やっぱり…思った通り!
「チッ、逃げんなゴキブリ!!」
「無駄無駄、そんな攻撃…何回やっても同じだよ」
五条悟は魂を知覚していない…!!
高専忌庫の前で五条悟は未だ真人と戦っていた。
否、戦うと言える程にそれは公平ではない。五条悟が一方的に真人を殺して解して並べて揃えて晒して刻んで炒めて千切って潰して引き伸ばして刺して抉って剥がして断じて刳り貫いて壊して歪めて縊って曲げて転がして沈めて縛って喰らって辱しめて、自身にできる全てをもって蹂躙していた。
しかし、それでは真人は祓えない。
真人の術式【無為転変】は自身と自身が触れた対象の魂を変化させる。故に魂を肉体の上位に置く真人にとって、肉体の欠損はなんら意味を為さない。
驚くべき事に、真人は既に2分間もの間五条悟から命を狙われながらも生存していた。
(今は増援を警戒してか使ってこないが…そろそろ拙いな、流石に領域を使われちゃどうしようもない)
しかし、当然ながら追い込まれているのは真人である。
五条悟には魂に攻撃出来ずとも此方を戦闘不能にする術が…領域展開【無量空処】がある。
真人が恐れるべきは、その一点のみ。
更に言えば自身も領域展開を習得している真人は逃げる事のみを考えるならば五条悟に領域を使わせたとしても逃げ切る算段があった。
しかし、真人は理解していなかった
否、理解していた。これまでの戦闘で文字通り骨身に染みて理解していた…
それでも、真人は理解していなかった
現代呪術界の頂点を───最強、五条悟を
「面倒臭ぇな…」
五条はぼそっと呟くと掛けていたサングラスを握り潰す。
その下には、丁寧に研磨された宝石を思わせる蠱惑的な瞳
名を六眼、全てを見通す因果の一つ。
「位相、波羅蜜、光の柱」
五条がこの日初めて紡ぐ、無下限呪術に定められた呪詞の詠唱。
現代最強が放つ、渾身の一撃。
「術式反転【赫】」
五条の指先から放たれた無限の発散は抵抗なく真人の腹部とその後ろの山肌を大きく削り取った。
「どんなに強力な一撃だろうと…」
真人の腹部が瞬く間に、逆再生のように復元される。
「魂に響かないオマエの攻撃は無意味なんだって──」
先程までの焼き直し、真人にとって肉体の欠損はなんら意味を為さない。
肉体『の』欠損は
「……あれ?」
ごぼっ、と真人の口から血が溢れる。
五条はそれを視認すると同時に駆けた。
(まさか…まさか…っ!!コイツ、六眼を──俺の術式を通して、知覚したとでも言うのか…ッ!?魂の──輪郭を!)
五条悟を知る者は皆こう囁く───【天災】五条悟。
気安く振るうその一撃が、並の人間の全身全霊
凡人がその生涯をかけて辿り着く境地に遊び半分で手が届く
故に天才、それ故の天災
同じ生物であると認める事が、自身の不出来を認める事に等しい程の才能
五条悟の拳は、黒い火花を伴い呪霊の四肢を吹き飛ばした。
「………で?てめえは誰だよ」
五条の前に、四肢を…交差した四本の腕を吹き飛ばされた
『
『
呪霊は誰何の問いに答えず、呪力を巡らせ腕を直す。
(………面倒だな、コイツ)
五条は苛立ちで更に眼を鋭くする。
(六眼でも術式が視えない…まず間違いなく呪具か何かで隠蔽してやがる
それに、感じる威圧感と呪力もチグハグだ…呪力操作が相当巧い
つまりこの呪霊は目の前のツギハギや傑が言ってた火山頭より──ずっと長く存在してる可能性が高い)
『恐ろしい…恐ろしいぞ、五条悟
「怖えなら目でも瞑ったらどうだ?
