幻想楽迷郷 ~A hedonist lost in a Gensokyo~ 作:ソラセカン
今遠くで何か光ったか?
「お楽しみはまだ掛かるみたいだな」
依姫「調子に乗っていられるのも今のうちだ。貴様に退路など無い」
「無いから作ってここまで戻ってきたんだ。あの
依姫「例え貴様が箱庭に気に入られていようとも、ここは月だ。その加護がここに届くことは無い」
「あー…ここを第2の幻想郷にして欲しいのかな…」
依姫「…先程から何かを思い出すかの様に語るな。だから私の言葉に応える訳でもなく、思考のみ垂れ流している」
「どうせ何言ったって結末は変わらんさ。だったら、その結末の後の事について考える方が利口だろ?」
依姫「どこまで我等を愚弄する気だ…!」
「どこまでも」
もう十分だろう。これ以上は月のプライドを傷付け、余計な手段を取らせるかもしれない。でも…
「試したくなるのが人の性。お前らの本気をぶっ壊してやる」
依姫「たかが穢れた大地の人間が!」
豊姫「下がりなさい。依姫」
依姫「お姉、様?」
「準備完了か。月の本気を受け止めるのはある意味、恩返しになるかもな」
豊姫「貴方を生かしておく訳にはいかないの。これで消えなさい」
身体が一瞬にして光に包まれる。身体のあらゆる部分が分解されていく感覚を、わざわざ味わってみる。亜光速で感覚を引き伸ばさない限り、味わうことは出来なかっただろう。
これが成果か。求めていた形では無かったが、結果だけを優先すればこうもなる。俺の壮大な復讐劇は期待外れのお遊戯会で幕を閉じるのだ。
ビッ 「中々楽しめたぜ。もう俺の気は済んだ。幻想郷が望んだらまた来る事になるかもな。それじゃ」
「私を呼び出しといて、それはあんまりじゃないのん?」
「はっ?」
予想外。 予定外。 想定外。
期待なんてしてなかった存在に背後を取られて思考放棄する秒数。
命取り。
死ぬ。
絞り出せ、言語。
「初めまして。ヘカーティアさん。月人嫌いのあなたがどうしてここに?」
ヘカーティア「嫌いな奴等って無駄に視界に入るのよね。そしたら嫌いな奴等がボコボコにやられていて、彼女らが相手にならない実力。私が出向くのには十分な理由だと思うわよん」
「何故今回に限って来たんだ…一度ここで俺が暴れた事はご存じで?」
ヘカーティア「そんな事あったかしら」
「…そうですか。折角出向いてくれたんだ。暇潰しに勝負なんてどうです?」
ヘカーティア「最近はここまで来る人なんて居なかったから、退屈してた所なの。どこからでもかかってきなさいな」
「よし…依姫、穢れ返してくれるか?」
依姫「貴様、この力でここを戦場に選ぶつもりなら、返す訳にはいかないだろう」
「お前を殺せば力が戻ると良いんだがな」
依姫「…下賤な脅しは止めろ」
ヘカーティア「私が勝ったら貴方には月の都を滅ぼして貰うわん。貴方が勝てればそうね…勝ってから考えなさい」
「依姫。どちらにせよお前達に後は無いみたいだ。俺が勝つ為にお前が死ぬか、戦いにならず負けて仕方なく月の都が滅びるのをその目で眺めるか。選べ」
依姫「貴様といえど、神そのものに勝てると本気で思っているのか?」
「勝てると思わずに戦って勝てる相手じゃねぇから言ってんだよ。最終警告だ。返せ」
依姫「…分かった」
「命は大事にしろよ。脅して悪かった。絶対に勝ちますから』
ヘカーティア「長続きする脅しのやり方ね。聞き分けの無い子の扱いを心得ているのかしらん?」
『あまりにも都合の良い掩護射撃のお陰でしょう?欲望には真っ直ぐに。誠実に踏み締める』
ヘカーティア「良い心掛け。魅せてみなさい」
『
ヘカーティア「あら。霊夢から直々に指導でも受けたのかしらん?妖怪には有効だけどこの技は…」
