アスターテ会戦における第六艦隊の戦闘

結果的には惨敗としか言いようがないが、戦っていた将兵たちがいました。

とあるエース・パイロットを中心にそれを語ってみたよう。

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曙光に抗った星々

 同盟軍第六艦隊に属する空母ラクシュミの食堂で、軽食を楽しみながらスパルタニアンのパイロットたちが歓談していた。

 

「ヤヌス大尉、敵は第四艦隊と接触し、現在交戦中らしいですよ」

「それって噂話?」

「噂話ではありますが、お偉方が愚痴ってのを小耳に挟んだので、まず事実とは思いますよ」

「そうなの。なら随分と意外な展開ね」

 

 噂話に詳しいアラキ少尉の言葉に、黒いセミロングと同じく黒いメガネが特徴的なヤヌス・ジウ大尉は、片眉をあげてそう言った。

 

 ヤヌスは戦略的な用兵術についてそこまで詳しくはないが、今回の作戦においてアスターテに侵入した帝国軍一個艦隊に対して、第二・第四・第六艦隊の三個艦隊を動員し、三方向から包囲殲滅をするという大まかな概要は理解していた。そして帝国軍がアスターテ星域中に妨害電波発生装置をばら撒いたため、数時間前から敵の正確な位置を特定できなくなっていたことも知っていた。

 

 こうした帝国軍の行動について、第六艦隊のほとんどの者は安全にアスターテ星域から撤退するためにしたことであろうと考えていた。帝国軍の妨害電波は長距離通信・索敵を双方向性的に阻害する類のものであるらしく、同盟軍同士の長距離通信・索敵を妨害することによって包囲陣の完成を遅らせ、その間に逃げるための時間稼ぐものであると。

 

 しかし現実は、帝国軍艦隊は第四艦隊に向かって突進し、これと交戦中にあるという。これはどういう状況か? 常識的に考えれば、第四艦隊と交戦中に両側背から第二・第六艦隊が現れ、帝国軍艦隊は敗滅する以外の未来は存在しないであろう。

 

「どうしてそんな無謀なことをしたのかしら……」

「俺も驚いたが、考えてみれば向こうさんにとっては一番現実的な選択肢を選んだつもりじゃないのか?」

「グラード少佐」

 

 会話に割った入ってきたドニィ・グラード少佐は巨漢のエース・パイロットであり、空戦大隊の隊長で、ヤヌスやアラキの上官にあたる。厳格そうな風格とは裏腹に、気安い性格の持ち主で、部下からは忠誠心というよりは面倒見の良い兄貴分といった趣の親しみを持たれていた。

 

「逆の立場で考えてみなよ。こちらから攻勢のために出撃したというのに、敵軍と一戦交えることなく退くなんてことをしたら、帰還後の本国からどう見られるかね?」

「あー、うちだと議会やマスコミが軍部叩きで大盛り上がり間違い無しっすね。軍部だって、作戦の責任者に詰め腹切らさせようとするかもしんねぇ……」

「そうだ。もっとも、あちらさんだと騒ぎ立てるのは議会やマスコミじゃなくて、騒ぎたてるのは神聖不可侵な皇帝陛下とやらに群がっている宮廷の貴族どもだろうけどな。しかも詰め腹を切らされるってのも、こちらとは違って文字通りの意味になりかねん。だったら敵艦隊のお偉いさんとしては三方向から包囲せんとする我が軍のうち、一方面の艦隊にのみ総力をもって電撃的に痛撃を与え、我々の包囲陣が完成する前に撤収する。これなら撤退しても体面というものが立つだろうさ」

「それなら今の第四艦隊が激戦の中にあるというわけですか。私たちはこうして呑気にしていられるのに」

 

 少し後ろめたさを感じたヤヌスであったが、それを見てグラード少佐はニィと笑みを浮かべた。

 

「どうした? やっぱ“女豹”の異名を持つエースパイロットとしては戦場でスコアを稼ぎたいのか?」

「少佐、私がその異名であまり呼ばれたくありません。控えてもらえませんか」

「でもこの第六艦隊所属のパイロットでヤヌス大尉の凄さを知らない人はいないでしょ。二年前の会戦での暴れっぷり、俺、その時から同僚だったんすからね」

「アラキ少尉まで……もう……」

 

 ふてくされてヤヌスは軽食を食べるペースを早めた。別に異名自体が嫌いなわけではないし、二年前にたてた自分の武勲ゆえについた異名であることを思えば誇らしくもある。だが、少々持ち上げられすぎていないかという感覚があって、今ではそう呼ばれることに彼女は抵抗感を覚えるまでになっていた。

 

「敵の猛攻を受けているであろう第四艦隊の戦友諸氏には同情を禁じ得ないが、俺たちが戦場に到着する頃には帝国軍の連中も疲弊しているだろう。数の優位だってあるから、全体としての我が軍の勝利は約束されている。敵が逃げずに突っ込んできて、帝国軍一個艦隊に大打撃を与える好機を得たと考えたほうが色々と楽だぞ。戦場に着くまではあまり気をはりつめずに羽を伸ばしておくべきなのさ」

