テリーに転生したので、ネタキャラ扱いされないよう強くなる   作:なー

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第十六話

「う、うめええ!!!」

「……なんだこれは、本当に料理なのか?」

「こんな美味しい料理が食べられるなんて、俺幸せだ……」

「これは本当に料理の神様だ……」

「う、嘘だろ……。昼間食べたのよりさらに美味しい……だと?」

「こ、これは……。うちの婆さんが作る料理の百倍美味しい──あぁ、嘘っ、嘘じゃ! 杖で叩かないでくれ!」

 

 陽が暮れ始めた頃、松明で囲まれた村の中央にある広場で開かれた宴会。結局、村長が来るほどの村全体を巻き込んだ大規模のものになってしまった。

 俺とターニアが作った料理は大好評で大盛りあがり。中には涙を流す者が現れるほど。しかし、自分で言うのもなんだが今回の料理は確かにどれも美味しい。これが愛情パワーか……。

 そして当の俺はと言うと──

 

「なあなあ、テリー。お前さんどうやってこんなに料理が上手になったんだ?」

「剣を持っているが剣士なのか?」

「お兄ちゃん! なにか技とか見せてよ!」

「ねえねえ、テリーさん、彼女はいるの?」

「出身はどこなの?」

「どうしてレックの仲間になったの?」

 

 と、質問の嵐。俺の元に老若男女問わず様々な人が押し寄せてくる。なぜ皆、俺に構おうとするのか。

 昨日の少人数の宴会ですらうまく立ち回れなかったのに、対応できるわけもなく、オロオロしてしまう。挙句の果てには全員にマヌーサをかければ逃げられるんじゃね?と考える始末。

 

「おいおい皆、気持ちは分かるがテリーが困っているだろう? 順番に話しかけろよな! でないと次からテリーがこの村に来る気がなくなっちまうぞ?」

 

 という頼もしいランドのおかげで俺は人の波から逃れることができた。ランドってこんないい奴だったっけか。

 ランドのおかげで多少はマシにはなったが、それでもかわるがわる色々な人と話すことは大変だった。

 

「テリー、お前相当強いだろう。テリーなら俺の最高傑作『精霊の鎧』を着こなすことができるかもな」

「……見たらわかる。あんたほどの人が作った鎧だ、きっと素晴らしいだろう。金ならいくらでも出すから是非頂きたいな」

「はっはっはっ! 分かってるじゃねえか! 気に入ったぞ! レックの仲間ってこともあるし、お前さんに俺の精霊の鎧を売ってやる!」

「ねえ、ちょっと、そろそろ私と代わってよ!」

 

 そんな感じで宴会は進んでいき、やがて周囲が完全に闇に包まれ、ようやく落ち着いてきた頃。

 俺は魔法で生み出した炎の明かりを頼りに、村長の家の横にある眺めがいいと言われているスポットに向かっていた。ランドがターニアに結婚を申し込んで玉砕した場所だ。

 ここに来た理由は、一人になりたかったのと、皆が口を揃えて景色がとても綺麗と言うから気になったのだ。

 先ほどと打って変わって、静寂が辺りを包み、吹き付ける少し冷たい風が火照った体には気持ちがいい。

 そしてようやく目的地にたどり着いた。

 俺が魔法を解除すると、炎が静かに消える。

 

「────おお」

 

 思わず俺は感嘆の声を漏らしてしまう。村の皆が眺めがいいといった理由が分かった。目の前に広がっていた光景は、夜空をまんべんなく覆いつくす無数の星空だった。山頂で空気が澄んでいることもあるのだろうが、俺が今まで見た星空の中では一番綺麗だった。

 壮大な景色を前に思考することが馬鹿に思えてしまい、無心のままひたすらぼうっと景色を眺めていた。暫く眺めていると流れ星が見えた。

 

 

 

「──ここにいたのかテリー」

 

 しばらくすると、背後からレックの声が聞こえた。振り返ると松明を持ったレックが一人でこちらに歩いて来ていた。そのままレックは俺の隣まで来て、松明の炎を消す。

 

