE即リプ勢なの?いやでも本人友達とかいないって…あっ

俺は初めてRINEを交換した相手に気分が上がっているのだろう即座に返信する人を見るような優しい目になった。うんうん…全然たわいないことでもRINEしていいからね…(老爺心)

ともかく、件のことを話す。

 

(気分悪くするかもしれないって前置きするんだけど。あんな手紙を送った犯人を特定するためにさ。下駄箱にカメラを設置したいんだけど…大丈夫かな?)

 

(もちろん、いやなら断ってもいいし、終わったらそのカメラ処分するからさ…どうかな?)

 

割と長文になってしまったし結構気持ち悪いこと言っているが…反応やいかに。数秒、十数秒、数十秒経って、あ、これダメそう…と思っていた時

 

(問題ないわ。設置してもらって大丈夫よ)

 

ッシャオラァ!許可取れたぜ…!

 

(明日の朝にでも設置しに行くよ。明後日明々後日にでも確認しようか…じゃあ今日はお疲れ様。また明日)

 

とりあえずグレーなプランが通ったことに安心した俺は明日早起きするためにも、さっさと会話を打ち切ってしまおうとしたのだが…

 

(待って)

 

(ちょっと)

 

(話が合って)

 

(時間空いてるなら少しいい?)

 

といった具合に連投が飛んできた。およ?まぁ時間にゃ余裕あるし大丈夫だけど…。話とはいったい?

 

(全然大丈夫だよ。話って?)

 

(その……どうして私を助けてくれるのかなって)

 

(私、あまり他人と関わったことないから、わからないのだけれど…そこまでするものなの?)

 

(どうしてそこまでしてくれるの?)

 

(貴方は私が()()()()()()()()?)

 

(わからないの…その…こんなにも助けてくれる相手に対して言うことではないと思うけど……)

 

(怖くもあるの)

 

(貴方は…私に()()()()()()()()?)

 

おぉッと…これは…雲行きが怪しくなってきたな…。どういうことだ?

 

(えっと、どうしてほしいって言われてもね…)

 

(ごめんなさい。答えにくいことを聞いていることはわかってるの)

 

(貴方と私は今までほとんど接点がなかったはずよ)

 

(それが些細なきっかけがあったけれど、急に関わるようになって)

 

(貴方は…どうして私に関わってくれるの?)

 

………あ―…うん、そうだ…よな。そうだな。ほとんど関わりのなかった人間が、急に絡んでくるようになって、困ってることにも率先して助けてくれて、やり過ぎじゃないかと思うほど手を貸してくれる。だけど相手の心情は見えず、どうして自分に関わるのかを考えても、小さな出来事はあれど、きっかけと呼べるものなのかはわからない。はっきり言ってしまえば、道端で転んだ時に助けてくれた人が、たいした怪我でもないのに、応急措置をしてタクシーを呼んで、いきたいところに連れてってくれたようなものだ。感謝もあるだろうが、恐怖が勝つ。そんな感じ。

 

そりゃあ警戒されるよな。当たり前だ。自分を客観視できなかったな…俺。

 

(ごめん。迷惑だった?)

 

迷惑と捉えられてもしょうがないわな…。一人で舞い上がってただけだったか…?そうだとしたら…道化も甚だしいな、俺。

 

(違う)

 

(迷惑じゃない)

 

(ごめんなさい)

 

(そういうわけで聞いたわけじゃないの)

 

(お願い)

 

(私が貴方の迷惑になってるんじゃないかって心配になったの)

 

(私のことに巻き込んでしまったから)

 

一生懸命フォローしてくれる燐火ちゃんあったかいね…。んでもな…。正気に戻ったというか現実を見てしまったというか。

 

(こっちが首を突っ込んだものだし全然気にしなくていいよ)

 

やりすぎた…というか、踊らせていたというか…。自分の命を優先して、他を考えてなかった。利用することしか頭になくて、後々頼るからと親切の押し売りをして好感度を稼ごうしたからこうなったんだろう。今気づいたわ。

 

そりゃそうだ。原作知識?作品の世界?そうじゃないだろう。ここにいる時点で、俺も他の人も白鷺燐火も生きてるんだ。人の心を客観視しすぎた。作品じゃこういう性格だから、こういう風に接すればいいと思っていた。決めつけたんだ。でも違う。そうじゃないんだろ?