・爆』
ヘカーティア「…物騒なものに仕上げているようね」
『まだ俺は格上を求めている。殺す気じゃなければ勝てない程の実力差を』
ヘカーティア「こんな爆弾を入れてしまったの?幻想郷は」
『遠慮なんて考えずに、力を振り回したい』
ヘカーティア「限りなく力に振り回されている考え方。でもその矛先はしっかりと私に向けられている…怖いわねん」
『その存在をブン殴ってやる。ヘカァティア!』
ヘカーティア「その真っ直ぐ過ぎる欲望が叶えば、次はどこに矛を向けるつもり?」
ただ手を振りかざしただけ。弾幕ですらない所作に俺の突進は弾かれる。
『破界王拳…焼石だったか』
ヘカーティア「触れればたちまち蒸発してしまうか弱い命。本能は勘づいている」
『本能も魂に則って、戦う事に全ての意識を割いているのさ。生きてさえいれば何度だって抗える』
痩せ我慢で良い。素面じゃなくても良い。ここで引かなければそれで良い。
ヘカーティア「こんなに好戦的な人間、本当に久し振り。そっちの世界じゃ、さほど時間は経っていないのかもしれないけど」
『時間の流れが違う場所に住んでるのか?月にもそんな場所があるんだな』
ヘカーティア「自分で見つけると良いわ。貴方の知る世界の仕組みとは、随分形が変わってしまっているからねん」
『謎が謎を呼んでどんどんややこしい事になったな。
ヘカーティア「物凄く圧縮した空気圧って所かしら。周りに何もない月じゃ、その真価を発揮出来ないと思うわよん」
『戦場を移すだけの道具にはもってこいだと思うぜ』 ブンッ
ヘカーティア「…結構な圧力ね。火星辺りまで飛ばそうって言うのかしら」
『今からでも軌道を変えて、一番分かりやすい太陽でも構わねぇぞ。流石に死ぬだろ』
ヘカーティア「太陽に焼かれたらそりゃあねぇ…貴方にも言える事でしょ?」
『どうかな。
ヘカーティア「こうなっちゃうとねん…だから幻想郷に男の子を入れると華やかさが消え失せるのよ」
『クソデカ弾幕でK.O.よりは芸術点あるでしょ』
ヘカーティア「そういう事でも無くて…あー左肩もう少し引っ張って貰えないかしらん?」
『引っ張って駄目なら捻れ…無いな。差ぁありすぎだろ』
肉体強度も能力も次元が違うらしい。こっちも二段階は次元を越えているというのにこの有り様。マトモに勝たせる気は無いみたいだ。
『残りのあんたは何してんだ?』
ヘカーティア「寝てる…って言ったら傷付けてしまうかしら?」
『もう十分傷付いてる。てか宇宙空間って広いな。火星につくまで何年掛かる勢いだよ』
ヘカーティア「その年数になる前には決着がつきそうね」
『…そうだな。俺の方がもう限界だ。惜しむらくはもっと探れれば良かったぜ』
ヘカーティア「降参かしらん?」
『反撃の狼煙だ』 ビッ
『っぶねー…依姫さん移動しないでもろて』
依姫「突然目の前に現れるな。逃げてきたのか?」
『その隙にヘカーティアの魂でも探そうと思って』
依姫「月の地獄を漁る気か」
『あぁ。どうすれば行ける?』
依姫「いっぺん死ねば良い。覚悟は良いな」
『魂が出てくるだけだぞ。明確な経路が分からなきゃ彷徨うばかりだ』
折角距離を離せたと思ったんだが…想定外の事態じゃ苦し紛れの策しか練れなかった。月の地獄って描写されてねぇもんな。
豊姫「八雲紫にでも頼ったらどう?アレ以外にどうにか出来るヤツなんていないでしょ」
『俺もそれは一瞬考えたけどさ、俺の瞬間移動じゃ地球まで届かないんだよね』
豊姫「私経由で幻想郷に帰ろうとしてる?」
『ご明察』
豊姫「…これ、八雲紫に借りを作ることになりそうね」
『俺に目をつけられたのが運の尽きってやつだ』
豊姫「本当に最悪ね。今日は」 パッ
『本当に最高だぜ。今日も』 パッ