「ここの景色、綺麗だろう?」

「……ああ、柄じゃないが感動したよ」

「ははは、それは良かった。星空を見ていると、いつの間にか時間が経っているんだよね」

 

 レックはそう言い切ると、しばらく目の前に広がる景色を見つめる。

 しばらくしてこちらに視線を向けてくる。

 

「今日は突然のお願い、ありがとうね」

「いや、構わない。俺も楽しめた、特にターニアの料理は美味しかった」

「そうだろう? 自慢の妹だからね」

「……そうだな」

 

 本当に自慢の妹だろうな……。

 くそっ、レックが羨ましい……。

 初めて他人を羨ましいと思ってしまった。

 俺が密かにレックに嫉妬を抱いていると再びレックから切り出してきた。

 

「……僕はね、この村が──この村の人達が──ターニアが大好きなんだ。でもこの世界がムドーによって滅茶苦茶にされようとしていると知った。だから僕は何としてもムドーを倒さなくてはいけない。その為だったら僕はなんでもやってみせる! ……はは、いきなりごめんね。でもなんとなくテリーには僕が戦う理由をその目で見てほしかったんだ。テリーの過去はとても辛いものだったかもしれない。人を嫌いになったかもしれない。でも世界には色々な人がいることも知っておいて欲しかったんだ。少なくとも僕やこの村の人達はテリーのことが大切だと思っているよ」

 

 ……そういうことだったのか。

 ようやく、レックが俺をこの村に連れて来た理由が分かった。

 そしてレックがハッサンやミレーユよりも強い正義感を持っていた理由も。

 ──レックの言う通りだ。

 ゲームだけでは分かりづらかったが、本当にこの村の人たちは良い人だらけだ。

 ターニアだけでは無い。皆が互いを支えあい、協力することができる素晴らしい人たちだ。この村で育ったレックだからこそ、勇者の資質を備えているのだろうと今なら理解できる。魔物も含めて世界が皆ライフコッドの人達みたいだったら争いが起こらないのだろうななんて考えてしまう。

 そう考えたところで、朝にグランマーズが魔物と仲良くする子供の俺が見えたという話が思い出される。

 ……あれは何だったんだろうな? 

 俺は子供の頃から魔物は俺が強くなる為の存在にしか認識していなかった。当然仲良くなった記憶など無い。『魔物使い』という職業はあるが、なろうと思ったことは無い。いずれあのグランマーズが見たという俺の夢のことについても分かる時が来るのだろうか?

 ──まあ、とにかくだ。今はレックのことについて理解できたことでよしとしよう。

 

 しかし、そこまで考えてくれているのになぜ一度俺を帰らせようとしたんだ……。

 それほどターニアがレックにとって大事と言うことか。……まあ、仕方ないか。

 

「……ありがとうな。レックのことが色々理解できた。……絶対にムドーを倒そう」

「ああ! ありがとう! テリーがいれば百人力だ! 僕ももっと強くなって見せるよ!」

 

 そうして俺は、闘志に燃える笑顔を浮かべるレックと拳をぶつけ合った。

 俺も自然に笑顔を浮かべることができていたと思う。

 ……本当にここに来てよかった。

 うまく説明できないが、この村に来たことで俺の心の中のもやもやした部分が綺麗に取り除かれたような気がする。

 

 

 

「きゃー! お、お兄ちゃんにテリーさん!! 助けてえっ!! 酔ったランドが追いかけてくるの!!」

 

 

 

 しかし、次の瞬間だった。男同士の友情が芽生える良い雰囲気を崩壊させるターニアの叫びが聞こえてくる。

 俺の脳内が急速に冷え込んでいく。

 

 ────ターニアが危ない。

 