「それもそうですね」

 

 後世の視点からみれば、これは随分と呑気で無能な者たちの会話であると考えるだろう。しかし当時としてはこれが普通で、かつ常識的なことしか誰も言ってはいないのだ。自分たちが危機的状況に陥りつつあるなど、ほとんどの者は想像することすら困難であった。

 

 ゆえにこそ、自ら濃密な戦場の霧を作り出してそこに飛び込み、わずかな情報から同盟軍の錯誤や思惑を完全に読み切って、理想的なまでの各個撃破戦法によって二倍の敵相手に大打撃を与えた帝国軍司令官ラインハルト・フォン・ローエングラムの軍事的才華が、アスターテ会戦の逸話が、遠い未来まで伝わっているのである。

 

『艦隊後背より帝国軍! 敵ワルキューレ部隊の接近を確認! 全パイロットはスパルタニアンに搭乗! 出撃せよ!』

 

 だが、その栄光の記録があまりにも眩しすぎるためか、恒星の輝きが星々の光を消してしまうかのごとく、後世から記録を振り返る際、しばしば失念してしまうことがある。全体としては敗北したとしか言いようがないのだが、同盟軍はアスターテ会戦において、決してやられっぱなしだったわけではない。彼らはたしかにそこにいて、局所的ではあっても必死に抵抗していたのだということを。

 

「アント444よりアントリオン。発艦許可求む」

『アントリオン了解。発艦を許可する』

 

 空母ラクシュミから加賀梅鉢のペイントが施された愛機のスパルタニアンで出撃したヤヌス大尉は、レーダーに映った味方機を示すマークの少なさと敵機を示すマークの膨大さに慄然とした。なんだこの圧倒的なまでの数的劣勢は! 数的優位はこちらにこそある筈ではなかったのか?!

 

「味方はこれだけしかいないというの? 他はどうした?!」

「おそらく出撃前に空母ごと沈められちまったんだろう……」

 

 通信機越しにグラード少佐のうめくように言った。その推測はあたっていた。第六艦隊は後背に空母打撃群を集中的に配置していたため、その多くが背後からの帝国軍の奇襲の好餌となってしまったのであった。

 

「ヤヌス、お前の中隊はポイントαの宙域で防衛線を張ってくれ」

「わかりました……少佐……」

 

 震える声で了解の意を告げ、ポイントαに向けて空戦中隊を進ませながらヤヌスの胸には様々な想いが去来した。

 

 多くのスパルタニアンのパイロットたちが空母ごと沈んでいった。第六艦隊空戦隊の勇士たちが、宇宙空間に出て闘死する権利すら与えられることなく死んでいったというのか。

 

 もちろん、空母狙いが悪いわけではない。宇宙戦のセオリーですらある。宇宙空間で近接格闘戦(ドック・ファイト)の末に戦闘艇を一機ずつ破壊していくより、母艦機能のある軍艦ごと沈めた方が効率がいい。逆の立場だったら、自分だって積極的にそうしようとしたことであろう。

 

 だが、こうも、こうも一方的では、理屈で理解できても感情を抑えきれるものではない。ポイントαについた瞬間、ヤヌスは通信チャンネルをオープンにして叫んだ。

 

「帝国の雑魚ども! 死にたい奴からかかってきなさい! 虚空に散った勇士たちの無念を晴らすために、このヤヌス・ジウが、一人でも多くお前たちを地獄に叩き落としてあげるッ!」

「た、大尉?!」

 

 部下たちの当惑の声を置き去りにして、ヤヌスはワルキューレ部隊がいる方向へとスパルタニアンを猛スピードで突貫させた。無謀にも突っ込んできたこの機体こそ、先ほど煩く喚いていた相手にちがいないと見て、この小生意気な敵を討ちとろうと五機ほどのワルキューレが機銃を撃ちながら接近してくる。

 

 ヤヌスは巧みに操縦桿を操って、敵機の機銃掃射を最小限の動きで掻い潜り、すれ違いざまに敵機のワルキューレのひとつに機銃の雨を叩き込んで撃墜。そこから急反転して敵機の背後を取って更に二機の機関部に攻撃を命中させて爆散させた。

 

「死ね! 死んで詫びろ!!」

 

 そんな言葉を言い残して、ヤヌス大尉の機体は悠々と同盟軍の陣営のほうへと戻っていった。

 

「なんなんだ! あのおっかないのは!!」

 

 生き残った二機のうちのひとつのワルキューレのコクピットで、グレル帝国軍少尉が操縦桿を思わず殴りつけた。一分もせぬうちに、一線級の技量を持っていた戦友が三人もたった一機のスパルタニアン相手に近接格闘戦(ドック・ファイト)で敗死したのである。とんでもない理不尽に遭遇した憤りを禁じ得なかった。

 

「あの少尉殿、ヤヌス・ジウって、もしかして……」

「ああ? なんだ、さっきのやつを卿は知っているのか」

 

 もう一人の生き残りである軍曹の通信機越しの発言に興味を惹かれて、グレル少尉は何気なしに問うた。

 

