幻想楽迷郷 ~A hedonist lost in a Gensokyo~ 作:ソラセカン
牡丹「紺珠の薬?」
永琳「そう。失敗する未来を見通して、成功するまでやり直せる薬よ」
空「でも副作用で穢れもとい俺消えるやん」
永琳「なーんで知ってるのかしら…で、使うの?使わないの?」
牡丹「魅力的な薬だけどなー…力の一つでも削ったら、永遠に帰ってこれない気がして」
永琳「賢明ね。忘れて良いわ」
空「ハメようとしてました?」
永琳「どうかしら?」
牡丹「性格悪っ」
永琳「おはよう。身体の調子はどう?」
牡丹「万全です。ついでに身体の関節の歪みとか、調整してくれたっぽいですね。凄い良い感じだ」
永琳「魂無しで動く人間ねぇ…」
牡丹「ある意味、幻想からかけ離れた存在って事でしょうか」
永琳「魂の存在自体が幻想?貴方が一番抱きにくい考えだと思ってたわ」
牡丹「言えてる。…永琳先生」
永琳「何かしら」
牡丹「紺珠の薬、戴けませんか?」
牡丹「さぁて。どう立ち回ろうか…」
『無駄だな。質も、数も。比べるまでも無いだろ』
牡丹「意図的に質を下げてるのは伝わってんだよ」
『何だと?』
牡丹「まぁ良いや。完全無欠モード
牡丹「その穢れの塊一つ一つは妖精そのものレベルなんだよ。弾幕一発で葬れる程度のな。ボムを使うまでもねぇ!」
『チッ…少し時間が足りなかったか』
牡丹「少し?この程度のゴミを量産したところで、どうというこたぁ無いだろうよ」
『無駄口を叩く暇があるようだな。easyモードで意気がっていると、この先を進めなくなるぞ』
牡丹「だったら寄越してみろよ!Lunaticのその先を!」
パリパリッ
牡丹「…全部寄越したか」
『全力で遊んでやる。Nightmareを味わえ』
牡丹「器として…お前を越える」
アイツの全てを俺に集中させた。月の穢れはここに収束したんだ。後は自分との闘い、か。俺の執念は勿論アイツも持ってる。殺しても死なないし、滅びないだろう。だがそれは今の俺も同じこと。何度でもやり直して必ず俺のモノにする。
何度でも…
何度でも…
何度でも…!
可笑しい。いくら何でも巧すぎる。まるで何もかもを視てきたみたいに…あぁ…紺珠の薬だったか。俺と相反する存在になろうってか?馬鹿馬鹿しい。そろそろ殺そう。塵も残さずにな。
牡丹「はぁ…はぁ…」
『自分が死に続ける未来を見続ける気分はどうだ?まさに悪夢だろ?』
牡丹「慣れてしまえばどうってことねぇよ!次の手を考え続ける。人は考え続ける生き物だ!」
『こっちも忙しいんだ!不可能弾幕だろうが文句は言わせねぇ!』
牡丹「道が無ければ作るだけだ!」
かつて人類が夢を抱いた月面にて、殺伐とした遊戯を続けた。
油断も隙もない狂気の悪夢は何日にも及び、折角収束した穢れも、いつの間にか月を覆っていた。これにより月に寿命が訪れる。
ある者は己の力不足を悔やみ、ある者は油断が招いた結末だと現状を受け入れ、絶望を知る。
月の賢者達はこれ以上月にいることは出来ないと判断し、移住を計画する。
移住先は月人以外知ることは叶わなかった。あの八雲紫も能力の効果範囲が届かない惑星に向かったらしい。
穢れだらけの戦場と化した月で、実に7日目の闘いが幕を開けていた。
牡丹「くっ…!」
『見つけたぞ!』
牡丹「人がまだ飯食ってる途中でしょうが!」パァン
月人達は幸いな事に食料を置いていったみたいだが…まさかこんな持久戦になるとは思わなかったな。ただ確実にアイツの精神力は削れてる。穢れの塊の量産が出来なくなってるのがその証拠だ。
勝つまで闘う。それが俺の執念だから。
改めて現状を把握するなら、満月を過ぎた月に紫さんサポートは来れない。今頃月が手に入るとウキウキしているのだろうが、だったら何かしらの手助けが来るはず。それが来ないという事は手助けは出来ないのだろう。またロケットでも作るのかと言われるとそれも微妙な気がする。だって俺の月攻めに納得いってない楽園の巫女が要だから。さてと、どーしたもんか。
『こそこそと逃げ回りやがって。勝つのを諦めたのか!?』
牡丹「んな訳ねぇだろうが!どう考えても戦略的撤退じゃボケ!」
『今日で終わらせる。そして全ての惑星を支配する』
牡丹「いつまでそんなつまらねぇ思想持つつもりだよてめぇは!」
『目的を達成するまで底無しの執念で立ち上がり、歩みを続けるのは貴様も同じことだろう!ならば分かる筈だ。どう足掻いても私を止める事は出来ないという事実が!』
牡丹「分からねぇなぁまだまだまだまだ決着がついてないんだからよぉ!」
『いい加減に滅びろ!』
牡丹「絶ッッッッッッッッ対に滅びないから安心しろ。ぶっ飛ばしてやる」
斯くして戦況は拮抗し、イレギュラーを待ちわびる日々が続く。
牡丹の身体は穢れの薄い強靭な月人へと作り変わり、空ですら無くなった穢れの塊は、辛うじて残っていた記憶の残穢…そこから着想を得て変化を続けた。そして、
次の満月の時が来た。