 危機的状況を前に、最適解を取るべく慌てずにどこまでも冷静になっていく。

 高揚していた気持ちも一瞬で落ち着け、己が起こすべき行動を導く。

 俺はすぐさま目にも見えぬ速さでその場を離れるとターニアの元まで爆速で駆け出す。

 背後から「テリー! 『ガンガンいこうぜ』で!」というレックの叫びが聞こえてくる。

 ものの数秒でターニアが叫んだ場所までやって来た俺。

 すると、先ほどの広場で酒瓶を持ったまま「ターニアちゃん、俺と結婚してくれぇ!」とターニアを追い掛け回すランドが目に入る。

 

 ザキ……は覚えていない。

 ベギラゴン……は周りを巻き込む。

 仕方ない……。

 

「『ラリホーマ』!」

「ターニアちゃ──はぅっ」

 

 俺が魔法を唱えると、それを食らったランドが突如、顔面から地面にめり込むように倒れ込んだ。ずざざと地面を抉った後止まった。かなり痛そうだが自業自得だろう──寧ろ甘いかもしれない。見ると、ジュディもごみを見るような目でランドを見つめていた。

 ターニアは突如ランドが倒れたことで何が起きたか分からず戸惑っていた。

 

 ……やっぱりランドはだめだな。

 

 

 

 ランドが暴走するという事件はあったものの、その後は特に事件も無く、楽しい時間が流れていった。

 そしてとうとう俺達がライフコッドを去る時間になった。

 

「お兄ちゃん、テリーさん旅頑張ってね! 旅に疲れちゃったらいつでも来てね! 今度はもっと美味しい料理を作ってみせるからね!」

 

 ターニアは相変わらず、見る者を安心させる優しい笑顔を浮かべて俺達に励みの言葉を投げかけてくれる。結局、料理中にターニアが言ったあのセリフの意味は最後まで分からなかったのが心残りだ。

 ターニアだけでなく、他の村の人達も俺達を見送る為集まってくれている。本当に居心地がいい村だと思う。レックが夢にまで見た気持ちが分かる。

 特にターニアは……。

 

「うん、じゃあねターニア、それに皆も! ランドの奴はこらしめておいてね! ──じゃあ行くよテリー?」

「ああ、頼む」

 

 レックが『ルーラ』を唱える。

 ライフコッドの人達の止まない声援と別れの言葉もやがて消えていった。

 

 

 

 

 

 俺達は、ダーマ神殿を経由して現実世界の『グランマーズの館』まで帰って来た。先ほどまで賑やかなところにいた反動か、少し物寂しいと感じると共に帰って来たという安心感に包まれる。

 

「ねえ、テリー。帰る前に一つ聞いておきたいんだけどいいかな?」

 

 突然レックがそう切り出してきた。少し重い口調から真面目な話なのだと察する。

 

「どうした?」

「…………えーとね、テリーって付き合っている人はいる? もしくは好きな人とか」

 

 …………は?

 

 まさかの質問に思考が止まってしまう。

 しかし、レックは少し気まずそうにはしているものの、決しておふざけで聞いているわけでないのはその表情を見れば分かる。

 

「…………付き合っている人も好きな人もいない」

 

 考えた末、正直にそう答えた。実際には好きという感情が俺はよく分からないだけだが。今まで修行ばかりしていた身にとって恋愛というのは理解できない領域だった。

 大切な人と言うことであれば別だが……。

 

「そ、そうか……。なるほどね」

 

 俺の返事を聞いたレックは安心したように、ふーと息を吐くと意を決するように続けてこんなことを言ってきた。

 

 

 

「……なら、ターニアはどうかな?」

 

 

 

 今度こそ俺の思考が完全に止まる。

 

 …………レックは何言っているんだ?

 

 ターニアならどう?

 それはつまり、ターニアを恋人にという意味か?

