幻想楽迷郷 ~A hedonist lost in a Gensokyo~   作:ソラセカン

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穢月(えげつ)・承

 

それにしても…やけに澄みきった空気だな。

 

あぁ…幻想郷の様に自然溢れる気配ではない、無機質で虚無感を感じる景観だ。

 

俺達がこの手で…違う違う違う。

 

何で侵略者みたいな思想になってんだ。

 

俺もびっくらこいたぜ。ははっ。

 

………震えが止まらねぇな、器さんよ?

 

可笑しな話だよ本当に。喧嘩吹っ掛けてるのはこっち側だっていうのにさ。

 

被害者みてぇな面しやがって。思い出せよ高揚感を。

 

高揚感…あれ?どんな感覚だったっけかなぁ?

 

ラリッてる暇はねぇぞ?馬鹿みてぇなスピードで綿月姉妹は近付いて来ているんだからな。月のギリギリ端っこで助かったぜ。

 

もう良い。震えたままで闘おう。力をくれ。

 

出来ればエンジンが暖まった状態でやり合いたかったが…プレッシャーに弱いのは変えられなかったか?

 

俺は弱いよ。だけど諦めないから強いんだ。矛盾だけどな。

 

聞き流しでも構わないよな?お前のメンタルケアしてる余裕は無いぜ。

 

あぁ。自己補完してる。…見えた。

 

魂体の俺が右側の依姫を相手する。剣士だしな。凶悪扇子ウーマンは任せたぜ?

 

一撃、一撃だ。それで終いにしてやるよ。姉妹だけになァァァ!!!!!

 

ヤケクソモードはオススメしないぜ。そのヤケクソギャグは好きだけど。

 

 

 

依姫「何よもう。戦闘態勢入られてるじゃない」

 

豊姫「うわすっごい殺気。これ私に向いてない?」

 

依姫「頑張ってねお姉様」

 

豊姫「そんなぁ~」

 

牡丹「全力フルパワータイプ・ES(イド)!!!」ギュアン

 

依姫「不味いッ!」

 

空「あんたの相手は俺だ。魂人拳」

 

依姫「貴方ね?穢れの塊は」

 

空「ご明察。ほんの腕試しに地獄の底からやってきた。お相手願おう」

 

依姫「見たところ若造も良いところね。どこで調子に乗ってしまったのかしら」

 

空「さぁな。この世界に産み落とされた時からかもしれない」

 

依姫「傲慢…伊豆能売よ。私に代わって穢れを祓え!」

 

空「どんな攻撃も当たらなければ意味が無いのは知ってるだろ?せめて韋駄天を降ろしてから闘って欲しいな」

 

牡丹「っしゃオラァ!」バァン!

 

豊姫「扇子が…!」

 

牡丹「あんたの攻撃手段をそれ以外に知らないんでな。全力でぶっ壊させて貰ったぜ」

 

豊姫「妥当な判断ね。でもこっちの貴方は人間でしょ?こうしたら…生きていられるのかしら」

 

牡丹「!」

 

 

パッ

 

 

あーこりゃアレだ。詰んだ…のか?恐らく裏の月から表の月に移動させられた。もう一人の俺も豊姫も依姫も、姿形さえ見えない。認知出来ない。息も、出来ない。…くそったれが。

いや、待てよ…?表と裏、表があるから裏がある…ならば!

賭けるしかねぇ!

 

 

 

 

 

依姫「ふっ…」

 

空「マジかよ…」

 

依姫「後は貴方一人ね。勝ち筋も無いわ」

 

空「そいつはどうかな?まだ俺が死んでねぇよ!もう出し惜しみは無しだ。凝霊、凝妖、凝魔、凝魂…予め凝縮済みだ」

 

依姫「多種多様ね。私には劣るけど」

 

空「抜かしてろ。フルフォース・エクスプロージョン」

 

依姫「んー何が良いかしら。いや、降ろすまでも無いわね」

 

空「(斬られる…真っ直ぐ撃っても逸らされちまう…!)」

 

豊姫「念のため、死体確認はしてこようかしら…」

 

 

パッ

 

 

 

意識を強く保て…!俺は勝ちに来たんだ!まだ足りない…!凝縮を続けろ!

 

 

豊姫「驚いた…」

 

牡丹「!?」

 

豊姫「そういう魂胆ね。でも残念。用心深い私に消される運命にあるわ」

 

牡丹「(どうする…まだ勝てない!酸素を無駄遣いする訳にもいかない…)」

 

豊姫「八意様からの伝言もあったから、貴方達のおおよその目的は把握しているつもりよ。その有り様がただの人間である貴方の限界。諦めて降参しなさい。そうすれば無事に送り返してあげるわ」

 

牡丹「嫌だ」

 

豊姫「そう。ならそのままくたばることね。あ、でもそのエネルギーは少し厄介ね…」

 

 

パッ

 

 

牡丹「くっ…!?はぁっ…はぁっ、はぁっ!」

 

豊姫「依姫!」

 

依姫「そっちが先ね」バッ

 

空「何ッ!?」

 

牡丹「畜生ォ!」

 

依姫「これでお仕舞い」ヒュッ

 

空「間に合えェェェ!!!」ピッ

 

 

 

牡丹「紙一重…ここに極まったか?」

 

空「光速なんざ越えてやる…」

 

依姫「少し手加減が過ぎたかしら」

 

牡丹「感謝するぜ…その慢心によ…!」

 

豊姫「依姫!」

 

依姫「分かってるわお姉様。貴方達はもう生きて帰れない」

 

空「アイツの戯れ言に耳を貸すな。集中しろ」

 

牡丹「あぁ…震えも武者震いに変わっちまったよ!」

 

依姫「…お姉様は下がってて」

 

豊姫「はいはい。任せるわ」

 

牡丹「実質2対1…か」

 

空「油断は無い、焦りも無い、有るのは勝ちへの執念のみ」

 

依姫「神の力に挑む愚か者共よ。己の弱さを知り、分を弁えるが良い!」

 

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