「マリア・ディートリヒ!
 王太子の名のもとに、貴様との婚約を破棄す…」
「あ、はい、了承しました。
 願ってもないことでございます!」
 
 婚約していた王子から破棄を言い渡され思わず本音をポロリした公爵令嬢・マリア。
 しかし意外そうな顔をしていた王子に、妹であるカトリーヌ王女が不思議そうな顔で尋ねる。
 
「5名の婚約者候補の中で【一番顔がいいから】といって自分で選んだくせに、…今更婚約破棄をすぐさま了承したくらいでなぜ驚いていらっしゃるのです?」
 
 それをゴングに、浮気者自己中王子に対する、婚約破棄をしたい令嬢+妹王女の成敗が始まる。
 
※7/16 思いついた「5人の婚約者候補の残り1人のエピソード」を追記しました。

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君の名は? ~悪役令嬢が、妹王女とともに王子に言いたいことを言ってみた~

「マリア・ディートリヒ!

 

 王太子の名のもとに、貴様との婚約を破棄す…」

 

「あ、はい、了承しました。

 

 願ってもないことでございます!」

 

 あ、思わず食い気味で返答してしまった。

 

 今、このリエノイーレ王国の王宮では、王太子である王子の誕生日を祝うパーティーが行われているのだが、まだ王様と王妃様が来る前に、王子がこんなことを言い出した。

 

 なぜか王様「今日は驚くべきことを発表するからな」と事前に私に言っていたのだが、その準備でいない隙をついて王子がこんなことを言い出したのだ。

 

「なっ…」

 

「お兄様、なぜそんな意外そうなお顔を?」

 

 失言したことに気づいた私、マリア・ディートリヒが口を押えると、婚約破棄した婚約者のバカ…いや、もはや元婚約者の王子が何も言えなくなっていた。

 

 しかも追い打ちをかけるように声を出した人物がいた。

 

 王子の妹、カトリーヌ王女殿下である。

 

「5名の婚約者候補の中で【一番顔がいいから】といって自分で選んだくせに、【俺を愛するのは当然】とか言って、王様の息子というだけの七光で平民や男爵令嬢を次々とナンパしてマリアお姉さまを放置して悲しませた挙句、王子の職務すらお姉さまに投げて…今更婚約破棄をすぐさま了承したくらいでなぜ驚いていらっしゃるのです?」

 

「…カトリーヌ殿下、お気遣いありがとうございます。

 

 ただ一つ訂正させてくださいまし…私は王子殿下に放置されても悲しくはありませんでした、自由を謳歌していたつもりですし、そのおかげで王宮でカトリーヌ殿下とゆっくりお話しする有意義な時間をいただけて感謝しておりますわ」

 

「ありがとう、お姉さま。

 

 私にも有意義なお時間を過ごせましたわ」

 

「…おまえら、俺の話を…」

 

 私とカトリーヌ殿下が話をしていると王子が何か言いたそうにしているが、それはヒートアップしたカトリーヌ殿下には届いていない。

 

「それに何ですかお隣の令嬢。

 

 ピンクのフリフリドレスって!

 

 それにどれだけ香水にお金かけるつもりですの?

 

 この香りだと大して高くないでしょうから、それほどの費用は掛かっていないでしょうけど…かけるだけ無駄の経費ではなくて?」

 

「なっ!!」

 

「カトリーヌ殿下、それは言いすぎですわ。

 

 香水は、要介護の家族をもっている方が、その後始末の時間短縮で使っていたりするのです。

 

 香水を使いすぎているからといって、その方に対する偏見を助長させてはいけませんよ」

 

 なお、王子の隣にいるフリフリ女…いや、王子の新婚約者候補は孤児院出身で、彼女を引き取った男爵家の養父・養母も健在なことはカトリーヌ殿下もご存じである。

 

 ちなみに、男爵令嬢の名前はローリー嬢だ。

 

「まぁ、お姉さま博識ですわ!