「たぶんですけど、敵のエース・パイロットですよ。“ヴァンフリートの女豹”って異名持ちの。翼にトレードマークだとかいう変な紋章がありましたし」

「ヴァンフリート……あ、あれかぁ!!?」

 

 グレル少尉は驚愕の声をあげた。二年前のヴァンフリート会戦において、現実離れした撃墜数を記録した凄腕の敵軍のエースパイロットとして帝国軍内でも噂になっている存在であったのだ

 

 ヤヌスがヴァンフリート会戦で多大な個人的武勲をあげて有名になれたのは、いくつかのカラクリがある。まずひとつは、ヴァンフリート星域そのものが、極めて不安定な宙域であったために大型の艦艇が活躍しにくい場面が多く、結果的にではあるがスパルタニアンやワルキューレといった小回りがきく単座式戦闘艇が撃墜スコアを荒稼ぎしやすかったのである。

 

 加えてヴァンフリート会戦そのものが、双方にとって酷い混戦であって、特に同盟軍にとっては大変民衆受けが悪い戦いであったこともあり、個々の個人的武勲を持ち上げる形で、会戦全体のぐだぐだな惨状を糊塗しようという軍広報部の思惑があり、ヤヌスの武勲もプロパガンダの対象となって大きく持ち上げられたのだ。

 

 しかしそうした事情を考慮するにしても、約四〇日間のヴァンフリート会戦における単独撃墜スコアが一〇〇をオーバーしてしまっているヤヌスの記録は、やはり誇張抜きで尋常ではない記録であると言わざるを得ないのもまた事実であった。

 

 グレル少尉はろくでもない女と戦場で対峙して生き残った幸運に感謝にしながら、ひどく疲れきった調子で言った。

 

「……補給と再編の名目で母艦に一時撤収するぞ。こんな勝ち戦で、俺たちだけそんなバケモン相手にしなきゃいけないとか冗談じゃねぇや」

「同感であります」

 

 二機のワルキューレは通信で帰還願いを出し、管制から許可が出ると即座に母艦へと撤収していった。

 

 一方、味方を置いてけぼりにして単身突撃して自陣に戻ってきたヤヌスは、まるで何事もなかったかのように平然とした調子で空戦中隊の面々にE編隊を組むように命じた。

 

「味方の巡航艦からの連絡があった。数分もすれば敵の駆逐艦群がこのポイントαに突っ込んで来るらしいから、支援を求めているわ。つまり対艦ミサイルで手荒く歓迎して皆殺しにしてやれってことよ」

「大尉、理に叶ってる命令とは思うんだけど、少し落ち着かれては?」

「? 私はずっと冷静じゃない。何言ってるの」

「はあ、そうですか」

 

 冷静な将校はオープンチャンネルであんなこと言いながら敵陣に向かって単身突撃したりしないと思ったが、アラキ少尉はもうツッコミを入れる気力が湧いてこなかった。色々と心配ではあったが、してくる命令じたいは妥当なのだから、さしあたり問題はないかと判断したのである。

 

 

 

 

 

 

 空母ラクシュミは第六四空母打撃群に属しており、第六四空母打撃群旗艦をエトロという。第六四打撃群は第六艦隊の中心よりに配置されていたこともあって、初動での帝国軍艦隊の奇襲による被害が他の空母打撃群に比べて比較的軽微であり、そのため強固な組織的抵抗をすることができていた。

 

 しかしそれだけにエトロの艦橋にいる将校たちの頭と胃が痛かった。どうしてこんな状況になっているのかだれも理解できていなかったし、ただ反転攻勢命令などの上位司令部から下りてくる指示に従いつつ、場当たり的に空母打撃群の自己防衛のために必要な命令を各所に出していただけで、最終的にどうなっていればいいのかという未来図をえがくことができずにいたからである。

 

「第六艦隊旗艦ペルガモンより入電! 第六艦隊司令部命令です!」

 

 通信士からの報告に、参謀将校の一人が天国から垂れてきた蜘蛛の糸に縋るような期待を込めて読み上げるように命じた。

 

「我、既に敵戦艦群の包囲下にあって指揮能力なし。我、断じて虜囚の辱めを受けず最後まで抗戦せん。第六艦隊残存各艦艇は各所最高位指揮権保有者の判断で爾後行動すべし。願わくば、我と志を同じくすることを期待するや切である。第六艦隊司令官ムーア中将」

 

 艦橋は静まり返った。事態の打開を告げるような司令部の命令をこそ、参謀たちは欲していたのである。しかしこの命令は遠からず第六艦隊旗艦が沈むという事態の悪化のみを告げるものであったから、だれもが落胆の気持ちを抱いたのは無理からぬことであったろう。

 

 しかしそんな凍りつきつつあった空気を吹き飛ばすかのような、やかましい哄笑が艦橋内に響いた。第六四空母打撃群司令官カライバリ准将のものであった。

 

「まったく! まったくもって、状況は最悪だな。おい、分艦隊司令官モール・モー少将との連絡はとれるか? もう一度確認してくれ」

 