 

「レック、酔っているのか?」

 

 出会って一日やそこらの男にあんなに可愛い妹であるターニアを紹介するなんてどうかしているとしか思えない。そもそもターニアと俺が釣り合うわけがないだろう。

 

「僕は酔っていないし真剣だよ。……今日のランドみたいにいつターニアがその辺の男に迫られるか分からない。そりゃあ僕もターニアが恋人を作ったら寂しいけど、もう十六だしね、結婚を視野に入れる時期だ……。テリー、君にならターニアを任せられると思ったんだ。僕が言うのもなんだけどターニアは良い子だよ? 絶対に後悔しないと命を賭けてもいい。ターニアもテリーのことは気に入っているみたいだし……」

 

 ……そりゃあ、ターニアと付き合って結婚したら後悔なんて絶対しないだろう。幸せそのものだろうな。正直、惹かれる提案ではある。というかターニアを紹介されて喜ばない男はこの世にいないだろう。

 レックも言うようにランドみたいな奴とターニアが結ばれるなんてあってはならない。しかし、だからといってな……。ターニアの気持ちもあるしな。

 

「レック、俺達が出会ったのはほんの昨日だ。そんな奴にターニアを紹介するのはどうかと思うぞ?」

「大丈夫、僕は人を見る目は自信があるんだ。そして今日のライフコッドでの君を見て確信した。テリーは僕がこれまで見てきた中でも優しい人だよ」

 

 ……兄妹揃って似たようなことを言われたな。二人には俺がどう見えているんだ? 俺はそんなできた人間じゃない。自慢できることといえば、強さと料理位だ。ターニアにはもっとできた男と結ばれてほしい……。ターニアに見合う男であることが条件だが。そんな男が存在するのか怪しいが。

 

「勿論、今すぐどうこうしてくれと言うつもりは無い。だけど少し考えておいてほしいかな……。ごめんね、急にこんなことを言ってしまって」

 

 レックはそう言うと館の方に歩いていってしまう。

 ……まあ、ランドの奇行を見て兄として焦ってしまったのかもしれない。明日になったらレックも考えを改めるかもしれない。これ以上、突っかかるのはやめておこう。

 

 

 

 

 

「うふふふふふ、テリー、おかえり。随分遅かったのね? もう寝る時間よ? 私言ったわよね、遅くならないようにって」

 

 グランマーズの館に帰って来た俺達を待っていたのは、鬼と化した姉さんだった。……もう寝ていると思ったのに。

 

「レックはいいわ。私はテリーにお話があるから……」

 

 ミレーユが凍てついた笑顔でそうレックを促すと、「ご、ごめんね、テリー」と言って怯えるようにそそくさと館の中に入っていってしまった。許さん。

 

「違うんだ、姉さん。これには色々理由が」

「言い訳は聞きたくないわ」

「そ、そうだ、綺麗な織物があるんだ、これお土産だ」

「そうありがとう。で、他に言いたいことは?」

「…………ない」

 

 この後、滅茶苦茶怒られた。

 

 

 

 

 

 ……やっと解放された。

 姉さんの数十分にもわたる説教の後、俺はよろよろと風呂に入る為、浴槽に向かう。

 

「──テリー。随分遅かったわね?」

 

 そこへ現れたのはバーバラ。血色の良い顔色から体調が良くなったのだと理解する。寝間着姿だから寝ようとしていたのだろうか?

 でも少し顔が赤い気がする。まだ熱があるのだろうか?

 

「バーバラ、もう体調はいいのか?」

「ええ、元々大したことなかったしね」

「そうか、それは良かった……。だが、なぜ池に飛び込んだんだ?」

 

 バーバラが体調を崩したのは池に飛び込んだ為と聞いてる。なぜそんなことをしてしまったのか不思議だったので聞いてみた。が。

 

「……は? テリーがそれを聞く?」

 

 ……あー、これは間違いなく俺が原因だな。

 苛立ったように、額に血管を浮かばせて女の子がしてはいけない表情を向けてくる。正直、先ほどのミレーユより怖い。

 

「……俺が原因か」

「……そうよ。偉いじゃない。同じような状況でも、前までは『どうして怒っているんだ』なんて聞いて来てたのに」

 

 ……そりゃあ、毎度怒られまくっていたら俺だって流石に学習する。

 

「ちなみに俺が何をしたんだ? すまないが、昨日のことは記憶に無いんだ」

「……はぁ、やっぱりね。どうもおかしいと思った。どうしてああなったのかは分からないけど……」

 

 バーバラは安心したようにほっと息をついている。一体、バーバラが何に対して安心しているのかまるで見当がつかない。

 俺が記憶を無くしているのはバーバラにとって好都合という事らしいが……。まじで俺は何をしたんだ?