 

 香水をふりまくのは、お兄様のようなバk…いや、軟派な男性をハントしようとする女性だけだと思っていましたわ!!」

 

「…くっ…」

 

「…おいまて今、俺をバカって言おうとしなかったか…」

 

 ローリー嬢が、軟派な男性をハントしようとして高級な香水を使っているのを知っていて、あえて言っているカトリーヌ殿下の言葉に唇をかみしめる。

 

 余計なことに気づいた王子も約一名いたが。

 

「ええ、ですから香水というのは使う人…いえ失礼、使う目的によってかなり違うことになるわけですわね。

 

 それとついでに言いますと、お姉さま」

 

「はい、カトリーヌ殿下?」

 

「そしてこの場にいらっしゃるでしょう、侯爵令嬢のレグルシュ様、同じく侯爵令嬢のゼノ様、そして辺境伯令嬢のマリー様、いらっしゃいますわね?」

 

「「「はい、こちらに」」」

 

 レグルシュ様、ゼノ様は文官、マリー様は守衛兼侍女としてカトリーヌ様につかえている女性達です。

 

 そして私を含めた4名、実はある共通点がある。

 

「さ、お兄様、この4名、ご存じですわね?」

 

「…俺の婚約者候補だな…」

 

 もはや何も言いだせず、ふてくされているところに急に話を振られて、そのまま答える。

 

「この美女ぞろい、しかも全員優秀な方々からではなく、私に挨拶もせず、仮にも婚約者の前であるにもかかわらず、王子であるお兄様に抱き着いて所有物であるかのように抱き着いている女性が、王太子妃になれるとでも?」

 

「…何よ!! アタシが王妃になったらあんたなんて処刑してやるわ!」

 

「おいまて、なんで俺が所有物扱いなんだ…?」

 

「はい、皆さまお聞きになりまして?

 

 王太子妃どころか王太子の婚約者でもない男爵令嬢が、王女である私を処刑するとまで言いましたわよ?

 

 怖い話ですわ…」

 

 顔の表情を変え、4名の王太子妃候補、そしてこの場にいるほかの貴族の方々のほうに向かい、相手のローリー嬢には見向きもしない。

 

 その様子に周囲がざわつく。

 

 

 

 ざわ…ざわ…。

 

「あの方、王子に気に入られているだけで婚約者でもないのに、もう王妃面…」

 

「男爵令嬢なんでしょう…なんて恐ろしい…」

 

「あの男爵様は人格者なのに…なぜこんな方を…」

 

 

 

 すでにこれで四面楚歌になっている…しかもそれに気づかない様子の王子とローリー嬢と取り巻きの三名の側近候補。

 

「ええい、静かにしろ、カトリーヌ!

 

 貴様のせいで話が進まんではないか!」

 

「話が進まない?

 

 すでにわたくしがお兄様の言いたいことは大体言い終えたと思いますが?」

 

「うるさいと言っておろう!!

 

 おいマリア、貴様、ローリーを陰でいじめておったのだろう!!」

 

「その理由は?

 

 まさかその男爵令嬢が言っただけというのが証拠とは言いませんわよね?」

 

「何だと!?

 

 ローリーが証言しただけで十分だろう!!」

 

 私はあきれ顔で聞き返しますが、この暗愚の王太子は聞く耳を持ちません。

 

「はぁ…ではなぜ私がそんなことをしたと?」

 

「嫉妬であろう!? 貴様、生意気にも俺の婚約者だ、その地位が危ないからと…!」

 

「先ほど申しましたわ。

 

 婚約破棄は願ってもなかったと。

 

 捨て去りたいあなたの婚約者の立ち位置を守るために、そのご令嬢に意地悪をする意味があるのですか?

 

 私にとって何の益もないんですけれども?」

 

「!!」

 

「先ほどカトリーヌ殿下からもありましたが、5人の候補の中で、ほかならぬあなたが、よござんすか?

 

 ほかならぬ あ な た が!!

 

 候補者の中で、あなたの勝手な理由で選ばれた婚約者ですわよ?

 

 そんな地位、いつでも捨てますので、私に言ってくださればよかったのです。

 

 こちら側を最初から見ようともせず、私を含めた婚約者候補の目の前で下級貴族の令嬢を侍らせていたものですから、こちらは最初からあなたに嫌悪感しかありませんでしたよ?」

 

 王子はすでにわなわなと震えている…怒りなのか、衝撃の告白だと思っているのか。

 

「それに、当初王太子妃最有力といわれたもう一人の公爵令嬢は、あまりにあなたとの婚約を嫌がって、早々に国外に留学し、その国の王太子様と婚約し、一時帰国したときに我々4人に号泣して謝ってきましたわ。

 

 【抜け駆けしてごめんなさい】とね。

 

 そんな状態ですから、あらかじめお父様にも相談して、王子から婚約破棄されるようなことがあれば、快くお受けしろとのご指示もいただいております。

 

 そして今回の婚約破棄、あなたが言い出したのですから、国王様のご許可はいただいているのですわね?」

 

「父上に相談などできるか!!