 

纏ちゃんのことを思い出す。はは、()()()()?纏先生だろ?いや、笹垣先生じゃないのか?内心とはいえ失礼だろ。それに…先生は異能を隠して生きてきた人だ。自分の力が誰かを傷つけるものだから、誰にも知られず、自分を抑えて、人格者であれと、異能という力に頼らず、皆に親しまれる先生になったんじゃないか?

 

この世界は俺が考えているほど甘い世界じゃないはずだ。それなのに、良い先生であろうとしている人だろ。まぶしくて尊くて、燐火ちゃんに対してだって、一生徒なのにどうにかしようと必死になって動いていたのを原作知識で知ってたはずだろ?

 

それを俺はどうした?自分が生きるために、先生の異能がバレるリスクがあるのに、必死に騙して頼み込んで、もし先生の異能がバレたら、先生の人生を棒に振ることになるんだぞ?そんなリスクを負ってまで、俺を助けようとしてくれている人を、安全マージン扱いして、その上犯人捜しまでしてもらってる。頼り過ぎじゃないか?

 

()()()()()、いや白鷺燐火だってそうだ。多重人格者という誰にも共感を得られないであろうものを、ずっと、それこそ物心ついた時から付き合っているんじゃないか?想像を絶するものだろうさ。誰に言ったって共感されないし、化け物扱いされるだろう。それを必死に抑え込んで、抑えきれず暴れたりしているのをなんとか対処しようとして、今の今まで頑張ってきたんだ。泣きたいことだってあっただろうさ。なんで私が…って恨み言吐くこともあっただろうさ。でも、変な目で見られているが、高校生活を送れる程度に、やってきたんだ。

異能のおかげもあるだろうが、それでも、白鷺燐火本人は異能を誰かを傷つけるために使おうとはしていないし、なんとか対処しようと本を読んだり調べたりと人生を捧げているレベルで行動している。

 

 

原作知識を持っている俺なら知っていたはずだ。彼女のこれからの未来を。4つの人格がそれぞれどういう風にぶつかり合って、苦しんで、いろんな問題に直面して、人の死を見て、自分のせいで誰かが傷つく姿を見て、怒りや不満をぶつけてぶつけられて、普通の高校生じゃ一生関わりがないだろう荒事にも巻き込まれて、悪意に触れて、感情に触れて、どうしようもない理不尽に触れて、それでも納得できないからと、必死になって行動する彼女の姿を知っていたじゃないか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

そんな頑張ることを強いられている女の子に俺が今やってることって、なんだ?

 

 

追い詰められて泣きそうになって、それでも必死に足掻いてる女の子に

 

 

甘い声を出して擦り寄って、伸ばされた手を勝手に掴んで

 

 

自分の為に利用しようとする顔を隠して、善人面する

 

 

そんなのまるで…

 

 

 

 

詐欺師じゃないか?

 

 

 

 

はは、最低だな俺。

 

思考がもやつく。言葉がでない。なんて言えばいいのか。あー…身体が若干浮いてるようなそんな感じ。妙に現実感がなく視界が浮つく。涙が出そうでないあの感覚と、頭が少し軽いようなふわふわとした感触。文字を打って返信する指はぎこちなく、今まで笑っていたはずの口が真一文字にきつくしまった。

 

今までやっていたことが犯罪だと知ったみたいだ。そんな思考が頭を巡る。散らかった頭でこれからのことを考えても纏まらない。どうにか目の前のことには対処しようと手を動かす。

 

情けな。たかだか一人の少女に縋らないとなにもできない弱い人間だったのか、俺。

 

打っては消して、打っては消してを繰り返して十分くらい経って、ようやく返信した言葉は

 

(白鷺さんがどう見えているかって、()()の女の子だよ。それに…どうしてほしいって、()()()()()()()()()?困ってる人を助けるのは当然のことだよ)

 

吐き気がしそうな一般論と傲慢が入り混じった文章だった。

 

なにをどうしたら白鷺燐火という異常者を普通の女の子って言えるのか。それに、困っているんでしょって…上から目線だな。自分が打った文章が自分のものとは思えなくて、他人事のように批評した。そこに白鷺燐火への心の奥底で思ってしまった感情が漏れ出ていた。前世の記憶が入ったことで一方的に知ってしまった異常性、でも生きるためには頼らないといけないから。そう言い訳して、利用しようとする心に蓋をして、優しい言葉とおどけた内面で自分まで騙そうとして、滑稽過ぎて笑えてくる。あぁ、ダメだ。明日からどう顔向けすればいい?