 ひとしきり笑い終わった後、カライバリ准将の命令を受けて通信士は試してみたものの、連絡をとることはできず、力なく首を横に振った。

 

「ふむ、つまり我が第六四空母打撃群は完全に私にフリーハンドが与えられたと解釈していいのかな。ええ?」

 

 カライバリ准将は近くにいた参謀に揶揄うような口調でそう尋ねた。命令系統からいってごく当然な確認に対し、参謀は当惑気味に小官もそのように思いますと答えると、准将は胸を逸らした。

 

「いよぉし! じゃあ、我々は現宙域に踏みとどまって、徹底的な防衛戦を敢行するぞ!」

「閣下!」

 

 顔を赤く青くした参謀が悲鳴のように声を荒げた。

 

「既に先ほどの艦隊司令部命令を受けて、いくつかの戦隊司令部から最後の一艦になるまで抗戦を継続するとの連絡と戦闘宙域を離脱するとの連絡が届いております。このように混沌とした戦況とあっては、我々も離脱を考えるべきではないのですか?! ましてや、我が空母打撃群は空母中心の編成なのですぞ!」

「うん、却下で」

「何故ですか?! 友軍の離脱のために、殿軍となるためでありますか。それともムーア中将の最後の命令の希望に沿うためでありますか」

 

 もしそうなのであれば、自分たちとて絶対に死ぬ覚悟を決めて抵抗をしなくてはならぬ。司令官の真意を問いたださんとする参謀の眼光炯々とした迫力に押されたわけではないが、カライバリ准将は肩を竦めて答えた。

 

「いや、ムーア中将は尊敬する上官であるが、そんなもんに付き合ってやるほどの義理があるわけじゃないし……。友軍離脱のための殿軍って要素もなくはないが、単純に今の状況で撤退するのは至難の技な気がするし、別にそんなことしなくてもここで徹底抗戦してたら帝国軍の方から退くんじゃないかな」

「と、仰いますと?」

「どうしてこういう戦況になってしまったのか、考えてみたんだが」

 

 今の状況を説明しようとして簡単に思いつくのは、アスターテ星域に侵入した帝国軍一個艦隊はただの先鋒部隊でしかなく、後続で数個艦隊の本隊を用意していて、先鋒部隊が妨害電波発生装置をばら撒いてアスターテ星域における長距離通信と索敵を阻害した上で帝国軍本隊と合流し、敵はわずか一個艦隊と油断しきっていた同盟軍に全面的に攻撃してきているという構図だ。

 

 だが、いくらなんでも同盟軍の情報収集能力というのはそこまでお粗末なものであろうか? さすがに数個艦隊もの別働隊が動いていたら、情報部が兆候を察知しているんじゃなかろうか? 別働隊があっても半個艦隊ほどのものだろうと考えたほうが自然ではないだろうか。

 

 そのように仮定すれば、第四艦隊と交戦していたのは帝国軍艦隊ではなく、少数の決死部隊による陽動であり、それで敵の位置を誤認してしまった第六艦隊の背後へと帝国軍艦隊が回り込んで奇襲をかけてきた、と、見るべきではないのか。

 

「とすれば、だ。ここでひたすらに時間を稼ぐ戦闘に徹していれば、帝国軍別働隊を打ち破った第四艦隊か、状況を察知した第二艦隊が救援に来てくれるだろう。帝国軍にとってはそれこそ最悪の事態だろう。だからここで徹底抗戦するのだ。わかったか」

 

 カライバリ准将の説明に、参謀たちは表情を明るくした。現在の戦況から、同盟軍の数的優位は覆ってしまっているものという錯覚に彼らには囚われていたのだ。しかし全体としての同盟軍の数的優位は維持されているかもしれないという可能性を、相応の説得力が伴った説明を司令官からされて救いを見た気持ちになったのだ。

 

「で、あるならば、なにがなんでも制宙権は維持しなくてはなりませんな。空戦隊を酷使することになりますが」

「仕方ないだろう。空母中心の編成なのだから、艦砲の絶対数が少なすぎる。その穴埋めのためにもスパルタニアン乗りたちに頑張ってもらわねば」

「各空母に空戦隊の状況を更に短い定期で報告させろ! 空戦隊こそが生命線になる!」

「彼我の戦力差からして防衛戦を貫徹する場合、持つ時間は――」

 

 目指すべき目標が決まったこともあって参謀たちが前向きな思考を再開させたのを見て、カライバリ准将は満足気にひとつ頷くと、指揮官席に深く腰かけ、戦況を示すスクリーンを静かに睨みつけた。

 

(やべーよやべーよ。マジどーしよう)

 

 そして内心の混乱具合を悟らせぬよう、表情筋をコントロールすることに苦労していた。先ほど述べた自分の推測に、カライバリ准将は確信を持てずにおり、自分でさえ半信半疑なところがあったのである。考えついた可能性の中でも一番ありえそうなことだとは思っていたが、それ以上になんもわからないという気持ちが強かったのである。

 

