幻想楽迷郷 ~A hedonist lost in a Gensokyo~ 作:ソラセカン
あれから数十年…まさか私がこんな表現を使うことになるとは、思ってもいなかったな。
時の流れは早い。人間は脆い。分かっていた事実だ。だから特に思うことはない筈だ。ない筈だ。
私は単純に欲しいものに手を伸ばし続けて、今や伸ばせなくなった。伸び代が終わってしまった。…そう言い聞かせた。
どうしてこうなってしまったのだろう。挽回したい、させてくれ。寂しいよ。
私こそ、いつの間にか目的と手段を履き違えていたのだろう。魂は私の写し鏡。もっと良く観察しておいて損は無かった。
私はロマンを求めていた、のに。ロマンの中に何が足りなかったのだろうか。何故私はここまで満たされない?いや、満たされなくて良い。それが成長に繋がるから。でも苦しい。悲しい。求めるままにひた走っているのに、どうしてここまで苦しいのか。嫌になる。嫌だ。
こんなしょうもない事を、もう何年も引き摺っている。やはり穢れか?穢れが足りないのだろうか?月にずっと独りで引きこもっていては、そうもなるだろうな。その点フランドールは頑丈なんだな。いや、穢れで溢れた所だからだろうか。
会いたいのに、会いたくない。私は穢れが無ければ行動さえ出来ないのか。所詮その程度の奴だったのだ。最初から。
………死にたい。
紫「霊夢達が亡くなってから、本当に何の異変も無くなったわね」
藍「管理が楽で良いんですけど…紫様的にはどうなんですか?」
紫「刺激が何も無いのはねぇ…友人と酒を飲んで、結界の管理して、寝て…ちょっと物足りないわ」
藍「そういえば…最近河童が何やらとんでもないものを発明したとか」
紫「とんでもないもの?」
藍「はい。なんでも『過去と未来を往き来出来る浪漫装置』だとか」
紫「…まさか、あのタイムマシンを完成させたというの!?」
藍「ご存知でしたか」
紫「えぇ。数十年前に、彼の動向をチェックしていた時にね」
藍「彼…あぁ」
紫「皮肉なものね。河童の言った通り、本来の人間の寿命内には間に合わなかった」
藍「しかし彼は今…」
紫「そうね。色々と間は悪かったわ。それでも凄いことだけど」
藍「折角ですから見に行きません?」
紫「随分と積極的ね。本当は藍も刺激を求めてたんじゃないの?」
藍「そのようです…橙はどうしますか?」
紫「総出で行ってもねぇ。橙が悪戯しようものなら面倒だし」
藍「それは面倒なんですね」
紫「結果が分かりきった日常茶飯事はいずれ、面倒事になるのよ」
藍「なるほど…では行きましょうか」
紫「彼の残した爪痕が、ようやく日の目を浴びるのね」
にとり「オイオイ困るなぁ。勝手に入ってきちゃあ」
紫「最近平和ボケが進行しているから、少しでも抑止力になれたらと思ってね」
にとり「そんな施し要らないよ。それで、あんた達もこのタイムマシンに興味がおありで?」
藍「そういうことだ。そのタイムマシンを私達に試運転させて貰えないだろうか?」
にとり「生憎もうタイムマシンのテスターは決まっているんだ。今更変更は受け付けないよ。まだ生きているんだろう?」
紫「…生きてはいるわ」
にとり「だったら連れてきてくれ。あの時の情熱を、思い出させてやる」
藍「どうしますか?紫様」
紫「連れてくるしかないわ…本来面倒なんだけど、少し面白くなってきたの」
満月の月にて
紫「ごきげんよう。調子はどうかしら?」
牡丹「…調子もクソも無いですよ」
紫「前よりも穢れが薄くなってるわ。亡霊にでもなるつもり?」
牡丹「亡霊になれば、少しは楽しくなれるんでしょうか」
紫「どうかしら。私の友人は楽しそうだけど」
牡丹「個人差でしょう。俺には出来ない。分かりきった事聞いてすみません。それで、今回は何の要件が?前回で呆れられて見捨てられたと思ってましたが」
紫「実際見捨てたんだけど河童がタイムマシンを完成させたから、そのテスターとして志願していた貴方を呼び戻しに来たのよ」
牡丹「テスター変更すれば良いじゃないですか。タイムマシン、魅力的ですけど私はもう駄目です」
紫「河童は貴方以外に任せる気は無さそうよ」
牡丹「そうですか。なら諦めてください」
紫「貴方が嫌いな言葉ランキング1位ね」
牡丹「一周回って好きになることもありますよ」
紫「好きになった訳?」
牡丹「大嫌いです」
紫「安心したわ。行きましょう」
牡丹「嫌です。このままくたばりたい」
紫「寿命を削るならこんな所より、穢れに満ちた幻想郷をオススメするわ」
牡丹「それでも、嫌です」
紫「このままだと貴方から寿命という概念が消えるわよ」
牡丹「自害も良いですね」
紫「出来るの?輪廻転生も出来なくなった今の貴方に」
牡丹「運ばれる筈の魂は消滅し、残るは朽ちて消滅する肉体のみ。いっそ消えて無くなれば何かが掴めるかもしれない」
紫「口先だけの虚勢はいい加減にしなさい。私では無理ね。頼んだわ」
にとり「やぁ盟友!調子はどう?」
紫「それはもう私が聞いたわ」
にとり「それは失敬。…タイムマシンに乗ってくれ」
牡丹「…」
にとり「私は無視か?それとも気まずい?盟友なら当然後者だろうなぁ」
牡丹「…はい」
にとり「そんなに気負うなよ盟友。私はあの言葉がグッと来たから、ここまでひた走ったんだ」
牡丹「ありがとうございます。お疲れ様でした」
にとり「私が聞きたいのはその言葉じゃない。乗ってくれと言ったんだ。その回答は二つに一つだと思うがね」
牡丹「乗りません。私はここで息絶えます」
にとり「あのねぇ…!あの時の情熱を思い出してくれよ!正真正銘あの言葉は心から出たものだろう?」
牡丹「そうですね。でも穢れに溢れた俺だから出た言葉であり、穢れの力を失った今の私には何もありません」
にとり「つまり穢れを取り戻せれば良いと」
牡丹「かも、しれませんね。取り戻す気力もありませんが」
紫「私の人脈、いや妖脈総動員よ!」
???「こんばんは。調子はどうですか?」
牡丹「いい加減に…ハッ…なるほど。流石だよ」
さとり「『東方ProjectSTGの東方地霊殿から参戦古明地さとり。又の名を11点の女。能力は心を読む程度の能力というテンプレかつ強力な能力の為、心理戦を仕掛ける必要は無い。なので電撃速攻で仕留める事が手っ取り早い』…初対面でここまで対策を考えられたのは初めてですね。常に何かに怯えているのでしょうか?生まれつき?そうでしたか。あぁ、そうですね。会話いらずと言われる事も…それも知ってる?貴方の考えているゲームが一つの世界そのものなのでしょうか。おっと話がズレましたね。貴方の悩みを教えて下さい。それさえ分かれば…………………………………………お、おぅふ。結構病んでますね」
にとり「盟友病んでたのか」
紫「えっ…」