 

 父上の命令に逆らうために、貴様の罪状を…」

 

「罪状? ですから身に覚えがありませんと申しておりますが?

 

 そちらのご令嬢とお話ししたこともございませんよ?」

 

 そこで助け船が入る。

 

「私も見たことがありませんわね。

 

 マリア嬢とは王子の婚約者から外れた直後から懇意にさせていただいておりますが、王子の周囲以外で彼女を見かけたことは一度もございませんわよ?」

 

 カトリーヌ殿下の後ろに控えたレグルシュ様がそう言ってくれた。

 

「やかましい、貴様もグルであろう!!」

 

「グルならなんだというのです?

 

 あなたも後ろのバ…貴族の令息方とグルで私を断罪しようとしておりましたわよね?

 

 あなた方のように思慮分別のない方と違って、レグルシュ様、ゼノ様、マリー様は礼節もわきまえている私のご友人として見たままのことを言っていただけますわよ?」

 

「やかましいわ!

 

 グルはグルだ!!

 

 おい、ローリー、この女に何をされたのか言ってみろ!」

 

 おいこの王子、逆ギレしましたわよ…見苦しい。

 

「はい…私の教科書や筆入れを隠されたり、汚されたりしましたわ」

 

「ほう…あなたが教科書を真面目に持っているようには思えませんが?

 

 汚されたのはどの教科書でして?」

 

 口をはさんだのはカトリーヌ殿下。

 

「えっ…覚えて…ま、ません…」

 

「覚えていない!?

 

 汚されるのをお兄様に報告するくらい大事にしていたのではないのですか!?

 

 それにもかかわらず覚えていない!?

 

 皆様、そんなことがありますか?」

 

 カトリーヌ殿下はそう言って周囲の貴族を見る。

 

 もはや王子側の貴族はほとんどいないのだが…。

 

「け、けど、日にちなら覚えておりますわ!

 

 2か月前の18日、お昼休みから戻ると教室に置いておいた教科書がぐちゃぐちゃにされておりましたわ!!」

 

 なるほど、詳細な情報を出すことで真実感を出そうというのか。

 

「…マリア様?」

 

「ええ…その通りですわ」

 

 隣にいたゼノ様が目配せするので私もそれに答えた。

 

「ほう、ローリー嬢とやら、間違いなく2か月前の18日に汚されたと証言するのですね?

 

 間違いございませんね?」

 

「ええ、間違いないわ!」

 

「一日もずれておりませんね!?

 

 お兄様もお認めになりますね?」

 

「ああ、間違いないぞ」

 

 なぜか王子にまで日にちを確認する。

 

「ではそちらの三名も間違いありませんね?

 

 ローリー嬢の言う通りなのですね?」

 

 カトリーヌ殿下がしつこく、今度は王子の側近3人にも確認を取った。

 

「…では申しましょう。

 

 その前に…ポンテール侯爵夫人?」

 

「は、はい…何でございましょう」

 

 不意にカトリーヌ殿下は会場にいたポンテール侯爵夫人を呼んだ。

 

「2か月前の18日、あなたが何をしていたか答えて頂戴?」

 

「はい…カトリーヌ殿下、レグルシュ嬢、ゼノ嬢、マリー嬢とともに…王妃様のお茶会に参加させていただいておりました。

 

 その中に、マリア嬢もいらっしゃいました。

 

 …その日はこの4名の方はアカデミーをお休みいただいているとお話ししておりましたが…」

 

「…ありがとう、侯爵夫人。

 

 どうですかお兄様?

 

 マリアお姉さまも、一緒に動いているお3方もアカデミーにいなかった日にされた嫌がらせが、なんでマリアお姉さまのせいになるのですの?」

 

「…くっ…おいローリー、どういうことだ!?」

 

 なるほど、私に罪をかぶせるべく教科書を実際に汚した日にちょうど私たちがいなかったのか。

 

 さてそろそろ、国王様が戻ってくる頃かしらね。

 

「あぁあと、お兄様…内緒の相談は、人がいないところでおやりになった方がよろしくてよ?