 にもかかわらず、カライバリ准将があそこまで自信満々に言い切ってみせたのは、士官学校同期の桜で、おそらくは戦死してしまったであろう友人のムーア中将が常日頃から言ってた「将校が迷ったりする弱いところを部下に見せてたら、部下は全員敗北を確信する」という信条に、彼も概ね同意していたからである。

 

(外れていたら私もムーアの後に続くだけだから、それはそれでいいかもしれん)

 

 カライバリ准将は、ヤケクソな気持ちになりつつあった。

 

 

 

 

 結論からいえばカライバリ准将の推測は外れていた。帝国軍のラインハルト艦隊は初戦で第四艦隊を撃滅させており、そこから第六艦隊へと攻撃を開始していたので、どれほど第六四空母打撃群他の第六艦隊残存戦力が奮闘しようとも、第四艦隊からの救援などくるはずもなかった。

 

 しかし帝国軍に豊富な別働隊があるわけがないという部分は正しく、また同盟軍第二艦隊も健在であって、第六艦隊の残存戦力がまだ組織的抵抗をしているからといっていつまでも相手をしていられない事情があった。まだいくらか抵抗している戦隊群はあったが、早期の指揮系統回復は不可能な程度には六艦隊の中核は叩き潰したと判断し、ラインハルトが各分艦隊司令官に通信をいれ、転進命令を告げたのは自然な流れであったろう。

 

「転進ですと?! まだ我が分艦隊の前の敵は強硬に抵抗をしてきておりますぞ! あと三〇、いや、二〇分お時間をいただければ、戦線の降着を打破できますものを!」

 

 エルラッハ少将は不服極まりない態度をとった。主に第六四空母打撃群を中心とする集団を攻撃していたのは、彼が指揮する分艦隊だったのであり、彼は第六四空母打撃群の組織だった激烈な抵抗を前に他の提督たちほどの戦果をあげられていなかったのである。

 

「他の戦域での戦闘が終息しつつあるのなら、全艦隊でもって目先の小癪な敵を叩き潰して後顧の憂いを絶っておくべきではありませんか」

「卿の意気込みや良し。だが、事前に説明した通り、この作戦の肝は速度だ。既にして半壊している敵の第六艦隊のためにこれ以上時間を割いて、第二艦隊に状況を把握するゆとりを増やしてやる必要はない」

「だが、第四艦隊に対しては壊滅的打撃を与えてやったではありませんか! 第六艦隊に対してもそうせねば!」

 

 第四艦隊を艦隊と呼ぶのも烏滸がましいレベルなまでに壊滅させることができたのは、自分の作戦が優れていたからというよりは、むこうの司令官どもが予想以上に低脳だったからできたことだとラインハルトはスクリーン越しに怒鳴りたくなったが、激発する前にシュターデンが口を開いた。

 

「まあ待て。これほどまでの打撃を受けて、我々が戦場から離脱すれば、敵はまずなにより敗残の収容をこそ優先するだろう。連中が戦理に沿った判断と行動をするのならば、の話ではあるが」

 

 言葉尻から不快感が滲み出ているのは、シュターデンの教科書的頭脳では今回のラインハルトの作戦は極めて不合理なものであるとしか理解できておらず、にもかかわらず上手くいってしまっていることに思うところしかないからであった。

 

「シュターデン中将の言う通りだ。私が敵の残存部隊司令官の立場でも艦隊の再編こそを優先するだろう。我々が第二艦隊と戦うに際して、もはや脅威になるとも思えない」

「メルカッツ大将まで……」

 

 ぐぎぎと歯ぎしりするエルラッハ少将の姿をスクリーン越しに見て、フォーゲル中将は同情的な表情をとり、ファーレンハイト少将は内心を隠そうとして目を閉じたが、つい唇の端を歪めてしまった。

 

 エルラッハ少将から粘着質な執着のようなものを感じて、上官たる権威を盾に命令をゴリ押す誘惑に一瞬にかられたが、後々のことを考えてラインハルトは内心面倒なと思いながらも、なにかしら言葉をかけてやるべきと判断した。

 

「卿の敢闘意欲も他の提督に遅れをとってしまっている屈辱もわからないではない。私にもそんな経験がある。だが、敵はまだ一個艦隊もいるのだ。そこでいくらでも武功のたてようがあるだろう。違うか?」

「……閣下の仰る通りにて」

 

 鉄面皮になってエルラッハ少将はスクリーンに向かって敬礼し、通信を切った。

 

「全ワルキューレ部隊を収容させろ! しかる後、敵艦隊の追撃を警戒しつつ距離をとって転進する! 急げ!」

 

 それだけ命令してエルラッハ少将は指揮椅子に腰を落として両手を組み、人差し指をトントンとなんども苛立たしげに動かし続け、不満の呟きをこぼした。

 

「経験、経験だと? 皇帝陛下のご寵愛を良いことに二〇そこそこで上級大将になったような孺子が、この俺に経験を語るのか?」

 

 第二艦隊との戦闘時には他の提督を圧するほどに活躍してやる。あの小生意気な金髪の孺子の顔が歪んで何も言えないくらいの戦果をあげてやる。エルラッハ少将は内心の憤激を決意へと変化させて、指揮椅子から戦況を映しているスクリーンを冷たい瞳で見つめ続けた。

