幻想楽迷郷 ~A hedonist lost in a Gensokyo~ 作:ソラセカン
楽観的思考と平穏
あの日から、アイツによれば俺の運命が変わったらしい。
俺に記憶の引き継ぎはしないのか?と聞いたが、曰く俺の頭がオーバーヒートしてボンバーしてドッカーンしてしまうから引き継ぎは行えないとのこと。
しかし月人と闘ってみたかった気持ちも事実。分かっていた。俺は負けたのだと。勝っていたらわざわざ過去に戻ってまでやり直そうとはしないだろう。
『チルチルとミチルが庭を眺めたときに、幸せの青い鳥を見つけたのと同じだよ』と言われてしまい、納得せざるをえなかった。俺は本当に何がしたかったんだろう。イベントを次から次へと消費して、そこにある人の思いを全て踏みにじってきていた、らしい。確かに害悪極まりない。
それでも、それを覚悟してまでやったんじゃないのか?…買い被り過ぎだろうか。後悔する人間の思考を、いつの間にか忘れてしまっていただけなのかもしれない。
困惑と分析が続く日々だ。何故…?故に…これも良いかと思い直す。俺は楽観的思考が得意な快楽主義者だ。いや、享楽主義者かもしれないな。いつかで良い。今ある居場所を守り抜きながら、好奇心に駆られて動けば良い。強欲で無ければ人に変化は訪れない。まだまだこんなものではないと、願いの様な希望を抱きながら今日も眠りにつく…
牡丹「…眠れねぇな」
こっそりと神社の戸を開けて外の空気を吸ってみる。…美味い。味はしないけど。味気の無い人生は嫌だな…あ。
ビッ
対象を確認。捕捉?殺害?…悦楽に基づく殺害を決行。
ザシュッ
牡丹「ふひひひっ……はぁ。つい八つ当たりをしてしまった」
目的を見失った気がする。さっき希望を抱いたばかりだと言うのに。俺の心は空っぽなんだ。生きているだけで良いとか、100点だとか、そんな言葉はあるけど。それで満足なのか?やりたいことも出来ずに生き長らえる事が人生のベストか?違う、認めない。良い悪い100点0点の話をしたい訳じゃ無い。出来るか出来ないか、やりたいかやりたくないかで生きたいんだ。情緒がイカれてく感覚がある。短スパンで躁鬱を繰り返す感覚、どことなく心地よくも感じるその感覚が、俺を目的へと導いてくれるから。目的の無い今の俺には過ぎた力となるが。
夜空を見上げてみる。澄んだ空だ。こちらの空は濁りに濁りきって暗雲が立ち込めているというのに。自然と涙が出てきた。空を見上げて涙が出るのはメンタルがやられていると、どこかで聞いた事がある。それと同時に世界の素晴らしさとか美しさを実感するんだけどな…
牡丹「この妖怪どうしよっか。燃やそ」
夜空をバックに焚き火をやっている気分だ。妖怪にここまでの可燃性があるとは思いもしなかったが。このまま野宿してしまおうか。親切な妖獣さんが食い散らかしてくれるかもしれない。やめよ。
終わりそうに無い…アイツは月でこんな作業を1ヶ月位やってたのだから正気の沙汰とは思えん。能力を取り戻さない事にはどうにもならんしな…うー疲れた。パズルは得意な方なんだけど一体こりゃ何ピースあるんだ?こんなの作り上げても衛星写真でないと何か見当もつかないだろ。絵柄があるわけでもないし苦行だわ~。
牡丹「知らない天井…が無い?」
空「見上げてるのは青天井だ。どこで寝てんだ」
牡丹「ギリギリ神社境内?」
空「夢遊病にでもなったか」
牡丹「失敬な。自分の意思だ」
空「最悪じゃねぇか」
…ラーー!?ドコー!
空「お前を探す様に言われてたんだ。行くぞ」
牡丹「うい~」
霊夢「任せて正解だったわ。ったく私はアンタの保護者じゃないんだからやめてよね」
牡丹「楽園の居候ですから」
霊夢「嫌な二つ名」
こんな何気ない日々も、もうすぐ終わる。