 

 昨日この5名で、マリアお姉さまへの婚約破棄を宣言する等と打ち合わせているところ…丸見えでしたわよ?」

 

「…なっ!?」

 

 どうやらばれていなかったと思っているのか、王子は衝撃の顔をしている。

 

「あぁそれと…宰相の次男、騎士団長の三男、宮廷魔導士長の次男のお三方?

 

 あなた方は昨日その話し合いで殿下を止めようとしていなかったことを理由に…」

 

 そこで羊皮紙をカトリーヌ殿下は取り出す。

 

「お三方のお父様方から、それぞれの家から追放のお知らせをお預かりしておりますわ!」

 

「「「な、なんだと!?」」」

 

「国王様がお決めになった王太子妃を追放する相談を窘めもせずに笑って聞いているとは何事ですか!

 

 ちょうどあなた方の家は問題なく長男の方が後継ぎになられるそうですし、あなた方三名のお父様方は快く追放に合意いただきましたよ?

 

 貴族を名乗れなくなりますので、平民として頑張ってくださいね?」

 

 にっこり。

 

 必殺すぎるでしょ、カトリーヌ殿下。

 

 膝から崩れる3人の悪ガキ…もう貴族家から追放されたし、この言い方でも構わないわよね。

 

「さて…そろそろ…」

 

 3バカが崩れる中、カトリーヌ殿下が入口の方を見つめた。

 

 その瞬間にドアが開かれた。

 

「遅くなったの、カトリーヌ」

 

「お父様!!」

 

「国王様!」

 

 悪ガキ3人が貴族家から追放という朗報(私にとって)が届いた直後、遅れて国王様がパーティ会場に到着した。

 

「はぁ…ハイデマン医師がようやく成果を出してくれたわい。

 

 さて…そなたは本当に婚約を破棄したのじゃな?」

 

 そう言って王子に向き直る。

 

 後ろにはうなだれている3バカ…もとい悪ガキ3人がいる…まだいたんだ。

 

「え、ええ…父上…マリアが私を顧みないので、私のことを理解してくれているローリーと婚約しとうございます…」

 

 顧みないのはアンタでしょうが…とは思いましたが、口には出しません。

 

「そうかそうか…マリア嬢、君も問題ないかね?」

 

「ええ、願ってもございません」

 

 王子からは「そこまでいい顔で言わなくても…」とつぶやいたのが聞こえた。

 

「いやぁよかった…マリア嬢に無駄な疵を負わせる前でよかったわい。

 

 さて…ハイデマン医師の結果だが…カトリーヌ、それにリヴィエラ、こちらへ」

 

 ちなみにリヴィエラというのは王妃様のお名前である。

 

「なんですか、お父様…あら」

 

「この結果は…」

 

「ああ、そういうことじゃ…まったく、10年以上リヴィエラには心苦しい思いをさせてしまったからの。

 

 近々、お詫びに何かしてあげようぞ」

 

「まったく、国王陛下ったら…」

 

 王妃様が真っ赤になっているのがわかる。

 

「なんなんですか父上!

 

 王妃様に心苦しいというのは!?」

 

 さすがの王子がしびれを切らす。

 

「あぁ、新技術でな…親子関係を科学的に分析できる方法だ。

 

 おぬしと側妃、そして私の血液を使って分析した結果…お前と私に血縁関係はなかったことが判明したのだ!

 

 貴様と側妃は、儂を10年以上だましておったということだ」

 

「…な、なんという…」

 

「マリア嬢は、儂をだましておった親子と婚姻関係を結ぶことにならずに済んでよかった…」

 

「…あ、ありがとうございます」

 

 私は少し感激してしまった。

 

「リヴィエラ、カトリーヌ…10年も気づかずもうしわけなかったの。

 

 こんな者と血縁関係なのだと言われて…そちらも肩身が狭かったろう」

 

「とんでもないですわお父様…今後は家族三人仲良く致しましょう」

 

「うむ…そしてこの王子をひったてろ!