 

 

 

 

 帝国軍艦隊が転進作業をはじめると、当然のことではあるが、第六四空母打撃群にかかる圧力は一気に激減した。ようやくの戦況の変化に旗艦エトロの艦橋では歓声が湧き、参謀たちは司令官カライバリ准将の明敏な分析力を讃えた。当の本人としては「よかったぁ」と安堵感から脱力してそのまま転げ落ちそうな気分であったのだが、表立っては慇懃に参謀たちに自分を信じてくれたことへの感謝の言葉を伝えた。

 

 カライバリ准将としては帝国軍が退いてくれるのであれば、これ以上戦う必要性を感じない。これ以上戦い続けても壊滅する未来しか見えないのだから当然であり、敵の動きにあわせて距離をとるように全部隊に命令した。

 

「帰還命令?! どうして?」

 

 ヤヌス大尉のところにまでその命令がおりてきたのは、空母ラクシュミに一時帰還して弾薬とエネルギーの補給を受けての再出撃をして七分経過した頃であった。

 

「さっきより戦いの光が減ってるし、帝国軍が退き始めたとかじゃないですかね」

「……ふざけないでよ」

「大尉?」

「あなたたちには関係ない」

 

 まだ通信機越しのアラキ少尉がなにか喋っていたが、耳に届かない。コクピットの中で被っているヘルメットを手でさすりながら、ヤヌスは鬼の形相をしていた。

 

 逃げると言うのか。自分たちはまだまだ闘えるのに、それを捨て置いて戦場から帝国軍が離脱していくというのか。ふざけるな。戦場から離れると言うのなら、逃げるというのなら。

 

「逃げるなら死んでからにしろ!!」

「大尉!!?」

 

 ヤヌスはエンジンを全開にして爆速で宇宙空間を疾走した。またしても部下が置いてけぼりである。スパルタニアンに負荷がかかること甚だしい無茶な動作であったが、そんなこと御構い無しの全速力であった。

 

「どこだ!? どこにいる?!! 一撃いれてやらないとおさまらない!!」

 

 索敵レーダーと肉眼で周囲を探り、そして“獲物”を見つけると、ヤヌスは“女豹”の異名にふさわしい獰猛な笑みを浮かべて、操縦桿を操る。

 

「逃がさないわよ。この卑怯者がァ!!」

 

 ヤヌスが狙いを定めたのは帝国軍の中型空母であった。接近してきたのがスパルタニアン一機のみで、しかも猛スピードだったために中型空母が事実確認するのが遅れて、ヤヌス機への対応が実質的にできたのは周囲警戒のためにでていた一二機のワルキューレのみであった。

 

 しかしこの時、中型空母も一二機のワルキューレのパイロットたちにも油断があった。状況からして、戦闘中に発生した敵の単座式戦闘艇の“はぐれ”が、破れかぶれに攻撃をしにきたものと判断していたのである。

 

「一人の女に何人がかりなのか。生憎、こちらはあんたたちの相手なんかしてらんないのよッ!」

 

 ヤヌスの神がかり的な操縦テクニックで、スパルタニアンの銀翼が敵の攻撃の光を反射して、まるで宇宙の暗闇を切り裂く白き閃光のごとく煌き、ワルキューレからの攻撃を掻い潜って帝国軍中型空母に肉薄し、やがて核融合炉があると思しき機関部を発見すると、敵空母から距離をとった。

 

「少しは私たちが味わった屈辱を思い知りなさい! 堕ちろォ!!」

 

 コクピット内で喚きながら飢えた女豹は対艦ミサイルの発射ボタンを連打した。スパルタニアンでは対艦ミサイルは二発しか装備できないのでボタンを連打したところで意味はないのだが、気持ちの問題である。

 

 発射された二発の対艦ミサイルは吸い込まれるように機関部に命中し、中型空母は大きな火の玉となって消えていった。

 

「嘘だろ……。野郎、単座式戦闘艇一機で、空母一隻を……?」

 

 警戒に出ていたワルキューレ部隊の指揮官が思わず口から漏れてしまったように言った。あまりに現実味がない光景であった。

 

 そして空母を沈めたスパルタニアンの翼に加賀梅鉢のペイントがあるのを視認して、それを成した相手が何者であるかを察して、ワルキューレのコクピットで彼は怒声をあげた。

 

「なにが“女豹”だ! こんなことできるような女は“魔女”の方が遥かに似合いだ!!」

 

 一方、ヤヌスもただではすまなかった。機体に無理のあるスピードを出しすぎたため、推進装置に問題が発生したことを告げるブザー音がひっきりなしに鳴っていた。スクリーンに映る情報からすると、スピードを出しすぎなければ飛行自体は可能であるはずであったが、スピードを出さなければ帝国軍の報復を躱して友軍艦の下へ戻ることはできないであろう。

 

 命運尽きたか。降伏すれば生きながらえることもできるかもしれないが。いや、さすがに空母を沈めた直後に降伏なんかしたら、いろんな意味でまともに捕虜として扱われる気がしない。まあ、自業自得ではあるか。ヤヌスはそう考えた。