 

「……あ、そうそう、これ、読ませてもらったわよ?」

 

 俺が必死に記憶を呼び起こそうとしていると、先ほどまでとは一転、楽し気な口調でそんなことを言って手に持った何かをひらひらとしている。何かの紙──というか手紙のようだが、見覚えがあるような……あっ!?

 慌ててズボンのポケットにまさぐるが──無い! バーバラに書いた手紙が!?

 

「バ、バーバラ、……それ、まさか」

 

 俺の推測が外れてくれと祈りつつそう尋ねるも、バーバラは意地悪そうに口をにんまりと歪めると

 

「──ええ、テリーから私に宛てた手紙だったわ。しっかり、読ませてもらったわよ?」

 

 ──ダンッ。

 

 俺は膝から崩れ落ち、両手を床につく。

 ──あれには、結構恥ずかしいことを書いた……。バーバラとしばらく別れるだろうと思って、結構攻めたことを書いた記憶がある。

 そうか、洗濯をしてもらった時か……。その時に手紙がばれたのだろう。なんて不覚……。

 

「テリーったら~。私と別れるのは寂しいとか、一緒にいて楽しかったとか、こ、この世界で初めて……そ、その気を休める人に出会えたとか……、と、とにかく! 本当、私のことが大好きなんだから~、ねえ、テリー?」

 

 バーバラは、途中恥ずかしがりつつも実に楽しいと言うようにからかうように俺にそんな言葉を浴びせてくる。しっかりと読まれているという事実を改めて突きつけられてしまい、俺の全身がどんどんと熱くなっていく。

 ──あぁ、死にたい。

 一生もののトラウマを植え付けられた。

 

「…………ふんだ、私が受けた恥ずかしさに比べたら大したことないわよ」

 

 バーバラが何かを言ったような気がするが、動揺しすぎて何を言ったか分からない。

 

「ふー、恥ずかしがるテリーを見て少し気が晴れたわ……。じゃあ、私は寝るわね。明日から旅が始まるものね」

 

 その後もしばらく悶絶していると、バーバラがそう言って寝床に向かおうとする。

 

「……待ってくれ」

 

 池に飛び込んだ理由が俺にあるのだとしたら、その詫びも込みでやはりこれは渡しておきたい。十分報復は受けた気はしたが……。

 

「え、なによ?」

「……お土産だ。木で作ったペンダントだ、一応手作りだ」

「──え、これ私に?」

 

 宴会用の料理を作る代わりにランドに教えてもらいながら作った木のペンダント。ほとんど時間が無かったが、俺の剣技によって何とか作ることができた。多少荒い造りにはなったが。それを驚くバーバラに手渡す。

 

「え、え? ど、どうして?」

 

 今度はバーバラが俺のように慌てだしてしまい、顔の赤みもさらに増す。多分だが喜んでもらえているのだと思う。……これで機嫌が完全に治ることを祈る。

 

「言っただろう、お土産だ。自分で言うのもなんだが出来はいいと思うぞ」

「……このペンダント、ミレーユにも渡したの?」

「姉さん? いや、バーバラにだけだが……」

 

 すると、バーバラはさらに顔を真っ赤にしてわなわなと震えだす。

 そして、

 

「もう! テリーは色々ずるい!! 不公平!!」

 

 なんてぷんすか怒りつつ、寝床に行ってしまった。なぜ怒っているんだ? 木のペンダントが気に入らなかったのだろうか。

 後、なんでちょっと笑顔だったんだ……? やっぱり喜んでいたのか? ……分からん。

 

 とりあえず俺は二度と臭いと言われない為にも風呂に向かうのだった。

 

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