 

弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い

 

頭の中で声が響く。はは、俺も多重人格者になったかナ?

 

そうスマホの画面に対しておちゃらけても、どうにもなるはずがない。

 

お前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪い

 

あーア、なルほどネ?彼女ハこういう気分ヲ毎日過ごしテいたのカ。すごイな。

 

お前がそうしたお前がそうしたお前がそうしたお前がそうしたお前がそうさせたお前がそうさせたお前がさせたお前が関わらなければ関わらなければ関わらなければ関わらなければ関わらなければ

 

吐イた唾は飲ミ込めナイ。ナンて先人はヨク言ッタものダね。

 

息が段々荒くなる。視界がブレる。

 

数分経って、返さレた言葉は

 

(そう。答えてくれてありがとう。助けてもらっているのにひどいことを聞いてしまってごめんなさい)

 

こんなことを言ってもらいたくてやってるわけじゃないんだ!謝罪なんかしなくていい!

喉から張り裂けそうな言葉が虚しく息として漏れる。大人しく助けられてろなんて少しでも思ったヤツに謝罪なんてしないでくれ!頭が割れる!自罰心に圧殺される!なんだ!なんだこれ!クソッ!

 

かすかに開いた口から歯がガチガチと鳴る音がする。手が痺れる。手だけじゃない。足も、思考も痺れる。部屋の隅で誰かが笑った気がする。あざけ笑った声がした。きっと…それは幻聴じゃない。

 

頭を振り回してこの感情をどうにかしようとする。うずくまって頭を抱えて、目を思いきり瞑る。こぼれる涙が現実だと伝えている。俺がしたことはなんだ?俺は一体何がしたいんだ?どうして?俺は原作知識なんて持ったんだ?俺は死ぬ運命を受け入れるしかないのか?ないだろ!俺が!こうしたはずだ!勝手に人を巻き込んで、勝手に意味も分からないはずのモノに踊らされていたのは誰だ!俺だろ!苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。けどそれを俺が言っていいはずがないだろ!

 

本当に苦しいのは!!本当に助けてほしいのは!!!俺じゃなくて!!!!白鷺燐火だろうがっ!!!!!

 

一気に膨れ上がった感情が俺を幾分か冷静にさせた。この感情をぶちまけたい衝動にかられ、必死になってモヤがかった頭で文字を打つ。理性と感情がせめぎあって、贖罪と逃避が入り混じって、やっと、やっとのことで、ようやく出た言葉が、ようやくかすみがなくなった視界で収めたスマホの画面には。

 

(大丈夫だよ…なんて言ってもあれだから、もし俺が困ってるそのときは助けてくれると嬉しいかな)

 

俺は嘔吐した。




持病の発作(誰かを曇らせる)が出てしまった。まぁタイトルの半分を回収したということで…。

「曇らせ」のタグを追加しました!曇らせたら当然それをかき消そうと誰かにのめり込んでいくよなァ!?(ヤンデレを準備する男)

いつものですが、感想評価、誤字脱字報告ありがとうございます!祝!お気に入りが1000突破!初めてのことでとてもうれしいです!もっと感想評価クレー!(承認欲求モンスター)

次回は燐火ちゃんの曇りを書いて、お話がスピードアップしていきます。これと次が書きたかったんじゃ…(自給自足で満たされた顔)

自分じゃない自分が人を殺したり警察沙汰を起こして心を痛めその対処に人生を捧げ、自分の人生ってなんの為にあるんだろう?と枯れた涙の痕が張り付く顔でポツンといいながら、それでも足掻くしかなかった女の子

VS

原作知識をインストールされたせいで、自分は未来を知っていて、改変することが出来る!と思い、現実を直視せず、自分の命の為に幾人かの人生を棒に振るような行動をしていたことに、笑っておどけて蓋をしていたことに気付いて、絶望する男の子

ファイ!!!!

1.5章のシチュエーション

  • 嘘つき少女と人の痛みに共感できる男子()
  • 幸せをかみしめている少年と愛されたい少女
  • 幸福の価値が分からない女と不幸体質の男
  • 天才と天才女になり切れなかった凡才男
  • 自分に価値を見出せない男とまぶしすぎる女
  • 忘れた少年、忘れたかった少女
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