 

 しかしただやられるつもりは毛頭無い。せめてワルキューレの一機か二機は道連れにしてやると気合いを入れ直したところで、コクピットに備え付けられている通信機から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「おい! 聞こえているか!? ヤヌス大尉!!」

「……この声は、グラード少佐!? どうして!!」

「説明は後だ! とにかく退くぞ! 指示に従え!!」

「はっ、はい!」

 

 グラード少佐の指揮する空戦大隊は、少なくない被害を出しながらも帝国軍の報復を凌ぎ、ヤヌス機を救出した。帝国軍艦隊は既に転進を始めており、同盟軍側へと離れて行くスパルタニアン部隊を追撃していては、艦隊から落伍しかねないという危機感もあって、それほど積極的な追撃にはならなかったのが幸いした。

 

 空母ラクシュミへと帰還した。スパルタニアンのコクピットから降り、罪悪感と後ろめたさに彩られた表情のヤヌス大尉が呆然と格納庫で突っ立っていた。

 

 そこに怒りで顔をどす黒く染め上げたグラード少佐がやってきて、いきなり無言でヤヌスの右頬を思いっきりビンタでぶった。

 

「自分が何をしたのか、わかっているか」

「はい。帰還命令を、承服できず、猪突しました……」

「気持ちはわかる。だが、俺たちは感情で戦争しているんじゃないんだ。軍人なら、命令とあれば従わねばならん。わからないとは言わせんぞ」

 

 ヤヌスはますます恐縮した。少佐の言うことが完全に正しく、間違っていたのは自分であると理解できるだけに、なにも反論することはできなかった。

 

「わかってましたが……あの時は、失念してしまいました」

「だろうな。実際、おまえは今まで優等生だったもんな。エースパイロット、それも突出したそれってなると我の強いやつが多いもんだが、おまえはそうでもなかったんで、上官としては正直扱いやすかった。だが、ここにきて馬脚を露わしたか」

 

 グラード少佐は嘆息した。

 

「いくらか酌量の余地はある。ここまで一方的にしてやられる戦いなんて、そうそう無いもんだ。感情に溺れた行動をとってしまうのも理解できないわけじゃない。だが、だからこそ兵と違って将校は常に冷静でなきゃいけなんだ。逆境の時こそな。でなくては戦闘に勝つどころか、兵が無駄に死ぬことになる」

「……」

「とはいえ、だ」

 

 グラード少佐はヤヌスの肩に手を置いた。とても優しさを感じさせるものであったので、ヤヌスを驚かせた。

 

「アラキに言われておまえの救出に行くかどうかで空戦大隊の皆の意見を聞いてみたんだが、見捨てろって言ったやつだれもいなかったんだ。そこまで隊員に慕われるのも十分将校の資質だ。それに個人的には空母を一人でぶっ壊したことには正直スカッともした。だからもし今回の一件で上から責任追及があるようなら、俺が命じたってことにしておけ」

「そ、そんな! 私が独断先行したのです。私の責任です! 少佐が責任を取る必要なんて!」

「どちらにせよ大隊諸君の意見に流される形で俺も上の命令を無視して動いちまったわけだから、責任をとらされる。ついでだからお前のぶんも背負わせてくれ。それで得難い経験と教訓をえた凄腕エースパイロットが同盟軍に残ると考えれば、代価としては安いもんだ。俺のキャリアくらい」

「……」

 

 言葉も出ない様子のヤヌスの態度を見て、グラード少佐は思わず吹き出してしまった。

 

「まあ、それだけ俺はおまえのことを買っているってことだ。おまえを救出にいった大隊戦友諸君も想いは同じだったはずだ。あいつらにも感謝しとけよな。だから俺のぶんまで頑張ってくれや。期待しているぞ」

「はい! 必ずや、期待に応えてみせます! それとみんなにお礼を言わないと。特にアラキ少尉に……」

「……アラキなら死んだぞ。おまえを救出するときの戦闘でな」

「え……」

 

 急に背筋が凍りついたような感覚に、ヤヌスは襲われた。アラキとは中隊の中では親しい間柄だった。それが私を助けるために、戦死した……?

 

「キツイことを言うが、そういうのも含めて俺は“得難い経験と教訓”と言ったのだ。死んだ連中のぶんまで、おまえはまともで責任感ある将校にならなきゃならんのだ。わかったな」

 

 そう言い残してグラード少佐は格納庫から出てこうとした寸前に振り返った。またしても呆然としたヤヌス大尉の姿を確認し、彼女も前途多難だな、と、心の中で嘯くと格納庫から出て行った。

 

 一〇分ほどヤヌスはそのまま固まっていたが、やがて荒々しく手に持ったままだったヘルメットを、自分のスパルタニアンの外壁を叩きつけた。彼女は自身の愚かさを呪い、自責の怒りに震えながら絞り出すように「もう二度と、あんなこと、しない……!」と自身への誓約を、苦渋に満ち満ちた表情で口にした。

 

 