気付かねぇくらい一瞬で祓ってやるよ」
五条の安い挑発にも蝗骸は取り合わず…スッと手を上げる。
『合わせろ…領域展開』
「あ゛!?」
それは、五条をして想定外の行動。
呪霊の領域展開、それは現代最強との正面対決を意味していた。
「チッ…領域展開──無量空処」
必中必殺の領域を持つ真人の情報を受け取っていた五条は迷わず自身の領域を展開する。
異なる生得領域によって構成される二つの領域、その外殻が接触する──それよりも速く
『領域展開──自閉円頓裹』
真人の領域が展開された。
蝗骸の狙い、それは──三つの領域による、必中効果の争奪戦。
二者間のソレと比べ遥かに難度の増す三者間での領域合戦、更には三つ巴では無く2体1…如何なる天才と言えど、確実に始末し得る程の圧倒的不利条件。
「驚いたよ…マジで」
しかしそれは、相手が───ただの天才であった場合である。
「この程度で俺に勝てると思ってる、ちっちぇ脳味噌にな」
五条悟の領域展開から僅か4秒…蝗骸と真人の領域が、破壊されようとしていた。
『己の生得領域を呪力という絵の具で現実に描き出す…それが領域展開
そうだとするならば、領域外殻はさしずめカンバスと言ったところか
恐ろしい男よ…三者間の領域展開、吹き荒れる嵐の前でカンバスに砂絵を描くが如き御業』
蝗骸の顔には、未だ…恐怖も焦りも無い。
全てが…想定通りである為に。
『恐ろしい…故に、備えるのだ
五条悟、
五条悟、其方人等は知れぬだろうよ…あまりにも強くあるが為に───弱者の狩りを、其方人等はまるでわかっておらん』
『領域展開』
構築される、
蝗骸の狙いは最初から───
『遅いぞ、
『おやぁ?貴方が手間取っているから手を貸しているというのに随分な物言いではありませんか?』
──四者間での領域合戦
「……………クソッ」
硬質なガラスが砕けるような音と共に、全員の領域が破壊される。
『三者間ですら神業と言う他ない…だからこそ、其方人等ならば出来るであろう
だが───四者間、描くカンバスすら無ければ仕様があるまいよ』
領域展開直後は、脳の術式に関係する部分が焼き切れ生得術式の使用が困難となる。
それは、例え五条悟と言えど──例外ではない。
「領域も術式も無し…で、小細工は終いか?」
しかし、しかしながら……領域の無駄打ちによる術式の制限──それを小細工と斬って捨てるだけの実力差が両者にはある。
『まさか!これからが本番ですとも』
『そういう事だ』
朧絶の声に反応し、のっぺらぼうのような呪霊が四方へ駆ける。
それに合わせ、蝗骸の身体からけたたましい騒音と共に黒い波が──飛蝗の群れが飛び立つ。
「……は?」
『此方人等の式神…等級にして1級以下であれば触れるだけで死は免れまい』
『此方も選りすぐりの術式を持って来ましたとも!
そちらの等級で言うならば放った8体の全てが1級!さぁ、速く追わねば…大事な
空を黒く覆う程の飛蝗の群れ、その一匹一匹が…必死の威力を持つ純粋なる呪力の爆弾。
術式が焼き切れようと、六眼が二人の言葉に嘘は無いと伝える。
一瞬、刹那の逡巡──
五条悟、生まれて初めての敵前逃亡
「お前…
『そうか、それは恐ろしい…なるべく早く忘れてくれ』
ダンッ、と地面に罅割れを作りながら飛び上がる五条。
『………ふぅ、帰るぞ真人、朧絶』
『ハーイ!あんがとね、蝗骸!!』
蝗骸はそれを見る事もなく背後の二人を連れ、帰路に…
『待ってください、蝗骸
五条悟は今術式の使用が不可能…つまり、厄介な無下限のバリアとやらも無いのでしょう?
ならば……ここで狩ってしまいましょう!
先程も言いましたが選りすぐりの術式を連れて来ています、如何に五条悟と言えどアレ等を倒すとなればかなりの消耗を…』
『朧絶、五百放った此方人等の式神がもう百を切った…帰るぞ』
五条悟が去った事で蛇口が壊れたかのように噴き出す汗を振り払いながら蝗骸は二人の腕を引く。
『ば、馬鹿な…私の作品が……全滅……ッ!?』
『やーい!怒られてやんの〜』
放った呪霊の全てが祓われた事を知覚し、震える朧絶をせせら笑う真人。
その手には、高専忌庫より奪い盗った呪物が。
『フ、フフ…今は、今は敗れておきましょうとも!
ですが…次はこうはいきませんよ!!』
決意を新たに燃える朧絶を無視して二人は飛ぶように駆ける。
その数十秒後、砲弾のように三人が居た場へ五条悟が着地する。
あまりの衝撃にクレーターができるも気にかけず辺りを見渡し、舌打ちを一つ。
「足の早い…ゴキブリが!」
現代最強の呪術師は高専敷地内に放たれた五百体の式神と八体の1級呪霊を
領域崩壊後僅か82秒で鏖殺!!
真人
死にかけたが、五条の領域という最高峰の手本を間近で見た事で自身の領域を更に洗練した。
朧絶
大人気スマホアプリ【呪術廻戦ファントムパレード】に登場するので誰?となった兄貴はプレイしよう
術式名【
他者の術式を奪い他者に分与する術式。
蝗骸
この後花御が美味しくいただかれた事を知り号泣することになる
術式名【
使役する飛蝗の式神に付与されている。
五条悟
原作より明らかに強化されている天災
そら切磋琢磨できる親友がいるならそうなる
外面担当(夏油)が居る為、原作よりも短気で粗暴。