 

 こいつは10年以上王族をだました極悪人だ!」

 

 そう言うと衛兵が王子を連行する。

 

「やめろ…お、俺を誰だと思っている…この国の王子だ…王子なんだぞ!!」

 

「お、おやめなさい、私は王太子妃よ!! 王太子の婚約者なのよ!!!」

 

 二人が衛兵につかまり、そんな言葉を吐いた瞬間だった。

 

「お待ちください」

 

 私がそう声を出した。

 

「ま、マリア…やはり俺を助けて…」

 

 何やら国王様と血縁もない元王子が何か言おうとしましたがそれを遮ります。

 

「今のこの方々の言葉、皆様お聞きになりまして?」

 

「ああ、きいたぞ」

 

 まず国王様が答える。

 

「王妃様も?」

 

「ええ、聞いたわ」

 

「カトリーヌ様に、レグルシュ様、ゼノ様、マリー様も?」

 

「もちろんですわ」

 

「そして会場の皆様も、お聞きになりましたわね?」

 

 会場のあちこちでうなずいたり、はい、という声が聞こえたりする。

 

「…い、いったい何を言っているのだ、マリア。

 

 君は俺を助けてくれるのだろう?」

 

「いえ、今の発言であなたの罪状が増えましたので、おしらせしたかったのでございます」

 

「な、なんだと!?」

 

「…国王様と血縁がないことが分かった偽王子、そして婚約者ですらない男爵令嬢が、「俺は王子だ」「私は王太子妃だ」と王家を騙る行為。

 

 立派な犯罪です!

 

 国王様、彼とこのご令嬢の罪状に王家詐称を追加しておいてくださいませ」

 

「マリア…」

 

 さすがに私から最後のとどめを刺されて、抵抗する気がなくなったようで、元王子がおとなしくなった。

 

 最後までローリー嬢のほうは騒いでいるようだけれど。

 

「ありがとうマリア嬢。

 

 10年以上我々をだましていた側妃はともかく、王子のほうは廃嫡にするしか手がなかったのだが…件の男爵令嬢含めてあいつらは絶対に逆恨みするだろう。

 

 王家詐称の罪で極刑とできるであろう…では今回のパーティーを続けよう…。

 

 しかしパーティーの趣旨は変えさせてもらおう。

 

 カトリーヌを王太女に任命する、任命式じゃ!!

 

 拝命を受けてくれるな、カトリーヌ?」

 

「もちろん、謹んでお受けいたします」

 

 そう言ってカトリーヌ殿下はカーテシーを決めた。

 

 その瞬間、会場は拍手に包まれた。

 

 がっくりとした追放3人衆を除いて。

 

 

 

 それから数か月。

 

「マリア様のおかげで、仕事がはかどりますわ」

 

 私はカトリーヌ王女様のそばで秘書官を務めることになった。

 

 文官のリーダーとみられているポジションで、レグルシュ嬢やゼノ嬢よりも経験は薄いが、二人から是非にといわれて就任した。

 

「いやぁ…マリアお姉さまを手放してくれたお兄様…いえ元王子様様ですわね。

 

 あのまま婚約が続いていれば元王子の王太子妃として私側についてくれることはなくなったでしょうし」

 

 ちなみに、王子は廃太子、ローリー嬢は側近三人衆同様貴族家から追放の上で、側妃ともども王家を詐称した罪で公開処刑された。

 

「いえいえ…あの男の近くで愛されもせずに一生過ごすより、気の合う王女様とお仕事した方が幸せですわ。

 

 まぁ…婚約はこりごりですがね」

 

 そういって疲れたような顔を見せた。

 

「お姉さま…本当にここにおいでくださってよかったですわ…

 

 あぁそうそうお姉さま…」

 

 私の返答にカトリーヌ王女様が答える。

 

「はい、王女様?」

 

「あなたの弟君なのだけれど…私にお預けしていただくことはできるかしら?」

 

「…は?」

 

「…弟君に王配として横にいてほしい。

 

 私は、とっても欲張りなのよ?」

 

 そういってカトリーヌ王女はふわっと微笑んだ。

 

「…弟も喜びましょう。

 

 そういえばカトリーヌ殿下」

 

「何かしら?」

 

 

 

「先日処刑された、元王子のお名前…何と言いましたっけ?」

 

 

 

 ~fin...~


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