 

 

 

 宇宙暦七九六年二月に起きたアスターテ会戦に参加した同盟軍将兵は約四〇六万五九〇〇名。その内、約一五〇万八九〇〇名が戦死した。アスターテ会戦の生き残りの多くは、後に新設される第一三艦隊の要員となり、司令官たるヤン・ウェンリーと共に“不敗“の伝説の一部となるわけであるが、それはまた別のお話である。




+ヤヌス・ジウ
本作の主人公的ポジにいる女性軍人。空母ラクシュミに配属されていたスパルタニアンのパイロット。
ヴァンフリート会戦における単独撃墜スコアが一〇〇オーバーという記録を残して、“ヴァンフリートの女豹”の異名をとったエース・パイロットである。
これがどれだけ頭おかしい記録かと言うと、原作でのポプランの生涯撃墜スコア二五〇オーバーで、それで歴代撃墜王ランキング一〇位以内に入ったといわれるようなレベルといえば、少しはわかっていただけるだろうか。
このような偉業については第六艦隊をあげて表彰されており、彼女は第六艦隊の空戦隊の皆から尊敬され、空戦技術の教えを乞われたりする立場でした。
……これを踏まえれば、普段はそれなりに優等生であったらしい彼女が、第六艦隊の多くのパイロットたちが空母から飛び立つこともできずに死んでいったことで、理性がしばしば蒸発して感情的になっていたことが少しは理解できるかしれない。
なお、加賀梅鉢は単になにかの機会で見かけて気に入ったから機体にペイントしてあるだけで、特になにか特別な理由とかあるわけではない。別のマークが気に入ってたらそれを機体にペイントしていたことだろうが、それがトレードマークになってしまったので、今更変更する気は皆無である。

+アラキ
ヤヌスの部下。同盟軍少尉。ムードーメーカー的ポジだった。
暴走して的中に突貫したヤヌスを救出するように上官に進言して、その戦いの最中で戦死してしまいました。
彼の死はヤヌスに深い衝撃を与えました。

+ドニィ・グラード
同盟軍少佐。空母ラクシュミに配置されていた空戦大隊の指揮官。
部下への思いやりに優れていた将校で、上官として敬われるというよりは、兄貴分として慕われるような感じの存在であった。本編ではヤヌスの暴走の責任を被ると言っているが、正直なところ上層部が事態をちゃんと把握できるような状況だったか疑問符がつくため、特に何の問題もなくスパルタニアンのパイロットをやっていられるかもしれない。
もっともその場合、第一三艦隊に配属されて地獄の帝国領遠征に赴かなければならないわけであるが……。

+カライバリ
同盟軍准将。第六艦隊所属第六四空母打撃群司令官。
名前がちょっとドストレートすぎたかと思わないでもない。
士官学校でムーアと同期であり、しかも寮では同室であったことから親交を深め、上官のムーアとは親友と呼べる間柄であった。ムーアの死に対してサッパリした態度をしていたが、内心ではガッツリ悲しんでいる。
おそらくアスターテ会戦後の彼の第六四空母打撃群は第一三艦隊所属になると思われる。
なんとなく帝国領遠征からは生き残れそうな気はするのだが、その後が心配である。

余談だが現実的な意味での空母打撃群は「空母を旗艦として編成された艦隊」くらいの意味合いであって「空母がたくさんある艦隊」という意味ではないのだが、単語の響きから後者の意味で使用している。
なんならカライバリの乗艦であるエトロも空母なのかどうかすらわからないっていうか、決めていなかったりする。





+オマケ ヤヌス・ジウの同盟軍軍歴
七八九年(一九歳)
一九歳で徴兵を受け、スパルタニアン部隊の整備兵となる
七九一年(二一歳)
スパルタニアンの整備をしているうちに操縦したい欲望にかられ、幹部候補生養成所試験にチャレンジして見事合格
七九二年(二二歳)
幹部候補生養成所卒業。少尉任官。スパルタニアンのパイロットとして第六艦隊に配属
七九四年(二四歳)
ヴァンフリート会戦に参加。同会戦での単独撃墜スコアが一〇〇オーバーとかいう頭おかしい記録を打ち立て、“ヴァンフリートの女豹”の異名を取り、中尉に昇進
七九五年(二五歳)
大尉に昇進
七九六年(二六歳)
第六艦隊空戦隊としてアスターテ会戦に参加(本編)
新設された第一三艦隊に移籍後、第七次イゼルローン攻略作戦と帝国領遠征作戦に参加
七九七年(二七歳)
救国軍事会議のクーデター鎮圧のため、第一三艦隊空戦隊としてドーリア会戦に参加
七九八年(二八歳)
軍中枢が新兵訓練要員を求めていたのと、本人の希望から第一三艦隊を離れ、空戦学校の教官に
七九九年(二九歳)
帝国軍の同盟領侵攻に伴い、現場復帰
第一艦隊に配属され、ランテマリオ会戦に参加。戦傷の為に軍病院に入院
退院後、同盟軍から除隊

その後も考えないわけではなかったが、軍歴か怪しいので割愛する。

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